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レイクサイドソフトウェア︓ホワイトペーパー GPU アクセラレーションを活⽤した ユーザーエクスペリエンスの向上 Windows 10 の環境と Windows 7 の環境を対象とした⽐較分析

GPU アクセラレーションを活⽤した ユーザーエク …...定するようになりました。その結果、開発者は、グラフィック のユーザーエクスペリエンスを強化したソ

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レイクサイドソフトウェア︓ホワイトペーパー

GPU アクセラレーションを活⽤したユーザーエクスペリエンスの向上 Windows 10 の環境と Windows 7 の環境を対象とした⽐較分析

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2 GPU アクセラレーションを通じたユーザーエクスペリエンスの向上

⽬次 はじめに ...................................................................................................................................................... 3

GPU の登場 ................................................................................................................................................. 3

レイクサイドソフトウェアが提供する指標 .................................................................................................. 4

評価結果 ...................................................................................................................................................... 4

グラフィック使⽤時間の割合 ....................................................................................................................... 5

グラフィック処理に伴う CPU の使⽤状況をアクティブな CPU の平均値から分析 ................................... 6

ユーザーエクスペリエンス ....................................................................................................................... 8

評価結果のまとめ ..................................................................................................................................... 9

NVIDIA Cloud Assessment........................................................................................................................... 9

サービスとしての Windows 10 に⾼まる期待 ............................................................................................. 11

詳細情報 .................................................................................................................................................... 12

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3 GPU アクセラレーションを通じたユーザーエクスペリエンスの向上

はじめに 既刊のホワイトペーパー「Windows 10 と Windows 7 が Office 365 のパフォーマンスにあたえる影響分析」では、Windows 7 から Windows 10 にシステム環境を移⾏した場合の影響を、コンピューティングのシナリオ別に解説しました。分析にあたっては、SysTrack Community 上にある最新のデータを利⽤しました。SysTrack Community には、SysTrack が展開されている多数の物理・仮想のエンドポイントから収集した匿名のデータが豊富に揃っています。前回の評価では、システムの起動に要する時間、Office アプリケーションのパフォーマンス、SysTrack の健全性スコアという主に 3 つの指標を中⼼に調査しました。そして、その結果から、Windows 10 を使⽤する場合の最⼩のハードウェア要件を、ユーザーのクラス別に特定しました。弊社の分析では、適切なハードウェアを使⽤していればほとんどのユーザーにおいて、Windows 7 よりWindows 10 のほうがパフォーマンスが優れているとの結果が出ています。

前回のホワイトペーパーの公表後、SysTrack Community では、Windows 10 のユーザー数が 18%増えました。Windows 7 から Windows 10 へと企業が相次いで環境の移⾏を進めている現状では、IT 担当者は、これらオペレーティングシステムにおけるパフォーマンスの違いを把握し、これに対処する必要があります。前回の分析を実施して以降、特に顧客の関⼼を集めている分野があります。エンドユーザーのグラフィック要件です。このトピックが取り上げられることが多くなっているため、弊社では、Windows 7 と Windows 10におけるグラフィック性能の違いを詳しく分析してみました。そして、その結果は予想していたとおりでした。アプリケーションや OS の開発者はより豊富なグラフィック機能を備えたソフトウェアの開発を通じてユーザーエクスペリエンスを⾼め続けており、弊社コミュニティのデータにおいて、そのようなエクスペリエンスの向上が確認されました。ただし、適切なグラフィック処理ハードウェアを⽤意しないと、グラフィック要件の増加が主要なパフォーマンス指標に悪影響を及ぼすおそれがあります。このジレンマを念頭に置き、弊社では、Windows 10 に移⾏した弊社の顧客におけるグラフィック処理のエクスペリエンスを、SysTrack Community から得られたデータの分析を通じて評価することにしました。

GPU の登場 物理デスクストップにはかなり以前からグラフィック処理のためのグラフィックカードが搭載されています。ほとんどのユーザーにコンピューターが浸透し始めた頃には、すでにこのような機能が備わっていました。現在では、スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスにもビデオチップが搭載されています。このような状況を当然と考える現代のユーザーは、プライベートでの利⽤、ビジネスでの利⽤を問わず、⼀定のグラフィック品質と処理スピードをデバイスに期待します。⼀⽅、グラフィック対応のデバイスが普及した結果、ソフトウェア開発者の側では、ハードウェアには、適切なグラフィック機能が搭載されていると想定するようになりました。その結果、開発者は、グラフィック⾯のユーザーエクスペリエンスを強化したソフトウェアを開発するようになりました。Office 365 や Web ブラウザのほか、YouTube や Skype for Business などにおける動画サービス、ストリーミングサービス、Adobe Creative Suite をはじめとする最新のソフトウェアやサービス、機能に、この傾向を⾒て取れます。GPU により処理の効率が⾼まり、グラフィック機能が⼤いに利⽤されるようになりました。しかし、もしも専⽤の GPU がないとしたら、エンドユーザーエクスペリエンスに⼤きな⽀障が出ます。パフォーマンスの低下や CPU 負荷の増加が⽣じ、利⽤できる機能セットが制限されることもあります。また、起動できないアプリケーションすらあり得ます。

⼀⽅、仮想デスクトップインフラストラクチャ(VDI)の場合、グラフィック⾯で固有の課題があるため、GPU のない仮想デスクトップ環境では、ユーザーエクスペリエンスがさらに⼤きく悪化するおそれがあります。VDI 環境では複数のユーザーがサーバーのリソースを共有しているため、GPU のないデスクトップを使⽤しているユーザーにはさまざまな⽀障が⽣じるものと予想されます。あるユーザーの仮想デスクトップでグラフィックのニーズが⾼まると、それが原因となり、システム内のすべてのユーザーでパフォーマンスに影響が出る可能性があります。ビデオストリーミングなど、グラフィックを多⽤するアプリケーションがワークスペースに普及しつつある状況を⾒れば、VDI がユーザーのグラフィカルニーズの影響を受けること

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4 GPU アクセラレーションを通じたユーザーエクスペリエンスの向上

は容易に予想がつきます。しかもユーザーはグラフィック⾯でのエクスペリエンスの低下は受け⼊れないと予想されるので、VDI の導⼊を諦める企業が出てもおかしくありません。しかし、GPU を導⼊すれば、仮想デスクトップ環境において、CPU にかかる負荷を軽減でき、対応できるユーザーの数も増え、サーバー上の統合率を⾼めることができます。また、VDI 環境でもパフォーマンスを損なわずに、ユーザーはグラフィックを多⽤する好みのアプリケーションを利⽤できるようになるので、ユーザーエクスペリエンスが向上します。

物理環境、仮想環境における GPU の導⼊効果は広く知られていますが、同様に、Windows 7 と Windows 10では、グラフィックの要件に違いがあることについても議論するまでもないでしょう。問題はどの程度の差があるかです。個別の GPU の数を増やすことで、企業はどの程度のメリットを期待できるのでしょうか。また、最終的に最もユーザーエクスペリエンスを⾼めることのできるソフトウェアとハードウェアの組み合わせとはどのようなものなのでしょうか。

レイクサイドソフトウェアが提供する指標 Windows 10 の導⼊によって⽣じるグラフィックに関連したパフォーマンス上の影響を調査するにあたり、レイクサイドソフトウェアでは、物理、仮想の各システムについて保有する、個々のグラフィック要件についての我々のナレッジを活⽤しています。20 年にわたる業界経験から、弊社では、以下のような仮説を⽴てました。まず第⼀に、マシンタイプが同じ場合、Windows 7 よりも Windows 10 を使⽤するほうが、CPUの使⽤率は⾼くなると予想されます。第⼆に、個別に GPU が⽤意されている環境の場合、そうでない環境よりも CPU の使⽤率は低くなると予想されます。

業界をリードするグラフィックハードウェアベンダーとも話し合い、レイクサイドソフトウェアでは、Windows 10 と Windows 7 のグラフィック要件を詳細に把握できる最適な情報を得るうえで主に 3 つの指標について調査することにしました。そして、SysTrack Community 上のデータを活⽤し、以下のポイントを中⼼に評価を実施しました。

v アプリケーションが GPU を使⽤している時間の割合

v アクティブな CPU の平均的な使⽤率

v SysTrack のユーザー エクスペリエンス スコア(エンドユーザーエクスペリエンスの品質)1

評価結果 SysTrack Community のデータを使った分析により、さまざまな傾向が明らかになりましたが、これらの内容は、Windows 10 と Windows 7 におけるグラフィック処理の違いについて情報を必要としている IT 担当者にとって⾮常に興味深いものとなっています。我々の調査結果では GPU を個別に導⼊することによって、物理、仮想のいずれの環境においても、ユーザーがオペレーティングシステムの能⼒を最⼤限に活⽤できるシステムを得ることが出来ることが分かりました。

1 SysTrack のユーザーエクスペリエンススコアとは、アプリケーションのパフォーマンス、ログイン時間、CPU、メモリなどに関する下位レベルの主要パフォーマンス指標(KPI)から構成されたハイレベルの KPI です。このスコアを算出するにはまず、ユーザーが影響を受けたトータルの時間を、ユーザーがアクティブになっているトータルの時間で割ります。そして、100 からこのパーセンテージの値を引き算します。これによって得られた値が、ユーザーのエクスペリエンスに問題の⽣じていない時間をパーセンテージで表したスコアになります。スコアは、「97%以上︓Excellent」、「90%以上、97%未満︓Good」、「80%以上、90%未満︓Fair」、「80%未満︓Poor」の 4 つのカテゴリに分類しました。スコアが 80%以下のユーザーには、VDI の展開はお勧めできません。

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5 GPU アクセラレーションを通じたユーザーエクスペリエンスの向上

グラフィック使⽤時間の割合 企業では、グラフィックを多く取り⼊れたさまざまなアプリケーションが使⽤されていますが、なかでもとりわけ多く利⽤されているのが、Office や Web ブラウザです。最新版のアプリケーションでは旧版に⽐べ、グラフィックを多⽤する機能が多くなっている傾向があり、概してユーザーエクスペリエンスの向上が認められます。そして、当然のことながら、より多くの処理能⼒が必要になります。よく利⽤されているアプリケーションについて、GPU の使⽤時間のパーセンテージを調査したところ、Windows 7 に⽐べ Windows 10では、グラフィック処理の要求が⼤きく増加していることがわかりました。

Windows 10 の平均値 Windows 7 の平均値 増加率

11.30% 8.58% 31.67%

表 1︓GPU の使⽤時間のパーセンテージ(DirectX または OpenGL)

グラフィックの使⽤率は、Windows 7 の場合が 8.58%、Windows 10 の場合は 11.30%となっており、Windows 10 のほうが 32%、使⽤率が多くなっています。これは、アプリケーションセットが似たシステムであれば全体としては、Windows 10 のほうがずっと多くのグラフィック処理能⼒が必要になることを意味します。さてそれでは、もっと根本的な問いとして、⼀般に普及しているアプリケーションの場合、バージョンの違いによってグラフィック処理の使⽤量にはどのような差異があるのでしょうか。これを調べるために、Web ブラウザや Microsoft Office スイートなどの特に広く利⽤されているソフトウェアに的を絞った調査を実施することにしました。

アプリケーション Windows 10 の平均値 Windows 7 の平均値 増加率

Firefox 31.69% 19.90% 59.29%

Google Chrome 13.09% 9.64% 35.75%

Microsoft Office 4.32% 0.35% 1130.73%

表 2︓サンプルのアプリケーションにおける GPU の使⽤時間の割合

興味深いことに、Windows 10 で使⽤するバージョンのアプリケーションは、Windows 7 で使⽤する場合と⽐較して、グラフィックを多く使⽤しているようです。⼀般に Microsoft の製品の場合、最新バージョンのソフトウェアであるほど GPU の使⽤率が⾮常に⾼くなっており、これらの製品は概ね、Windows 10 上で使⽤するものとなっています。

Office アプリケーション

Windows 10 の平均値 Windows 7 の平均値 増加率

Excel 4.62% 3.02% 52.88%

Outlook 16.34% 8.85% 84.65%

PowerPoint 5.45% 3.33% 63.64%

Skype for Business 11.97% 2.35% 408.99%

Visio 3.67% 1.18% 211.56%

Word 4.57% 4.35% 5.24%

表 3︓Office アプリケーションが GPU を使⽤している時間の割合

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6 GPU アクセラレーションを通じたユーザーエクスペリエンスの向上

コアの Office スイートでも再び、グラフィック処理に要する時間が⼤きく増加していることが確認されました。これは主に、新しい Office では、旧バージョンの Office にはなかったいくつかの変更が盛り込まれているためです。ちなみに、この旧バージョンの Office は Windows 10 よりも Windows 7 のマシンで多く利⽤されています。

Office のバージョン GPU を使⽤している時間の割合

Microsoft Office 2010 2.75%

Microsoft Office 2013 3.07%

Microsoft Office 2016 9.11%

表 4︓Microsoft Office のバージョン別に⾒た GPU の使⽤時間の割合

ここに⽰された結果は確かに、GPU の使⽤に関する1つの側⾯を表していますが、システムでグラフィックの処理が増えた場合、そこからさらにどのような影響があると考えられるでしょうか。

グラフィック処理に伴う CPU の使⽤状況をアクティブな CPU の平均値から分析 SysTrack Community のデータの分析を通じて明らかにすべき特に重要なことの 1 つに、GPU が個別に⽤意されていないシステム、ひいてはそのユーザーエクスペリエンスに⽣じる具体的な影響があります。この点を整理する必要があります。このホワイトペーパーの評価では、「GPU のない環境」について⾔及する場合、専⽤の GPU を持たないシステムを意味します。おそらく、このような環境において⽣じる最もわかりやすい影響は、グラフィック処理のコールがなされたときに CPU の使⽤量が増えることです。この分析では、アクティブな CPU の平均の値を MIPS(100 万命令/秒)2で計測したデータに注⽬しました。GPU を個別に⽤意すれば、システムはグラフィックの処理を CPU だけに頼らずに済むので、処理の効率が上がります。この結果、アプリケーションやユーザーがアクティブなままでも、確実に CPU の使⽤率が抑えられます。以降では、GPU が個別に⽤意されていない環境で⽣じる影響を具体的にみていきます。

2 この調査では、値を標準化できるよう、MIPS を⽤いて CPU の使⽤率を測定しています。SysTrack Community の環境には、複数のタイプのマシンが存在するため、CPU も複数の種類があります。MIPS を使⽤すれば、どの種類の CPU リソースが使⽤されているのか正確に評価できるようになります。また、環境内で考慮すべき要素を正確に把握することも可能になるため、将来、システムの規模を拡張する際に重視すべきポイントを理解することができます。

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7 GPU アクセラレーションを通じたユーザーエクスペリエンスの向上

物理デスクトップ 仮想マシン

GPU あり GPU なし GPU あり GPU なし

Windows 10 の 平均値

1850 2180 1283 1883

Excellent 1898 2318 1271 1855

Fair 1764 2184

Good 1956 2172 1295 1827

Poor 1782 2045 1967

Windows 7 の 平均値 1186 1396 1371 1450

Excellent 1246 1516 1371 1472

Fair 1222 1486 1406

Good 1194 1303 1584

Poor 1082 1280 1339

表 5︓アクティブな CPU の平均値(OS、マシンタイプ、ユーザーエクスペリエンスの品質別に分類)

まず 1 つ明らかなこととして、GPU のないシステムでは、アクティブな CPU の使⽤率が全体的に⾼くなっています。このことは、物理、仮想の両システムで確認できますが、Windows 10 のシステムでは特にこれが顕著です。そして、さらに分析の精度を上げるために、全般的にユーザーエクスペリエンススコアの⾼いシステムだけを個別に抽出することにしました。全体的にユーザーエクスペリエンスのスコアが⾼く、システムがほかの要因の制約を受けないケースを分析することにより、この傾向をより明確に確認することが出来ます。

ユーザーエクスペリエンスの⾼いシステムにおけるアクティブな CPU の平均の値

図1︓健全性スコアの⾼いシステム(Excellent)におけるアクティブな CPU の平均値(OS およびマシンタイプ別に分類)

物理環境 仮想環境 物理環境 仮想環境

GPU なし

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8 GPU アクセラレーションを通じたユーザーエクスペリエンスの向上

ユーザーエクスペリエンスのスコアの⾼いシステムだけを抽出したことで、図 1 に⽰すように、システムでCPU がアクティブになっている時間を減らす⼿段として GPU を導⼊する⽅法は明らかに効果のあることがわかります。Windows 10 の仮想システムにおいて特に違いが顕著であり、GPU の効果で、CPU の使⽤率が 30%低下しています。この結果を踏まえると、Windows 10 で VDI 環境を構築する場合、vGPU を使⽤すれば、CPU の制約があるケースにおいて概ね統合率を 30%増やせる計算になります。

GPU あり GPU なし

Windows 10 アクティブな CPU アクティブな CPU

物理デスクトップ 1849.7 2179.5

仮想マシン 1283.0 1883.0

Windows 7

物理デスクトップ 1185.8 1396.2

仮想マシン 1371.0 1450.3

表 6︓アクティブな CPU の平均値(OS、マシンタイプ、GPU の有無別に分類)

ユーザーエクスペリエンス グラフィックに特化した要件がある場合、Windows 10 に OS を移⾏するとエンドユーザーエクスペリエンスにどのような影響が⽣じるのかみてみましょう。これはおそらく最も重要な指標です。システムのパフォーマンスは、ユーザーエクスペリエンス全体と関連付けた場合に、その重要性がきわめて⾼くなるからです。ここで問題の核⼼となるのは、GPU の導⼊によりユーザーエクスペリエンスにどのようなプラスの効果が期待できるのかということです。図 2をご覧ください。ここで⽬を引くのは、どの環境でも、GPUのある場合のほうが GPU のない場合と⽐べユーザーエクスペリエンスのスコアが⾼くなっているという事実です。

ユーザーエクスペリエンス全体のスコア

図 2︓SysTrack における全体のユーザーエクスペリエンスのスコア (OS、マシンタイプ別に分類。値が⼤きいほど品質が⾼い)

物理環境 仮想環境

GPU なし

物理環境 仮想環境

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9 GPU アクセラレーションを通じたユーザーエクスペリエンスの向上

あらゆるシナリオにおいて、GPU を導⼊している環境ではユーザーエクスペリエンスのスコアが⾼くなっています。これまでの GPU の効果から予測されるように、個別の GPU を導⼊しているシステムではそうでないシステムと⽐較して全体的に CPU 影響によるスコアの影響が下がっています。

OS のバージョン マシンタイプ GPU ありの場合のユーザーエクスペリエンス

GPU なしの場合のユーザーエクスペリエンス

Windows 10 物理 95.8 90.1

仮想 97.0 88.9

Windows 7 物理 86.6 81.4

仮想 98.3 88.8

表 7︓OS およびマシンタイプごとのユーザーエクスペリエンスのスコア

評価結果のまとめ Windows 7 から Windows 10 へ移⾏した場合に VDI で⽣じる影響について、顧客が主に関⼼を抱いているのは、ユーザーの統合率とユーザーエクスペリエンスの 2 点です。評価の結果を以下にまとめます。まず第1に、Windows 10 の場合、グラフィックの使⽤が増えます。第2に、個別に GPU が⽤意されていないシステムでは、CPU の使⽤率が上がります。そして、第3に、そのような GPU がある環境の場合、そうでない環境よりもユーザーエクスペリエンスが⾼くなります。Windows 10 の仮想システムは Windows 7 の仮想システムより若⼲ユーザーエクスペリエンスの質が低下します。しかし、この場合の「ユーザーエクスペリエンス」とは単にユーザーエクスペリエンスに問題の⽣じていない時間を計測している場合のものに過ぎず、OS の利⽤全般についての品質に⾔及しているわけではありません。この点を留意することが重要です。Windows 10 で CPU の使⽤率が⾼くなった背景には、リッチな UI を使⽤する新たなアプリケーション台頭や、OS 全体の機能の向上があったことを⽰していると考えられます。ともあれ、vGPU の導⼊は、VDI のシステムパフォーマンスの低下に対処するうえで明らかに⼤きな効果が確認出来ました。システムパフォーマンスに⽣じるマイナスの影響を軽減できれば、ユーザーの統合率を⾼めることが可能になり、必要なサーバーの台数とコストを削減することができます。

NVIDIA Cloud Assessment NVIDIA GRID™の開発により、NVIDIA では、その強⼒な GPU テクノロジーを仮想化の領域でも利⽤できるようになりました。エンタープライズ環境で物理デスクトップから仮想デスクトップへとユーザーを移⾏する場合、難しくなるのが、現状のグラフィックニーズが受ける影響の予測です。システムを仮想化する準備が整っているかどうかを GPU の使⽤状況のデータにもとづき評価しようとしており、そのスタート地点を捜しているお客様向けに、弊社は NVIDIA と連携して無償のツールを開発しました。このツールを使⽤すれば、最適な仮想化の対象を特定できます。この評価ツールにはダッシュボードが⽤意されており、このダッシュボードを利⽤すれば、システムにおいて GPU の需要を⾼めている要素や、ユーザーが利⽤しているハードウェア、ユーザーの現在の GPU の利⽤状況から推奨される vGPU プロファイルなどを詳しく把握できます。

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10 GPU アクセラレーションを通じたユーザーエクスペリエンスの向上

図 3︓NVIDIA Cloud Assessment レポートにおけるチャートの例

図 4︓アセスメントダッシュボードの画⾯︓vGPU の使⽤状況の概要を表⽰

また、このツールでは、Visualizer と Resolve という、SysTrack スイートの 2 つの製品を利⽤することができます。Visualizer では、環境内の全体のパフォーマンスを追跡できます。⼀⽅、Resolve では、個々のシステムの重要データを詳細に把握することが可能です。⼀⽅、NVIDIA Cloud Assessment では、30 ⽇間にわたるデータ収集期間の完了時点において、集めたデータをまとめたカスタムレポートが提供されます。このレポートを利⽤すれば、⾃社のユーザーのグラフィックニーズに最も適した GRID プロファイルを特定することができます。

無償の評価の完了後も必要であれば、環境内の GPU の利⽤状況を SysTrack で監視することが可能です。SysTrack では以下のように、個々のシステムにおけるグラフィック機能の利⽤状況をリアルタイムで確認できます。

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11 GPU アクセラレーションを通じたユーザーエクスペリエンスの向上

図 5︓SysTrack Resolve の画⾯︓システムにおける GPU の使⽤状況をグラフ表⽰

SysTrack 製品スイートでは、環境内におけるグラフィック機能の利⽤状況を継続的に分析することが可能です。これにより、グラフィック要件の変化に合わせて随時 GPU プロファイルのサイジングを調整できるようになるため、コストの削減を⾒込める⼀⽅、ユーザーが必要としないオーバースペックのグラフィックカードを提供せずに済みます。

サービスとしての Windows 10 に⾼まる期待 Windows 10 では、アップデートの⽅法において、従来の Windows オペレーティングシステムとは異なる⼿法を採⽤しています。Microsoft は数年おきに新しい OS をリリースするスタイルをやめて、代わりにローリングアップデートのモデルを採⽤するようになりました。このモデルでは、これまでより⼩規模のアップデートをこれまでより頻繁に⾏って、OS をゆっくりと進化させていきます。これまで IT 部⾨は OS を更新するたびにハードウェアの完全なオーバーホールを⾏わねばなりませんでした。Windows 10 から導⼊された「サービストシテノ Windows-as-a-Service」モデルにより、IT 部⾨のこのような負担は軽減されています。ただし⼀⽅で、これまで以上にシステムの利⽤状況の監視に注意を払い、パッチ適⽤が環境に与える影響を評価しなければならなくなっているのも事実です。継続的にアップデートを⾏う場合、リソース要件が追加されるようになり、現状のシステムのパフォーマンスや潜在的なハードウェアのニーズに対しこれまで以上に注意を払う必要があります。

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12 GPU アクセラレーションを通じたユーザーエクスペリエンスの向上

エンタープライズグレードの包括的な監視のできるソフトウェアがないと、システムに関する指標をリアルタイムに⼊⼿するのは困難です。レイクサイドソフトウェアの SysTrack を是⾮ご活⽤ください。SysTrackなら、環境全体も個々のシステムも監視できる複数のツールを使って、スムーズにシステムを運⽤することができます。Windows 7 から Windows 10 へ OS を移⾏する際に SysTrack を利⽤すれば、このホワイトペーパーで説明したような指標を確認することが可能になり、アプリケーションやハードウェアの更新にあたって、IT 部⾨は戦略的な意思決定を下すことができます。また、SysTrack Community に加⼊している場合は、Windows 10 を導⼊しているほかの企業のシステムパフォーマンスを、コミュニティのデータを通じて確認できます。さらに、Windows 10 への移⾏が完了した後も、SysTrack を活⽤すれば、Windows のパッチ適⽤が⾏われた時を正確に把握することができます。万⼀パフォーマンス上の問題があればそれを特定し、任意のアップデートまで遡った原因の追跡が可能です。

Windows 10 を利⽤した場合にどのようなシステム上の影響があるのか、SysTrack の機能を活⽤しユーザーの実データを解析して分析しました。この分析結果からわかるように、専⽤の GPU をシステムに導⼊すれば、CPU の使⽤率を抑えられるようになり、ユーザーエクスペリエンスを⾼めることができます。今回の分析結果では、VDI 環境におけるグラフィックのニーズの観点から⾒たときに特に興味深い内容を確認できます。VDI 環境では特に、ユーザーエクスペリエンスのスコアの⼤幅な向上に vGPU が関係していました。全社レベルで仮想デスクトップに専⽤のグラフィックカードを導⼊すれば、統合率が⾼まり、エンドユーザーエクスペリエンスが向上し、Windows 10 への OS の移⾏をスムーズに完了することができます。

詳細情報 レイクサイドソフトウェアの製品の詳細については、http://www.lakesidesoftware.com/jpをご覧ください。

レイクサイドソフトウェア株式会社 〒100-6208 東京都千代⽥区丸の内 1-11-1 パシフィックセンチュリープレイス丸の内 8F

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