39
慈恵ICU Journal club 2014.5.13 齋藤 慎二郎 N Engl J Med. 2014 Apr 24;370(17):158393. 1

慈恵ICU$Journal$club$ - JSEPTIC始めに • 敗血症性ショックのふれこみでICUに患者が来ました。$ – まず輸液をしてその後、血圧のターゲットはいくつにしま

  • Upload
    others

  • View
    2

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: 慈恵ICU$Journal$club$ - JSEPTIC始めに • 敗血症性ショックのふれこみでICUに患者が来ました。$ – まず輸液をしてその後、血圧のターゲットはいくつにしま

慈恵ICU  Journal  club  2014.5.13  齋藤 慎二郎  

N  Engl  J  Med.  2014  Apr  24;370(17):1583-­‐93.

1

Page 2: 慈恵ICU$Journal$club$ - JSEPTIC始めに • 敗血症性ショックのふれこみでICUに患者が来ました。$ – まず輸液をしてその後、血圧のターゲットはいくつにしま

始めに

•  敗血症性ショックのふれこみでICUに患者が来ました。  

–  まず輸液をしてその後、血圧のターゲットはいくつにしますか?  

 –  元々高血圧の既往やCKDがある患者だと知ったらターゲットを高めにしようと思いますか?  

–  高めのターゲットとはいくつぐらいですか?

Page 3: 慈恵ICU$Journal$club$ - JSEPTIC始めに • 敗血症性ショックのふれこみでICUに患者が来ました。$ – まず輸液をしてその後、血圧のターゲットはいくつにしま

IntroducHon【背景】

•  SSCG2008以降、臓器循環灌流量を維持する目的で平均動脈圧(MAP)を65  mmHg以上に保つように推奨されている。  – 根拠とされるRCTは小規模のもの1つのみ                  (Crit  Care  Med  2005;  33  :780-­‐6)  

•  敗血症性ショックの患者ではAKIを予防するにはもっと高いMAPが必要なのでないか。  – 敗血症性ショック患者の観察研究でMAPが低い患者でAKI増加。            (J  Am  Soc  nephrol  2003;  14  :    1022-­‐1030)  

•  臓器血流のAutoregulaHonの下限は慢性高血圧がある患者では、健常人よりも高い。  –  SSCG2012でも、個人の既往症によってターゲットのMAPをアレンジすることを推奨。  

Page 4: 慈恵ICU$Journal$club$ - JSEPTIC始めに • 敗血症性ショックのふれこみでICUに患者が来ました。$ – まず輸液をしてその後、血圧のターゲットはいくつにしま

小規模ながらターゲット血圧で比較した初のRCT(フランス)

2012.8.21 井澤先生勉強会より 4

Page 5: 慈恵ICU$Journal$club$ - JSEPTIC始めに • 敗血症性ショックのふれこみでICUに患者が来ました。$ – まず輸液をしてその後、血圧のターゲットはいくつにしま

Lactate・尿量・血清Cr値・Crクリアランス  いずれも有意な変化なし

Vasopressorを用いて  MAPを65から85mmHgにする有効性なし

しかし、アウトカムが死亡率ではない。

5

Page 6: 慈恵ICU$Journal$club$ - JSEPTIC始めに • 敗血症性ショックのふれこみでICUに患者が来ました。$ – まず輸液をしてその後、血圧のターゲットはいくつにしま

2012.8.21  藤井先生勉強会より 6

Page 7: 慈恵ICU$Journal$club$ - JSEPTIC始めに • 敗血症性ショックのふれこみでICUに患者が来ました。$ – まず輸液をしてその後、血圧のターゲットはいくつにしま

7

Page 8: 慈恵ICU$Journal$club$ - JSEPTIC始めに • 敗血症性ショックのふれこみでICUに患者が来ました。$ – まず輸液をしてその後、血圧のターゲットはいくつにしま

N  Engl  J  Med.  2014  Apr  24;370(17):1583-­‐93. 8

Page 9: 慈恵ICU$Journal$club$ - JSEPTIC始めに • 敗血症性ショックのふれこみでICUに患者が来ました。$ – まず輸液をしてその後、血圧のターゲットはいくつにしま

この研究の目的

•  敗血症性ショック患者の適正MAPを検討する。  

•  慢性高血圧の既往がある患者は、より高いMAPで管理することで何らかのbenefitが得られるか検討する。  

 •  より高いMAPをターゲットとすることで、有害事象の増加はないのか検討する。  

Page 10: 慈恵ICU$Journal$club$ - JSEPTIC始めに • 敗血症性ショックのふれこみでICUに患者が来ました。$ – まず輸液をしてその後、血圧のターゲットはいくつにしま

Methods

Sepsis  and  Mean  Arterial  Pressure  (SEPSISPAM)  trial      【研究デザイン】  •  多施設共同  •  フランス 29施設  •  前向き、無作為、非盲検化、比較試験  •  期間:2010年3月〜2011年12月  •  中央化割り付け  •  慢性高血圧(過去に高血圧を指摘、あるいは降圧薬の内服をしたことがあるか)の有無で層別化  

Page 11: 慈恵ICU$Journal$club$ - JSEPTIC始めに • 敗血症性ショックのふれこみでICUに患者が来ました。$ – まず輸液をしてその後、血圧のターゲットはいくつにしま

Methods 【選択患者】  •  18歳以上  •  敗血症性ショック  – 輸液に不応性のショック    

•  30ml/kgの輸液 or  right-­‐heart  catheterizaHon,  pulse-­‐pressure  measurement,  stroke-­‐volume  measurement,  or  echocardiography    

– 血管収縮薬(ノルアドorアドレナリン)使用  – 血管収縮薬使用から6時間以内  

【除外基準】  •  法的に保護されるもの  •  フランスの健康保険に未加入のもの  •  妊婦  •  他の医学的研究や介入研究に参加しているもの  •  治療者が蘇生不可と判断したもの  

Page 12: 慈恵ICU$Journal$club$ - JSEPTIC始めに • 敗血症性ショックのふれこみでICUに患者が来ました。$ – まず輸液をしてその後、血圧のターゲットはいくつにしま

Methods

【治療プロトコール】  •  Low  MAP  group  –  ターゲットのMAPは65-­‐70  mmHg。MAPが>70  mmHgに達したら0.05  μg/Kg/minずつ、>75  mmHgの時は0.1μg/Kg/minずつ血管収縮薬を下げる。最低1時間ごとに評価。  

•  High  MAP  group  –  ターゲットのMAPは80-­‐85  mmHg。MAPが>85  mmHgに達したら0.05  μg/Kg/minずつ、>95  mmHgの時は0.1μg/Kg/minずつ血管収縮薬を下げる。最低1時間ごとに評価。  

Low  MAP  group  vs.  High  MAP  group

 血管収縮薬は1施設のみアドレナリンで、その他の施設ではノルアドレナリンを使用

最長で5日間継続。その後は医師の判断。

Page 13: 慈恵ICU$Journal$club$ - JSEPTIC始めに • 敗血症性ショックのふれこみでICUに患者が来ました。$ – まず輸液をしてその後、血圧のターゲットはいくつにしま

Methods

•  High  MAP  group  に割り付けられた患者で、以下の場合は、ターゲットを65-­‐70  mmHgへ下げる。  

 –  RCC  2単位以上を必要とする出血  – 心筋梗塞  –  VT,VF  – 循環の保てない上室性不整脈  – 腸管膜の虚血  – 四肢の指の虚血  

Page 14: 慈恵ICU$Journal$club$ - JSEPTIC始めに • 敗血症性ショックのふれこみでICUに患者が来ました。$ – まず輸液をしてその後、血圧のターゲットはいくつにしま

Methods

•  輸液療法  –  フランス集中治療学会の推奨する方法に従う。  

•  使用禁止薬剤  – 利尿剤(溢水による低酸素、高K血症治療を除く)  –  NSAIDS  – 不必要な造影剤や腎毒性のある抗菌薬  

•  RRTの導入基準は事前に決められている。  •  鎮静・鎮痛薬はRASS  -­‐3〜0に調節。  

Page 15: 慈恵ICU$Journal$club$ - JSEPTIC始めに • 敗血症性ショックのふれこみでICUに患者が来ました。$ – まず輸液をしてその後、血圧のターゲットはいくつにしま

Methods

•  90日死亡率  •  臓器不全のない生存日数  – カテコラミン投与  – 人工呼吸  –  RRT    

•  重大な合併症イベント  –  心臓  –  虚血  –  その他  

 

【1次評価項目】    

28日死亡率  

【2次評価項目】  

Page 16: 慈恵ICU$Journal$club$ - JSEPTIC始めに • 敗血症性ショックのふれこみでICUに患者が来ました。$ – まず輸液をしてその後、血圧のターゲットはいくつにしま

Methods

【解析】  •  サンプルサイズ  – 死亡率  45%と推定。2群間で死亡率に10%の差があることを示す。検出力  80%、α=0.05で計算されたサンプルサイズ 800人  

•  解析方法:IntenHon-­‐to-­‐treat  •  盲検化:  – 治療者は非盲検化。  – 患者、research  staff  members、members  of  the  safety  and  wriHng  commifees  は割り付けを知らされない。  

 

Page 17: 慈恵ICU$Journal$club$ - JSEPTIC始めに • 敗血症性ショックのふれこみでICUに患者が来ました。$ – まず輸液をしてその後、血圧のターゲットはいくつにしま

Results【患者選択】

•  800人の患者が登録され、最終的にそれぞれ388人ずつが90日間追跡、分析された。  

•  High-­‐target  groupのうち14人(3.6%)がadverse  effectのためターゲットを65-­‐70  mmHgへ下げた。  

•  追跡率 84%

800人の登録患者(2名から同意得られず)

Page 18: 慈恵ICU$Journal$club$ - JSEPTIC始めに • 敗血症性ショックのふれこみでICUに患者が来ました。$ – まず輸液をしてその後、血圧のターゲットはいくつにしま

Results【患者背景】

•  慢性高血圧  (44.6%  vs.  43.0%)  を含め両群の患者背景に有意差無し。  

•  CKDと透析患者がLow-­‐target群でやや多い傾向  

•  そのた、培養で検出された菌種(GPC,GNR)も有意差無し。    

Page 19: 慈恵ICU$Journal$club$ - JSEPTIC始めに • 敗血症性ショックのふれこみでICUに患者が来ました。$ – まず輸液をしてその後、血圧のターゲットはいくつにしま

Results【患者背景】

登録時のAKIもlow-­‐target群で多い傾向。

Page 20: 慈恵ICU$Journal$club$ - JSEPTIC始めに • 敗血症性ショックのふれこみでICUに患者が来ました。$ – まず輸液をしてその後、血圧のターゲットはいくつにしま

Results

【治療期間である5日間のMAPの推移】

•  Low-­‐target  groupのMAPは明らかにHigh-­‐target  groupより低い.  •  さらに、Low-­‐target  groupのMAPはターゲット(65-­‐70)よりかなり高い。  

Page 21: 慈恵ICU$Journal$club$ - JSEPTIC始めに • 敗血症性ショックのふれこみでICUに患者が来ました。$ – まず輸液をしてその後、血圧のターゲットはいくつにしま

Results 【血管収縮薬使用と体液バランス】

•  両群で総輸液量、尿量、総体液バランスに有意差ない。  •  ノルアド投与速度はHigh-­‐target  groupで有意に高い。  •  Day1でノルアド投与速度の中央値はLow-­‐Target  groupで0.45μg/kg/min  •  High,  Low-­‐target  groupでターゲットに到達できなかった患者はそれぞれ   64人(16.5%)、40人(10.3%)  

Page 22: 慈恵ICU$Journal$club$ - JSEPTIC始めに • 敗血症性ショックのふれこみでICUに患者が来ました。$ – まず輸液をしてその後、血圧のターゲットはいくつにしま

Day1-­‐5までのノルアドレナリン使用者割合と投与量

•  Low-­‐target群(Day1-­‐5)              95%,  82%,  56%,  36%,  28%  •  High-­‐target群              95%,  93%,  76%,  58%,  50%

Page 23: 慈恵ICU$Journal$club$ - JSEPTIC始めに • 敗血症性ショックのふれこみでICUに患者が来ました。$ – まず輸液をしてその後、血圧のターゲットはいくつにしま

Starch投与量

Day3での使用者がHigh-­‐target群で有意に多い

Low-­‐target High-­‐target

Page 24: 慈恵ICU$Journal$club$ - JSEPTIC始めに • 敗血症性ショックのふれこみでICUに患者が来ました。$ – まず輸液をしてその後、血圧のターゲットはいくつにしま

Results【1次評価項目と2次評価項目】

•  1次評価項目である28日死亡率に両群で有意差を認めなかった。                                          34%  vs.  36.6%,  HR  1.07  (95%CI  0.89-­‐1.29),  P=0.57  •  2次評価項目である慢性高血圧を持つ患者のRRT施行率は、High-­‐Target  

Groupで有意に低かった。 (サブグループ間のinteracHonは有意。P=0.04)                                                    42.2%  vs.  31.7%,  OR  0.64  (95%CI  0.41-­‐0.99),  P=0.46  

Page 25: 慈恵ICU$Journal$club$ - JSEPTIC始めに • 敗血症性ショックのふれこみでICUに患者が来ました。$ – まず輸液をしてその後、血圧のターゲットはいくつにしま

Results【安全性】

•  重大な合併症全体では、両群に発生率に有意差無し。  •  心房細動発生率は、High-­‐target  groupで有意に高い。(2.8%  vs.  6.7%,  

P=0.02)  •  心筋梗塞、VF  or  VT、虚血、出血の発生率に有意差無し。  

Page 26: 慈恵ICU$Journal$club$ - JSEPTIC始めに • 敗血症性ショックのふれこみでICUに患者が来ました。$ – まず輸液をしてその後、血圧のターゲットはいくつにしま

Adverse  eventの詳細

•  Afは全体ではHigh-­‐target群で多いが、慢性高血圧患者で層別化すると有意差なし。  

•  出血の合併症は全体では有意差ないが、慢性高血圧のない患者ではlow-­‐target群で有意に多い。  

Page 27: 慈恵ICU$Journal$club$ - JSEPTIC始めに • 敗血症性ショックのふれこみでICUに患者が来ました。$ – まず輸液をしてその後、血圧のターゲットはいくつにしま

 Discussion

【治療開始時の患者背景について】  •  両群の患者背景に有意差のある項目はなく、背景は等しい。  

 u ただし、  –  Low-­‐target  group  でCKDを持つ患者が多い傾向。       Low  vs.  High:  30(7.7%  )  vs.  20(5.2%)  

–  Low-­‐target  group  でAKIを持つ患者多い傾向。       Low  vs.  High:  188/386  (48.7)    vs.  173/384  (45.1)  

Ø RRT施行率に影響した可能性はないか。

Page 28: 慈恵ICU$Journal$club$ - JSEPTIC始めに • 敗血症性ショックのふれこみでICUに患者が来ました。$ – まず輸液をしてその後、血圧のターゲットはいくつにしま

Discussion 【1次、2次評価項目及び合併症について】  •  死亡率が、想定されていた45%より34-­‐35%と低かった。  – 敗血症の管理が改善された?  – 近年の敗血症性ショックのRCTと比べると妥当な死亡率。  – 検出力が低下して、心筋梗塞などのまれな合併症が見逃されている可能性。  

•  Afの発生頻度がHigh-­‐target群で多かった。カテコラミンの用量と使用期間と関連するかも知れない。  

 u Afの頻度は許容できるか  High-­‐targetで心房細動のリスクが2.39倍に増加する。NNH=26。(26人に1人AF増える)  

Ø その後の脳梗塞のリスクについては今回調査されていない。  

Page 29: 慈恵ICU$Journal$club$ - JSEPTIC始めに • 敗血症性ショックのふれこみでICUに患者が来ました。$ – まず輸液をしてその後、血圧のターゲットはいくつにしま

Ø サブグループでは、慢性高血圧のある患者では、両治療群に心房細動の発生率に有意差がない。慢性高血圧のある患者では心房細動が増えないかもしれない。  

Ø このくらいのリスクであれば、RRT減少のメリットを考えると高めの血圧で管理するのも妥当か。  

u 出血の合併症が全体では有意差ないが、層別化すると慢性高血圧のない患者では有意にlow-­‐target群で多い。  Ø 理論的には逆にhigh-­‐target群で出血が多くなりそう。妥当性の検討が必要ではないか。  

   

Page 30: 慈恵ICU$Journal$club$ - JSEPTIC始めに • 敗血症性ショックのふれこみでICUに患者が来ました。$ – まず輸液をしてその後、血圧のターゲットはいくつにしま

u 慢性高血圧症の患者のRRTの施行リスクをさげる。                                      42.2%  vs.  31.7%,  OR  0.64  (95%CI  0.41-­‐0.99),  P=0.46  – 慢性高血圧のある患者に対して、80-­‐85  mmHgをターゲットにすることで、RRTの施行率が約36%減少する。(NNT=9.5)  

 Ø  死亡率が変わらないとしても、RRTによる合併症、コスト、医療資源を考慮すると十分有益な効果。

Page 31: 慈恵ICU$Journal$club$ - JSEPTIC始めに • 敗血症性ショックのふれこみでICUに患者が来ました。$ – まず輸液をしてその後、血圧のターゲットはいくつにしま

Discussion

【慢性高血圧について】  •  登録患者の40%以上。これは過去の研究と一致。  •  慢性高血圧の患者では、両治療群で重大な合併症の発生頻度に差がなかった。これはHigh-­‐targetが許容できることを意味するのではないか。  

u しかし、慢性高血圧症の定義が、「高血圧の既往  or  降圧薬の内服歴がある」であり、実際の病前血圧を反映するものではない。実際に良くコントロールされている高血圧患者では、auto regulaHonは保たれているはずである。    

Page 32: 慈恵ICU$Journal$club$ - JSEPTIC始めに • 敗血症性ショックのふれこみでICUに患者が来ました。$ – まず輸液をしてその後、血圧のターゲットはいくつにしま

Discussion

【両群のMAPがターゲットより高かったことについて】  •  結果にどのように影響を与えたかは不明。  •  1つの理由として最近報告された研究の影響があるのではないか。治療者がFINNAKI  studyの結果から影響された可能性。                      (Crit  Care  2013;17:R295)    

u 65-­‐70  vs.  80-­‐85  mmHgの比較とは言えない。  u 安全性に関しても、真の65-­‐70  mmHgとLow-­‐target群の合併症の頻度が同様とは言えない。  

Ø MAP  70mmHg前後での比較結果が知りたい。  

 

Page 33: 慈恵ICU$Journal$club$ - JSEPTIC始めに • 敗血症性ショックのふれこみでICUに患者が来ました。$ – まず輸液をしてその後、血圧のターゲットはいくつにしま

2005年以降、敗血症患者のRCTのMAPの比較

Author PMID year n number  of  centers treatment

follow-­‐up  for  mortality Mortality(%) MAP(mmHg) so-­‐called…

Schortgen 22366046 2012 101 1 cooling hospital 43 74 sepsiscool 99 no  cooling hospital 48 71

Boerma 19730258 2010 35 1 nitroglycerin hospital 34.3 72 35 placebo hospital 14.2 71

Cruz 19531784 2009 34 10 PMX hospital 41 84 EUPHAS 27 convenHonal hospital 66 77

Morelli 18308741 2008 20 1 NE ICU 70 74 DOBUPRESS 19 Terli+NE ICU 63 78 20 Terli+DOB+NE ICU 70 80

Russell 18305265 2008 382 27 NE 28days 73 73 VASST 396 vasopressin 28days 72 72

Stephens 18216600 2008 81 1 G-­‐CSF hospital 27 77.2 83 placebo hospital 25 74.7

Albanese 16148457 2005 10 1 NE hospital 10 72 10 Terli hospital 10 69

Bourgoin 15818105 2005 14 1 NE 8hr ? 65 14 NE 8hr ? 85

2012.8.21  藤井先生勉強会より 33

Page 34: 慈恵ICU$Journal$club$ - JSEPTIC始めに • 敗血症性ショックのふれこみでICUに患者が来ました。$ – まず輸液をしてその後、血圧のターゲットはいくつにしま

Discussion 【その他の項目について】  

u 輸液量や体液バランスに両群で差はないが、StarchのDay3使用者数が有意に  High  groupで多い。  Ø 高いMAPを維持するために、膠質液を使用した可能性。  Ø 腎機能への影響を考慮する必要性。  

u 対象治療期間以後(day6以降)の治療に関する情報はない。    Ø  day6以降の治療内容が予後に大きく影響した可能性は否定できない。  

Ø 治療者は盲検化されていないので、day6以降の治療に先入観やバイアスが入る可能性は高い。  

Page 35: 慈恵ICU$Journal$club$ - JSEPTIC始めに • 敗血症性ショックのふれこみでICUに患者が来ました。$ – まず輸液をしてその後、血圧のターゲットはいくつにしま

Discussion u Low-­‐target  群のノルアドレナリンの初日投与量  0.45  μg/kg/

minは、我々が日常遭遇するsepHc  shock患者での場合に比べて多い印象。輸液はどのように行われたのか?  

Ø         輸液療法はフランス集中治療学会の推奨する方法。  (Crit  Care  2006;10;311)   

            →EGDTにほぼ準じたプロトコール  

u RRT施行率36%は?     過去に敗血症性ショック患者を対象としておこなわれたRCTの結果と、ノルアドレナリン投与量や、輸液量、バランス、RRT施行率を比較してみる。

Page 36: 慈恵ICU$Journal$club$ - JSEPTIC始めに • 敗血症性ショックのふれこみでICUに患者が来ました。$ – まず輸液をしてその後、血圧のターゲットはいくつにしま

Discussion

•  比較的輸液量は少なめで、血管収縮薬の使用量が多い。RRTの使用頻度も高い傾向。  

他の敗血症性ショック患者のRCTとの比較

Page 37: 慈恵ICU$Journal$club$ - JSEPTIC始めに • 敗血症性ショックのふれこみでICUに患者が来ました。$ – まず輸液をしてその後、血圧のターゲットはいくつにしま

Editorial

この研究は3つの大きな臨床的意味を持つ  l ルーチンに高いMAPをターゲットする意義はないこと。  

Ø Afが増える  Ø 生存率に差がない  

l 高血圧の既往のある患者では高いMAPをターゲットにするとAKIやRRT使用の頻度が減るかもしれない。  Ø  RRTのリスクとコスト  Ø  AKIの長期予後に与える影響  

l 敗血症治療のターゲットMAPは患者の状況よって変化するかも知れない。  Ø 今後のターゲットMAPの研究が、治療戦略の鍵となる。  

Page 38: 慈恵ICU$Journal$club$ - JSEPTIC始めに • 敗血症性ショックのふれこみでICUに患者が来ました。$ – まず輸液をしてその後、血圧のターゲットはいくつにしま

まとめ

敗血症性ショック患者の蘇生管理において    •  目標MAPを80-­‐85  mmHgとした管理は、65-­‐70  mmHgの管理と比較して28  or  90日死亡率に有意な差を認めなかった。  

 •  敗血症性ショック患者に対してルーチンに高いMAPをターゲットにした管理を行う根拠はいまのところない。  

•  慢性高血圧症を持つ患者は、高いMAPで管理した方がRRTの施行リスクを減らすかもしれない。  

Page 39: 慈恵ICU$Journal$club$ - JSEPTIC始めに • 敗血症性ショックのふれこみでICUに患者が来ました。$ – まず輸液をしてその後、血圧のターゲットはいくつにしま

最後に

•  MAP  70mmHg前後での比較が知りたい。  

•  慢性高血圧患者に対する高いMAPでの管理は、この研究のサブグループ解析の妥当性としても信頼性が高い。  

•  このグループでの、さらに病前MAPあるいは高血圧症の定義を詳細にしたRCTが行われることに期待したい。