11
JR 四国 1500 型気動車の概要 100 1.はじめに JR 四国では、一般形気動車 180 両を四国各地に配置し、 非電化区間における朝夕の通勤通学輸送を中心に使用して いるが、経年 30 年以上のキハ 28、58 及び 65 形式が在籍し ている。これらの車両は、老朽化による接客設備の陳腐化 や保守費の増大、保守部品調達の困難性などから、現状で は新しい一般形気動車の開発が必要となってきた。 一方、近年は、大気汚染や地球温暖化の防止に向け、排 気ガスに対する意識が高まっており、環境保全は、企業の 社会的責任として取組まなければならない課題である。そ こで、環境にやさしく、かつバリアフリーの設備を備えた 車両仕様をコンセプトに、新型の一般形気動車 1500 型の開 発を実施することとした。 1500 型気動車に採用した環境対応形エンジンは、燃焼効 率を高めたことにより、大気汚染の原因となる窒素酸化物 やばい煙などの排出を削減し、UIC Ⅱ(2003 年国際鉄道連 合による排気ガス規制値、編集部注: UIC Leaflet 624)を クリアしている。この地球環境にやさしいエンジンと冷媒 に代替フロンガス(R-407C)を使用した冷房装置とを採用 した。 また、バリアフリーの設備として、車いす対応便所及び 車いすスペースを設置するとともに、車両床面高さを低く することによる出入口のステップレス化を始め、扉開閉チ ャイム及び停車駅表示装置の設置を行っている。また、転 換クロスシートと補助いすを当社の一般形気動車として始 JR 四国 1500 型気動車の概要 ※滝 たき ひで まさ 写真1 外観 要旨 四国旅客鉄道株式会社(以下、“JR四国”という。)は1500型気動車8両を新製し、キハ28、58及び65形式車両の 老朽取替用として、2006(平成18)年5月より営業運転を開始した。この1500型気動車は、“地球環境にやさしい車 両”、“バリアフリーに対応したいやしの移動空間”を基本コンセプトに開発した車両である。以下に、その概要につ いて紹介する。 ※四国旅客鉄道㈱ 運輸部運転車両課 写真2 室内

JR四国 1500型気動車の概要 - tetsushako.or.jp€¦ · たき 英 ひで 将 まさ ... 焼結合金制輪子 焼結合金制輪子 4 4 推進軸・2軸 3.068 十字軸 密封円すいころ軸受

  • Upload
    others

  • View
    6

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: JR四国 1500型気動車の概要 - tetsushako.or.jp€¦ · たき 英 ひで 将 まさ ... 焼結合金制輪子 焼結合金制輪子 4 4 推進軸・2軸 3.068 十字軸 密封円すいころ軸受

JR四国 1500型気動車の概要100

1.はじめにJR四国では、一般形気動車180両を四国各地に配置し、

非電化区間における朝夕の通勤通学輸送を中心に使用して

いるが、経年30年以上のキハ28、58及び65形式が在籍し

ている。これらの車両は、老朽化による接客設備の陳腐化

や保守費の増大、保守部品調達の困難性などから、現状で

は新しい一般形気動車の開発が必要となってきた。

一方、近年は、大気汚染や地球温暖化の防止に向け、排

気ガスに対する意識が高まっており、環境保全は、企業の

社会的責任として取組まなければならない課題である。そ

こで、環境にやさしく、かつバリアフリーの設備を備えた

車両仕様をコンセプトに、新型の一般形気動車1500型の開

発を実施することとした。

1500型気動車に採用した環境対応形エンジンは、燃焼効

率を高めたことにより、大気汚染の原因となる窒素酸化物

やばい煙などの排出を削減し、UICⅡ(2003年国際鉄道連

合による排気ガス規制値、編集部注:UIC Leaflet 624)を

クリアしている。この地球環境にやさしいエンジンと冷媒

に代替フロンガス(R-407C)を使用した冷房装置とを採用

した。

また、バリアフリーの設備として、車いす対応便所及び

車いすスペースを設置するとともに、車両床面高さを低く

することによる出入口のステップレス化を始め、扉開閉チ

ャイム及び停車駅表示装置の設置を行っている。また、転

換クロスシートと補助いすを当社の一般形気動車として始

JR四国 1500型気動車の概要

※滝たき

英ひで

将まさ

写真1 外観

要旨

四国旅客鉄道株式会社(以下、“JR四国”という。)は1500型気動車8両を新製し、キハ28、58及び65形式車両の

老朽取替用として、2006(平成18)年5月より営業運転を開始した。この1500型気動車は、“地球環境にやさしい車

両”、“バリアフリーに対応したいやしの移動空間”を基本コンセプトに開発した車両である。以下に、その概要につ

いて紹介する。

※四国旅客鉄道㈱ 運輸部運転車両課

写真2 室内

Page 2: JR四国 1500型気動車の概要 - tetsushako.or.jp€¦ · たき 英 ひで 将 まさ ... 焼結合金制輪子 焼結合金制輪子 4 4 推進軸・2軸 3.068 十字軸 密封円すいころ軸受

2007 - 3「車両技術233号」 101

図1 形式図

Page 3: JR四国 1500型気動車の概要 - tetsushako.or.jp€¦ · たき 英 ひで 将 まさ ... 焼結合金制輪子 焼結合金制輪子 4 4 推進軸・2軸 3.068 十字軸 密封円すいころ軸受

JR四国 1500型気動車の概要102

会社・車両形式

使用線区

基本編成

用途

車体製作会社

台車製作会社

主回路装置製作会社

個別の車種形式

車種記号(略号)

空車質量(t)

運転整備質量(t)

定員(人)

うち座席定員(人)

特記事項

四国旅客鉄道株式会社・1500型

高徳線、徳島線、牟岐線

1~4両

一般形

新潟トランシス㈱

新潟トランシス㈱

併結して運用できる車両形式:1200型

軌間(㎜)

許容軸重(kN)

電気方式

製造初年

1次製作両数

車両技術

1 067

2006

8

233

1500

cMc

35.0

35.0

123

46

高松方 徳島方 :駆動軸

:付随軸

車両性能

機関駆動系主要設備

最高運転速度(㎞/h)

加速度(m/s2)

減速度

(m/s2)

ユニット当りの定格出力(kW)

定格速度(㎞/h)

ユニット当りの引張力(kN)

動力伝達方式

ブレーキ制御方式

制御回路電圧(V)

こう配条件

抑速制御

車軸配置

運転保安装置

列車無線

非常時運転条件

機関

液体変速

減速機減速比

全減速比

駆動軸数

主発電機

補機駆動出力(kW)

油冷却方式

燃料タンク容量(㍑)

充電発電

UIC

110

0.33(1.2 ㎞/h/s)

0.97(3.5 ㎞/h/s)

0.97(3.5 ㎞/h/s)

331

44

変速1段、直結4段(全段自動切替)

電気指令式応荷重付空気ブレーキ

直通予備ブレーキ付

救援ブレーキ付

機関、排気ブレーキ併設

DC24

35 ‰

なし

2軸ボギー

ATS-SS、EB装置

空中線単信式

SA6D140HE-2・1 930 ㎏(乾燥)

331(450PS)

1

DW21D・950 ㎏

電子式自動変速制御式

2.803

1.852

1.236

0.890

第1:3.068 第2:1.952

8.600~2.731

2

LX-G 46A2・610 ㎏

40

1

回転電機子形

自冷式

550

タイプⅡ対応

常用

非常

形式・質量

出力(kW)

台数/両

形式・質量

方式

直結1

直結2

直結3

直結4

形式・質量

出力(kVA)

台数

励磁制御方式

形式・質量

容量(kW)

減速比

表1 JR四国 1500型気動車車両諸元

Page 4: JR四国 1500型気動車の概要 - tetsushako.or.jp€¦ · たき 英 ひで 将 まさ ... 焼結合金制輪子 焼結合金制輪子 4 4 推進軸・2軸 3.068 十字軸 密封円すいころ軸受

2007 - 3「車両技術233号」 103

車体の構造・主要寸法

車体特性・構造及び主要設備

その他の主要設備

構体材料/構造

車両の前面形状

運転室

長さ

(㎜)

連結面間

距離(㎜)

心皿間距離(㎜)

車体幅(㎜)

高さ

(㎜)

床面高さ(㎜)

SUS301,SUS304

貫通形

半室両運転台

20 800

21 300

14 400

2 900

3 560

3 976

1 100

相当曲げ剛性(MN㎡)

相当ねじり剛性(MN㎡/rad)

曲げ固有振動数(Hz)

ねじり固有振動数(Hz)

内装材

側窓構造

妻引戸

側扉

戸閉装置

腰掛方式

車体連結

装置

空調換気

システム

車内主要

設備

メラミン樹脂積層アルミ板

上窓下降・下窓固定方式

片引戸

片引戸

3

Y6型

空気式

転換シート

密着連結器

屋根上集中式

電気式(シーズ線及び温風)

自然換気

ラインフロー式

蛍光灯

車いすスペース

洋式(車いす対応)

真空式

先頭車

中間車

先頭車

中間車 その他の主要設備

補助電源

装置

蓄電池

空調装置

暖房装置

空気圧縮

空気タンク

前・尾灯

鉛蓄電池(DC24 V)

175

AU720S

48.84

8

C600

735 ㍑/褥

165 ㍑

165 ㍑

シールドビーム・赤色LED

形式・質量

方式

容量(kVA)

種類・質量

容量(Ah)

形式/方式/質量

容量(kW)

容量(kW)

形式・質量

圧縮機容量

電動機方式

元空気タンク

供給空気タンク

台     車

形式

支持装置

けん引装置

ばね方式

軸距(㎜)

ばね

定数

(N/㎜)

台車最大長さ(㎜)

車輪径(㎜)

基礎ブレ

ーキ

ブレーキ倍率

制輪子

ブレーキシリ

ンダ・個数

駆動方式及び駆動軸数

歯数比(減速比)

継手

軸受

質量(㎏)

S-DT65

S-TR65

ボルスタレス式

円錐ゴムウイングばね方式

Zリンク式

空気ばね、軸ばね

2 100

1 710

320

3 200

860

踏面片押ユニットブレーキ

踏面片押ユニットブレーキ

3.2

焼結合金制輪子

焼結合金制輪子

4

4

推進軸・2軸

3.068

十字軸

密封円すいころ軸受

4 845

3 660

M台車

T台車

車体

軸箱

まくらばね

コイルばね

防振ゴム

M台車

T台車

M台車

T台車

M台車

T台車

M台車

T台車

ブレーキ

ブレーキチョッパ

ブレーキ抵抗器

ブレーキ装置

152

形式・質量

形式・質量

形式・質量

屋根高さ

屋根取付品上面

構造

片側数

形式・質量

方式

先頭車

中間車

冷房方式

暖房方式

換気方式

配風方式

照明方式

移動制約者設備

便所

汚物処理

主幹制御器(質量)

速度計装置

車両情報制

御システム

非常通報装置

行先表示

車内案内表示

列車情報装置

放送

車両間連

MRC15080

永久磁石可動コイル式

スマートターミナル(スケルトン)

TFTカラー液晶

あり

あり(字幕式)

あり(字幕式)

あり(LED式)

あり

あり

ジャンパ線連結器

密着連結器

モニタ装置

モニタ表示器

前面

側面

車内向け

車外向け

電気系

空気管系

軸ばね 総合

Page 5: JR四国 1500型気動車の概要 - tetsushako.or.jp€¦ · たき 英 ひで 将 まさ ... 焼結合金制輪子 焼結合金制輪子 4 4 推進軸・2軸 3.068 十字軸 密封円すいころ軸受

JR四国 1500型気動車の概要104

めて採用するとともに、つり手の増設や腰掛に握り棒を設

置するなど、より旅客の安全性も考慮した。

車両デザインは、さわやかで軽快な四国をイメージした

配色を意識し、外装は、自然をモチーフにした緑、内装は

木目調化粧板によっていやしの空間を演出した。

2.車体構造車体は、ステンレス鋼のプレス成形材(SUS301 ・

SUS304)を用いて、溶接組立した軽量構造とした。

なお、台枠の一部で厚板を必要とするまくらばり・機関

つりばり・端ばりなどには一般構造用圧延鋼材(SS400)、

一般構造用角形鋼管(STKR490)及び高耐候性圧延鋼板

(SPA-H)を使用した。床構造及び排気管は、火災対策を施

したものとし、天井には耐燃焼性及び耐溶融滴下を考慮し

たデコラニットを使用した。また、客室内部及び内張りに

は軽合金をベースとしたメラミン樹脂化粧板を使用し、腰

掛・床敷物などの客室備品もすべて難燃性又は不燃性の材

料を使用した。

運転室は、半室構造とし、車両の前後両端に設置し、運

賃箱及び開戸にて客室と仕切り、それぞれの助士側には車

掌スペースを設け、パイプで客室と仕切る構造とした。ま

た、運転士側及び助士側には下降窓付き側開き戸を設置し

た。

乗降口は、両側にそれぞれ3箇所設置し、すべて1 000

㎜の片引戸とした。閑散時には中央乗降口を締切りワンマ

ン運転を行うため、ワンマン運転設備を設けている。

車両の床面高さは、1 100㎜としたので、乗降口のステッ

プは省略した。

客室の窓は、下窓固定・上窓下降式の2枚窓方式とし、

フリーストップ式ロールカーテンを取付けた。

客室用腰掛は、すべて転換式クロスシートとし、跳ね上

げ式補助いすを設けた。

冷房装置は、集中式冷房装置を屋根上に1台設置し、冷

風の吹出しは、天井から吹出すラインフロー方式とした。

客室の暖房は温度立ち上がりの早い電熱式暖房方式とし、

客室内の腰掛けにつり下げて設けた。

バリアフリー設備として、真空式汚物タンク付き車いす

対応形便所及び車いすスペースを設置するとともに、各乗

降口床面には滑り止めの床材を使用した。

3.台車けん引装置は、動台車、付随台車ともにZリンクとし、

ダイヤフラム式空気ばねを用いたボルスタレス式空気ばね

方式とした。

駆動方式は、上り勾配区間での粘着性能向上及び加速時

の空転を防止するため2軸駆動方式とした。

軸箱支持方式は、弊社で実績のある円錐ゴムのウイング

ばね方式とし、車輪踏面はフランジ角度65°を有した修正

円弧踏面、車軸軸受にはφ110の密封式複式円錐ころ軸受を

用いた。

基礎ブレーキ装置は、台車装架の片押方式の自動隙間調

整機構付ユニットブレーキで、制輪子は焼結合金製を使用

図2 車両断面図

Page 6: JR四国 1500型気動車の概要 - tetsushako.or.jp€¦ · たき 英 ひで 将 まさ ... 焼結合金制輪子 焼結合金制輪子 4 4 推進軸・2軸 3.068 十字軸 密封円すいころ軸受

2007 - 3「車両技術233号」 105

している。

台車には、モニタ用PCの動作を安定化するために接地装

置を取付けている。

4.内燃機関及び液体変速機駆動用内燃機関は、高出力・軽量化を図るため、環境対

応形エンジンSA6D140HE-2形〔連続定格出力331 kW

(450 ps)/2 100 rpm〕を1台設けた。

SA6D140HE-2形機関は、横形・水冷・直列・ターボチ

ャージャ及びアフタクーラ付きの4サイクル6気筒機関で

あり、燃料噴射方式は、直接噴射のコモンレールを用いた

電子制御燃料噴射タイミング方式、潤滑方式は、ギヤポン

プによる圧送式潤滑方式、冷却方式は、遠心式水ポンプに

よる強制循環式である。

コモンレール方式とは、従来の燃料噴射ポンプでは、噴

射ポンプのカム軸で直接プランジャを押して高圧燃料を発

生させていたが、この方式では、サプライポンプによって

生成した高圧燃料を、一旦コモンレールと呼ばれる蓄積室

に蓄え、そこから高圧燃料を各気筒のインジェクタと呼ば

れる噴射ノズルに分配している。インジェクタには電子制

御可能なソレノイドが設けてあり、コントロールユニット

の指令により、燃料噴射タイミング及び燃料噴射量をコン

トロールしている。

燃料制御装置であるコントロールユニットは、運転室の

主幹制御器の各ノッチ信号に対し、コモンレールに蓄圧さ

れた高圧燃料を、低速時や加速時など、従来タイプの機関

では高圧噴射が不可能な領域でも高圧で噴射をし、燃料効

率を向上させて、排気の色及び燃費の改善を図っている。

液体変速機は機関に直接結合され、機関側1箇所、変速

機側2箇所の支持装置により車体台枠につり下げている。

変速機には、平歯車の組合せによる逆転切換機構を内蔵し

ており、変速機構は、3要素1段2相(ステータフリーホ

イール付き)で、直結機構は直結4段切換方式とし、直

結・変速の切換は、車両の速度に応じ、変速機の入出力回

転数によって自動的に行う。

5.ブレーキ装置ブレーキ装置は、系統別には常用ブレーキ装置、非常ブ

レーキ装置及び保安ブレーキ装置(直通予備ブレーキ)の

3系統を備えている。装置の簡素化と信頼性及び耐久性を

向上させた電気指令式空気ブレーキ装置を採用し、常用ブ

レーキには応荷重装置を設けている。なお、留置ブレーキ

装置は、保安ブレーキ装置で代用するため、手ブレーキは

省略している。

保安ブレーキ装置としての直通予備ブレーキは、常用・

非常ブレーキ系統が故障した場合に使用する、ブレーキ力

が一定の空気ブレーキである。直通予備空気タンクから直

接ブレーキシリンダへ空気を供給するが、直通予備空気タ

ンクからS抑圧装置、複式逆止弁、ブレーキシリンダへ至

る経路を前台車と後台車とでそれぞれ別系統とし、保安ブ

レーキの二重化を図っている。

なお、下り勾配での抑速ブレーキと高速域からの摩擦ブ

レーキへの負担軽減とを目的として、排気ブレーキを装備

している。

6.補助電源装置補助電源装置は、駆動機関から定速回転装置(Constant

Speed Unit)を介して、一定回転(1 800 rpm)で40 kVA

交流発電機を駆動し、AC440 V(三相)を出力している。

440 V三相交流は空調装置の電源とし、440 V三相交流から

254 V単相交流を取出し電気暖房器の電源とし、制御装置関

係及び室内灯の電源としてDC24 Vを使用している。

定速回転装置は、駆動機関の回転数が変化(約650 rpm

~2 100 rpm)しても、一定周波数の電力を供給するため発

電機回転数を一定(1 800 rpm)とする目的で設置している。

構造は、2つのスリップクラッチと直結クラッチを組合せ

4種類の回転速度段を設定することにより出力回転数を一

定とする構造である。

7.連絡通話及び車内放送装置連絡通話及び車内放送は、ワンマン運転時に使用する自

動放送装置を供用しており、乗務員間の通話は連絡用送受

話器により行い、車内放送は乗務員による肉声放送及びワ

ンマン時のみモニタ制御装置から自動的に放送される自動

放送が各車一斉に放送できる装置としている。また、乗降

口が開状態の側のみ放送案内できる車外スピーカも設置し

ている。

8.ワンマン運転設備車両は、ワンマン運転を行う装置を設けており、運転室

及び客室内には、自動放送装置、モニタ表示器、整理券発

行器、両替機能付き運賃箱、運賃表示器、ワンマン専用ド写真3 車いす対応便所

Page 7: JR四国 1500型気動車の概要 - tetsushako.or.jp€¦ · たき 英 ひで 将 まさ ... 焼結合金制輪子 焼結合金制輪子 4 4 推進軸・2軸 3.068 十字軸 密封円すいころ軸受

JR四国 1500型気動車の概要106

図3 床下機器配置

Page 8: JR四国 1500型気動車の概要 - tetsushako.or.jp€¦ · たき 英 ひで 将 まさ ... 焼結合金制輪子 焼結合金制輪子 4 4 推進軸・2軸 3.068 十字軸 密封円すいころ軸受

2007 - 3「車両技術233号」 107

図4 運転室機器配置

写真4 運転室

Page 9: JR四国 1500型気動車の概要 - tetsushako.or.jp€¦ · たき 英 ひで 将 まさ ... 焼結合金制輪子 焼結合金制輪子 4 4 推進軸・2軸 3.068 十字軸 密封円すいころ軸受

JR四国 1500型気動車の概要108

図5 動台車

番号 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13

名   称

第一減速機付輪軸

第二減速機付輪軸

軸箱組立(一般用)

軸箱組立(一般用)

軸箱支持装置

台車枠組立(動台車)

減速機支エ装置

車体支持装置

ユニットブレーキ取付

台車ブレーキ配管

第二推進軸取付

補助排障器組立

補助排障器組立

Page 10: JR四国 1500型気動車の概要 - tetsushako.or.jp€¦ · たき 英 ひで 将 まさ ... 焼結合金制輪子 焼結合金制輪子 4 4 推進軸・2軸 3.068 十字軸 密封円すいころ軸受

2007 - 3「車両技術233号」 109

図6 付随台車

番号 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14

名   称

輪軸組立(従軸)

輪軸組立(従軸)

輪箱組立(一般用)

輪箱組立(AG20C取付用)

輪箱組立(接地装置取付用)

輪箱組立(速発準備工事用)

軸箱支持装置

台車枠組立(付随台車)

車体支持装置

ユニットブレーキ取付

台車ブレーキ配管

補助排障器組立

補助排障器組立

接地装置取付

Page 11: JR四国 1500型気動車の概要 - tetsushako.or.jp€¦ · たき 英 ひで 将 まさ ... 焼結合金制輪子 焼結合金制輪子 4 4 推進軸・2軸 3.068 十字軸 密封円すいころ軸受

JR四国 1500型気動車の概要110

アスイッチ、EB装置、室内ミラーなどを設けている。

車両妻面助士側上部には、字幕式行先表示器及びワンマ

ン表示器を設けている。前後の客室乗降口外板部分には、

ワンマン運転時の出入口表示装置とともに車外放送用スピ

ーカを設けている。また、非常通報装置は、旅客が容易に

操作できる位置に二箇所設けている。

なお、運転台の主要機器は旅客が簡単に触れることがで

きないように防護している。

9.モニタ装置各車両にPC装置(プログラマブルコントローラ)を搭載

し、各車両間の列車状態の確認及び車両制御を行うモニタ

装置を設置している。モニタ装置は、運転士モード・車掌

モード・検修モード・応急処置モードなどから構成され、

各支援機能を有している。また、乗客に対するサービス向

上を図るための行先・種別・室内表示器などへの指示機能

も持たせている。

10.おわりに1500型気動車は、JR四国にとって1000型気動車以来の新

製一般形気動車である。全車、徳島運転所へ配属し、2006

年5月末より高徳線高松~徳島間、徳島線徳島~阿波池田

間、牟岐線徳島~阿南間で営業運転を開始している。

また1500型気動車は、車両の連結・開放作業の容易化の

ため、自動解結装置付きの密着式連結器を採用している。

そのため、1500型気動車との併結を可能にするために1000

型気動車を改造した1200型気動車も併せて営業運転を開始

している。

今後は、徳島地区の都市圏輸送の看板列車として、大い

に活躍してくれることを期待している。

最後に、本車両の開発、製作に当りご指導、ご協力を賜

りました関係各位に、厚くお礼申し上げます。