OECD/FTAによるICAPプロジェクトについて

早稲田大学

青山慶二

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１．ICAPとは

• International Compliance Assurance Programの略（国際コンプライアンス保証プログラム）

• OECDの税務長官会合（FTA）の下で試行が決定

されたボランタリーベースのプログラムであり、早期に税の安定性と保証を提供する目的の下に、多国籍企業と税務当局間の開放された協力的な多国間の約束を可能とすべく国別報告書や他の情報を活用することを内容としている。

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２．FTAによる説明ぶり（１）趣旨

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（２）当事者にとってのメリット

• 国別報告書情報の十分な理解に基づくターゲットを絞った活用

• リソースの有効活用と双方当局との同時交渉

• 多国間での税の安定性に向けたより迅速で明確なルート

• MAPへ移行する紛争の減少

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（３）ICAPのキー・ドライバー

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（４）各キードライバーの意義

• 移転価格リスク評価についてのより良質で標準化された情報

• うまく設計された多国籍企業のコンプライアンス枠組み

• MAPを取り巻く状況の改善効果

• 税務執行の国際協調の促進

• 中低リスクの多国籍企業にとって、税の安定性の改善に向けた方策の提供

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３．ICAPの概要（１）ICAPの開始の仕組

• ICAPは参加国に本社を有する大規模多国籍企業グループ(MNEと略す）が活用できる任意の手続き

• 参加希望のMNEは、活動を行っており多国間のリスク評価に含めてほしいICAP参加国を特定

• 特定された参加国の税務当局は、MNEの自国でのリスクプロファイル等に基づき参加・不参加を決定

• ICAPの下で実施される多国間のリスク評価は、MNEの特定の税務課題（TP,PE,その他の実質的な国際課税課題で、MNEと参加国間で合意された項目に限定）

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（２）ICAPの下での情報提供

• MNEは、国別報告書を含む文書パッケージを幹事税務当局へ提出

• 当該情報及びMNEのリスク評価に関連して参加国が保有する情報の、参加国間での情報交換制度下でのシェア

• MNEと参加国当局全員の参加による、上記諸情報の内容についての協議

（MNEのプロファイルと活動の十分かつ一貫した理解が目的）

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（３）リスク評価の実施とその後の対応

• 上記協議後、リスク評価は各当局が実施

（ICAPがカバーする項目について、課税リスクがない或は低い

と判断できるかどうか）

• できなかった場合、より詳細で包括的なリスク評価手続きに移行（当該過程では参加国すべてが協議し、その内容は幹事当局からMNEに通知

• リスク評価段階での結論を受けて、評価結果につきMNEとの協議会合を開催

• ICAPカバー項目がリスクがない或は低いと合意した当局は、その内容を記した確認書類を発出

• ICAPの期間は対象項目の多寡等によるが、最初の会合から確認書類の発出までの期間は12か月以内であるべき

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4．ICAPパイロットの実施

• 参加課税当局豪、加、伊、蘭、西、英、米のFTAメンバーである7か国当局

• 他のFTAメンバーの多くは、オブザーバー参加ICAP手続きの設計・運営に関する協議に参加するが、パイロット参加MNEの情報収受はなくMNEのリスク評価にも参加せず

• パイロットでは、ICAPの手続に関して柔軟性を確保

• 開始は、2018年1月に開催されるオリエンテーション会合（申し出たMNEすべてと上記7か国当局の参加。米国・IRSが主催）

• パイロットを通じて学んだ成果は、 、将来のICAP拡大を視野において他のFTA参加国と共有し

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５．FTAオスロ会合コミュニケでの言及部分

On the tax certainty agenda we are moving forward with an ambitious and comprehensive agenda focused on dispute prevention and dispute resolution, supplementing the ongoing work on MAP and CbC, and including: A new international compliance assurance programme - ICAP. We launched ICAP, a pilot program that uses CbC Reports and other information to facilitate multilateral engagements between MNE groups and participating tax administrations, bringing benefits to taxpayers and tax administrations including improved risk assessment based on fully informed and targeted use of CbCR information, an efficient use of resources, a faster and clearer route to multilateral tax certainty and fewer disputes entering into MAP. Improved and better co-ordinated risk assessment.The ICAP pilot will be complemented by a new FTA project mapping out jurisdictions’ differing approaches to risk assessment with a view to increasing mutual understanding, closer cooperation and convergence. More closely integrated international audit activity.A new project will look at how to facilitate greater use of joint audits across jurisdictions, reducing costs for firms and allowing tax administrations to work jointly on the assessment of tax liabilities in cross-border operations, further reducing situations requiring resolution through MAP. Reducing audit adjustment not sustainable in MAP.

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(参照）IRSのCAPプログラム（１）趣旨

• 3ステージでの対応

Pre-CAP

CAP

Compliance Maintenance

• 納税者のTax Certaintyを確立するもの

税引当金の正確な見積りにより、

財務諸表の利得報告のより正確性を確保

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(２)Pre-CAP• 納税者のPre-CAP MOUの署名を目的として通常の税務調査により

CAPの資格審査確認を求めるもの

• そこで期待される情報提供

CAPレベルの情報提供等の義務の履行が期待される

• 開示対象は、連邦納税義務に実質的な効果を有する諸取引、取引の諸段階及び納税者が申告に際して採ったポジションに関する他の申告項目・事項

• 申請資格

➣1000万ドル以上の資産保有

➣ SEC或は相当する機関に一定の財務情報の提出を義務付

けられている上場企業

➣ IRS等との間で犯則調査や訴訟状況にあり、IRSによる情報

へのアクセスが制限されている者でないこと

• IRSは、理由を開示しての申請不受理の権限を留保(不服申立可能）

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（３）CAP• 納税者に期待される対応

➣合意された実質性基準を満たした取引に関する諸情報の開放的、包括

的かつ同時期の情報の提供

➣それらの開示内容に関して提案する自らの税務ポジション

• IRSの申請承認があれば、CAP/MOUの署名(効果1事業年度）

➣CAPの目的

➣情報開示の範囲

➣CAPへの誠実参加の約束

以後は納税者ごとに指名される調整官（AC）のワンストップサービス

• CAPの対象外となる取引（IRSは自由に通常の調査）

タックスシェルター、法定取引、不正項目、等

• CAPの効果

すべての項目を解決できた場合には、申告前に一定の条件に合致す

る前提の下でIRSから申告承認を保証される。

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(4)Compliance Maintenance Phase

• 2事業年度CAP制度をクリアした納税者が到達するステージ

• 納税者の情報申告義務はCAP/MOUに基づき変化ないが、IRSの審査項目は減少

• 納税者、当局の双方ともいずれのステージにおいても自らCAPから離脱することは可能

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