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作物の栽培条件 3 地理パーフェクト 白地図作業 参考資料: 『新詳地理B初訂版』p.66-71、『新詳高等地図初訂版』p.117、『新詳資料地理の研究』p.55、60、92、 『図説地理資料世界の諸地域NOW2010』p.149、『新詳地理資料COMPLETE2010』p.80 自然条件 Ⅰ 気温と作物の栽培限界 右の図は、アンデス高地における作物の高距限界を示している。①〜⑦にあてはま る作物名を、 内から選んで記入しよう。 Ⅱ 作物の栽培限界と降水量 1.稲・小麦・とうもろこし・ぶどうの栽培限界の等値線を、凡例のとおり色分けし て書いてみよう。また、耕地の栽培限界の等値線も書いてみよう。 2.アジアにおける集約的稲作農業と集約的畑作農業(おもに小麦)の地域を凡例のとおり色分けし、分布図を書いてみよう。さらにアジアの 年降水量500mmと1000mmの等値線も凡例のとおり色分けし、書いてみよう。また、これらの作物栽培地と降水量との関係を考えてみよう。 じゃがいも    大 麦 コーヒー     さとうきび 小 麦      カカオ とうもろこし

地理パーフェクト 3 作物の栽培条件...3 作物の栽培条件 地理パーフェクト 白地図作業 参考資料: 『新詳地理B 初訂版』p.66-71、『新詳高等地図

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Page 1: 地理パーフェクト 3 作物の栽培条件...3 作物の栽培条件 地理パーフェクト 白地図作業 参考資料: 『新詳地理B 初訂版』p.66-71、『新詳高等地図

作物の栽培条件3地理パーフェクト白地図作業

参考資料:�『新詳地理B�初訂版』p.66-71、『新詳高等地図�初訂版』p.117、『新詳�資料地理の研究』p.55、60、92、�『図説地理資料�世界の諸地域�NOW�2010』p.149、『新詳地理資料�COMPLETE�2010』p.80

自然条件

Ⅰ 気温と作物の栽培限界

 右の図は、アンデス高地における作物の高距限界を示している。①〜⑦にあてはまる作物名を、 内から選んで記入しよう。

Ⅱ 作物の栽培限界と降水量

1.稲・小麦・とうもろこし・ぶどうの栽培限界の等値線を、凡例のとおり色分けして書いてみよう。また、耕地の栽培限界の等値線も書いてみよう。

2.アジアにおける集約的稲作農業と集約的畑作農業(おもに小麦)の地域を凡例のとおり色分けし、分布図を書いてみよう。さらにアジアの年降水量500mmと1000mmの等値線も凡例のとおり色分けし、書いてみよう。また、これらの作物栽培地と降水量との関係を考えてみよう。

じゃがいも    大 麦コーヒー     さとうきび小 麦      カカオとうもろこし

Page 2: 地理パーフェクト 3 作物の栽培条件...3 作物の栽培条件 地理パーフェクト 白地図作業 参考資料: 『新詳地理B 初訂版』p.66-71、『新詳高等地図

作物の栽培条件 解説・解答3地理パーフェクト白地図作業

 実際に系統分野の農業を扱うにあたって、農作物の原産地(起源)と伝播に触れておくのもよいだろう。食は生徒にとっても身近に感じられるテーマであるので、導入として使うのが効果的である。ただし、農作物の原産地や伝播については諸説あるのでその旨を補足したうえで、取り扱いには注意したい。 農作物の起源と伝播については、中尾佐助がその著『栽培植物と農耕の起源』で論じた。この論考では、世界の農耕文化を四つに分け、主食である いも類・麦類等が世界中に伝播する様に注目してほしい。稲の原産地については諸説あるが、現在、長江下流域説が有力である。さらに、発生地の気候とは異なる場所で栽培され、現在では世界の各地で栽培されている小麦は、品種改良により栽培条件の厳しい場所でも栽培可能になった典型的な作物である(冷帯気候におけるロシアのヤロビ農法)。

自然条件

 作物の栽培には、自然条件と社会条件がともに影響する。自然条件に関連して、寒冷限界、高距限界、乾燥限界がある。ここでは、自然条件のうち気候(とくに気温と降水量)の条件と栽培限界について解説したい。Ⅰ 気温と作物の栽培限界

水平・寒冷限界 垂直・高距限界

ライ麦・えん(燕)麦が寒冷地の栽培に適している。その栽培限界は年平均気温が10℃(ロンドン)以上あることが必要。

牧畜では標高約4000mのアンデスの高地ではリャマ・アルパカ、ヒマラヤ山脈ではヤクを飼育している。農耕ではアンデス山脈で標高4000mまで栽培できる作物はじゃがいもと大麦である。

 アンデス山脈の山ろくでは高度により気候が異なるため、先住民たちはインカ帝国時代からそれぞれの高度に適した作物を栽培してきた。低地では熱帯作物のバナナ・さとうき

び、中腹では小麦、高地ではじゃがいもや大麦を栽培している。 作物の生産が可能となる温度以上の日平均の総和を積算温度という。アンデス山脈山ろくの積算温度は、秋播きの小麦で1960〜2250℃、標高が2400〜3100mで栽培されている。とうもろこしは2370〜3500℃で低地から3300mの高地まで栽培可能である。標高が最も高所まで栽培可能なものは、大麦とじゃがいもでアンデスの高地では、2400〜3500m(原産地のチチカカ湖周辺では4270m)まで栽培されている。じゃがいもは耐寒性・耐病性に優れているが、水分率が高いため、長期保存しにくい。そのためアンデス高地では寒暖の差を利用して乾燥させる。これにより長期保存と運搬が可能になる。大麦は西アジアが原産であるが、寒冷に強く品種改良されたため、現在ロシアやカナダの冷涼な亜寒帯気候地域でおもに栽培され、飼料用が多い。Ⅱ 作物の栽培限界と降水量

1.とうもろこしの起源は、中南米といわれる。今ではアメリカ合衆国が主要生産国である。栽培地は温暖で適度な降水量と生育期の日射量も必要とされている。ぶどうの原産地は、ロシアのカフカス地方から地中海東部沿岸地方とされる。降水量が多いと病気が蔓延したり、過剰な水分を吸収して実が破裂してしまったりする。そのため降水量が少ない水はけのよい土地が適している。2.稲と小麦を栽培する地域では、年降水量に大きな違いがある。降水量が少ない地域では、天水や地下水、雪どけ水等をため池、灌漑用水、地下水路等にため、田畑の灌漑につかわれる。水稲は小麦に比べ2倍以上の灌漑

用水が必要である。年降水量の限界はあくまでも指標で、不足分は灌漑用水等で補っている。 農作物のなかでも主食として人口支持力の大きい稲と小麦は、最も品種改良が進んでおり、耐寒・耐乾性等を追求した作物になっている。また、水稲はアジア南部から中国南部など豊富な労働力による集約的農産物である。一方小麦の栽培はアメリカ合衆国やオーストラリアでは機械化が進んでいるため、播種はヘリコプターで行うなど労働力が少なくすみ、収量が多く、労働生産性が高い作物である。さらに水稲の栽培地は年降水量1000mm以上の地域であるが、小麦は1000mm以下で栽培されている。そのため日本では水稲と小麦の両者が栽培されている。しかし、ヨーロッパ・東南アジア・中国・新大陸の大規模栽培地では完全に分かれている。

■解答■

〈省略〉Ⅰ 気温と作物の栽培限界

 『新詳 資料地理の研究』p.92 参照Ⅱ 作物の栽培限界と降水量

 1. 同 p.55 参照 2. 同 p.60 参照

地理・地図資料 2010年度2学期号 付録

農作物の原産地(起源)と伝播ルート

参考資料:『新詳地理B 初訂版』p.66-71、『新詳高等地図 初訂版』p.117、     『新詳 資料地理の研究』p.55、60、92、『図説地理資料 世界の諸地域 NOW 2010』p.149、     『新詳地理資料 COMPLETE 2010』p.80

おもな作物の生育に必要な温度(積算温度)

後木10.08.17

橋本平田