2020 NO. 62 2020 NO. 62 インタビュー 扉を開く 室伏広治 世界の壁を超える力 エッセイ “おかね”を語る 門井慶喜 作家 懸賞金一万円 陸上男子ハンマー投げ元日本代表選手 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会スポーツディレクター

「にちぎん」NO.62 2020年夏号 - Bank of Japan2020 NO.62夏 インタビュー 扉を開く 室伏広治 世界の壁を超える力 エッセイ “おかね”を語る 門井慶喜

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  • 2020 NO.622020 NO.62夏

    インタビュー 扉を開く

    室伏広治 世界の壁を超える力エッセイ “おかね”を語る

    門井慶喜 作家 懸賞金一万円

    陸上男子ハンマー投げ元日本代表選手東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会スポーツディレクター

  • 絵・江口修平

    エ・ッ・セ・イ

    “おかね”を語る

    しで工事がここまで遅れたのです」

     「……」

     「だから今後はまず大倉組との契約を解除し、

    われわれ(建築事務所)がじかに四人それぞれ

    と契約をむすぶ。その上でひとりにつき建物

    の一角ずつを請け負わせ、期日に遅れたら一日

    五百円の罰金をとる。期日前に仕上げたら、逆に、

    同額の賞金を出すこととしましょう。その賞金

    のために使います」

     

    川田総裁はよろこんで、

     「金はそういうふうに使わねばならぬ」

     

    と言ったそうで、事実、この作戦は成功した。

    四人の親方は同盟どころか競争するようになり、

    工事はにわかに進捗したのだ。それでもまあ、

    結局のところ完成は二年以上も遅れたのだが。

     

    是清は、その働きがみとめられた。正式な行

    員になったのである。あとは階段をのぼるだけ。

    日銀西さい

    ぶ部支店長、横浜正金銀行副頭取、日銀総裁。

     

    さらには山本権兵衛内閣の大蔵大臣となり、

    総理大臣となった。私はもちろん是清のように

    大金が動かせる人間ではないけれど、それでも

    『東京、はじまる』は好調で、着々と版をかさね

    ている。おかげで財布もほんの少しだけ、日本

    銀行券でふくらんでいる。

    かどい・よしのぶ●作家。1971年群馬県生まれ。2003年「キッドナッパーズ」でオール讀物推理小説新人賞を受賞。16 年『マジカル・ヒストリー・ツアー』で日本推理作家協会賞(評論その他の部門)、18 年には『銀河鉄道の父』で直木賞を受賞。新著は建築家・辰野金吾を描く『東京、はじまる』。ほか万城目学との共著『ぼくらの近代建築デラックス!』など著書多数。

    門井慶喜

    懸賞金一万円

     

    さきごろ文藝春秋より『東京、はじまる』と

    いう本を出した。

     

    史上初の日本人建築家というべき辰野金吾を

    主人公とした歴史小説である。金吾の出世作は

    もちろん日本銀行本店だから、その設計および

    建設工事については特に念入りに記したが、そ

    の工事には、じつはのちのち総理大臣になる人

    も参加している。

     

    高橋是清。ただし正式な行員ではなく建築事

    務所の所員、つまり金吾の部下である。事務主

    任として雇われたのだ。

     

    このまだ三十代の主任さんは、しかし発想が

    奔放だった。何しろ前例のない工事だから工期

    の遅れが深刻だったが、或る日、日銀総裁・川

    田小一郎へ、

     「一万円だけ自由に使わせてください」

     

    だ、、けと言われても、総工事費の見積りは

    八十万円なのだから少額ではない。

     

    川田は、怒りっぽい人である。おそらく爆発

    寸前の顔で、

     「何に使うのだ」

     「この工事は大倉組に請け負わせ、大倉組がま

    た四人の石いし工くの親方に下請けさせておりますが、

    この四人はたびたび賃金の値上げを要求し、拒

    否されると同盟して仕事を休む。そのくりかえ

  • 表紙・画 北村公司

    エッセイ/“おかね”を語る懸賞金一万円 作家 門井慶喜

    インタビュー/扉を開く

    室伏広治 陸上男子ハンマー投げ元日本代表選手        東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会スポーツディレクター世界の壁を超える力

    歴代日本銀行総裁小史〜Short History〜 第 3 回

    第三代総裁 川田小一郎第四代総裁 岩崎彌之助

    日本銀行のレポートから「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)—2020年4 月—「金融システムレポート」—2020 年4 月—

    FOCUS → BOJ ● 日本銀行本店見学 本店の新しい見学コースをご紹介します

    トピックス新型コロナウイルス感染症に関連した日本銀行の取り組みについて ほか

    AIR MAIL from Paris為政者と民衆の思いが交錯するまち・パリ

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    日本銀行北九州支店は、明治二十六年

    (一八九三)十月に開設された西さいぶ部

    支店を前

    身としています。支店として開設され現存す

    る中では、大阪支店に次ぐ長い歴史を持って

    います(初代西部支店長は、後に日本銀行総

    裁、内閣総理大臣となる高橋是清です)。

     

    前身の西部支店は、大正六年(一九一七)

    に門司支店と改称しました。最初の店舗は、

    昭和二十年(一九四五)、空襲により、本館

    が全焼しました。翌日からは焼け残った金庫

    と公文庫を活かしつつ、市中の銀行内に仮店

    舗を設け、営業を続けました。

     

    昭和二十三年(一九四八)には門司事務所

    に改組され、翌二十四年(一九四九)に二代

    目の店舗が落成しました。

     

    その後、昭和三十八年(一九六三)に「北

    九州支店」となりました。三代目となる表紙

    の現店舗は、昭和三十九年(一九六四)、北

    九州市の金融、商業の中心地である小倉区(現

    在の小倉北区紺こんや屋

    町まち)に新築移転したもので

    す。現店舗は、北九州の街とともに歩んでい

    ます。

    表紙のことば

    SUMMER 2020 NO.62 CONTENTS

    32

    ※本誌は6月3日(水)までの情報をもとに掲載しています。

  • 4NICHIGIN�2020�NO.62

    INTERVIEW

    取材・文小堂敏郎

    写真谷山

    MU

    ROFU

    SHI K

    oji

    室伏広治

    陸上男子ハンマー投げ元日本代表選手

    東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会スポーツディレクター

    日本人アスリートとして初めてオリンピックと世界陸上

    の両大会で金メダルを獲得するなど、圧倒的な戦績を残し

    たハンマー投げの室伏広治さん。外国人選手との体格差の

    不利をカバーするため、科学的研究に基づいた投てきやト

    レーニングを追求してきた。練習について強制を一切しな

    かったオリンピアンの父の存在、海外を転戦した武者修行

    から得たもの、そして組織委員会スポーツディレクターと

    して臨む東京オリンピック・パラリンピックへの思いなど、

    幅広くお話しいただいた。

  • NICHIGIN 2020 NO.625

    ――

    室伏さんのお父様(重信氏)

    も陸上男子ハンマー投げで四度

    オリンピック日本代表に選ばれ

    たトップアスリートでした。そ

    の下で、どのような子ども時代

    を過ごされましたか。

    室伏 

    小さいころからスポーツ

    と、そして国際色豊かな環境が

    身近にあったと思います。父は

    アメリカの大学でコーチ学を学

    んでいた時期があり、私も小・

    中学校時代には二年半ほど海外

    で過ごしました。陸上競技場が

    遊び場になることもありました

    し、父がトレーニングしている

    そばでハードル走をしたり棒高

    跳びをやってみたりといったよ

    うに、遊びの中で陸上というス

    ポーツを自然と覚えていったよ

    うに思います。トップアスリー

    トやそのコーチたちと身近に接

    する機会もありましたから、将

    来こういうふうになりたいなと

    憧れを自然に抱かせる、そんな

    恵まれた中で育っていった気が

    します。

    ――

    ハンマー投げもそのころか

    ら教えを受けられたのですか。

    室伏 

    父が練習するとき、私は

    子ども用のハンマーで遊んでい

    ましたが、父から本格的に教

    わったことはありません。「ハン

    マー投げをやりなさい」と言わ

    れたことはないんです。小学生

    世界の壁を超える力

    の私がでたらめな投げ方をして

    いるのを見かねて、危険がない

    ように基本を手ほどきしてくれ

    る程度でしたが、そうした指導

    のおかげで、私はいわゆるゴー

    ルデンエイジのこ

    ろに正しい体の使

    い方を覚えたのだ

    と思います。結局、

    高校に入る直前、

    私からハンマー投

    げをやりたいと言

    うまで、父が積極

    的に教えてくれる

    ことはありません

    でした。

    ――

    ハンマー投げ

    や円盤投げ、やり

    投げといった投て

    き競技は、欧米の

    選手が圧倒的に強

    い印象があります。室伏さんは

    日本人としてはもちろん、アジ

    ア人で初めて投てき種目でのオ

    リンピックの金メダルに輝きま

    したが、最初から世界で戦う自

    投てきの科学的研究で

    体格差の不利を覆した

    3歳のころ。この当時、父重信氏が作った発泡スチロールを布で巻いて糸でしばった手製のハンマーを遊びで投げていた。�(写真提供:室伏広治氏)

  • 6NICHIGIN 2020 NO.62

    「タフ」でなければ

    オリンピックで絶対に勝てない

    (注)�

    運動している物体の持つエネル

    ギー。

    信があったのでしょうか。

    室伏 

    想像もしてなかったです

    ね。私はハンマー投げ選手とし

    ては、素質に特別恵まれていた

    わけではありません。世界トッ

    プレベルの選手と比較すると体

    格は劣っていました。「向いて

    いる」競技というのが、人種や

    民族によってあると思うのです

    が、ハンマー投げの場合、スラ

    ブ系(中・東欧に居住するスラ

    ブ語民族)とゲルマン系(北・

    西欧に居住するゲルマン語民

    族)の選手が強いですね。一方

    でアジア系やアフリカ系の選手

    はそれほど強くありません。

     

    ただ、父からは「ハンマー投

    げで大事なのは体格だけじゃな

    い、体力そして投てきのセンス

    だ」とよく言われました。体格

    では劣っても、筋力をバランス

    よく強化し、センス、具体的に

    は投てきの技術や感覚を磨くよ

    うにと。そのセンスを、自分な

    りに理想を追い求めながら磨き

    上げたことが、世界の高い壁を

    超える武器になりました。

    ――

    スポーツ科学の知見を取り

    入れ、ハンマー投げの動作研究

    に力を入れたと伺いました。

    室伏 

    現役時代からアスリート

    と研究者の二足のわらじでやっ

    てきました。動作の感覚を科学

    的に捉え直し、記録の更新につ

    なげたいと考えたのです。私の

    場合、四回転してハンマーを投

    げますが、八〇メートルを投げ

    る際の回転速度は時速一〇〇

    キロ以上になり、体には三五〇

    キロ以上の遠心力がかかりま

    す。遠くへ投げれば投げるほど

    負担がかかります。ハンマー投

    げに限らずものを遠くに投げる

    には、手放す瞬間の初速によっ

    て投てき距離が決まります。そ

    の初速を最大にするには、力ま

    かせに投げても駄目ですし、投

    げる前の回転スピードだけを上

    げてもうまくいきません。回転

    ごとに、いかにハンマーのヘッ

    ドスピードを高めてゆくか。車

    の運転に例えれば、ローから

    トップへとギアを上げていくよ

    うに、力とスピードの掛け算で

    あるパワーを最大にしていきま

    す。私は、ハンマーのワイヤー

    ――

    ハンマー投げの試合では、

    選手が投てきするのは一瞬で、

    待機している時間が非常に長く、

    投げる一瞬に向けての、待機時

    間のメンタルコントロールは非

    常に難しいのではないかと思う

    のですが。

    室伏 

    皆さんそう思われるよう

    ですが、私自身はそうした難し

    さを感じたことはありません

    ね。準備をしっかりしていれば、

    あとは投げるだけですから。競

    技場に着いた時点で、もう準

    備は整っていて、待っている間

    も投げることに集中するのみで

    す。

    ―― オリンピックなど大事な試

    合で、自分の実力を出すために

    必要なことは何でしょうか。

    室伏 

    陸上のトップアスリート

    たちは世界を転戦する中で毎週

    のように顔を合わせ、同じよう

    なメンバーで戦っています。そ

    うした中で、その試合に向けて、

    いかに自分のベストパフォーマ

    ンスに集中できるか、が勝負で

    す。

     

    そういう意味では国際大会に

    数多く出場し、さまざまな困

    難な状況から、自らの力で抜

    け出すことを学び、経験するな

    ど場数を踏むことは、トップア

    スリートとして大事だと思いま

    す。海外遠征の経験はあっても、

    ホテルから食事まで誰かに準備

    し、整えてもらえるといった恵

    まれた環境に慣れてしまうと、

    オリンピックのような大舞台で

    部分にセンサーをはめ込み、力

    学的な諸条件である、速度や張

    力、運動エネルギー(注)などを

    リアルタイムで計測する方法も

    研究しました。試行錯誤の末に、

    ハンマー投げの動作を自分のも

    のにしたのです。

  • NICHIGIN 2020 NO.627

    INTERVIEW

    むろふし・こうじ●1974�年静岡県沼津市生まれ。千葉県成田高校に入学してから本格的にハンマー投げを始め、その後中京大学に進学。98年にオリンピアンの父重信氏の記録を塗り替える。自己最高記録は2003年にプラハ国際で出した84メートル86で、同記録は日本歴代1位の記録となる。2008年に中京大学大学院体育学研究科博士課程を修了し、博士号(体育学)を取得した。1995年から2014年まで日本選手権20連覇。シドニー、アテネ、北京、ロンドン・オリンピックに出場。04年のアテネで金メダル、12年のロンドンでは銅メダル。11年韓国・大邱での世界陸上でも金メダルを獲得している。14年6月から東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会スポーツディレクター、同年10月から東京医科歯科大学スポーツサイエンス機構教授も務める。主な著書に『室伏広治�孤独な王者』『超える力』(いずれも文藝春秋)、『ゾーンの入り方』(集英社新書)、『室伏式�世界最高の疲労回復』(KADOKAWA)がある。

    はなかなか勝てません。実際、

    国際大会を転戦すると、食事が

    口に合わなかったり、スムーズ

    に移動ができなかったり、必ず

    しも環境が整っていないことの

    方が多いんです。でも、それが

    選手を鍛え、選手はどういう状

    況になっても動じずに、力を出

    せるようになるんです。

    ――

    実際にトラブルにも遭遇し

    ましたか。

    室伏 

    何度もありました。若い

    ころ、エントリー表に、私だけ

    名前が見当たらない、エント

    リーしたはずなのに……という

    ことがありました。大会関係者

    に聞くと「あなたには出場不可

    の連絡をした」と言う。しかし

    そこであきらめず、大会役員に

    直談判して、試合当日に欠場し

    た選手の代わりに出場を認めて

    もらったんです。

     「試合用のハンマーがない」と

    いうこともありました。本来試

    合の主催者が複数用意すること

    になっているのですが、手違い

    があったと。急きょ、私が持っ

    て行った練習用ハンマーを、出

    場選手みんなで使い回して戦い

    ました。国際試合では何が起こ

    るか、本当にわからないです。

    それでも後から思い返すと、試

    合のことより、そういったハプ

    ニングのことの方をよく覚えて

    います(笑)。そういう場数を

    いかに多く踏んでいるか、です。

    最近の選手は国際舞台での武者

    修行が少ないように感じます

    が、そうした国際経験が大舞台

    でパフォーマンスを出すために

    は必要だと思いますね。

    ――

    室伏さんは、記録もさるこ

    とながら、世界陸上でも三六歳

    という大会史上最年長で金メダ

    ルを獲得したほか、日本選手権

    では前人未到の二〇連覇するな

    ど、長きにわたり第一線で素晴

    らしい結果を残してこられた、

    という意味でも他に類を見ない

    存在です。それだけ長い期間、

    トップアスリートとしてやって

    こられたのはどうしてだとお考

    えですか。また、長い間競技に

    打ち込むのは、その中に楽しみ

    が見いだせないと難しいと思う

    のですが、ハンマー投げの何が

    室伏さんをひきつけたのでしょ

    うか。

    室伏 

    私自身、現役時代から、

    長く選手としてやっていくため

    にどうしたらいいかを考えてき

    ました。スポーツに打ち込むこ

    との面白さ、楽しさというのは、

    若いころはなかなかわからない

    かもしれません。競技者として

    自分が向上していることを実感

    し、それに喜びを見いだすには

  • 8NICHIGIN 2020 NO.62

    室伏 

    スポーツディレクターは

    各オリンピックで必ず一人選任

    される競技運営の責任者です。

    私は、国際競技連盟(IF)や

    国内競技連盟(NF)、また国

    ――

    二〇一四年六月からは東京

    オリンピック・パラリンピック

    競技大会組織委員会に所属し、

    スポーツディレクターを務めて

    いらっしゃいます。

    アスリートがもたらす

    「精神的な」レガシー

    「長く」競技をしないと分からな

    いんです。

     

    私の場合、自分の肉体や年齢

    の限界を超えて競技を続けてい

    くために、既存のトレーニング

    方法はやり尽くし、世の中に自

    分の望むトレーニング方法がな

    くなったために、独自のトレー

    ニングを開発していきました。

    自分で考えながら体を鍛え、そ

    の結果が自分に返ってくる。こ

    れは面白いですよ。どのような

    トレーニングをし、何を食べて、

    どう睡眠を取れば、どんな結果

    が出るか。私は自分自身を人体

    実験するように研究していたん

    です。

     

    与えられたものをただこなす

    ようにトレーニングするのはつ

    まらないですし、集中力が続き

    ません。トレーニングの価値は

    自分自身で決めるものなんで

    す。その中で、自分が高まって

    いるということを実感していら

    れたことが、私が競技を長く続

    けられた理由だと思います。

    ――

    オリンピック直前の練習で

    オーバーワークになり、実力を

    十分発揮できなかったという選

    手も少なくありません。

    室伏 

    オリンピックを目の前に

    してコンディショニングで失敗

    してしまう例は、私の父の時代

    にもありましたが、それを教訓

    に同じ失敗を繰り返さないこと

    が、私にとっては父の世代への

    一つの恩返しになる、と思って

    いました。ただ、誰かに厳しさ

    を押しつけられてトレーニング

    をやらされる例が、今なお日本

    のスポーツ界には残っている

    ように思います。選手は、指導

    者から「負けるわけがないと思

    えるまで練習をしなさい」など

    と、非科学的な根性論で指導さ

    れ、練習しすぎてしまう。それ

    は、指導者自身が不安で怖くな

    るからなんです。もっと練習し

    なければ勝てないと、ついつい

    必要以上に練習メニューを増や

    したり、試合の直前までハード

    な練習を続けてしまう。そうし

    た指導の下では、選手は本番で

    本来の力が発揮できるはずがあ

    りません。指導者は、選手に対

    して科学的根拠のあるトレーニ

    ング方法を客観的に示してあげ

    ないといけません。そういう指

    導者を増やしていくのは日本の

    スポーツ界の課題だと思います

    ね。

    銅メダルを獲得したロンドンオリンピックでの投てき�

    (写真提供:共同通信社)

  • NICHIGIN 2020 NO.629

    (聞き手/情報サービス局長(取材当時)�中川忍)

    INTERVIEW

    際オリンピック委員会(IO

    C)、国際パラリンピック委員

    会(IPC)などとの調整役を

    担っています。競技運営では、

    オリンピックだけでなくパラリ

    ンピックもカバーします。

     

    そういう要職にお声がけいた

    だいたのは、ちょうど競技生活

    を終えようとしているときでし

    た。私は、アスリートの経験を

    踏まえ、アスリート視点で取り

    組めること、そしてスポーツ界

    に少しでも恩返しがしたいとい

    う気持ちもあり、お引き受けし

    たんです。

    ――

    オリンピックはアスリート

    にとって、特別な大会ではない

    でしょうか。武者修行でタフに

    ならなければ勝てない、という

    お話がありましたが、それだけ

    平常心で臨むのが難しいという

    ことだと思います。他の国際大

    会とオリンピックは何が違うの

    でしょうか。

    室伏 

    オリンピックではあらゆ

    る競技が一つの開催都市で実施

    されます。他の国際大会の場合、

    世界選手権のレベルでも、陸上

    だけ、柔道だけというふうに

    個々の競技が単独で行われ、複

    数の異なる競技が一堂に会して

    行われることはありません。オ

    リンピックは、総合スポーツイ

    ベントだからこそ世界中から注

    目されますし、それこそがオリ

    ンピックにしか持ちえない唯一

    無二の価値なのだと思います。

     

    アスリートにとっては、世界

    から注目される機会になるだ

    けでなく、選手村で他競技の代

    表選手から学ぶ機会にもなりま

    す。限られた場所で数週間、一

    緒に生活することになりますか

    ら。有名なアスリートばかりな

    ので、かえって自然に接するこ

    とができる気がします。NBA

    (米プロバスケットボール)の

    人気選手に対しても、誰も特別

    に意識をしない、そんな雰囲気

    がありますね。アスリート同士、

    言葉を交わさなくてもスポーツ

    文化をそれぞれ感じ取り、学び

    あえる。私は、オリンピックを

    経験する中で、ハンマー投げと

    は違うスポーツのトレーニング

    をすることも大切だと考えるよ

    うになりました。武道場に通っ

    て稽古に励んだり、水泳のコー

    チについて毎日泳いだりしたこ

    ともあるんです。

    ―― アスリートたちが開催都

    市に与える影響もありそうで

    す。

    室伏 

    その影響は大きいと思

    います。例えば、柔道の試合で

    の「礼に始まり礼に終わる」礼

    法が、観ている人たちに精神的

    なレガシーをもたらすかもしれ

    ません。また、今回の東京オリ

    ンピックは開催都市が提案した

    サーフィンやスケートボード、

    スポーツクライミングなど都市

    型スポーツも新しい種目として

    加わります。そうした新種目は、

    最初は遊びで始まったのかもし

    れませんが、オリンピック種目

    に取り入れることで、遊びから

    スポーツになり、教育的な意義

    を生み出します。オリンピック・

    パラリンピックは「特定の人た

    ちだけのもの」ではなく、あら

    ゆる人々をとりこぼさずに、包

    み込んでいくものです。スポー

    ツの力でU

    nited by Em

    otion

    (「感動で私たちは一つになる」

    の意)を目指していく。それが

    東京2020大会のテーマなの

    ですから。

    ――

    貴重なお話をありがとうご

    ざいました。

    ※�

    本インタビューは三月二日(月)に行われた

    ものです。

  • 10NICHIGIN 2020 NO.62

    川田小一郎は、天保七年(一八三六)に

    土佐藩(現在の高知県)に生まれました。

    経済に明るく、若くして藩の会計方に登用

    されたほか、藩命により、藩営商社・土佐

    商会の経営にもあたりました。 

     

    明治四年(一八七一)、土佐商会から改

    称した九つ

    も十九商会の幹部として、経営者

    の岩崎彌や太た郎ろうや彌やの之

    助すけを補佐し、後の三

    菱財閥の基礎を固めるなど、実業界で大

     「日本銀行総裁」と聞いて、どのようなイメージをお持ちでしょうか?

     このコーナーでは、歴代総裁の生涯をたどりつつ、総裁在任時に取り組

    んだ事跡や当時の日本銀行の歴史などをご紹介していきます。今回は第三

    代総裁の川田小一郎と第四代総裁の岩崎彌やの之助すけです。

    第三代総裁

    川田小一郎かわだこいちろう【総裁任期】明治22年(1889)9月3日~明治29年(1896)11月7日

    土佐商会の長崎出張所跡地に建つ「土佐商会跡」の石碑(長崎県長崎市)。 (写真提供:長崎県観光連盟)

    第三回

  • NICHIGIN 2020 NO.6211

    (注1)鉄道会議/鉄道建設の順序や鉄道建設のため

    の公債発行の在り方など鉄道政策を審議するた

    め、鉄道担当官庁に設置された諮問会議。

    (注2)貨幣制度調査会/当時の金銀価格の変動やそ

    の経済に及ぼす影響、貨幣制度の改正の必要性等

    を審議するために、当時の渡辺国くにたけ武大蔵大臣の建

    議により明治二十六年(一八九三)に設置された

    機関。

    いに手腕を発揮しました。明治二十二年

    (一八八九)、第二代日本銀行総裁富田鐵てつ之の

    助すけの辞職に伴い、当時の松まつかた方正まさよし義大蔵大臣

    (現在の財務大臣)の推薦により、川田が

    第三代総裁に就任します。

     

    総裁就任直後、日本で初めての経済恐慌

    が起こります。これは、一八八○年代の第

    一次産業革命時、盛んに設立された株式会

    社がうまく機能せず、倒産が増えたことに

    よるものでした。それに対応すべく、川田

    は民間への貸し出しを積極化し世の中に資

    金を潤沢に供給するなどして、金融機能の

    維持、中央銀行としての機能の確立に尽力

    しました。

     

    こうした取り組みのかたわら、支店網の

    拡充や人材登用など組織の充実に取り組

    み、日本銀行の発展の基礎を築きます。特

    に人材面では、山本達雄(第五代日本銀行

    総裁)や高橋是これ

    きよ清

    (第七代日本銀行総裁)

    等を採用しました。高橋是清には建築事務

    主任として、日本銀行本店本館の建築にあ

    たらせました(明治二十九年〈一八九六〉

    二月に現所在地に完工)。

     

    総裁就任直後の明治二十三年(一八九〇)、

    帝国議会が開設された際には財界代表と

    して貴族院議員にも勅選されます。その

    ほかにも、明治二十五年(一八九二)に、

    新設の鉄道会議(注1)議員に、その翌年

    (一八九三)には、貨幣制度調査会(注2)

    の委員に就任するなど、多くの公職に就き、

    活躍しました。こうした長年にわたる功に

    より、川田は民間出身者として初めて男爵

    を授けられました。

     

    川田は、総裁在任期間中の明治二十九年

    (一八九六)に急逝しました。享年六〇歳

    でした。

    川田の総裁任期中に日本銀行に採用された山本達雄(第 5代総裁/上)、高橋是清(第7代総裁/中)、井上準之助(第 9・11代総裁/下)。

    「大日本帝国政府日本銀行全景」日本銀行本店が完成した明治 29年(1896)当時の銀行周辺の様子が描かれている錦絵(梅堂国貞<三代歌川国貞>作)。 (日本銀行金融研究所貨幣博物館所蔵)

    参考動画

    【日本銀行本店本館】④本店本館の

    建設に関わった人物たち〜川田小一

    郎・辰野金吾・高橋是清〜

  • 12NICHIGIN 2020 NO.62

    岩崎彌之助は、嘉永四年(一八五一)に

    土佐藩(現在の高知県)に生まれました。

    土佐藩校の致ち道どうかん館

    にて学問に励んだ後、大

    阪にて歴史学者重野安やす

    つぐ繹の私塾成せいたつ達書院に

    て漢学を学びます。明治五年(一八七二)、

    米国に留学しますが、明治六年(一八七三)

    に帰国し、三菱商会に入社しました。父彌

    次郎の急逝に際し、兄である同社社長の彌

    太郎から、自らを支えてほしいとの懇願を

    受けたためです。三菱商会では副社長とし

    て、主力の海運の増強に加え、鉱山や炭

    坑の買収などを進めました。彌太郎が没

    し、彌之助が第二代社長に就任した当初、

    海運の競争激化等により三菱商会は不振に

    陥っていました。彌之助は、造船業、保険

    第四代総裁

    岩崎彌之助いわさきやのすけ

    岩崎彌之助の生家(高知県安芸市)。彌之助の曽祖父彌次右衛門が 1795 年ごろ建てたと言われている、建坪約 30坪の藁

    わら

    葺ぶ

    きの平屋で、当時の面影をそのまま残している。 (写真提供:一般社団法人安芸市観光協会)

    【総裁任期】明治29年(1896)11月11日~明治31年(1898)10月20日

  • NICHIGIN 2020 NO.6213

    (注)具体的には金本位制の採用を指す。金本位制と

    は、貨幣価値を金に裏付けて表すこと。

    業、不動産業、銀行業と事業の多角化を図

    りつつ業績を回復させ、三菱財閥の発展の

    基礎を築きました。こうした実業界での経

    営手腕を買われ、岩崎は、第三代日本銀行

    総裁川田小一郎が急逝した明治二十九年

    (一八九六)十一月に、第四代総裁に就任

    しました。

    致道館は、土佐藩第 16 代藩主山やまうち

    内豊とよのり

    範の命を受け、藩の参政吉田東洋により文久 2年(1862)に建てられた藩校・文武館が前身。幕末の西洋式軍備に対応した人材育成を担った。当時の姿を残す表門(現高知県立武道館の正門)の前には、「致

    道どうかん

    館 並ならびに

    陶とう や

    冶学がっこう

    校址あと

    」と書かれた石碑が立っている。 (写真提供:高知県立武道館)

     

    総裁就任直後の明治三十年(一八九七)

    に実施された貨幣制度の改革(注)と軌を

    一にして、岩崎は金融関連の改革に着手し

    ます。当時、日本銀行が決める公定歩合が

    市中金利とかけ離れていたことから、金利

    体系の正常化を企図した諸施策を講じまし

    た。さらに、外国為替専門銀行であった横

    明治時代に築造された岩崎彌之助邸・三菱社の擁壁のれんがを再利用して造られた岩崎彌之助邸跡等の碑(東京都千代田区)。

    浜正金銀行との間で協調関係の構築にも努

    めました。また金融政策の手段でも新たな

    試みを行います。それまでは金融機関への

    貸出と金利政策を主な手段としていました

    が、市中金融機関から国債を買い上げ、そ

    の購入代金を市中金融機関に支払うことに

    よる資金の供給を初めて行い、金融政策手

    段の多様化を図りました。

     

    このように、新たな取り組みを行ってき

    た岩崎でしたが、明治三十一年(一八九八)、

    「病気激務に耐えざる」という理由で総裁

    を辞任します。実際には政策を巡る政府と

    の見解相違が辞任の引き金になったとも言

    われています。

     

    岩崎は、絵画、彫刻、刀剣、茶道具など

    に明るく、明治期の西欧文化偏重の中で、

    東洋の文化財の散逸への危機感から、幅広

    い分野の古美術品を収集したことでも知ら

    れています。

     

    総裁辞任後、財界の表舞台に立つことを

    控え、明治四十一年(一九〇八)、その生

    涯を閉じました。享年五七歳でした。

  • 日本銀行のレポートから

    14NICHIGIN 2020 NO.62

     日本銀行は、1月、4月、7月、10月の政策委員会・金融政策決定会合において、先行きの経済・物価見通しや上振れ・下振れ要因を詳しく点検し、そのもとでの金融政策運営の考え方を整理した「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)を決定し、公表しています。本稿では、2020年4月の展望レポート(基本的見解は4月27日、背景説明を含む全文は4月28日公表)のポイントを解説します。*全文は日本銀行ホームページに掲載されています。https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/index.htm/

    「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)

    二〇二〇年四月

    二〇一九~二〇二二年度の

    見通し(図表1、2)

    【当面の経済・物価の見通し】

     わが国の経済・物価情勢を展望

    すると、経済は、当面、内外にお

    ける新型コロナウイルス感染症の

    拡大の影響から厳しい状態が続く

    とみられる。また、物価について

    も、消費者物価(除く生鮮食品)

    の前年比は、当面、感染症の拡大

    や原油価格の下落などの影響を受

    けて弱含むとみられる。

    【やや長い目でみた経済・物価の

    見通し】

     その後、内外で感染症拡大の影

    響が和らいでいけば、ペントアッ

    プ需要(抑制されていた需要)の

    顕在化や挽回生産が予想されるこ

    とに加え、緩和的な金融環境や政

    府の経済対策にも支えられて、わ

    が国経済は改善していくと考えら

    れる。物価も、徐々に上昇率を高

    めていくとみられる。今回の見通

    しにおいては、感染症拡大の影響

    が、世界的にみて、本年後半にか

    けて和らいでいくことを想定して

    いる。

    【金融環境】

     こうした見通しの背景となる金

    融環境についてみると、感染症拡

    大を受けて、内外の金融資本市場

    で不安定な動きがみられているほ

    か、世界的にみて企業金融に影響

    が生じている。もっとも、各国・

    地域の政府・中央銀行は、金融市

    場の安定を維持し、企業金融の円

    滑を確保するために、積極的な対

    応を行っている。わが国について

    も、政府は、企業の資金繰りを支

    援するための各種の施策を講じて

    いる。日本銀行は、「長短金利操

    作付き量的・質的金融緩和」を推

    進するもとで、三月以降は、企業

    等の資金調達の円滑確保と金融市

    場の安定維持に向けて、各種の強

    力な金融緩和措置を実施している。

    そうしたもとで、緩和的な金融環

    境が維持され、金融面から実体経

    済への下押し圧力が強まることは

    回避されると想定している。

    経済・物価のリスク要因

    �【先行きの経済・物価見通しの

    不確実性】

     もっとも、先行きについては、

    感染症の拡大が収束する時期や内

    外経済に与える影響の大きさに

    よって変わり得るため、不透明感

    がきわめて強い。また、上記の見

  • NICHIGIN 2020 NO.6215

    図表 1 政策委員の経済・物価見通し

    (前年比、%) (前年比、%)

    (注 )今回、先行きの不確実性が従来以上に大きいことに鑑み、各政策委員は最大 1.0%ポイントのレンジの範囲内で見通し(上限値・下限値の2つの値)を作成することとした。「大勢見通し」は、9名の政策委員の見通し値(上限値・下限値)のうち上から2個、下から2個、計4個の値を除いて、幅で示したものである(政策委員が単一の値で見通しを作成した場合には、当該値を2個と数える)。1月時点の大勢見通しは、各政策委員が単一の値で示した見通し値から、最大値・最小値を1個ずつ除いて幅で示したものであり、今回の大勢見通しとは異なることに留意が必要である。

    貼付範囲↓

    (前年比、%) (前年比、%) ←貼付範囲

    (前年比、%) (前年比、%)

    ←貼付範囲

    ↑貼付範囲

    (注1) 実線は実績値。シャドーは、当該値(0.1%ポイント刻み)が何人の政策委員の見通し値(レンジ)に含まれているかを、以下の分類で示したもの。縦線は政策委員の「大勢見通し」を表す。

    (注2) 消費者物価指数(除く生鮮食品)の2015年度については、2014年4月の消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベース。

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    2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022年度

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    貼付範囲↓

    (前年比、%) (前年比、%) ←貼付範囲

    (前年比、%) (前年比、%)

    ←貼付範囲

    ↑貼付範囲

    (注1) 実線は実績値。シャドーは、当該値(0.1%ポイント刻み)が何人の政策委員の見通し値(レンジ)に含まれているかを、以下の分類で示したもの。縦線は政策委員の「大勢見通し」を表す。

    (注2) 消費者物価指数(除く生鮮食品)の2015年度については、2014年4月の消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベース。

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    (前年比、%) (前年比、%) ←貼付範囲

    (前年比、%) (前年比、%)

    ←貼付範囲

    ↑貼付範囲

    (注1) 実線は実績値。シャドーは、当該値(0.1%ポイント刻み)が何人の政策委員の見通し値(レンジ)に含まれているかを、以下の分類で示したもの。縦線は政策委員の「大勢見通し」を表す。

    (注2) 消費者物価指数(除く生鮮食品)の2015年度については、2014年4月の消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベース。

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    2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022年度

    0人 1人 2人 3人 4人 5人 6人 7人 8人 9人

    通しは、感染症拡大の影響が収束

    するまでの間、企業や家計の中長

    期的な成長期待が大きく低下しな

    いことや、金融システムの安定性

    が維持されるもとで金融仲介機能

    が円滑に発揮されることなどを前

    提としているが、そうした前提に

    は大きな不確実性がある。

    【リスクバランス】

     リスクバランスは、経済・物価

    のいずれの見通しについても、新

    型コロナウイルス感染症の影響を

    中心に、下振れリスクの方が大きい。

    (1)実質GDP

    (2)消費者物価指数(除く生鮮食品)

    6.0

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    -6.02015 年度  2016  2017  2018  2019  2020 2021  2022

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    2015 年度  2016  2017  2018  2019  2020 2021  2022

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    (注1) 実線は実績値。シャドーは、当該値(0.1%ポイント刻み)が何人の政策委員の見通し値(レンジ)に含まれているかを、以下の分類で示したもの。縦線は政策委員の「大勢見通し」を表す。

    (注2) 消費者物価指数(除く生鮮食品)の 2015 年度については、2014 年 4 月の消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベース。

    図表2 政策委員の大勢見通し (対前年度比、%)

    実質 GDP 消費者物価指数 (除く生鮮食品)

    2019 年度 − 0.4 ~ − 0.1 + 0.6 + 0.4

       (1 月時点の見通し)(+ 0.8 ~+ 0.9 )(+ 0.6 ~+ 0.7)(+ 0.4 ~+ 0.5)

    2020 年度 − 5.0 ~ − 3.0 − 0.7 ~ − 0.3 − 0.8 ~ − 0.4

       (1 月時点の見通し)(+ 0.8 ~+ 1.1 )(+ 1.0 ~+ 1.1)(+ 0.9 ~+ 1.0)

    2021 年度 + 2.8 ~+ 3.9 0.0 ~+ 0.7

    (+ 1.2 ~+ 1.6)   (1月時点の見通し) (+ 1.0 ~+ 1.3)

    2022 年度 + 0.8 ~+ 1.6 + 0.4 ~+ 1.0

    ( 参考)消費税率引き上げ・教育無償化政策の影響を除くケース

    2019 年度の消費者物価指数(除く生鮮食品)は、実績値。

  • 16NICHIGIN 2020 NO.62

    日本銀行のレポートから

     

    今回のレポートでは、二月下旬以

    降、新型コロナウイルスの世界的な

    感染拡大がグローバルな金融市場、

    実体経済に大きな影響を及ぼしてい

    るもとで、わが国の金融安定面への

    影響やリスクについて、これまで蓄

    積されてきた金融面の脆弱性との

    関係にも着目しつつ、足もとの状況

    や今後注視していくべき点を整理し

    た。ポイントは以下のとおり。

     

    新型コロナウイルスの世界的な感

    染拡大に伴い、世界経済にきわめ

    二〇二〇年四月号の

    問題意識

    て強い下押し圧力がかかるととも

    に、国際金融市場が不安定化してい

    る。各国株価の大幅な下落、拡張を

    続けてきた米欧クレジット市場の調

    整、基軸通貨であるドル資金市場の

    逼迫、新興国からの資金流出、原油

    価格の急落などが生じている。また、

    各国において、景気悪化に伴う信用

    コスト増加が見込まれるもとで、売

    上・収益の急減に直面した企業の資

    金需要が増大しており、金融機関の

    資本・流動性にも大きなストレスが

    かかっている。

     

    こうした状況に対し、各国政府・

    中央銀行は緊密に連携しつつ、強力

    な財政・金融政策等を発動し、経済

    活動と企業金融の下支え、金融市場

    の機能維持を図っている。金融規制・

    監督面でも、バーゼルⅢ完全実施の

    一年延期や資本・流動性バッファー

    の活用奨励など柔軟な措置が講じら

    れている。これらの政策対応もあっ

    て、これまでのところ、グローバル

    な金融システムにおける著しい信用

    収縮は回避されている。

     

    わが国の金融システムも強いスト

    レスを受けているが、全体として安

    定性を維持しており、経済活動が必

    要とする資金を供給している。これ

    は、①従来本レポートがマクロ・ス

    トレステスト等を通じて検証してき

    た通り、金融機関が資本・流動性の

    両面で相応に強いストレス耐性を備

    えていること、②政府・日本銀行が

     日本銀行は、金融システムの安定性を評価するとともに、安定確保に向けた課題について関係者とのコミュニケーションを深めることを目的として、金融システムレポートを年 2回公表しています。本レポートの分析結果は、日本銀行の金融システムの安定確保のための施策立案や、考査・モニタリング等を通じた金融機関への指導・助言に活用しています。また、国際的な規制・監督・脆弱性評価に関する議論にも役立てています。金融政策運営面でも、マクロ的な金融システムの安定性評価を、中長期的な視点も含めた経済・物価動向のリスク評価を行ううえで重要な要素の一つとしています。*全文は日本銀行ホームページに掲載されています。https://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/index.htm/

    「金融システムレポート」

    二〇二〇年四月

    現状評価

  • NICHIGIN 2020 NO.6217

    迅速かつ強力な政策対応を講じてい

    ること、③わが国企業が全体として、

    内部留保・手元資金の両面で良好な

    財務基盤を備えてきていること、に

    よるものである。

     

    もっとも、感染拡大の今後の展開

    やそれに伴う実体経済への下押し圧

    力の強さ、持続期間を巡る不確実性

    はきわめて大きい。

     

    今回、金融システムに生じている

    ストレスは、感染拡大によって人々

    経済・金融の相乗的な悪化﹂につな

    がる可能性がある。こうした観点か

    ら注視しておくべきわが国の金融安

    定上のリスクは以下の三点である。

     

    第一は、国内外の景気悪化に伴う

    信用コストの上昇である。実体経済

    への影響が長引くと、足もとの資金

    繰り逼迫が信用力の問題に転化する

    企業が国内外で増えていく可能性が

    ある。また、近年、わが国の金融機

    関は、低金利長期化のもとで、国内

    ではミドルリスク企業向け貸出や不

    動産賃貸業向け貸出、大型M&A関

    連など高レバレッジ案件向けの貸出

    を、海外ではエネルギー関連を含む

    相対的に信用力の低い企業への貸出

    を積み増してきた(図表1、2)。これ

    らのセクターは景気悪化に対し総じ

    て脆弱と考えられる。第二は、金融

    市場の大幅な調整に伴う有価証券投

    資関連損益の悪化である。近年、大

    手行等は海外クレジット投資を、地

    域金融機関は多様なリスクを抱える

    投資信託等を積み増してきている

    (図表3、4)。第三は、ドルを中心と

    する外貨資金市場のタイト化に伴う

    先行きのリスクと留意点

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    15/3 16/3 17/3 18/3 19/3

    その他(29%)

    不動産ファンド(16%)

    海外株系(2%)

    日本株系(17%)

    円金利系(2%)

    海外クレジット系(7%)

    海外金利系(26%)

    合計(100%)

    兆円

    月0

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    16/3 17/3 18/3 19/3 19/9

    その他 CLO ハイイールド債 投資適格債

    兆円

    図表1 金融機関の低採算先貸出比率の分布

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    01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18

    10-90%点

    中央値

    年度

    (注)集計対象は大手行と地域金融機関。

    (資料)帝国データバンク

    図表2 企業ののれんの対純資産比率の分布

    (注)対象は上場企業。

    (資料)日本政策投資銀行

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    98 00 02 04 06 08 10 12 14 16 18

    95-99%点

    90-95%点

    75-90%点

    50-75%点

    年度

    図表3本邦金融機関の海外クレジット投資残高

    (注)集計対象は、大手行のほか、ゆうちょ銀行や

    一部の系統上部金融機関を含む。

    (資料)日本銀行

    (資料)日本銀行

    図表5 大手行の安定性ギャップ

    大手行の安定性ギャップ 海外クレジット投資を考慮した場合

    0.0

    0.2

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    1.0

    1.2

    16/3 17/3 18/3 19/3 19/9月

    兆ドル

    3.6%

    8.3%

    16.7%

    11.6%

    含む海外クレジット投資

    0.0

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    0.4

    0.6

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    10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20

    社債等

    中長期円投

    顧客性預金

    貸出金

    兆ドル

    -1.1%

    23.9%

    安定性ギャップ

    図表4 地域金融機関の投資信託残高の内訳

    (注)集計対象は地域銀行。取得原価ベース。凡例内の数

    字は、直近時点での構成比。直近は 2019 年 12 月

    末。

    (資料)日本銀行

    (注)1.「社債等」と「中長期円投」は、2012 年 3 月末までは 3 か月超、2012 年 6 月末以降は 1 年超の調達。

    2.左図における図中の計数は、貸出金に対するギャップの比率(2014 年 4 月末と 2020 年 2 月末)。

    3.右図の「含む海外クレジット投資」は、貸出金に海外クレジット投資を加算した残高。図中の計数は、貸出金(下線

    が付してある計数については貸出金に海外クレジット投資を加算した残高)に対するギャップの比率(2016 年 3 月

    末と 2019 年 9 月末)。

    4.集計対象は国際統一基準行。

    5.左図の直近は 2020 年 2 月末。右図の直近は 2019 年 9 月末。

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    その他(29%)

    不動産ファンド(16%)

    海外株系(2%)

    日本株系(17%)

    円金利系(2%)

    海外クレジット系(7%)

    海外金利系(26%)

    合計(100%)

    兆円

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    16/3 17/3 18/3 19/3 19/9

    その他 CLO ハイイールド債 投資適格債

    兆円

    図表1 金融機関の低採算先貸出比率の分布

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    10-90%点

    中央値

    年度

    (注)集計対象は大手行と地域金融機関。

    (資料)帝国データバンク

    図表2 企業ののれんの対純資産比率の分布

    (注)対象は上場企業。

    (資料)日本政策投資銀行

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    98 00 02 04 06 08 10 12 14 16 18

    95-99%点

    90-95%点

    75-90%点

    50-75%点

    年度

    図表3本邦金融機関の海外クレジット投資残高

    (注)集計対象は、大手行のほか、ゆうちょ銀行や

    一部の系統上部金融機関を含む。

    (資料)日本銀行

    (資料)日本銀行

    図表5 大手行の安定性ギャップ

    大手行の安定性ギャップ 海外クレジット投資を考慮した場合

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    16/3 17/3 18/3 19/3 19/9月

    兆ドル

    3.6%

    8.3%

    16.7%

    11.6%

    含む海外クレジット投資

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    社債等

    中長期円投

    顧客性預金

    貸出金

    兆ドル

    -1.1%

    23.9%

    安定性ギャップ

    図表4 地域金融機関の投資信託残高の内訳

    (注)集計対象は地域銀行。取得原価ベース。凡例内の数

    字は、直近時点での構成比。直近は 2019 年 12 月

    末。

    (資料)日本銀行

    (注)1.「社債等」と「中長期円投」は、2012 年 3 月末までは 3 か月超、2012 年 6 月末以降は 1 年超の調達。

    2.左図における図中の計数は、貸出金に対するギャップの比率(2014 年 4 月末と 2020 年 2 月末)。

    3.右図の「含む海外クレジット投資」は、貸出金に海外クレジット投資を加算した残高。図中の計数は、貸出金(下線

    が付してある計数については貸出金に海外クレジット投資を加算した残高)に対するギャップの比率(2016 年 3 月

    末と 2019 年 9 月末)。

    4.集計対象は国際統一基準行。

    5.左図の直近は 2020 年 2 月末。右図の直近は 2019 年 9 月末。

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    その他(29%)

    不動産ファンド(16%)

    海外株系(2%)

    日本株系(17%)

    円金利系(2%)

    海外クレジット系(7%)

    海外金利系(26%)

    合計(100%)

    兆円

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    その他 CLO ハイイールド債 投資適格債

    兆円

    図表1 金融機関の低採算先貸出比率の分布

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    10-90%点

    中央値

    年度

    (注)集計対象は大手行と地域金融機関。

    (資料)帝国データバンク

    図表2 企業ののれんの対純資産比率の分布

    (注)対象は上場企業。

    (資料)日本政策投資銀行

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    98 00 02 04 06 08 10 12 14 16 18

    95-99%点

    90-95%点

    75-90%点

    50-75%点

    年度

    図表3本邦金融機関の海外クレジット投資残高

    (注)集計対象は、大手行のほか、ゆうちょ銀行や

    一部の系統上部金融機関を含む。

    (資料)日本銀行

    (資料)日本銀行

    図表5 大手行の安定性ギャップ

    大手行の安定性ギャップ 海外クレジット投資を考慮した場合

    0.0

    0.2

    0.4

    0.6

    0.8

    1.0

    1.2

    16/3 17/3 18/3 19/3 19/9月

    兆ドル

    3.6%

    8.3%

    16.7%

    11.6%

    含む海外クレジット投資

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    社債等

    中長期円投

    顧客性預金

    貸出金

    兆ドル

    -1.1%

    23.9%

    安定性ギャップ

    図表4 地域金融機関の投資信託残高の内訳

    (注)集計対象は地域銀行。取得原価ベース。凡例内の数

    字は、直近時点での構成比。直近は 2019 年 12 月

    末。

    (資料)日本銀行

    (注)1.「社債等」と「中長期円投」は、2012 年 3 月末までは 3 か月超、2012 年 6 月末以降は 1 年超の調達。

    2.左図における図中の計数は、貸出金に対するギャップの比率(2014 年 4 月末と 2020 年 2 月末)。

    3.右図の「含む海外クレジット投資」は、貸出金に海外クレジット投資を加算した残高。図中の計数は、貸出金(下線

    が付してある計数については貸出金に海外クレジット投資を加算した残高)に対するギャップの比率(2016 年 3 月

    末と 2019 年 9 月末)。

    4.集計対象は国際統一基準行。

    5.左図の直近は 2020 年 2 月末。右図の直近は 2019 年 9 月末。

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    その他(29%)

    不動産ファンド(16%)

    海外株系(2%)

    日本株系(17%)

    円金利系(2%)

    海外クレジット系(7%)

    海外金利系(26%)

    合計(100%)

    兆円

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    16/3 17/3 18/3 19/3 19/9

    その他 CLO ハイイールド債 投資適格債

    兆円

    図表1 金融機関の低採算先貸出比率の分布

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    10-90%点

    中央値

    年度

    (注)集計対象は大手行と地域金融機関。

    (資料)帝国データバンク

    図表2 企業ののれんの対純資産比率の分布

    (注)対象は上場企業。

    (資料)日本政策投資銀行

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    98 00 02 04 06 08 10 12 14 16 18

    95-99%点

    90-95%点

    75-90%点

    50-75%点

    年度

    図表3本邦金融機関の海外クレジット投資残高

    (注)集計対象は、大手行のほか、ゆうちょ銀行や

    一部の系統上部金融機関を含む。

    (資料)日本銀行

    (資料)日本銀行

    図表5 大手行の安定性ギャップ

    大手行の安定性ギャップ 海外クレジット投資を考慮した場合

    0.0

    0.2

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    0.6

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    1.0

    1.2

    16/3 17/3 18/3 19/3 19/9月

    兆ドル

    3.6%

    8.3%

    16.7%

    11.6%

    含む海外クレジット投資

    0.0

    0.2

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    1.0

    1.2

    10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20

    社債等

    中長期円投

    顧客性預金

    貸出金

    兆ドル

    -1.1%

    23.9%

    安定性ギャップ

    図表4 地域金融機関の投資信託残高の内訳

    (注)集計対象は地域銀行。取得原価ベース。凡例内の数

    字は、直近時点での構成比。直近は 2019 年 12 月

    末。

    (資料)日本銀行

    (注)1.「社債等」と「中長期円投」は、2012 年 3 月末までは 3 か月超、2012 年 6 月末以降は 1 年超の調達。

    2.左図における図中の計数は、貸出金に対するギャップの比率(2014 年 4 月末と 2020 年 2 月末)。

    3.右図の「含む海外クレジット投資」は、貸出金に海外クレジット投資を加算した残高。図中の計数は、貸出金(下線

    が付してある計数については貸出金に海外クレジット投資を加算した残高)に対するギャップの比率(2016 年 3 月

    末と 2019 年 9 月末)。

    4.集計対象は国際統一基準行。

    5.左図の直近は 2020 年 2 月末。右図の直近は 2019 年 9 月末。

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    その他(29%)

    不動産ファンド(16%)

    海外株系(2%)

    日本株系(17%)

    円金利系(2%)

    海外クレジット系(7%)

    海外金利系(26%)

    合計(100%)

    兆円

    月0

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    16/3 17/3 18/3 19/3 19/9

    その他 CLO ハイイールド債 投資適格債

    兆円

    図表1 金融機関の低採算先貸出比率の分布

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    10-90%点

    中央値

    年度

    (注)集計対象は大手行と地域金融機関。

    (資料)帝国データバンク

    図表2 企業ののれんの対純資産比率の分布

    (注)対象は上場企業。

    (資料)日本政策投資銀行

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    95-99%点

    90-95%点

    75-90%点

    50-75%点

    年度

    図表3本邦金融機関の海外クレジット投資残高

    (注)集計対象は、大手行のほか、ゆうちょ銀行や

    一部の系統上部金融機関を含む。

    (資料)日本銀行

    (資料)日本銀行

    図表5 大手行の安定性ギャップ

    大手行の安定性ギャップ 海外クレジット投資を考慮した場合

    0.0

    0.2

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    0.6

    0.8

    1.0

    1.2

    16/3 17/3 18/3 19/3 19/9月

    兆ドル

    3.6%

    8.3%

    16.7%

    11.6%

    含む海外クレジット投資

    0.0

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    社債等

    中長期円投

    顧客性預金

    貸出金

    兆ドル

    -1.1%

    23.9%

    安定性ギャップ

    図表4 地域金融機関の投資信託残高の内訳

    (注)集計対象は地域銀行。取得原価ベース。凡例内の数

    字は、直近時点での構成比。直近は 2019 年 12 月

    末。

    (資料)日本銀行

    (注)1.「社債等」と「中長期円投」は、2012 年 3 月末までは 3 か月超、2012 年 6 月末以降は 1 年超の調達。

    2.左図における図中の計数は、貸出金に対するギャップの比率(2014 年 4 月末と 2020 年 2 月末)。

    3.右図の「含む海外クレジット投資」は、貸出金に海外クレジット投資を加算した残高。図中の計数は、貸出金(下線

    が付してある計数については貸出金に海外クレジット投資を加算した残高)に対するギャップの比率(2016 年 3 月

    末と 2019 年 9 月末)。

    4.集計対象は国際統一基準行。

    5.左図の直近は 2020 年 2 月末。右図の直近は 2019 年 9 月末。

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    15/3 16/3 17/3 18/3 19/3

    その他(29%)

    不動産ファンド(16%)

    海外株系(2%)

    日本株系(17%)

    円金利系(2%)

    海外クレジット系(7%)

    海外金利系(26%)

    合計(100%)

    兆円

    月0

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    16/3 17/3 18/3 19/3 19/9

    その他 CLO ハイイールド債 投資適格債

    兆円

    図表1 金融機関の低採算先貸出比率の分布

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    10-90%点

    中央値

    年度

    (注)集計対象は大手行と地域金融機関。

    (資料)帝国データバンク

    図表2 企業ののれんの対純資産比率の分布

    (注)対象は上場企業。

    (資料)日本政策投資銀行

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    98 00 02 04 06 08 10 12 14 16 18

    95-99%点

    90-95%点

    75-90%点

    50-75%点

    年度

    図表3本邦金融機関の海外クレジット投資残高

    (注)集計対象は、大手行のほか、ゆうちょ銀行や

    一部の系統上部金融機関を含む。

    (資料)日本銀行

    (資料)日本銀行

    図表5 大手行の安定性ギャップ

    大手行の安定性ギャップ 海外クレジット投資を考慮した場合

    0.0

    0.2

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    16/3 17/3 18/3 19/3 19/9月

    兆ドル

    3.6%

    8.3%

    16.7%

    11.6%

    含む海外クレジット投資

    0.0

    0.2

    0.4

    0.6

    0.8

    1.0

    1.2

    10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20

    社債等

    中長期円投

    顧客性預金

    貸出金

    兆ドル

    -1.1%

    23.9%

    安定性ギャップ

    図表4 地域金融機関の投資信託残高の内訳

    (注)集計対象は地域銀行。取得原価ベース。凡例内の数

    字は、直近時点での構成比。直近は 2019 年 12 月

    末。

    (資料)日本銀行

    (注)1.「社債等」と「中長期円投」は、2012 年 3 月末までは 3 か月超、2012 年 6 月末以降は 1 年超の調達。

    2.左図における図中の計数は、貸出金に対するギャップの比率(2014 年 4 月末と 2020 年 2 月末)。

    3.右図の「含む海外クレジット投資」は、貸出金に海外クレジット投資を加算した残高。図中の計数は、貸出金(下線

    が付してある計数については貸出金に海外クレジット投資を加算した残高)に対するギャップの比率(2016 年 3 月

    末と 2019 年 9 月末)。

    4.集計対象は国際統一基準行。

    5.左図の直近は 2020 年 2 月末。右図の直近は 2019 年 9 月末。

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    15/3 16/3 17/3 18/3 19/3

    その他(29%)

    不動産ファンド(16%)

    海外株系(2%)

    日本株系(17%)

    円金利系(2%)

    海外クレジット系(7%)

    海外金利系(26%)

    合計(100%)

    兆円

    月0

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    16/3 17/3 18/3 19/3 19/9

    その他 CLO ハイイールド債 投資適格債

    兆円

    図表1 金融機関の低採算先貸出比率の分布

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    01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18

    10-90%点

    中央値

    年度

    (注)集計対象は大手行と地域金融機関。

    (資料)帝国データバンク

    図表2 企業ののれんの対純資産比率の分布

    (注)対象は上場企業。

    (資料)日本政策投資銀行

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    98 00 02 04 06 08 10 12 14 16 18

    95-99%点

    90-95%点

    75-90%点

    50-75%点

    年度

    図表3本邦金融機関の海外クレジット投資残高

    (注)集計対象は、大手行のほか、ゆうちょ銀行や

    一部の系統上部金融機関を含む。

    (資料)日本銀行

    (資料)日本銀行

    図表5 大手行の安定性ギャップ

    大手行の安定性ギャップ 海外クレジット投資を考慮した場合

    0.0

    0.2

    0.4

    0.6

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    1.0

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    16/3 17/3 18/3 19/3 19/9月

    兆ドル

    3.6%

    8.3%

    16.7%

    11.6%

    含む海外クレジット投資

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    10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20

    社債等

    中長期円投

    顧客性預金

    貸出金

    兆ドル

    -1.1%

    23.9%

    安定性ギャップ

    図表4 地域金融機関の投資信託残高の内訳

    (注)集計対象は地域銀行。取得原価ベース。凡例内の数

    字は、直近時点での構成比。直近は 2019 年 12 月

    末。

    (資料)日本銀行

    (注)1.「社債等」と「中長期円投」は、2012 年 3 月末までは 3 か月超、2012 年 6 月末以降は 1 年超の調達。

    2.左図における図中の計数は、貸出金に対するギャップの比率(2014 年 4 月末と 2020 年 2 月末)。

    3.右図の「含む海外クレジット投資」は、貸出金に海外クレジット投資を加算した残高。図中の計数は、貸出金(下線

    が付してある計数については貸出金に海外クレジット投資を加算した残高)に対するギャップの比率(2016 年 3 月

    末と 2019 年 9 月末)。

    4.集計対象は国際統一基準行。

    5.左図の直近は 2020 年 2 月末。右図の直近は 2019 年 9 月末。

    の活動が大きく制約されることに伴

    う﹁実体経済ショック﹂に端を発

    している点で、﹁金融不均衡の調整﹂

    を直接の背景とする過去のバブル崩

    壊とは性質が大きく異なっている。

    もっとも、国内外の金融システムで

    は、今回の感染拡大が生じる以前か

    ら、低金利長期化のもとでの利回

    り追求行動に起因する様々な脆弱性

    が蓄積されてきていた。実体経済の

    大幅な落ち込みが長期化する場合に

    は、それらの脆弱性を通じて金融面

    の本格的な調整に結びつき、﹁実体

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    その他(29%)

    不動産ファンド(16%)

    海外株系(2%)

    日本株系(17%)

    円金利系(2%)

    海外クレジット系(7%)

    海外金利系(26%)

    合計(100%)

    兆円

    月0

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    16/3 17/3 18/3 19/3 19/9

    その他 CLO ハイイールド債 投資適格債

    兆円

    図表1 金融機関の低採算先貸出比率の分布

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    10-90%点

    中央値

    年度

    (注)集計対象は大手行と地域金融機関。

    (資料)帝国データバンク

    図表2 企業ののれんの対純資産比率の分布

    (注)対象は上場企業。

    (資料)日本政策投資銀行

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    98 00 02 04 06 08 10 12 14 16 18

    95-99%点

    90-95%点

    75-90%点

    50-75%点

    年度

    図表3本邦金融機関の海外クレジット投資残高

    (注)集計対象は、大手行のほか、ゆうちょ銀行や

    一部の系統上部金融機関を含む。

    (資料)日本銀行

    (資料)日本銀行

    図表5 大手行の安定性ギャップ

    大手行の安定性ギャップ 海外クレジット投資を考慮した場合

    0.0

    0.2

    0.4

    0.6

    0.8

    1.0

    1.2

    16/3 17/3 18/3 19/3 19/9月

    兆ドル

    3.6%

    8.3%

    16.7%

    11.6%

    含む海外クレジット投資

    0.0

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    0.8

    1.0

    1.2

    10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20

    社債等

    中長期円投

    顧客性預金

    貸出金

    兆ドル

    -1.1%

    23.9%

    安定性ギャップ

    図表4 地域金融機関の投資信託残高の内訳

    (注)集計対象は地域銀行。取得原価ベース。凡例内の数

    字は、直近時点での構成比。直近は 2019 年 12 月

    末。

    (資料)日本銀行

    (注)1.「社債等」と「中長期円投」は、2012 年 3 月末までは 3 か月超、2012 年 6 月末以降は 1 年超の調達。

    2.左図における図中の計数は、貸出金に対するギャップの比率(2014 年 4 月末と 2020 年 2 月末)。

    3.右図の「含む海外クレジット投資」は、貸出金に海外クレジット投資を加算した残高。図中の計数は、貸出金(下線

    が付してある計数については貸出金に海外クレジット投資を加算した残高)に対するギャップの比率(2016 年 3 月

    末と 2019 年 9 月末)。

    4.集計対象は国際統一基準行。

    5.左図の直近は 2020 年 2 月末。右図の直近は 2019 年 9 月末。

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    その他(29%)

    不動産ファンド(16%)

    海外株系(2%)

    日本株系(17%)

    円金利系(2%)

    海外クレジット系(7%)

    海外金利系(26%)

    合計(100%)

    兆円

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    その他 CLO ハイイールド債 投資適格債

    兆円

    図表1 金融機関の低採算先貸出比率の分布

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    10-90%点

    中央値

    年度

    (注)集計対象は大手行と地域金融機関。

    (資料)帝国データバンク

    図表2 企業ののれんの対純資産比率の分布

    (注)対象は上場企業。

    (資料)日本政策投資銀行

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    95-99%点

    90-95%点

    75-90%点

    50-75%点

    年度

    図表3本邦金融機関の海外クレジット投資残高

    (注)集計対象は、大手行のほか、ゆうちょ銀行や

    一部の系統上部金融機関を含む。

    (資料)日本銀行

    (資料)日本銀行

    図表5 大手行の安定性ギャップ

    大手行の安定性ギャップ 海外クレジット投資を考慮した場合

    0.0

    0.2

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    1.0

    1.2

    16/3 17/3 18/3 19/3 19/9月

    兆ドル

    3.6%

    8.3%

    16.7%

    11.6%

    含む海外クレジット投資

    0.0

    0.2

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    社債等

    中長期円投

    顧客性預金

    貸出金

    兆ドル

    -1.1%

    23.9%

    安定性ギャップ

    図表4 地域金融機関の投資信託残高の内訳

    (注)集計対象は地域銀行。取得原価ベース。凡例内の数

    字は、直近時点での構成比。直近は 2019 年 12 月

    末。

    (資料)日本銀行

    (注)1.「社債等」と「中長期円投」は、2012 年 3 月末までは 3 か月超、2012 年 6 月末以降は 1 年超の調達。

    2.左図における図中の計数は、貸出金に対するギャップの比率(2014 年 4 月末と 2020 年 2 月末)。

    3.右図の「含む海外クレジット投資」は、貸出金に海外クレジット投資を加算した残高。図中の計数は、貸出金(下線

    が付してある計数については貸出金に海外クレジット投資を加算した残高)に対するギャップの比率(2016 年 3 月

    末と 2019 年 9 月末)。

    4.集計対象は国際統一基準行。

    5.左図の直近は 2020 年 2 月末。右図の直近は 2019 年 9 月末。

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    その他(29%)

    不動産ファンド(16%)

    海外株系(2%)

    日本株系(17%)

    円金利系(2%)

    海外クレジット系(7%)

    海外金利系(26%)

    合計(100%)

    兆円

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    16/3 17/3 18/3 19/3 19/9

    その他 CLO ハイイールド債 投資適格債

    兆円

    図表1 金融機関の低採算先貸出比率の分布

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    中央値

    年度

    (注)集計対象は大手行と地域金融機関。

    (資料)帝国データバンク

    図表2 企業ののれんの対純資産比率の分布

    (注)対象は上場企業。

    (資料)日本政策投資銀行

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    98 00 02 04 06 08 10 12 14 16 18

    95-99%点

    90-95%点

    75-90%点

    50-75%点

    年度

    図表3本邦金融機関の海外クレジット投資残高

    (注)集計対象は、大手行のほか、ゆうちょ銀行や

    一部の系統上部金融機関を含む。

    (資料)日本銀行

    (資料)日本銀行

    図表5 大手行の安定性ギャップ

    大手行の安定性ギャップ 海外クレジット投資を考慮した場合

    0.0

    0.2

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    0.6

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    1.0

    1.2

    16/3 17/3 18/3 19/3 19/9月

    兆ドル

    3.6%

    8.3%

    16.7%

    11.6%

    含む海外クレジット投資

    0.0

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    1.2

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    社債等

    中長期円投

    顧客性預金

    貸出金

    兆ドル

    -1.1%

    23.9%

    安定性ギャップ

    図表4 地域金融機関の投資信託残高の内訳

    (注)集計対象は地域銀行。取得原価ベース。凡例内の数

    字は、直近時点での構成比。直近は 2019 年 12 月

    末。

    (資料)日本銀行

    (注)1.「社債等」と「中長期円投」は、2012 年 3 月末までは 3 か月超、2012 年 6 月末以降は 1 年超の調達。

    2.左図における図中の計数は、貸出金に対するギャップの比率(2014 年 4 月末と 2020 年 2 月末)。

    3.右図の「含む海外クレジット投資」は、貸出金に海外クレジット投資を加算した残高。図中の計数は、貸出金(下線

    が付してある計数については貸出金に海外クレジット投資を加算した残高)に対するギャップの比率(2016 年 3 月

    末と 2019 年 9 月末)。

    4.集計対象は国際統一基準行。

    5.左図の直近は 2020 年 2 月末。右図の直近は 2019 年 9 月末。

    ファンドファンド

    クレジットクレジット

    (注)対象は上場企業。(資料)日本政策投資銀行

    (注)集計対象は大手行と地域金融機関。(資料)帝国データバンク

    (注) 集計対象は地域銀行。取得原価ベース。凡例内の数字は、直近時点での構成比。直近は2019 年12 月末。

    (資料)日本銀行

    (注) 集計対象は、大手行のほか、ゆうちょ銀行や一部の系統上部金融機関を含む。

    (資料)日本銀行

    年度

    年度

  • 18NICHIGIN 2020 NO.62

    外貨調達の不安定化である。近年、

    金融機関は、海外貸出・有価証券投

    資を積み増すとともに、顧客性預金

    などの安定調達基盤を拡充してきて

    いるが、なお市場調達に依存する部

    分は小さくない(図表5)。外貨調達

    の不安定化は、海外投融資の巻き戻

    し等を通じて、海外関連損益の悪化

    につながる可能性がある。また、第

    二、第三の点にみられるように、海

    外とわが国の金融システム間でリス

    クの波及が生じやすくなっている。

     

    わが国の金融機関は、ここまでの

    ストレスを経てなお相応に強い耐性

    を備えているほか(図表6、7)、政府・

    日本銀行や海外当局の強力な政策対

    応が、今後も経済・金融両面から上

    記リスクの発現を抑止する方向に作

    用する。このため、金融安定は引き

    続き維持されると考えられるが、今

    後の情勢を予断なく点検していく必

    要がある。

     

    当面は、感染拡大が内外金融経済

    に大きなストレスを与えるもとで、

    金融機関は経営の健全性を保ちつ

    つ、金融仲介機能の円滑な発揮を通

    じて経済を支えていくことが課題と

    なる。感染収束後の局面では、企業

    の経営改善と経済回復を支援する役

    割が期待される。

     

    より長い目でみると、金融機関は、

    今回のショックによって生じ得る経

    済・企業行動の変化も含め、低金利

    の長期化や人口減少、企業部門の貯

    蓄超過といった構造課題への対応を

    改めて進めていく必要がある。国内

    預貸�