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ORGANO - jsim.or.jp · -8- 【装置種類】 現在、下記の4種類の電子部品洗浄用機能水製造装置を実用化し、用途に応じ装置 種類、および、溶存させるガス濃度や洗浄流量の選定を行っている。

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弊社では、①水回収率向上技術のための排水回収開発とともに、②省水型基板洗浄技術

の開発を鋭意行ってきている。現状の洗浄技術を調査し、前述の洗浄技術への要求に合致

し、将来的にも貢献し得る電子部品洗浄用水製造装置の開発を行い、「電子部品洗浄用機

能水製造装置(酸還王)」を開発し、1995 年に上市して以来、顧客等との使用方法検討を重

ねた結果、特に 2003 年頃から急速に普及し、2006 年末時点で 200 件を越す納入実績を得る

に至っている。

本申請装置に関わる開発の経緯を下記に時系列で記す。

1990 ・東北大学(大見忠弘教授)と「半導体高性能ウェットプロセス技術の研

究」を開始。(委託研究)

・旧来の半導体洗浄の課題(洗浄用超純水のクリーン度および洗浄能力

向上、洗浄効果と洗浄メカニズム、省エネ、資源有効活用等)について

基礎的な研究開発を開始。

・本研究は2006年度まで継続。2007年度も継続予定。

1994 ・オルガノにて、「洗浄用機能水製造装置の開発」開始。

・電解イオン水、水素水製造装置、オゾン水製造装置の開発に着手。

1995 ・上市。洗浄用機能水として発売開始。

1997 ・東北大大見教授指導に基づき、アルプス電気㈱と「TFT-LCD 分野のウ

ェット処理に関する共同開発」を開始。(開始当時は、アルプス電気とLG

電子合弁の研究開発会社、フロンテック㈱と共同開発実施。)

・TFT-LCD(液晶基盤)製造における洗浄技術への機能水の応用につい

て共同研究実施。

・本研究は1999年(H11)まで実施。

・水素水およびオゾン水製造装置 1 号機納入。

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LCD工場超純水使用量(m3/h; 100k/month)

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

3500

4000

4500

0 1 2 3 4 5 6 7

基板面積(m2)

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2001 ・東北大学未来科学技術共同研究センターに水素水製造装置納入。

・半導体洗浄における洗浄効果、省エネルギー効果に関して本格的な評

価を実施。

2005 ・オルガノの機能水製造装置として納入実績170件を超える。

前述の開発経緯の時系列においても記したとおり、本申請装置に関して以下の共同研究

を行った。これらの共同研究を通じ、ベースとなるオルガノ独自の超純水製造技術、超純水の

溶存ガス制御技術と、共同研究先との共同作業による、半導体・液晶製造における旧来の洗

浄の課題とメカニズムおよび水素水・オゾン水の洗浄効果についての評価確認により、実産業

に採用可能かつ汎用的な装置を実現するに至った。

【東北大学(大見忠弘教授)との共同開発】

① 研究内容:「半導体高性能ウェットプロセス技術の研究」(委託研究)

・ 旧来の半導体洗浄の課題(洗浄用超純水のクリーン度、洗浄効果と洗浄メカニズ

ム、省エネ、資源有効活用等)について基礎的な研究開発を開始。

・ 東北大学未来科学技術共同研究センターに水素水製造装置納入し、半導体洗

浄における洗浄効果、省エネルギー効果に関して本格的な評価を実施。

② 研究期間:1990年~2006年度まで継続。2007年度も継続予定。

【アルプス電気との共同開発】

① 研究内容:「TFT-LCD 分野のウェット処理に関する共同開発」

・ TFT-LCD(液晶基盤)製造における洗浄技術への機能水の応用について共同研

究実施。

・ 開始当時は、アルプス電気とLG電子の2社合弁の研究開発会社、フロンテック㈱と

共同開発実施。合弁解散後、研究成果はアルプス電気㈱に所属。

② 研究機関:1997年~1999年まで実施。

これらの開発経緯を通じ、以下の重要な知見と再現性ある技術、すなわち、超純水中の溶

存ガスの種類と濃度が、電子部品洗浄工程において、重要な影響を与えることを見出したこと

が、独自装置の開発の発端である。

2. 装置説明

開発、普及を図った装置は以下の通りである。

【基本構成】

・ 電子部品洗浄用の超純水中の溶存ガスの種類と濃度を制御することを目的とする。

・ 超純水中の溶存ガスの除去(脱気)および溶存ガス溶解を行う基本構成となっている。

・ 水素ガス溶解装置においては、水素ガス源として、洗浄用超純水の一部を電気分解し

て、水素ガスを発生させることで、特段の水素ガス供給源を供える必要がない。

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【装置種類】

現在、下記の 4 種類の電子部品洗浄用機能水製造装置を実用化し、用途に応じ装置

種類、および、溶存させるガス濃度や洗浄流量の選定を行っている。

・ 水素ガス溶解装置

・ オゾンガス溶解装置

・ 溶存ガス脱気装置

・ ガス溶解装置:窒素ガス溶解

0.1~2.0mg/Lの範囲で、溶存水素濃度を調整可能です。

アルカリ薬品供給設備内蔵により、ご希望のpHに調整可能です。

純水

水素水

水素ガス

脱気ポンプ

酸還王H 脱気装置内蔵&発生ガス圧制御

↓飽和溶解量以上の水素水を

供給することも可能!!

微量アルカリ薬品の添加により

↓  洗浄基板を痛めずに           微粒子除去効果アップ!!

機能水製造装置構成(1)機能水製造装置構成(1)  ~~広範囲な水素濃度と広範囲な水素濃度とpHpH値が調節可能値が調節可能~~

余剰水素ガスの発生ゼロ!オルガノ独自の装置構成により発生ガス、消費電力に一切の無駄がありません 。

Type-C型はAC100Vコンセントに差込むだけで使用可能です。

電解装置

PS

水素水

純水

「酸還王H」の構造は

オルガノのオリジナル商品です(特開平11-244677)

発生ガス圧力を一定に調整

↓消費ガス量のみ連続供給

酸還王H

機能水製造装置構成(2)機能水製造装置構成(2)          ~~省エネルギー設計省エネルギー設計~~

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3. 成果

(1) 性能

安全対策としては、水素ガス溶解装置において水素ガス検知器、オゾンガス用会装置に

おいては酸化性ガス検知器を備えている。また、クリーンルーム内に設置するケースが多い

ため、漏水検知器は通常仕様として供えている。

また、同等の洗浄効果を得るために使用する洗浄水量、洗浄時間とも、従来の洗浄用超

純水と比較して、1/2以下となることを確認した。

水素水供給 アンモニア添加 脱気(オプション) 水質計(オプション)

組込み型5L/min ○ 外付け 外付け 外付け組込み型15L/min ○ 外付け 外付け 外付け単独型15L/min ○ ○ 内蔵可 内蔵可単独型40L/min ○ ○ 内蔵可 内蔵可カスタム ○ 内蔵可 内蔵可 内蔵可

ベーシックなものからカスタム品まで、全てのお客様のご要望に応えられる商品を揃えています。

機能水製造装置(水素ガス溶解装置)機能水製造装置(水素ガス溶解装置)          ~~商品ラインナップ商品ラインナップ~~

機能水・省液洗浄ノズルによる省エネ・省資源効果機能水・省液洗浄ノズルによる省エネ・省資源効果

単一プロセスでの効果単一プロセスでの効果

純水使用量 薬品使用量 エネルギー消費(*)

従来洗浄   100   100   100機能水洗浄    50    10     50

水処理・ウェット全体での効果水処理・ウェット全体での効果 

(全ウェットプロセスの50%を機能水使用した場合)

純水使用量 薬品使用量 エネルギー消費(*)

従来洗浄   100   100   100機能水洗浄    75   55     75

(*)エネルギー消費比較は、純水削減量部分のみで比較。

   実際には、薬品削減量、排気削減量、洗浄室温化による加熱用電力削減による効

   果が見込める。

単一プロセスで50%、水処理全体でも25%程度の省エネが期待できる

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【省エネ・省資源効果試算例】

従来の超純水使用量:300m3/h × 24h/d = 7200m3/dの中規模半導体製造

工場を想定し、純水製造にかかわる経費の比較を行った。

純水使用量削減効果ランニングコスト比較表

従来洗浄(超純水 300m3/h)機能水洗浄(超純水 225m3/

h)

大項目 小項目 単価 使用量 費用(円/d) 使用量 費用(円/d)

電力 15 円/kwh 15,000kwh/d225,000 7,500kwh/d 112,500

蒸気 5 円/kg 55,000kg/d 275,000 27,500kg/d 137,500

冷水 15 円/m3 500m3/d 7,500 250m3/d 3,750

工業用水 60 円/m3 2,400m3/d 144,000 1,200m3/d 72,000

N2 ガス 10 円/m3 600m3/d 6,000 300m3/d 3,000

ユーティリティー

小計 - - 657,500 - 328,750

消耗品 小計※ - - 300,000 - 150,000

薬品 小計 ※※

- - 85,000- 42,500

合計 - - - 1,042,500 - 521,250

※ :樹脂、RO 膜、UF 膜、脱気膜、フィルター、UV ランプ等

※※ :塩酸、苛性ソーダ、PAC、分散剤等

注 :本費用削減試算においては装置建設費やその償却費は含まれていない。

上記のように酸還王の導入で機能水洗浄を行うと相当の費用削減効果が見込める。ち

なみに電力と蒸気のユーティリティー費用の中に占める割合は 74%、全体費用に占める割

合は 48%となっている。

また上記試算と同等規模の半導体工場は日本で約50工場存在する。一方 LCD 工場数

は50よりは少ないが、各工場での水使用量が多いため水使用量合計では半導体工場と同

等規模になると推定される。すなわちこれらの工場で機能水洗浄を導入すると大幅な省エ

ネルギー、省資源が見込める。

図に機能水洗浄による微粒子除去効果を従来型の超純水+超音波(DIW+MS)との比

較で示す。すなわち微粒子除去率を同程度まで行う為には機能水洗浄によれば大幅に時

間が短縮でき、結果として超純水使用量の大幅削減が可能であることがわかる。

3332323

3296407

3409849

3296405

3590470 H08-072175

H08-237294

2000-352815

H08-303626

H08-303627

H10-166695

H09-264545

H10-032254

H10-063990

H10-188539

・同一電解セルで発生したオゾンガスと水素ガスをそれぞれ純水に溶解した、オゾン水、水素水を用いて洗浄する洗浄方法および洗浄装置

・水素ガスを溶解した洗浄液をアルカリ性に調整して用いる洗浄方法および装置・水素ガスを溶解した洗浄液を用いる洗浄をおこなうための水素水製造装置

・水素ガスを溶解した洗浄液を酸性に調整して用いる洗浄方法および装置・オゾンガスを溶解した洗浄液をアルカリ性に調整して用いる洗浄方法および装置・洗浄に用いる純水に、有用なガスを大気圧以上の圧力で溶解する、ガス溶解水製造方法及び装置

・純水にガスを溶解した後、イオン交換樹脂を通水することで、pH調整を行う、洗浄水製造装置。

・超純水製造システム末端に、洗浄に有用なガスを大気圧溶解するガス溶解システムを設置した、洗浄水製造装置。

・純水にガスを溶解する部分に、ガス透過膜モジュールを用い、ガス透過膜のガス側の圧力を常時検知、かつ、ガス圧の制御を行うことにより、純水中のガス濃度を制御する、洗浄水製造装置。

・純水にオゾンガスを溶解した際に副次的に生成する微量の過酸化水素(H2O2; 溶存オゾンの分解を促進する原因物質)を除去することを特徴とする、オゾン水製造方法および製造装置。

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(3) 維持管理

溶存ガスの制御は、脱ガス(ガス透過膜モジュールと真空ポンプ)、ガス溶解(ガス透過膜

モジュールとガス源)によって構成されており、特段の複雑な操作は必要としない。

(4) 経済性

溶存ガス制御を行わない場合との経済的な比較配下の通りである。

① 同等の洗浄効果を得るのに必要な所用時間・水量が1/2以下とすることが可能。

② 原料としての洗浄用水製造コストが単位洗浄量あたり1/2以下とすることが可能。

③ 単位時間あたりの洗浄量を2倍以上とすることが可能。

(5) 将来性

大型ディスプレイ産業、半導体デバイス産業のほか、ガラス、半導体ウェハ、ハードディス

ク基板といった素材産業においても、洗浄の必要な電子部品は増大すると見られている。

電子部品洗浄の、効率化(洗浄効果・使用水量削減・洗浄時間短縮)に貢献する技術

を提供する装置と位置付けられる。

(6) 独創性

本装置の独創性について記す。

① 電子部品洗浄用超純水中の溶存ガスの種類・濃度が、洗浄効果に影響を与えるこ

とを見出したこと。

② その知見を元に、新しい洗浄手法を提供し得たこと。

(7) 今後の規制に対する対応策

地球温暖化防止に伴うCO2 排出規制に対応する為の設備として有効と考える。

4. 応用分野

本装置は、電子産業を用途業界として開発してきたものであるが、洗浄工程は、機械産業、

建設産業、食品加工産業等、様々な業種において汚染除去や殺菌等を目的として重要な工

程であり、応用範囲は広いと考えられる。

その際、洗浄用水中に、薬剤や化学洗浄剤を用いるのではなく、溶存ガスを制御すること

で洗浄効果を高める本技術の応用により、廃液の削減、洗浄用水量の削減といった、環境面

での効果が期待できる。

5. 第1号分野

(1) 装置の仕様

水素ガス溶解装置(半導体基板および半導体デバイス洗浄用途)

・ 洗浄用水流量 2.4m3/h × 2基

・ 溶存水素濃度 1.3ppm

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(2) 装置の納入先

東北大学未来社会産業研究館 (現 東北大学未来社会情報産業研究館)

(3) 納入時期

2001年8月

(4) 稼働状況

2007年1月現在継続稼動中

(5) トラブル発生の有無

特になし