11
聖マリアンナ医科大学雑誌 Vol. 45, pp. 149–159, 2017 1 聖マリアンナ医科大学大学院医学研究科 遺伝子多型機能解析学 2 聖マリアンナ医科大学 難病治療研究センター UBE3B UBE3C はユビキチン-プロテアソーム系を介して 細胞増殖を機能的に制御する つる とも 1 くま とし 1 おか 2 (受付:平成 29 7 20 ) 生体内の恒常性維持には細胞内のタンパク質量の適切な制御が必須であるユビキチン-プ ロテアソーム系によるユビキチン化タンパク質の標的特異的な分解機構は主要な機構の一つ である一方でプロテアソーム機能の異常亢進はがん細胞の増殖や生存と密接に関連するた その制御機構の解明はプロテアソーム阻害剤を用いたがん治療の基盤として重要であるそこで我々はプロテアソーム制御因子 UBE3Cおよび UBE3C と相同性の高い UBE3B に着 目した両因子はプロテアソーム制御による細胞増殖への関与が予測されるがその全貌は不 明であった本研究により UBE3B が細胞増殖に必須であることが示唆されたUBE3B の細 胞内機能はこれまで未知であったがUBE3B によるプロテアソーム構成因子との共局在やユ ビキチンの異常蓄積凝集の抑制が示されUBE3B による適切なプロテアソーム制御が細胞 増殖に関与することが示唆されたまたUEB3B UBE3C は共局在しておりUBE3B の発 現低下による増殖低下が UBE3C の発現低下によりわずかに改善されることが示された以上 からUBE3B の細胞増殖能が UBE3C による制御を受ける可能性が示唆された今後両因子群の発現パターンとプロテアソーム機能との関連を明確にすることでプロテ アソーム阻害剤感受性における両因子群のバイオマーカーとしての役割が期待される索引用語 UBE3BUBE3Cユビキチン-プロテアソーム細胞増殖タンパク分解 生体内の恒常性の維持には細胞内タンパク質の適 切な品質管理が必要不可欠であるこの仕組みとし てユビキチン-プロテアソーム系 (Ubiquitin protea‐ some system: UPS) が挙げられユビキチン化タン パク質群を選択的に分解して細胞増殖分化生存 など多様な細胞内機能を発揮する 1) 例えば細胞周 期因子の多くはタンパク分解を介して時空間的な制 御を受けている 2) また合成不良タンパク質群や変 性タンパク質群も UPS による分解の標的であり解された基質は新たなアミノ酸の供給源としてタン パク質代謝に寄与することが知られている 3) UPS における巨大な分解装置である 26S プロテアソーム 2.5 MDa のタンパク質複合体であり20S ロテアソームとその両端に位置する 19S プロテア ソームから構成される 4) ユビキチン化分解基質は 19S プロテアソームのユビキチン受容体群 (ADRM1 および Rpn10) で補足されATPase による変性の後 20S プロテアソームにて分解される 5) これらの プロテアソーム機能の破たんはタンパク分解不全を 伴う多岐にわたる細胞内機能の停止を引き起こす7 149

UBE3B UBE3C はユビキチン-プロテアソーム系を介して 細 …igakukai.marianna-u.ac.jp/idaishi/www/453/45-3-01Tsuruga...多いものの,近年,Ubiquitin protein

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Page 1: UBE3B UBE3C はユビキチン-プロテアソーム系を介して 細 …igakukai.marianna-u.ac.jp/idaishi/www/453/45-3-01Tsuruga...多いものの,近年,Ubiquitin protein

原 著 聖マリアンナ医科大学雑誌Vol. 45, pp. 149–159, 2017

1 聖マリアンナ医科大学大学院医学研究科 遺伝子多型・機能解析学

2 聖マリアンナ医科大学 難病治療研究センター

UBE3Bと UBE3Cはユビキチン-プロテアソーム系を介して細胞増殖を機能的に制御する

敦つる

賀が

智とも

子こ

1 熊くま

井い

俊とし

夫お

1 岡おか

田だ

麻ま

衣い

子こ

2

(受付:平成 29 年 7 月 20 日)

抄 録生体内の恒常性維持には細胞内のタンパク質量の適切な制御が必須である。ユビキチン-プ

ロテアソーム系によるユビキチン化タンパク質の標的特異的な分解機構は,主要な機構の一つである。一方で,プロテアソーム機能の異常亢進はがん細胞の増殖や生存と密接に関連するため,その制御機構の解明はプロテアソーム阻害剤を用いたがん治療の基盤として重要である。そこで我々は,プロテアソーム制御因子 UBE3C,および UBE3C と相同性の高い UBE3B に着目した。両因子はプロテアソーム制御による細胞増殖への関与が予測されるが,その全貌は不明であった。本研究により UBE3B が細胞増殖に必須であることが示唆された。UBE3B の細胞内機能はこれまで未知であったが,UBE3B によるプロテアソーム構成因子との共局在やユビキチンの異常蓄積・凝集の抑制が示され,UBE3B による適切なプロテアソーム制御が細胞増殖に関与することが示唆された。また,UEB3B と UBE3C は共局在しており,UBE3B の発現低下による増殖低下が UBE3C の発現低下によりわずかに改善されることが示された。以上から,UBE3B の細胞増殖能が UBE3C による制御を受ける可能性が示唆された。

今後,両因子群の発現パターンとプロテアソーム機能との関連を明確にすることで,プロテアソーム阻害剤感受性における両因子群のバイオマーカーとしての役割が期待される。

索引用語UBE3B,UBE3C,ユビキチン-プロテアソーム,細胞増殖,タンパク分解

緒 言

生体内の恒常性の維持には細胞内タンパク質の適切な品質管理が必要不可欠である。この仕組みとしてユビキチン-プロテアソーム系 (Ubiquitin protea‐

some system: UPS) が挙げられ,ユビキチン化タンパク質群を選択的に分解して細胞増殖・分化・生存など多様な細胞内機能を発揮する1)。例えば,細胞周期因子の多くはタンパク分解を介して時空間的な制

御を受けている2)。また,合成不良タンパク質群や変性タンパク質群も UPS による分解の標的であり,分解された基質は新たなアミノ酸の供給源としてタンパク質代謝に寄与することが知られている3)。UPS

における巨大な分解装置である 26S プロテアソームは,約 2.5 MDa のタンパク質複合体であり,20S プロテアソームとその両端に位置する 19S プロテアソームから構成される4)。ユビキチン化分解基質は19S プロテアソームのユビキチン受容体群 (ADRM1

および Rpn10) で補足され,ATPase による変性の後に 20S プロテアソームにて分解される5)。これらのプロテアソーム機能の破たんはタンパク分解不全を伴う多岐にわたる細胞内機能の停止を引き起こす。

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さらに,異常蓄積したユビキチン化分解基質は,核あるいは細胞質で不溶性の凝集体を形成して細胞毒性を発揮する6)。また,凝集体の形成はユビキチンの供給不足を引き起こすため,細胞内の新たなユビキチン化反応を阻害する。このように,プロテアソーム機能不全は多段階的に細胞機能を阻害する。興味深いことに,多くのがん細胞ではプロテアソーム機能に依存した細胞増殖や生存能を獲得しており,プロテアソーム阻害剤は有効な分子標的薬として成功を収めている7)。一方で,プロテアソーム阻害剤への耐性機構の獲得や他のがんへの適応拡大は今後の重要な課題であり,プロテアソーム制御機構の解明は,新たな阻害剤の開発や,プロテアソーム阻害剤感受性のバイオマーカーの確立へとつながることが期待される8)9)。

プロテアソームの制御機構については不明な点が多いものの,近年,Ubiquitin protein ligase E3C

(UBE3C) が新たなプロテアソーム制御因子として機能することが着目されている。UBE3C は C 末端にHECT ドメインを有する HECT 型ユビキチン E3 リガーゼであり,K29 および K48 連結型ユビキチン鎖(K29-Ub, K48-Ub) を形成することが知られている10)11)。UBE3C は特異的な基質のユビキチン化に加えて12–14),プロテアソーム上の基質のユビキチン鎖を伸長する E4 リガーゼとしての機能を有することが報告されている15)16)。一方で,阻害剤などによるプロテアソーム機能不全の際にはプロテアソーム構成因子 ADRM1 や Rpn10 に K29-Ub を付加して分解基質の補足機能を阻害することが報告されている13)。このように,UBE3C はプロテアソームの正の制御因子であると同時に,刺激依存的なプロテアソーム抑制因子として働く二面性を有したユビキチン E3

リガーゼである。興味深いことに,病理学的知見から UBE3C の発現亢進とがんの増殖・転移との関連が多数報告されており,がんの増悪における UBE3C

のプロテアソーム制御能の位置付けを明確にすることは,プロテアソーム阻害剤感受性群や耐性群を選別するバイオマーカー確立の基盤となることが期待される14)18–20)。

本研究では,がん増悪を担うプロテアソーム制御因子の候補として HECT 型ユビキチン E3 リガーゼ群に着目し,がん細胞におけるプロテアソーム制御と細胞増殖との関連を検討した。その主要因子として UBE3C と 相 同 性 の 高 い UBE3B を 見 出 し,

UBE3B の発現低下は顕著なプロテアソーム不全および細胞増殖の不全を引き起こすことが示唆された。さらに,これらの UBE3B の発現低下に伴う増殖不全は,UBE3C により助長されており,両因子の発現バランスが細胞増殖に重要であることが示唆された。

材料および方法

① 細胞培養ヒト骨肉腫細胞株 U2OS は ATCC (American type

culture collection, Manassas, USA) より購入し,D-

MEM (044-29765, WAKO, Osaka, Japan) に,10%

Fetal Bovine Serum (10437-028, Thermofisher SCI‐

ENTIFIC, Waltham, USA ), 1% Antibiotic-Antimy‐

cotic (15240062, Thermofisher SCIENTIFIC, Wal‐

tham, USA) を加えた培養液中で 37 度,5% CO2 にて培養した。

② siRNAの導入対数増殖期の U2OS 細胞に,Lipofectamin RNAi‐

MAX (13778030, Thermofisher SCIENTIFIC, Wal‐

tham, USA) を用いて siRNA を導入し,72 時間培養後に各種解析を行った。使用した siRNA は次の通りである。 siUBE3C:D-007183-01-0050, Dharmacon

(Lafayette, USA ); siUBE3B:10620312, Invitrogen

(Carlsbad, USA); siControl: AM4635, Ambion (Aus‐

tin, USA)。

③ ウエスタンブロットU2OS 細胞を SDS sample buffer にて溶解後,超音

波破砕を行い,細胞抽出液を作成した。細胞抽出液を SDS-PAGE に供し,次の抗体を用いてウエスタンブロットにより目的タンパク質を可視化した。一次抗体: 抗 UBE3C 抗体13),抗 UBE3B 抗体 (HPA041012,

SIGMA, St. Louis, USA ),抗 Actin 抗体 (A5441,

SIGMA, St. Louis, USA),二次抗体: ペルオキシダーゼ標識抗マウス IgG (GE Helthcare, Little Chal‐

font, UK),ペルオキシダーゼ標識抗 HRP IgG (GE

Helthcare, Little Chalfont, UK)。

④ 蛍光免疫染色U2OS 細胞を,3% PFA-2% sucrose-PBST にて氷

上で固定し,0.5 %Triton-X-PBST にて膜透過処理を行った。50%ブロックエース-PBST (UKB40,DS

8

敦賀智子 熊井俊夫 ら150

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ファーマバイオメディカル,Osaka,Japan) にてブロッキング後,各種抗体を用いて抗体反応を行った。同宿主の抗体での共染色には Zenon Labeling Kits

(Z25305, Thermofisher SCIENTIFIC, Waltham, USA)

を用い,細胞核は DAPI (PK-CA707-40042, Promo‐

kine, Heidelberg, Germany) にて染色した。退色防止剤で封入し,共焦点レーザー顕微鏡 (LSM510, Carl

Zeiss, Oberkochen, Germany) および蛍光顕微鏡 (BI‐

OREVO BZ-X700, KEYENCE, Osaka, Japan) を用いて観察した。使用した抗体は次の通りである。一次 抗 体 は Canget signal immunostain solution A

(NKB-501, TOYOBO LIFE SCIENCE, Osaka, Ja‐

pan),二次抗体は 50%ブロックエース-PBST にて希釈した。一次抗体: 抗 UBE3C 抗体 13),rabbit; 抗UBE3B 抗 体 (HPA041012, SIGMA, St. Louis,

USA ),rabbit; 抗 K48 抗体 (05-1307, Millipore,

Billerica, USA),rabbit; 抗 ADRM1 抗体 (BML-

PW9910, Enzo Life Sciences, Farmingdale, USA),rabbit,二次抗体: Alexa Fluor 488 (A11034, Ther‐

mofisher SCIENTIFIC, Waltham, USA)。

⑤ 細胞周期解析U2OS 細胞を 70%エタノールにて氷上で固定後,

0.05 μg /μl-PI /0.1 μg /μl-RNase-PBS 溶液を加えて核染色および RNA 分解処理を行った。各細胞のDNA 含有量を FACSCalibur (BD Bioscience, Frank‐

lin Lakes, USA) で測定した。その情報をもとに,Cell Quest (BD Bioscience, Franklin Lakes, USA) を用いてヒストグラムを作成し,細胞周期を解析した。

⑥ 細胞増殖能解析U2OS 細胞の細胞数を EVE automatic cell counter

(EVE-MC, Nanoentech, Seoul, Korea) で計測した。また,同細胞を 96well プレートに播種し,時系列を追って CellTiter-Blue Cell Viability Assay kit (Prom‐

ega, Madison, USA) に供し,Varioskan LUX (Ther‐

mofisher SCIENTIFIC, Waltham, USA ) で 蛍 光(560 nm /590 nm) を測定した。各測定値を 24 時間後の平均値で補正し,細胞増殖能を解析した。4 日目における各測定値は,Student-T 検定を用いた両側検定を行った。

⑦ Aligment解析hUBE3C (Q15386),hUBE3B (Q7Z3V4) のアミノ

酸配列を CLUSTALW の Multiple Sequence Align‐

ment (http://www.genome.jp/tools-bin/clustalw) に供して相同性を計算した。 また,hUBE3C (Q15386)

の 1-743 ア ミ ノ 酸 残 基 を Protein Blast (https://

blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgi?PAGE=Proteins ) に供して,ヒトデーターベース Uniprot より相同性を有するタンパク質を検索した。

結 果

1.UBE3Cはプロテアソームと共局在するが細胞増殖には寄与しない

UBE3C は N 末端に IQ motif,C 末端に HECT ドメインを有するユビキチン E3 リガーゼである (図1A)。UBE3C は N 末端でプロテアソームと相互作用して,プロテアソーム上の分解基質に対して E4

リガーゼの役割を果たすことが報告されている15)16)。このように,UBE3C はプロテアソームの正の制御因子であるため,プロテアソーム制御を介した細胞増殖を担う可能性が予測される。そこで,プロテアソームと UBE3C の細胞内局在を確認し,細胞増殖に対する UBE3C の影響を検討した。プロテアソーム阻害剤感受性を示し,かつ核内因子群の顕微鏡観察に適した細胞株として,ヒト骨肉腫由来 U2OS 細胞株を用いた。その結果,UBE3C は核全体に細やかなスペックルとして存在し,プロテアソーム構成因子 ADRM1 と部分的に共局在することが示された(図 1B)。続いて,siRNA を用いて UBE3C の発現を低下させた細胞を用いて (図 1C),UBE3C の細胞増殖能を検討した。その結果,予想に反して,UBE3C

の発現低下細胞では顕著な細胞増殖能の変化は観察されなかった (図 1D)。

2.UBE3Bはプロテアソームと共局在する細胞増殖因子である

そこで,UBE3C と同じく HECT ファミリーに属する UBE3B に着目した。UBE3B はそのドメイン構造からユビキチン E3 リガーゼとして機能することが推測されている (図 2A)。一般に,HECT ファミリーの N 末端領域は基質特異性を規定する各因子に特異的な領域であるため,ファミリー間での保存性が低いことが知られている。しかしながら UBE3C

の N 末端領域を用いてデーターベース検索を行ったところ,当該領域と高い相同性を有する唯一のタンパク質として,UBE3B が存在することが明らかと

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UBE3B と UBE3C による増殖制御機構 151

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A

TCEHQI CN

45 .a.a3801447471

hUBE3C (Ubiquitin protein ligase E3C)

B

C

siC

TR

Actin

UBE3C

siU

BE3C

D

UBE3C ADRM1 MergedDAPI

siCTR siUBE3C

0

1

2

3

5

6

4

0 day 3 days

Fold

cel

l pro

lifer

atio

n ra

te

図 1 UBE3C はプロテアソームと共局在するが細胞増殖には寄与しないA) UBE3C のドメイン構造。B) UBE3C は ADRM1 と核内で一部共局在を示す。抗 UBE3C

抗体及び抗 ADRM1 抗体,DAPI を用いて蛍光免疫染色を行った。C) UBE3C のノックダウン効率の確認。U2OS 細胞に UBE3C に対する siRNA を処理し,三日後にウエスタンブロッティングを行った。D) UBE3C の発現低下では細胞増殖の低下はみられない。siRNA 処理細胞の細胞数を計測し,siRNA 処理時の細胞数を基準とした細胞数の相対変化を表記した。

なった。一方で UBE3B を除く他の HECT ファミリータンパク質および他のタンパク質は検出されなかった。Alignment 解析により,UBE3B の全長はUBE3C に対して 46.1%と高い相同性を有しており,HECT ドメインは 67.3%,IQ ドメインは 53.3%,両ドメイン間の配列も 35.7%の相同性を有することが示された (図 2B)。これらの領域において UBE3C とUBE3B の相同性が高いことより,細胞内で両因子が同様の役割を果たすことが推測される。特に,UBE3C の N 末端領域はプロテアソームとの相互作用を担うため9),UBE3B も UBE3C と同様にプロテアソーム制御に関与する可能性が考えられる。そこでまず,UBE3B の細胞内局在および細胞増殖への影響を検討した。その結果,UBE3B は核内および核小体と思われる領域でスペックルを形成して局在することが示された (図 2C)。また,これらの領域でプロテアソーム構成因子 ADRM1 と共局在を示すことが明らかとなった (図 2D)。この結果から,UBE3B

は UBE3C と同様にプロテアソームと局在し,その制御に関与する可能性が示唆された。続いて,siRNA

を用いて UBE3B が細胞増殖に与える影響を検討し

た (図 2E および F)。その結果,UBE3B の発現低下は顕著な細胞増殖不全を呈することが示された。

3.UBE3Bの発現低下は分解基質の異常蓄積を引き起こす

UBE3B と UBE3C のいずれもプロテアソームと局在することと,両因子の相同性の高さを踏まえると,UBE3B が UBE3C の機能を一部代替する可能性が推測された。そこでまず両因子の共局在を検討したところ,UBE3B と UBE3C は核内で共局在することが明らかとなった (図 3A)。また,両因子ともプロテアソームと局在することを踏まえると (図 1B

および図 2D),両因子はプロテアソーム制御に関して機能代替する可能性が考えられた。そこで,プロテアソームによる分解シグナルとして機能する,K48-Ub の蓄積を指標に,UBE3B および UBE3C がプロテアソームのタンパク分解能に与える影響を検討した。その結果,UBE3C の発現低下細胞では,コントロールと比較して主に核および細胞質でのK48-Ub の増加が認められた (図 3C および D-a-c)。一方,UBE3B の発現低下では,UBE3C と同様に

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敦賀智子 熊井俊夫 ら152

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A

TCEHQI CN

28 .a.a8601596051

hUBE3B (Ubiquitin protein ligase E3B)

C UBE3B degreMIPAD

siCTR

Actin

UBE3B

siUBE

3B

E

0 day

UBE3B degreM1MRDAD

Region (a.a) 1-44

45-74

75-743

744-1083

1-1083

Domain - IQ - HECT -

Homology (%) 40.9 53.3 35.7 67.3 46.1

F

0

1

0.5

1.5

2.0

2.5

0 day 3 days

siCTR siUBE3B

Fold

cel

l pro

lifer

atio

n ra

te

図 2 UBE3B はプロテアソームと共局在する細胞増殖因子であるA) UBE3B のドメイン構造。B) UBE3B は UBE3C と高い相同性を示す。CLUSTALW を用いて各タンパクのアミノ酸配列の Aligment 解析を行った。C) UBE3B は核内に局在する。抗 UBE3B 抗体と DAPI で蛍光免疫染色を行った。D) UBE3B と ADRM1 は核内で共局在を示す。抗 UBE3B 抗体と抗 ADRM1 抗体を用いて蛍光免疫染色を行った。細胞核は DAPI

にて染色した。E) UBE3B のノックダウン効率の確認。siRNA 処理 U2OS 細胞を用いてウエスタンブロッティングを行った。F) UBE3B の発現低下は細胞増殖の低下を引き起こす。各 siRNA 細胞の細胞数を計測し,siRNA 処理時の細胞数を基準とした細胞数の相対変化を表記した。

K48-Ub が増加することに加え,プロテアソーム機能不全に特徴的な分解基質の凝集体25)を細胞質で形成し,タンパク分解不全を呈することが示された (図3C および D-d)。一方で,UBE3B と共に UBE3C を発現低下させた細胞では,UBE3B の発現低下細胞に比し K48-Ub の凝集体の程度が減少して細胞内全体での蓄積が認められた (図 3C および D-e-f)。従って,UBE3C の機能は UBE3B で代替されておらず,UBE3B の機能不全を助長する傾向にあることが示唆された。

4. UBE3Cは UBE3Bの発現低下によるタンパク分解不全および増殖不全を助長する

最後に,細胞増殖を指標に両因子の関連性について検討した (図 4)。siRNA 処理にて各種因子の発現

を低下させた細胞を再播種し,日数を追って細胞増殖の変化を検討した (図 4A)。その結果,UBE3B の発現低下細胞は細胞増殖を示さず細胞の生存が低下することが示された。また,UBE3B と UBE3C を共に発現低下させた細胞も増殖を示さないものの,UBE3B 単独の発現低下と比較して,細胞の生存が回復傾向にあった。従って,当初の仮説と異なりUBE3B は UBE3C の機能代替をしないだけでなく,UBE3C は UBE3B の発現低下による増殖不全を助長することが示された。そこで,FACS を用いて細胞周期解析を行うことにより両因子の作用点を検討した。その結果,UBE3B の発現低下細胞では,コントロールと比較して細胞周期の G2/M 期が増加し,G1 期が減少することが示された。図 4A における細胞増殖への影響を加味すると,UBE3B の発現

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UBE3B と UBE3C による増殖制御機構 153

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図 3 UBE3B の発現低下は分解基質の異常蓄積を引き起こすA) UBE3C,UBE3B は,核内で一部共局在を示す。U2OS 細胞を用いて抗 UBE3C 抗体と抗 UBE3B 抗体,DAPI を用いて蛍光免疫染色を行った。B) UBE3C,UBE3B のノックダウン効率の確認。U2OS 細胞に UBE3C,UBE3B に対する siRNA を共に処理してウエスタンブロッティングを行った。C) UBE3C 及び UBE3B の発現低下はユビキチン化タンパク質の蓄積・凝集を引き起こす。siRNA 処理細胞を用いて抗 K48-Ub 抗体,DAPI で蛍光免疫染色を行った。D) 図 3C における各 siRNA 処理細胞の代表的な写真 (a-f)。

低下細胞では細胞周期が G2/M 期に停滞することが示された。プロテアソーム阻害剤が G2/M 期への停滞を引き起こすことや26)27),UBE3B の発現低下がプロテアソーム機能不全様のタンパク分解不全を示すことを踏まえると (図 3C および D),UBE3B はプロテアソーム制御を介して細胞増殖に寄与することが示唆された。一方で,UBE3B と共に UBE3C を発現低下させた細胞では,UBE3B のみの発現低下と比較して G2/M 期の低下と G1 期の増加が確認され,細胞周期の停滞が解除されることが示唆された。

以上,本研究では UBE3B が細胞増殖に必須の因子であり,その作用機構としてプロテアソーム制御を介したタンパク分解制御に関与することが示唆された。また,UBE3C は UBE3B の発現低下に伴うタンパク分解不全および細胞増殖不全を助長することが示された。

考 察

本研究ではヒト骨肉腫細胞株 U2OS を用いてUBE3C および UBE3B によるプロテアソームを介した細胞増殖への寄与を解析した。近年,プロテアソームは一定の割合で核内の構造物に局在することが明らかにされ21),核内プロテアソームと細胞増殖との関連が示唆されている22)23)。図 1B に示すようにUBE3C も核内に局在してプロテアソーム構成因子ADRM1 と共局在することが示され,UBE3C によるプロテアソーム制御と細胞増殖との関連が期待された。しかしながら,UBE3C の発現低下細胞は分解基質の異常蓄積を引き起こすものの (図 3C,D-b,

c),予想に反して細胞増殖能に影響を与えないことが示唆された (図 1D および図 4)。本研究ではこの理由として,分解基質の異常蓄積による増殖阻害を回

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敦賀智子 熊井俊夫 ら154

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図 4 UBE3C は UBE3B の発現低下によるタンパク分解不全と増殖不全を助長するA) UBE3B による細胞増殖能は UBE3C により調整される。各 siRNA 処理細胞を再播種し,翌日を一日目として,一,二,四日目,に細胞増殖能を測定した。cell titer blue を添加して2 時間後に,Varioskan LUX にて測定した。各細胞の測定値は,一日目の値で補正した (*0.05<P<0.1,** 0.01<P<0.05,*** P<0.01)。B) UBE3B は G2/M 期制御に必要である。各siRNA 処理細胞の細胞周期を FACSCalibur にて解析し,各細胞周期の割合を 100%積み上げ棒グラフにて表記した。

避する経路が存在する可能性に着目し,UBE3C と相同性の高い UBE3B に着目して解析を行った。UBE3B は UBE3C と同様に N 末端に IQ モチーフ,C 末端に HECT ドメインを有しており,HECT ファミリーに属する (図 2A)。一般に,HECT ファミリーの N 末端は基質特異性を担う保存性の低い領域であることを考えると24),3B と 3C が HECT ドメイン以外の領域で相同性が高いことは大変興味深い。本研究により,UBE3B の細胞内局在を初めて明らかにし,核および核小体と思われる領域にて ADRM1 と顕著な共局在を示すことを見出した (図 2D)。またUBE3B の発現低下細胞では K48-Ub の核内での蓄積に加え,細胞質での凝集体が散見された。これらの変化は,プロテアソーム阻害剤によるプロテアソーム機能不全の際の分解基質の挙動と酷似している25)。また,プロテアソーム阻害剤の添加では,G2/M 期の停止が起こるが26)27),図 4B で示す通り,UBE3B

の発現低下細胞でも同様の細胞周期の停止が認められている。以上を踏まえると,UBE3B は UBE3C と同じくプロテアソームの機能を正に制御している可能性が推測される。興味深いことに,近年,UBE3B

の線虫ホモログ OXI-1 がプロテアソーム機能に重要であることが分解基質レポーターを用いた実験系で示唆されている27)。UBE3B は OXI-1 と約 60%の相

同性を有することから,ヒト UBE3B も同様の機能を発揮すると考えられる。これらの制御機構は未知であるが,UBE3C と同様に,ユビキチン E3 リガーゼ活性を発揮してプロテアソーム制御を行うかは,今後の検討課題である。一方で,UBE3B は UBE3C

と異なり,細胞増殖に必須であることが示された。図 2F に示す通り,UBE3B の発現低下細胞は増殖をせずに,日を追って細胞の生存の低下が認められた(図 4A)。UBE3B の発現低下が細胞死を誘導するかについては今後更なる解析が必要であるが,UBE3B

のノックアウトマウスが胎生致死であることを考えると29),UBE3B は基本的な細胞増殖と生存に必須であると考えられる。今後は UBE3B の発現低下や機能不全が染色体不安定を引き起こす可能性や,UBE3B の発現亢進とがんの増殖能亢進との関連を明らかにする必要がある。また,UBE3B の機能不全は標的組織の細胞増殖・分化の異常を伴う Kauf‐

man Oculocerebrofacial 症候群の主要因であると報告されており21),本研究で見出した UBE3B の細胞増殖因子としての機能が関与するのか興味深い。

本研究では,当初の予測に反して,UBE3B はUBE3C の 機 能 を 代 替 し て お ら ず,UBE3B とUBE3C の両因子の発現低下細胞では,UBE3B のみの発現低下細胞と比較して細胞増殖は回復傾向にあ

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ることが示された。UBE3C の発現低下のみでは細胞増殖は亢進しないことから,UBE3C による細胞増殖抑制は UBE3B の機能不全の際に発揮されると言える。UBE3C の分子機能の知見を踏まえると17),UBE3B の発現低下によるプロテアソーム機能不全がシグナルとなり,UBE3C がプロテアソームに対する抑制因子として機能する可能性が考えられる。今後,UBE3C によるプロテアソーム抑制の指標となる ADRM1 のユビキチン化を検討し,分子機構の詳細を解析していく予定である。また,もう一つの分子機構として,UBE3C がプロテアソームリカバリーを抑制する可能性が挙げられる。プロテアソームリカバリーとは,プロテアソーム機能低下の際にNrf1 によりプロテアソーム遺伝子群が発現誘導されることで,細胞内のタンパク分解が正常に保たれる機構である30)。プロテアソームリカバリーは細胞内の恒常性を担う一方で,プロテアソーム阻害剤耐性獲得の主要因の一つであるため,その制御はがん治療の重要な課題となっている。今後,UBE3B および UBE3C の発現変動によるプロテアソームリカバリーの誘導を検討し,プロテアソーム阻害剤感受性との関連性を明らかにする予定である。特に,UBE3B 陰 性 か つ UBE3C 陽 性 細 胞 に く ら べ,UBE3B と UBE3C が共に陰性の細胞においてプロテアソーム阻害剤の感受性が低下するか大変興味深い。

最後に,がん治療の観点から,両因子群の重要性を議論する。プロテアソーム阻害剤は抗がん剤として有効であり,現在 Bortezomib と Carfilzomib が難治性多発性骨髄腫の治療薬として認可されている7)。これらの薬剤による細胞死の誘導機構は諸説あるが,Bortezomib は NFκB 阻害因子 IκB を蓄積させるため,細胞の生存が NFκB に顕著に依存した難治性多発性骨髄腫の細胞死を誘導すると考えられている31)。一方で,Bortezomib の奏効率は約 3 割であり,プロテアソーム阻害剤耐性機構の獲得が治療上大きな課題となっている7–9)。また,プロテアソーム阻害剤の認可は難治性多発性骨髄腫とマントル細胞リンパ腫のみであり,他のがん種への適応拡大が期待されている。これらを解決する上での共通の課題として,プロテアソーム機能を評価するバイオマーカーの開発が挙げられる。本研究で見出した UBE3B は恒常的なプロテアソーム促進因子であることが期待されるため,今後,(1) UBE3B の発現亢進に伴うプロテ

アソーム機能の亢進および (2) プロテアソーム阻害剤感受性との関係を検討し,プロテアソーム阻害剤感受性のバイオマーカーとしての有用性を解析予定である。また,プロテアソーム阻害剤耐性獲得を予測するバイオマーカーとして UBE3B と UBE3C の発現バランスを検討予定である。この耐性機構は未解明な点が多いが,UBE3B 陰性/UBE3C 陰性細胞では,UBE3B 陰性/UBE3C 陽性細胞と比較してプロテアソーム機能が回復する可能性が予測され,プロテアソーム阻害剤への耐性機構を有するかは大変興味深い。

以上,がん治療の観点から,UBE3B はプロテアソーム阻害剤感受性マーカーとして,UBE3C はプロテアソーム阻害剤耐性予測マーカーとしての可能性を秘めており,両因子の発現バランスを踏まえた治療戦略の基盤確立が今後の課題である。本研究では,UBE3C と UBE3B のがん細胞の増殖における分子機構を明らかにすることを目的とし,UBE3B

はプロテアソーム制御を介して細胞増殖能に寄与することを新たに見出した。今後,これらの因子群の発現パターンとプロテアソーム機能との関連を明確にすることで,プロテアソーム阻害剤感受性におけるバイオマーカーとしての役割が期待される。

結 語

本研究では,UBE3C と UBE3B のがん細胞の増殖における分子機構を明らかにすることを目的とし,UBE3B はプロテアソーム制御を介して細胞増殖能に寄与することを新たに見出した。今後,これらの因子群の発現パターンとプロテアソームとの機能的関連を明確にすることで,UBE3B および UBE3C

がプロテアソーム阻害剤の感受性や耐性を示すバイオマーカーとなる可能性が期待される。

謝 辞

本研究に多大なるお力添えを賜りました聖マリアンナ医科大学大学院付属先端医学研究施設 西川裕之氏,花木慎子氏,遺伝子多型・機能解析学 佐藤工先生,セドキーナ・アンナ氏,皆川貴美乃氏,品川文乃氏,吉江秀和氏,小田恵子氏,東京工科大学宇井彩子先生に深く感謝致します。

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1 Department of Pharmacogenomics, St. Marianna University Graduate School of Medicine2 Institute of Medical Science, St. Marianna University Graduate School of Medicine

Abstract

UBE3B and UBE3C Functionally Regulate Cell Proliferation

Through the Ubiquitin-proteasome System

Tomoko Tsuruga1, Toshio Kumai1, and Maiko Okada2

Proper regulation of intracellular protein levels is essential in maintaining cellular homeostasis. The ubiqui‐tin-proteasome system plays a central role in this regulation by degrading ubiquitinated-substrates in a target-specific manner. The abnormal enhancement of proteasomal activity in cancer tissues is closely related to cancercell proliferation or survival. Therefore, it is important that we elucidate the underlying mechanism as a basis forcancer treatments with proteasome inhibitors. Here, we focused on the proteasomal regulator UBE3C andUBE3B, another highly homologous protein. Although these factors have been hypothesized to contribute tocell proliferation through proteasome regulation, their exact roles are largely unclear. In this report, we showedthat UBE3B is required for cell proliferation. Although the cellular function of UBE3B is not known thus far, itis now clear that UBE3B co-localizes with the proteasome component in the nucleus and represses the aggrega‐tion or accumulation of ubiquitinated substrates. These results suggest that proper proteasomal regulation byUBE3B contributes to cell proliferation. In addition, UBE3B co-localizes with UBE3C, and the decreased pro‐liferation of depleted UBE3B was slightly canceled by the depletion of both proteins. Taken together, UBE3Cmay modulate the function of UBE3B in cell proliferation.

Going forward, it is imperative that we clarify the relationship between the expression pattern of these fac‐tors and proteasomal function. This will help to ascertain the role of these factors as potential proteasome inhibi‐tors in cancer therapy.

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