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2002

制限時間内で解く

【主張をつかむ】

ステップ1 最初の段落の 最初と最後を見る

最初:[主]ことばが [述]語と文法からなる

最後:[主]<語―文法>的ことば観は 

   [述]独我論的(注1自分…だけを絶対視)

   [述]他者とのかかわりが見えてこない

ステップ2 最後の段落の 最初と最後を見る

最初:この→指示語「この…」は前の段落を受けるので中止。

最後:a[主]ことばは [述]身体に根ざし

   b[主]ことばは [述]身体を越える

       ↓

      そうした(aとbの)両義を本性とする

ステップ3 最終段落を問う設問を見る

問6

 「本文の内容」を問うので、結論のある最終段落を聞いている。三つのステップで共通する語句を探すと

 他者とのかかわり40.3=③対話的にかかわり ④多くの人と出会い

 ことばは身体に根ざし…身体を越える44.7~8=⑥ことばが身体に根ざし…それを越えて

 筆者の主張の大枠は

1 ことばが語と文法からなるということば観は他者とのかかわりが見えないのでダメ。

2 ことばは身体に根ざし、身体を越える。

 というもの。正解候補もつかんだし、これで十分。これが大事。ここで退却して1行目にもどる。

問2{主張}{指}

 主張1は

「ことばが語と文法からなるということば観は、他者とのかかわりが見えないのでダメ。」

 また、傍線部の「この」は指示語なので、直前を見ると

 本質的な対話性に目を向ける視点が…抜け落ちている40.8

 以上をまとめると、傍線「このことば観」は次のような「ことば観」。

  aことばが語と文法からなる

  b他者とのかかわりが見えない

  c対話性に目を向ける視点がない

 選択肢と照合すると①~④は次のようにbcと矛盾する。

①[ことばは…対話から生まれ]×c[対話性ない]

②[他者との関係で機能]×b[他者とのかかわりが見えない]

③[かかわりで運用]×b[かかわりが見えない]

④[対話性を模索=探る]×c[対話性に目を向けない]

⑤は次のように本文を言い換えている。

b他者とのかかわりが見えない40.3

  ↓  かかわり=関係

 他者との関係が見えない

  ↓

⑤他者との関係から切り離し

 対話性に目を向ける視点が抜け落ちている40.8

  ↓

⑤対話性を喪失させている

 ⑤が「対話性に目を向ける視点を喪失」ならば本文の正確な言い換えだが、⑤「対話性を喪失させている」ではちょっと苦しい。でも、①~④のキズに比べれば許容範囲なので、⑤が正解。aがなくても正解。

問3{指}{早}

 傍線Bの前の指示語「そこ」は直前を受けるので、さかのぼって読むと、

 [主]ことばは

 [述1]現実の場面を離れ

 [述2]それだけで一つの世界

   [述2]の「それ」は直前を受けるので、「それ」=「ことば」

 すると

 [述2]ことばだけで一つの世界

 選択肢を見ると、[述2]の言い換えは②「ことばだけで独立した世界」と③「ことばだけで立ち上げた世界」。

 確認のため

 オシリから 読むとわかるよ お結論 

により、さかのぼって読むと、③が次のように本文と異なる。

③(原因)ことばが…私の身体に降り立つことで (結果) …

  ↓ネジマゲ

 (原因)書物で読んだ42.1…とき42.5 (結果)ことばは…一つの世界を立ち上げる42.6

[正解は 本文言い換え 作られる]ので、②を本文と照合すると、

 しっかり…情景を思い浮かべる42.4

   ↓

②その世界をありありと感じ取る

   現実の場面を離れ42.5

    ↓

②身体が実際に生きている現在とはまた別に

 よって正解は②。

 以下は解答後の整理。①⑤には

   それ(ことば)だけで(立ち上がる)一つの世界42.6

 がなく、④の「ことばによって換び起される想像の世界」は「だけ42.6+43.9」が抜け落ちているし、④「一致」が本文の「離れて」42.6と反対。

問4{問}

 設問文は「筆者の考え」に即した説明を求めている。筆者の考えとは、次のように問3の②。

 

[主]二重化…こそ [述]私が…確認しておきたいこと42.9

   ↓

 B世界の二重化42.6=問3②

 そこで、問3②の二つの要素

  a身体が実際に生きている現在とはまた別に

  bその(ことばだけの)世界をありありと感じ取る

 を本文と照合しておくと次のとおり。

a身体が実際に生きている現在とはまた別に

  雪…降っていない…雪景色も見えない42.16

  作者の生きてきた過程…を知らず43.5

bその世界をありありと感じ取る

  (雪の)世界が眼下に広がる43.1

  この歌は…一つの世界を立ち上げている43.6

 選択肢を見ると、①④⑤はaから「とはまた別に」を削除した誤答。

a身体が実際に生きている現在   とはまた別に

 ↓                   × 

①同世代の読者              同

④読者が作者の年齢を…共有したとき    共

⑤読者(自身)がかつて目にした       自身

 ②は次のように本文の一部を削除したヒッカケ。

 雪…降っていない…雪景色も見えない42.16

    ↓削除

 ②[       ]雪景色を知らない

 次のようにaを言い換えた③が正解。

 

a身体が実際に生きている現在 とはまた別に ※aの現在=今の時間と空間 

         ↓       ↓

③現在どのような環境にあるか にかかわらず ※③の現在=今の時間 環境=今の空間 

問5{早}

 傍線Dの直後の指示語「これ」は次のように傍線Dを受ける。

 D[主]ことばは [述]身体の世界に根ざしている

  ↓

  これ     もまた自明の理(当たり前)である

 前段落の末尾は

  これは…当たり前のことである。

 となっているので、傍線Dの段落と前の段落は次のような関係になっている。

[43.12~14]

  身体…を離れ(ると)

  [主]aことば…が      [述]意味をなさない43.12

       これは当たり前

[43.15~44.1]

  生身(身体)を離れ(ると)

  [主]bことば…の中身…が[述]根を失う43.15(=無意味43.17)

 D[主]ことばは

    どこか(aことばorbことばの中身)で

  [述]身体…に根ざしている

       これも自明の理(当たり前)

 ここで選択肢を見ると、次のようにして正解候補が見つかった。

  身体(生身)…を離れ(ると)43.12

  [主]aことば…が    [述]意味をなさない43.12

  [主]bことば…の中身…が[述]根を失う43.15(無意味43.17)

   ↓

  身体(生身)…を離れ(ると)43.12・43.15

  ことばもことばの中身も            無意味になる

   ↓          身体(生身)=現実の身体    ↓

  ことばもことばの中身も 現実の身体をとおして 初めて意味を持つ

   ↓?         ↓

①個々のことばが     現実の身体をとおして 初めて意味を持つ

 [↓?]の言い換えはちょっとあやういので確認を続ける。

 選択肢を見ると、すべて「ことばの宇宙」を主語としているので、さかのぼって「ことばの宇宙」43.9の段落から

 早読みは 最初と最後に 主語述語

 正解は 本文言い換え 作られる

によって本文を飛ばし読みする。正解のもとになった本文を探し、選択肢と対照すると次のとおり。

本文43.10

 [主]ことば(は) 

 [述]身体…の支えなしに(は)  成り立(た)ない

    ↓           ↓

①[述]身体から切り離されて   存在することはできない

②[述]             抽象的なもの(だ)

③[述]空想の世界に巻き込むが

   その(空想の)世界は    錯覚だ

④[述]直接的な身体の…形でしか 意味がない

⑤[述]直接に体験(しないと)   成立しない

 ②~⑤は次のように「成り立つ」「意味がある」と言えるので、本文「成り立(た)ない43.10」の逆になる。

②「抽象的」に成り立つ

③錯覚であっても、「空想の世界」として成り立つ

④「直接」でなく、間接的に意味がある

⑤「直接」でなく、間接的に成り立つ

 ②~⑤が明らかな誤答なので正解を①とした。以下は解答後の整理。

 身体…とは別に、ことば…だけで独自に開く世界43.9

   ↓

①身体から独立して成り立った独自の世界

問6{早}

 最初の作業での正解候補は③④⑥。

   早読みは 最初と最後に 主語述語

   オシリから 読むとわかるよ お結論 

により、最後の三段落の最初と最後を読むと次のとおり。

①について

   世界…では…<ここのいま>…を抜け出し44.4

                ↓ネジマゲ

 ①<ここのいま>において…世界 を立ち上げ(る)

②について

  錯覚のうえで人は楽しみ…苦悩する44.6    [      ] (=否定していない)

                       ↓ネジマゲ

 ②苦悩や喜び(の)経験は錯覚のうえに成り立つ ものでしかない(=クダラナイ)

③について

  ことばは身体に根ざし…身体を越える44.7 

   ↓

  AはBに根ざし、Bを越える (例:弟子は師に根ざし、師を越える)

      ≠

  AとBが対話的にかかわりあう(例:ボクとキミが対話的にかかわりあう)

   ↓

 ③ことば(と)身体…が対話的にかかわりあ(う)

⑤について

 <語―文法>的ことば観(では)見え…ない40.3(ダメ)

   ↓ダメを克服するためには

 どのようなことば観のもとに出発すればよいのか40.14

   ↓

 ことばは身体に根ざし…身体を越える44.7ということば観=克服方法

 ⑤<語―文法>的ことば観を克服するためには

   ↓克服方法をネジマゲ

 ⑤「ことばの宇宙」の比喩的な働きを活用

④については次のように本文が言い換えられている。

  身体の位置…をまぬがれることができない44.3

    ↓身体=場所

 ④限られた場所にいながら

  ことば…世界のなかで…身体…を抜け出し44.4

    ↓身体=場所

 ④ことばによってその場所から解き放たれ

  楽しみ…苦悩する44.6

    ↓

 ④苦しみや喜びを経験する

  他者とのかかわりの場40.3

    ↓

 ④日常生活における出会い

 ④「ことばの宇宙」で多くの人と出会い

⑥については次のように本文が言い換えられている。

  [主]ことばは[述]身体に根ざし…身体を越える44.7

          そうした(そのような)

        [述]両義を本性とする44.8

       ↓

 ⑥ことばの両義性とは

 ⑥ことばが身体に根ざしながら、それ(身体)を越え…ること

   身体…とは別に ことば…だけで独自に開く世界43.12

   ↓  ↓

 ⑥(身体)を越えて  ことばの世界へ移行し、独自の世界を立ち上げ

  身体…は…身体…を起点とする遠近法をまぬがれ…ない44.2

   ↓

⑥身体…が 身体を起点とする遠近法をまぬがれない

問1

(ア)系統 ①傾聴に値する②渓流③経緯④啓発 ⑤系譜

(イ)臨場感 ①人倫②林立③大輪 ④臨機応変 ⑤近隣

(ウ)鉛 ①順延②炎症③縁故 ④亜鉛 ⑤高遠

(エ)紡 (つむ)ぐ ①針小棒大②忙殺③感冒④解剖 ⑤混紡

(オ)縛る ①起爆②暴露 ③捕縛 ④漠然⑤麦芽

2002

わかって読んで力をつける

『「私」とは何か』の翻訳に代えて

1 筆者のホンネ…執筆の動機

 問題文のタイトルは、

 「私」とは何か

 私は一人で生きているわけじゃない。キミがいるからボクがいる。他人あっての私なんだ。クタバレ、「われ思う、ゆえにわれあり」。ポツンと独(ひと)りの「我(われ)」だけしかない「独我論」40.3からは、本当の私は「見えてこない。」40.4「汝あり、ゆえにわれあり」。これこそ真理だ。

 他人とともに生きながら、他人ではないもの。それが私です。

2 主張の論理

(1)対話の必要性

 人は、一人では生きられない。だから

 人は、他者とかかわって生きる。そして

 他者とのかかわりの中で、よりよく生きるために、

 人は他者と対話する。

(2)対話からことばが生まれる40.7

 aことばがない時、

  人は他者と身体で対話する。

       身体での対話=ことば以前の対話40.7

       例:「好き」を示す抱擁、「嫌い」を示す殴打など。

 bことばは、他者との(身体での)対話から生まれ40.7  例:抱擁に代えて「好き!」と言う。

次に

       他者との[ことばでの]対話から新たなことばが生まれる。

例:問「どのくらい好き?」答「大好き!」

  よって、

  ことば…の…本質(最も重要な性質は)対話性40.8

(3)ことばと身体の関係

  [身体での対話]でことばが生まれ、

  [ことばでの対話]でさらにことばが生まれるので、

 ことばは身体に根ざし44.7

 身体を越え44.8て、ことば…だけ(の)世界40.17を作る。

3 主張の展開…論理を文章にする

(1)独我論的ダメことば観を9回否定40.3~40.13

 ダメことば観=7回の「ない」+欠ける40.2+抜け落ちている40.9

 ヨイことば観に必要な要素は次の三つ

  他者とのかかわり40.3

  他者との対話40.7

  身体とことばを…むすぶ…対話性40.11

(2)身体からのことばの誕生から、ことばだけの世界に至るまで40.14~42.7

a ことばは身体から生まれる40.14~41.6

「ことばの宇宙」40.14=ことばだけ…の世界40.15は最初から宇宙をなしていたのでは(なく)

   ことばが最初に41.1(生まれる)のは…身体41.2(から)

b ことばが直接の体験から生まれる場合41.7~11

   じかに体験41.8(し、事実を)目の前にしてことばを発した41.9とき

    ↓

   身体…とは違うもう一つの世界(ことばだけの世界)への窓が…わずか(に)開かれた41.11

c 直接の体験によることばを間接的に聞く場合41.12~18

   私は…直接に(事実を)感覚していない41.15(が、)

   外から41.12飛び込んで41.13きたことばが…もう一つの世界(ことばだけの世界)を立ち上げる41.17 

   (しかし)まだことばの宇宙とまでは言えまい41.18

d 書物42.1のことばを読む場合42.1~7

   ことばは現実を離れて42.5(ことば)だけ…の世界を立ち上げる42.6

(3)ことばだけの世界の例とその効果42.8~43.8

   文を読んだだけで42.16…一つの情景が浮かんでしまう43.8

(4)ことばは身体に根ざす43.9~44.1

(5)ことばはことばだけの世界「ことばの宇宙」を作る44.2~6

(6)右の(4)と(5)から、「ことばは身体に根ざし…身体を越える」44.7~8と結論できる

(7)用語解説

*「だいいち」43.12は「第一」という漢字表記ではないので、「第一に…第二に…」の第一ではなく、「そもそも」の意味だろう。

2003

制限時間内に解く

【主張をつかむ】

ステップ1 最初の段落の 最初と最後を見る

最初:[主]科学は [述]巨大な力

最後:[主](主語なし、おそらく 科学は) [述]知と同義語

ステップ2 最後の段落の 最初と最後を見る

最初:[主]科学は 

   [述]意識が物との…つながりを…断ち切り、対象化を徹底した知の世界

最後:[主]感覚の主観性やイメージの象徴性は [述]排除

ステップ3 最終段落を問う設問を見る

問6

 「本文の内容」を問うので、結論のある最終段落を聞いている。

 三つのステップで共通する言葉が多いのは、次のように③か。

③ 意識 つながり 切断=断ち切り 感覚 イメージ 個別な(人それぞれの)=主観性

  客観化をおし進める=主観性…排除

 筆者の主張の一部は次の2点。

1 科学は巨大な力で、知と同義語だ。

2 科学は、意識が物とのつながりを断ち切り、対象化を徹底した知の世界であり、そこでは感覚の主観性やイメージの象徴性が排除されている。

 主張の大枠がわかり、正解候補③も一つつかんだ。これで十分。これが大事。ここで退却して最初にもどる。

問2{問}{早}{主張}{指}

 設問は傍線Aについてわざわざ「[主]なにが[述]どうなる」ことか?と注意してくれている。そこで、傍線Aを次のように主語・述語に分解する。

  [主]なにが  [述]どうなる

      ↓

A[主]それが  [述]分化した

 主語「それ」の内容はまだ不明なので、述語「分化した」で選択肢を確認すると、

 A分化した

  ↓

 ①区分される

 ③分裂し…現れてくる

 ④分離する

 ⑤分かれて…顕在化する(=現れる)

となる。③「現れてくる」⑤「顕 (けん)在 (ざい)化 (か)する」はA「分化する」の言い換えとは言えない。①か④か。

 次に、最初の作業でつかんだ主張2「科学は…対象化を徹底」と、

 早読みは 最初と最後に 主語述語によってつかんだ傍線Aの段落の最初

  [主]私(主観)が[述]物(客観)を見る40.12

によると、

    私=主観①=見る私④

    物=客観①=私に見られる物=私に見られる対象物=見られる対象④

 決着がつかないので段落の最初から読んでいくと、

 ①の「世界が、再び…区分」は、本文「原初の世界が分化」40.14と矛盾。原初(最初)は「一体」40.13だった世界がはじめて分かれるので、「再び」はあやまり。

 [正解は 本文言い換え 作られる]ので、④と本文を照合すると次のとおり。

 傍線Aの指示語「それ」は直前を受けるので、

 [主]一体化した状態が  [述]意識の根源に存在

    ↓

A[主]それ       

 したがって「それ」の内容は

 それ=意識の根源に存在する一体化した状態

     ↓

 意識の根源にある世界40.15

     ↓

④人間の意識の根源にある世界

 ④の「(二つ)の世界に分離」の「世界」はキズではないかとも思われるが、「一つの世界が分化して二つの世界になる」と考えられるので、キズにはならない。

問3{早}{対比}

 傍線Bの段落の最初から見始める。

最初:[主]イメージは [述]時と共に薄れていく41.7

             ↓

            ③時間 か?

 ④「時とともに変化する」は本文の「薄れていく」をネジマゲたヒッカケだろう。変化するとき、「はっきりする」場合もある。

 段落の最後は傍線Bなので、[オシリから 読むとわかるよ お結論]によりさかのぼって読むと、直前文が対比になっている。

 [主]動物の言葉が [述]直接にものごとを示す信号

 [主]人間の言葉は [述]あらゆる時の…現象すべてを示す一般的記号

               ↓

          正解には 時 が含まれていなければならないから、やはり③か?

 [対比に注意!]してもう一文さかのぼると、

 [主]それは

 [述]動物におけるような現在…だけに限らず

   過去…も未来…も示す記号

    ↓

 ③時間を超えて 

 [正解は 本文言い換え 作られる]ので、③の他の部分を確認するために段落の最初から読むと、

 

動物にも言葉はある41.12

 感覚的イメージを…表現する…言語41.13

       ↓

 ③人間も…動物も感覚的イメージを(言葉で)表現する

 類似したイメージに対して…共通の名前が与えられる41.9

 類似した現象…を表す一般的記号41.20

ここで、

  共通の41.9=一般的41.20(例:共通の現象=一般的現象)

  ○○に対して名前が与えられる41.9=記号で○○を表す

  (例:田中、山下、否定…=T、Y、×…)

なので、

 類似した現象…を表す一般的記号41.20

  ↓

 類似した現象…を一般的記号で表す

            ↓

 類似した現象に対して共通の名前が与えられる

  ↓

③類似した現象に名前を与える

 となり③が正解。

問4{早}

 傍線部を主語・述語に分解すると、

[主]日常言語は

[述]人によって ニュアンスが異なり 多義的である

 ここで、「ニュアンス」は「微妙な意味の差」、「多義的」は「意味が複数あること」。

 ①は、言葉でなく「水の分量」に対する感じ方の違い。

 ③は、「普遍的(いつでも、どこでも、なんにでも、同じようにあてはまる)」が傍線C「異なり」と反対。

 ②について。

   言葉=「いっこ、にこ」

   弟における言葉の意味=「おまじない」

   兄における言葉の意味=「数字」

 「おまじない」と「数字」では種類が違うので、微妙な差(ニュアンス)ではない。

 ④について。

   言葉=「デパートの入り口」

   私における言葉の意味 =入口A

   友人における言葉の意味=入口B(別の入り口) 

 入口の場所が違うので、微妙な差(ニュアンス)ではない。

 ⑤について。

   言葉=「近い」

   私における言葉の意味 =「かなり歩かされた」と感ずる距離

   おじにおける言葉の意味=「歩いておいで」と他人に言える距離

 いずれも「距離」における感じ方の差と言えるので、「ニュアンス=微妙な意味の差」と言える可能性がある。

 そこで、正解は⑤。

問5{主張}

 最後の2行の主張をもう一度主語・述語で整理すると、次のようにして正解候補に至った。

 [主]科学は [述]D対象化を徹底した知の世界43.4

  だから

 [主]感覚の主観性や イメージの象徴性は [述]排除43.5

       ↓

  科学は 客観性が 徹底

            ↓

  ②科学…では………最も 客観的に

  ③科学(の)ような、より 客観的な

 ②と③の戦いなので、慎重に考えた。たとえば、客観性のレベルが最低のレベル1から最高のレベル5まである場合、レベル1よりレベル2の方が「より客観的」③と言えるが、客観性を「徹底」43.4すれば、「最も客観的」なレベル5になる。だから②の勝ち。

 以下は解答後の整理。

 ①は、本文「物との直接的なつながりを…断ち切り」43.4から「直接的な」を抜いたのがキズ。科学では研究「対象」として物を見るので、間接的なつながりはある。①「(対象)物から完全に離れる」と対象物を見ることができない。

 ④は次のように「理想」がキズ。

 [主]近代科学は42.16

 [述]ものごととの生きたつながりを失った世界42.17=ダメ

               ↓

              ④理想(=ヨイ)

 ⑤の「感覚やイメージを…洗練させ(改良して)理性や悟性を持ち」という記述は本文にない。

 ②は次のように本文を言い換えている。

 曖昧さを解消する(の)が概念42.8~9

 (概念の)客観性をさらに徹底させたものが、数学42.9~10

  ここで

 客観性=曖昧でないこと

  と言えるので、

 概念の客観性をさらに徹底させて曖昧でなくしたのが、数学

     ↓

②概念は…曖昧…を残すが、数字や数式は…曖昧さを排除する

 

 (数学は)質的本性も量的単位に還元(単純化して表現)42.10

  ↓

②対象を量に還元する数字や数式 

 例:恋愛対象への熱烈度を質的、量的にあらわすと次のとおり。

 質的 ちょっと気になる かなり気になる 好きだ 猛烈に好きだ 死んでもいい

 量的 一        十       百   千      万

 数学…において…(研究者の)意識…は…(研究の)対象(物)から…分離42.12

  ↓

②数字や数式は意識と物とを切り離す

問6{主張}{対比}

 最後の2行は、「これに対し科学は」で始まるので、[対比に注意!]により前の段落を見て、科学に対比される「感覚やイメージ」を確認すると、次のように①が正解候補。

(1)

 感覚やイメージは…日常的経験の基礎42.19

  ↓

①感覚やイメージは…日常的経験の基礎

(2)

 感覚の主観性やイメージの象徴性43.5

   ↓

①感覚やイメージは主観性や象徴性を超えるものではない

(3)

 イメージの能力は…イメージを造り変えたり組み替えたりして創造活動の源泉となる42.20~43.1

 は次のように言い換えることができる。

aイメージを造り変え、組み替え(ること)42.20

   ↓

 イメージの表現(=表白)43.1

   ↓

 [主]精神文化は [述]イメージの表白43.1

   ↓

b精神文化43.1

aにbを代入して言い換える

 イメージの能力は…aイメージを造り変えたり組み替えたりして創造活動の源泉となる42.20~43.1

   ↓ aにbを代入

 イメージの能力は…b精神文化を創造する活動の源泉

   ↓

 イメージには…精神文化を創造する活動の源泉能力がある

   ↓

 イメージは…精神文化を 創造する 活動の源泉 能力ともなる

   ↓          ↓   ↓     ↓

①イメージは…精神文化を 生み出す 根源的    力ともなる

(4)

 感覚の能力は感性42.19

  ↓

 感覚には感性という能力がある

  ↓        ↓

①感覚…は………………力ともなる

 最初の作業で正解候補とした③は次のように本文の言い換え。

 科学とは人間の営み40.5

 ↓

③科学は人間の営み

 意識が(対象)物との…つながりを…断ち切り43.4

 ↓

③意識と対象とのつながりを切断する

 感覚の主観性…は…排除43.5

  ↓

 人それぞれの感覚…は…排除

  ↓

③個別な感覚…を解消

 イメージが反映した…(ものは)…曖昧42.8~9

  ↓

③イメージの…曖昧さ

 対象化を徹底43.4

  ↓

 だから主観性…は完全に排除43.5

  ↓

 だから徹底的に客観

  ↓

③徹底的に客観化をおし進める

 以下は解答後の作業。

 科学とは人間の営み40.5

 ↓         ↓ネジマゲ

②科学は…人間の営み から…独立(と別)

 直観の世界(が)主客合一40.15

  ↓ネジマゲ

④日常言語が……主客合一的

 深く分かり合うには…同じ生活経験を共有する42.7

  ↓

 同じ生活経験をすることで 深く分かり合う

  ↓            ↓ネジマゲ

⑤同じ生活経験をすることで…(言語)の曖昧さを解消

 [原因]原初の世界が分化することによって[結果]知る…がある40.14

   ↓原因・結果を入れ替え

⑥[原因]知は [結果]原初的な世界を分化させ(る)

問1

(ア)大丈夫 ①常備 ②頑丈 ③冗談④譲渡⑤施錠

(イ)階層  ①介入②氷解③軽快④懲戒 ⑤階段

(ウ)眺め  ①清澄②膨張 ③眺望 ④調理⑤聴衆

(エ)替える ①怠慢②耐寒③不退転 ④代替 ⑤停滞

(オ)源泉  ①泉 ②染める③浅瀬④潜る⑤薦める

2003

わかって読んで力をつける

『世界と人間』の翻訳に代えて 

1 筆者のホンネ…執筆の動機

 嫌 (いや)40.2なんです。数学42.11は。数学を使う物理や化学も嫌いです。だから科学は嫌 (いや)なんです。

 偏差値がどんなに高くても、いとしい人との「生きたつながり♡」42.17は生まれません。

 あの人への思いはホンモノです。真実の存在(実存40.5)です。量42.11であらわせません。私の思いは無限です。

 2 主張の論理

(1)実存主義の採用

 「現象を表す数式がある時、現象(現実・事実)は存在するが、数式(原理・性質・本質)は存在しない。」という思想を使う。この思想は実存(現実存在)主義と呼ばれる。

(2)実存主義の応用

 芸術・道徳・宗教・哲学などの「精神文化」43.1は感覚とイメージの力で、ほんとうの世界(存在の世界・実存の世界)と「生きたつながり」42.17を持つので、それらの精神文化もほんとうの世界である。

 これと反対に

 科学は、数学という言葉の力で世界を知るので、科学はほんとうの世界と死んだつながりしか持てない。だから科学の世界はほんとうの世界ではない。とりあえず「知の世界」と呼んでおくが、ウソの世界である。

(3)図式例

数学という言葉の力による死んだつながり

感覚とイメージの力による生きたつながり

精神文化(芸術・道徳・宗教・哲学)

科学 知の世界(実存の世界ではない。ほんとうの世界ではない)

本質・抽象・原理・方程式

ほんとうの世界(存在の世界・実存の世界)

現象・具体的現実・存在

3 主張の展開―論理の文章化

(1)科学の力は巨大だが、人間の行為だ40.1~11絶対無謬(むびゅう)の神ではない

   科学は巨大な力40.1だが 人間の営み40.5

   科学≒知40.7なので、

   知ることから順番に科学を説明する40.9~11

(2)知ることの誕生40.12

   私と相手、最初は一心同体。分かれてはじめて私が相手を知る。物を知ること、これを意識という。

(3)感覚とイメージの発生41.2~6

   意識の最初は五感による感覚。目で、耳で、肌で、舌で、鼻で感じる感覚。この五つの感覚が心に残す印象をイメージと呼ぶ。

(4)言語の登場41.7~42.1

   感覚は現在のものしかとらえず、イメージの残像は時とともに薄れるので、イメージに名前をつけて固定する。この名前が「言葉」や「象徴」。

(5)客観化の追求と科学の誕生42.2~42.18

   微妙に異なる現実の現象→感覚→イメージ→一つの言語で表すが→意味が曖昧

  その曖昧さを解消するのが数学

  その数学を使用するのが科学→対象物と離れて42.16冷静に客観的に見る=対象化の徹底42.15

    ↓

  (切れば赤い血の出る具体的な)もの…との生きたつながりを失った抽象的な世界42.16

(6)精神文化こそ現実に存在する42.19~43.3

  世界とつながる感覚・イメージによって生まれる精神文化が実存(現実存在)の世界

(7)科学が排除するもの43.4~5

  研究者と研究対象物を徹底的に分けることで(冷静な、冷たい、傍観者的な)客観化を実現するが、

  (思いの熱さが行動に結びつく)主観性と(想像をかきたて新たな可能性をもたらす)象徴性(=多義

性42.9)は消え失せる。

2004

制限時間内に解く

【主張をつかむ】

ステップ1 最初の段落の 最初と最後を見る

最初:[主]音楽の場が…日常へ…移動したことは 

   [述]聴取態度を…変質させた

最後:[主]集中…精神的…聴取行為は

   [述]散漫…表面的…環境体験へ…変(わ)る

ステップ2 最後の段落の 最初と最後を見る

最初:[主]映像は [述]新たな神話を作り出す

最後:[主]映像…と…音楽との…結合によ(る)イメージは

   [述]絶大な効果を発揮する

ステップ3 最終段落を問う設問を見る

問6

 問6は「本文の内容」を問うので結論が来る最終段落も聞いている。

 三つのステップで共通する言葉を探し、一つしか共通しないものを除くと、

ステップ1:音楽の場が…日常へ…移動した

      ↓

    ⑥「音楽…の場…日常…へ…移動」

ステップ2:映像と…音楽との…結合…は絶大な効果

      ↓

    ⑥「映像…音楽…大」

 ⑥が正解候補か。筆者の主張の大枠は

1 音楽の場が日常へ移動したので、聞き手の態度は集中・精神的なものから散漫で表面的なものに変化した。

2 映像は、音楽との結合によって新たな神話を作り出した。

 選択肢により、[神話=作曲家神話]もわかる。正解候補も一つわかったので、これで十分。これが大事。ここで退却して最初に戻る。

問2{問}{主張}

 設問文にこたえあり。設問は次の二つを聞いている。

  1 聴取態度

  2 軽やかな

 主張をつかむ作業のステップ1で「聴取態度」があった。その「聴取態度の変化」40.2は

 集中…精神的…聴取行為40.3

  ↓

 散漫…表面的…環境体験40.4=A軽やかな

なので、③「熱中」④「集中」が正解からはずれ、A「軽やか」の反対の「重」を使った②「重要」も正解ではない。

 ①か⑥か。決め手がないので傍線Aの前の段落を読むと、

                環境体験40.4

                ↓

 場所に…ゆく必要(なく)音楽を…環境として持ち歩く40.6

  ↓

①場所を選ばず手軽に音楽を楽しむ

 ①の確認を続行すると

 作品の一部分をピックアップして(取り上げて)…聴く40.7

  ↓

 ①曲の一部を断片的に聴(く)

 ①でいいか。でも、⑥も

 作品の一部分を…繋(つな)ぎ合わせて聴く40.7

  ↓

 ⑥旋律を選んで編集して楽しむ

 ちょっと汗が出る。

 出題者は設問で「どのようなありかたを『軽やかな』といっているのか」と言って「軽やか」に注意せよ!と誘導しているのだから、それを信じて読み進め、選択肢と本文のにらめっこを続けると、

  「軽やかな」聴衆40.10

   ↓    ↓

   ↓    ネジマゲ

   ↓    ↓

  ⑥軽快な  旋律

 [主]音楽文化 全体が [述]「軽やか」40.11

        ↓

  ネジマゲて 一つに特定

        ↓

  ⑥軽快な  旋律(=音楽文化の一つ)

 

 出題者の意図としては、⑥にキズがあるので、①の勝ち。

  ヒッカケは 本文ねじまげ 作られる

 以下は解答後の整理。①「各人の好みで…聴(く)」は次のようにして作られた。

  昔:作者の個性(=個人で)統一40.7

           ↓  ↓

  今:      ①各人(に拡散=散漫40.4) 

  昔:(理性的)精神…思想…真面目40.9~10

     ↓

  今:(感情的)感覚刺激40.10=①好み

  正解は 本文言い換え 作られる

問3{問}{早}

 設問は『神話』が「どのようにして成立した」かを聞いている。その点に注意して、段落の最初と最後だけを読んで主語・述語で整理すると、

最後:[主]神話は41.9

   [述]精神の所産(しょさん:生産物、~から産まれたもの)41.10

最後:[主]作品が [述]精神の結晶であ(る)

 すると、

 神話=精神から産まれたもの   

  であり

 精神の結晶=作品  

  なのだから

 神話≒作品から産まれたもの

  と言える。

 したがって、正解は次のように⑤だろう。

  ⑤音楽(=作品)…から…「神話」が生み出された

   ①顔…から

   ②事実は…音楽(=作品)…によって純化され

   ③顔…が…音楽(=作品)…と重ね合されることで

   ④事実は…イメージとあいまって

問4{問}

 設問は「なぜ『パラドックス』がある」かを聞いている。その点に注意して、段落の最初と最後だけを読むが、わからない。そこで傍線部Cを含む段落を読み始めると、傍線部の次の文に「~(だ)からである」という理由を示す文がある。その文を主語・述語で整理すると、

 Cパラドックスがある (その理由は)

 [主]純粋…鑑賞(が)

 [述]作者を離れ…作品それ自体に集中する(ため)41.16

      ↓

  ②作者とは切り離されたものとして受け入れ

  ③作品そのものとして享受

  ④作品に集中

 選択肢をしぼるため、段落の最初と最後だけを読み進むと、

最初:[主]鑑賞行為は

   [述1]知識を排して

   [述2]作品に集中すること42.1

最後:その結果42.1~2

   [主]作者の人格…状況は

   [述1]実証…でなく

   [述2]鑑賞者の想像力で補われる42.2

 ④の「調べたうえで」は「実証(実際に証明する)…でなく」42.2と矛盾する。

 ②「思想を真面目に取り入れる」と③「精神や個性を感じ取る」の戦いに決着をつけるため、傍線部Cの前の段落を読み始めると、

 [主]聴き手は  [述]個性を感得し…に思いを馳せる41.12

           ↓        

         ③個性を感じ取る

 はありうるが、

  感得する41.12=②取り入れる

  思いを馳せる41.12=②取り入れる

 はありえないので、出題者は③を正解としたいのだろう。

 なお、「パラドックス」は「矛盾」の意味だが、知らなくても本問は解ける。

 また、解答後の整理で、ヒッカケの作成過程が次のように判明。

 思想を読み取ろうとするような「真面目」な聴き方40.9

   ↓

 思想を真面目に読み取る  (読み取る=理解する)

          ↓

     本文の「取る」を使って別の意味の動詞を作る

         ↓

②思想を真面目に取り入れる (取り入れる=採用する)

 ヒッカケは 本文ねじまげ 作られる

問5{問}

 設問は「映像メディア(と)現代の音楽文化(の)関係」を聞いている。その点に注意して、段落の最初と最後だけを読むと

最初:最近(=現代)…[主]視覚メディアが[述]普及42.9

最後:[主]音響が [述]視覚映像とともに与えられる

    ことによって

   [主]異なった印象が [述]生ずる。43.3

最初:[主]これは [述]神話を除去43.5

   しかし43.9

最初:[主]映像は [述]新たな神話を作り出す43.9

最後:[主]映像…と…音楽との結合によ(る)イメージは43.11    [述]絶大な効果を発揮する43.12

 選択肢を見ると、

④は「神話を除去」がない。

①の「視覚…が聴覚…より強い」は右の整理にない。

③の「映像…は…視覚…を利用することで…神話を生み出す」と⑤の「映像…は…視覚…を与えることで…神話をもたらす」は本文「映像…と…音楽との結合によって…効果を発揮」と矛盾。

 したがって次のように本文を言い換えた②が正解。

 音響が…映像とともに与えられることによって43.3神話を除去43.5

  ↓

②映像は…「神話」を解消

 しかし43.9

  ↓

②その一方で

 映像…と…音楽との結合によ(る)イメージは43.11新たな神話を作り出す43.9

  ↓

②映像…イメージが(音楽)作品と結びつくことで新たな「神話」を生成

問6{早}{主張}

 早読みは 最初と最後に 主語述語により途中の段落の最初と最後を読んできたが、次の内容はなかった。

 ①不真面目…必要=不真面目がヨイ

 ②大衆へひろがること…歓迎=大衆へひろがることがヨイ

 ③近代(より)現代…高く評価=近代より現代がヨイ

 問4での作業から

[主]純粋…鑑賞は[述]作者を離れ41.16

   ↓

④「純粋鑑賞」…は…作者を離れ

 [述]を感得し…心情に思いを馳せる41.12

   ↓

④心情を感受する

 その結果…実証…でなく…想像力で補われ42.2

   ↓

④そのため…現実から離れ…想像力で作り上げ

 ここで④を正解とする。以下は解答後の整理。

「作曲家神話」は…生み出されてくる42.11

   ↓

④「作曲家神話」を生み出した

 主張の大枠をつかんだときに正解候補とした⑥を確認すると、

⑥レコード…は…音楽(を)日常…へ移動させ(た)=変化1

                ↓指示語は直前を受ける

⑥映像メディアが…もたらす変化はそれ以上に大きい=変化2

となり、「変化2は変化1以上に大きい」という内容は本文にない。困った!そこで⑤を見る。時間節約のためオシリから 読むとわかるよ お結論の原則により、⑤の後半を主語・述語で整理すると

⑤[主]新しいメディアも [述]コンテクストを生み出す可能性がある

 本文も末尾からさかのぼって読むと、

 [主]映像は [述]コンテクストを生み出す43.10

とあるので、

 映像=新しいメディア

かどうかを確認する。ここでも時間を節約するため、段落の最初と最後だけを後ろから追うと、

 映像=映像メディア42.18=最近の新しいメディア40.5

と言えるので、ここで⑤を正解とする。以下は解答後の整理。

 現代の…「軽やかな聴衆」(によって)「脱神話化」42.13~15

  ↓

⑤現代の「軽やかな聴衆」が一九世紀…神話を解体

⑤賞賛しているわけではなく

  ↑

 筆者は分析しているだけ。ダメ/ヨイとは言っていない。

 新しいメディアの登場によって40.5…「軽やかな」聴衆の存在40.10

  ↓

⑤彼ら(聴衆)を「軽やかに」した新しいメディア

問1

(ア)駆逐 ①逐一 ②増築③畜産④破竹の勢い⑤貯蓄

(イ)懸命 ①懸垂 ②保険③派遣④献身⑤昼夜兼行

(ウ)過酷 ①深山幽谷②克明③一刻 ④酷使 ⑤穀倉

(エ)繊細 ①宣誓②旋回③新鮮④元栓 ⑤繊維

(オ)発揮 ①机上②軌を一にする ③指揮 ④国旗⑤機に乗じる

2004

わかって読んで力をつける

「聴衆の『ポストモダン』?」の翻訳に代えて 

1 執筆の動機…Xへの怒り

 音楽評論家Xは言う。

  音楽…が…日常生活…へ移動した40.1ことによって40.4

  (また)

  新しいメディアの登場によって40.5

  「真面目」な聴き方(は)「軽やかな」…聴き方に…変化し40.10~11

  今…音楽…全体が「軽やか」になりつつある。40.11

だが本当にそう…か?40.12

 いや、そんなことはない!Xはアホだ。Xは「事 (こと)柄 (がら)の一面」42.17しか見ていないのだ。

2 主張の理論―大論理

(1)新しいメディア40.5を二つに分解

    ↓

   新しいメディア1=ヘッドホン40.5CD40.7

   新しいメディア2=映像メディア42.18

(2)原因→結果

   新しいメディア1→軽やか→昔の神話が崩壊

   新しいメディア2―――→新しい神話が登場

   新しい神話(=荘厳・荘 (そう)重 (ちょう)→厳重→重々しい)が登場  

    ↓

(3)∴今の音楽[全体]が「軽やか」なのでなく、[一部]に「重々しい」要素もある。

3 主張の展開―論理の文章化

(1)音楽の聴き方の変化

 [原因]40.1~40.7

     音楽の場:非日常―変化→日常

     新しいメディア:(固定) ―変化→持ち歩き・編集自在

 [結果]40.3~42.14

   音楽の聴き方は次のように変化した

     集中・精神 → 散漫・表面40.3~

        統一 → 局所

   まとまった全体 → 断片の集合体

     精神・思想 → 感覚刺激

   真面目な聴き方 → 戯れる「軽やかな」聴衆~40.10

       真面目 → (軽薄)

   純粋に鑑賞する → 感覚表層の快楽に流される41.14

    精神的 → 刹那(せつな)的・つまみぐい的42.14

   (音楽の)聴き方(の変化)に対応して…音楽文化全体が「軽やか」になりつつある40.11

(2)問題提起

   本当にそうなのだろうか?40.12

(3)一九世紀の神話の誕生と解体

a 真面目な…純粋鑑賞41.9→作者の人格…個性…心情に思いを馳せる41.12→作曲家の人格や…作った時の状況に関する…神話(が誕生)41.11

b 純粋に鑑賞→作品…に集中41.16→鑑賞者の想像力(で)補う42.2→現実…ではな(い神話が誕生)42.7

c 過去:真面目な40.10純粋鑑賞

     ↓

  現代:戯れる「軽やかな」聴衆40.10→脱神話42.15=神話が解体40.15

(4)映像メディアによる新しい神話の形成

 音+映像43.3

  ↓

 音だけ(の)純粋鑑賞によって生ずる神話を除去する43.4~5

  しかし…また43.9

 別の形で新たな神話を作り出す43.9

(5)用語解説

*敬虔(けいけん)40.6:神を敬い、神に対して自らを虔(つつし)む宗教的態度。

*表層41.14:(精神の奥底からでなく)うわべの

*ドキュメント42.2:文書。ここでは手紙などの歴史的史料。

*テキスト42.8:文書、文書情報。本文では音楽作品。

*構造的に42.11:当然に。「構造主義」という思想から来た表現。

*~の相関者42.12:~の結果。※筆者だけの用法。

*刹那(せつな)42.12:一瞬。

*脱神話42.15:神話の否定。

*捨象42.19:切り捨てる。使用例:現象における不用な部分を捨象して本質的原理を取り出す。

*ポストモダン43.13:モダンとは「近代」、ポストとは「~の後」。個人を尊重し、理性を信頼する近代合理主義によって人類は進歩するはずだった。ところが、原子爆弾による大量虐殺、世界的な貧富の拡大、貧者を救う共産主義の自滅などにより、近代(モダン)合理主義の後(ポスト)に来るべき思想が、一九八〇年代以降「ポストモダン」という名称で模索されるようになった。答えはまだない。

 問題文は音楽文化の新潮流を探求する内容なので、タイトルが『ポストモダン』となっている。しかし確たる答えはまだない。だから「?」で終わっている。

2005

制限時間内に解く

【主張をつかむ】

ステップ1 最初の段落の 最初と最後を見る

最初:[主]カメラのレンズ(と)人間の眼…両者は

   [述]相反する

最後:[主]両者の間には [述]深い断絶がある

ステップ2 最後の段落の 最初と最後を見る

最初:[主]小津(が)心に描いていたことは 

   [述]見せる より 見られる こと

最後:[主]小津…は

   [述]見せる…より…見られる…見返される…ために心を砕いた

ステップ3 最終段落を問う設問を見る

問6

 「本文の内容」を問うので、結論のある最終段落も聞いている。

 三つのステップで共通する言葉を探すと④が正解候補か。

ステップ1

  カメラのレンズ(と)人間の眼(は)相反

  ↓

 ④カメラのレンズと比べて自由(な)眼

ステップ2

 小津は 見せる  より     見られる

     ↓           ↓

    ④強制するが、小津(で)は…強制をまぬがれた見方を観客ができる

 筆者の主張の大枠は次の二つ。

1 カメラのレンズと人間の眼は正反対。

2 小津は見せるより見られることに努力した。

 これで十分。これが大事。ここで退却して最初に戻る。

問2{問}設問文にこたえあり

 設問文が「カメラのレンズ」の機能(はたらき)を質問していることに注意して、傍線Aを含む文を主語・述語で整理すると次のようにして正解に至った。

 [主]カメラのレンズ…は 

 [述1]人間の眼の無用な動きを否定し

 [述2]ひとつ…に…集中するよう抑圧

    ↓

  ④…特定(し)…それ以外を排除

 ③は「現実の世界を否定」がキズ。本文「現実…世界…否定」41.1~2から作ったヒッカケだろう。本文と③は次のとおり。

 本文:無用な動き を否定41.1~2

     ↓ネジマゲ

 ③ :現実の世界 を否定

     ↑組み合わせ

 本文:現実…世界…を否定41.1~2

問3{早}

 傍線Bの段落の最後と傍線Bは次のとおり。

B :[主]写真と絵画は [述]同質だ

最後:[主]写真も [述]絵と 同じように    見ている

   [主]われわれは [述]その写真、その絵を 見ている

 右により、[写真=絵画=見る]とわかるので、選択肢は①「写真と絵画は…見る者からすれば同じ」③「絵画を見るとき…写真を見るとき…も」か。

 次に、「絵を見る」を確認するため段落の最初と最後を探すと、「絵…に…見入る」40.9が見つかる。その内容を確認するため読み進めると、次のようにして正解に至る。

 絵…に…見入る…とき…視線を滑らせ…行きつもどりつ…浮遊感40.9~11

 ↓

 ③絵画を見るとき………動き続けている

  写真を見るとき…も…浮遊し、自由に運動し続ける

 

 ④の「視線は…表面を漂う」はよいが、「奥行きのない平面」が本文「空間の拡ひろ)がり」40.10を次のようにネジマゲて作ったヒッカケ。

 空間=3次元→一つ減らす→2次元=平面④

 拡がり→反対にする→奥行きのない④

 

 ヒッカケは本文ねじまげ 作られる

問4{問}{対比}

 設問は次の因果関係における「結果」を質問している。

   原因=「映画」が「時間に依存している」ので

     ↓

 その結果=?

 そこで、傍線Cの段落とその次の段落の最初と最後を、原因・結果にしぼって読むと、次のようにヨイ結果とダメ結果の二つが登場する。

原因:映画が…時間に依存41.19(するので)

  ↓

ヨイ結果:(わずかな)時間…のあいだに…一億光年…まで…語りえた42.1~2

 しかし42.3

ダメ結果:速度…の奴隷42.3

ダメ結果:見ることの死42.6

 各選択肢は次のとおり。

  ①の「迫真性によって」は原因であって結果でない。しかも本文の原因は「時間に依存」だ。②の

 [主]まやかしは [述]見ることの死をもたらした

の「まやかし」も「見ることの死」という結果をもたらす原因。④の

 [主]映画は [述]スピード感に満ちた物語…を表現

の「スピード感に満ちた物語」は映画による表現の結果。一方、本文の「スピードの表現」42.1は原因。⑤の

 [主]映画は [述]画像が連続する新しい芸術として発展

の「画像が連続する新しい芸術」はヨイ結果に相当するが、本文のヨイ結果と異なる。

 ③は次のようにして本文42.1~2から作られたのだろう。

[ヨイ結果]

 わずか…時間…のあいだに→③限られた時間のなかで 

 一生…天地創造…から→長い時間→③壮大な時…間

 一億光年の彼方→広い空間→③壮大な…空間

[ダメ結果]

 見ることの死→③眼…を抑圧

 

 ③「見入っている時間をきびしく制限」が本当に本文の言い換えであることを確認するため、段落の最初と最後を飛ばし読みすると、「見入っている時間…まできびしく制限」41.13がある。そして

 速度…の奴隷42.3=③時間をきびしく制限

 と言えるので、正解が確定。 

問5{主張}{対比}

 最初の作業でつかんだ主張の一部は「小津は見せるより見られること努力」だった。そこで選択肢をにらみながら、[対比に注意!]して末尾のDから文をさかのぼって語句を拾うと、

[ダメ]見せる    映画  独占的支配42.10 

[ヨイ]見られる 小津 反映画42.8 絵画写真=自由に眺める42.4

  ↓

 小津=自由→②③④となる。

 

 ③の「さまざまな空間を…見る」は「さまざまな視点から…眺め(る)」42.4の言い換えにはならない。

 ④の「さまざまな意味合いを含んだ複雑な内容」は「あえて意味が曖昧なままに浮遊する映像を…試みた」42.18の言い換えとは言いきれない。「複雑」は「単純」の反対語で「要素がたくさんあること」、「曖昧」は「明瞭」の反対語で「はっきりしないこと」だからだ。

 ②を対比で確認すると、問題なく本文の言い換えだ。

[ダメ]映画

 速度…の奴隷42.3→②時間の流れに従属

 特定の視点を強要41.12→②観客の視線を限定

[ヨイ]反映画

 さまざまな視点から自由に眺める42.4→②それぞれの自由な見方に任せる

 ひとつの意味しか見いだせない(ダメ映画の)危険42.5を避けるため→②単一の意味で受けとられてしまわない

 正解は 本文言い換え 作られる

 ③について解答後に確認すると次のとおり。

 本文「総体としての世界を見…る」40.5および「一枚の絵の…空間の拡がり…に視線を滑らせ(る)」40.10によれば、「見る」対象は

 「総体として(一つ)の世界=一枚の絵」=一

であり                 ×

            ③「さまざま」=多

の反対だ。出題者は、本文の表現「さまざまな視点から」42.4を借りて本文「総体として(一つ)の世界を見…る」40.5とまったく反対の「さまざまな空間を…見る」という選択肢③を作ったのだ。

問6{主張}{対比}

 最初の作業でつかんだ正解候補は④。問5のダメ映画とヨイ反映画の対比に注意すれば、次のとおり問題なく正解。

[ダメ]映画

     特定の視点を強要41.12

     ↓

 ④映画…特定の視点を強制

[ヨイ]反映画

  さまざまな視点から自由に眺める42.4

     ↓

 ④小津…強制をまぬがれた見方を観客ができる

 ④自由である…眼

 なお①のキズは「筋立てによって」。本文は「筋立てとはかかわりなく」43.2。

問1

(ア)陶酔 ①搭乗②沸騰③答弁④哀悼 ⑤薫陶

(イ)暴虐 ①暴落 ②無謀③妨害④防戦⑤欠乏

(ウ)幻惑 ①減量②上弦 ③変幻 ④幽玄⑤厳正

(エ)欺く ①虚偽②擬態③疑心暗鬼 ④詐欺 ⑤義憤

(オ)腐心 ①不穏②赴任③扶養 ④腐敗 ⑤給付

2005

わかって読んで力をつける

『小津安二郎の反映画』の翻訳に代えて 

1 主張の中核…筆者の夢

 私は映画を撮 (と)りたい。その映画に、

見入っているとき…言いようのない浮遊感40.11がある。

さまざまな視点から自由に眺めながら、みずからの内面(心のなか)でゆっくりと対話することもできる42.4。

人間としての存在のありよう…が…くっきりと浮き彫りにされ43.1る。

 そんな映画を私は撮 (と)りたい。

 でもそのような映画は「無用、無償の眼差しによって『見られる』」43.4ので有償の公開ができず、お金が入らない。たとえスポンサーがついたとしても、ムダだ「剰余40.17」だとされて多くの映像がカットされてしまう。

 ああぁ。

2 主張の論理

(1)動画の表現力―プラス面

 映像41.7=動画「映画41.7」+静止画 静止42.4画=絵40.9+写真41.7

 動画の表現力は静止画より「高(く)迫真(はくしん:真に迫る)」42.17

      ↓

 人の眼をくぎ付けにする

      ↓

(2)動画の弊害―マイナス面

  人間の生きた眼…の…遊びを禁じる41.4

  自由(な)対話42.4の否定

  ひとつの意味しか見出せない42.5

(3)弊害の克服

  人の眼をくぎ付けにしない映像を追求する

  意味があいまいなままに浮遊する映像を…試みた42.18人

  それが小津安二郎だ。

3 主張の展開…論理の文章化

(1)人間の眼で見る40.1~18

  カメラのレンズで見る=見ることの死40.3=ダメ

   ×

  人間の眼で見る=ヨイ ※自由42.4だからヨイと、後でも述べている。

   =連続…反復…浮遊40.6~11

   =なにも意識せず(無意識)…無用、無償…剰余40.16~17

(2)カメラのレンズで見る41.1~11

  剰余の眼がひとつ(に)集中するように抑圧する41.2

  人間の生きた眼…の無用な遊びを禁じる41.4

  ただし、写真=絵画=静止42.4画は弊害なし41.10

(3)映画の弊害41.12~42.13

  映画=動画

  動画の利点=(長い時間と大きな空間を短時間で表現できる)42.1~2

  動画の弊害

   =自由に眺めながら、みずからの内面(心のなか)でゆっくりと対話42.4できない

   =ひとつの意味しか見出せない42.5

   =独占的支配42.10

   =眼を欺くまやかし42.13

(4)弊害の克服42.14~43.7

  映画の(弊害に)反抗しながら

  映画を愛する(映画を捨てない)という矛盾を42.14(解決する)

  ため…映画のまやかし(弊害)と戯 (たわむ)れつづけ、(映画と)共 (きょう)棲 (せい)(共に棲 (す)む)42.15

   (それが)

  小津らしい諧謔(かいぎゃく:皮肉を含む冗談、ギャグ)42.15

  諧謔の例42.17~43.3 

     (話し合っているようで、そうではない)42.19

     (見つめ合っているようで、そうではない)42.20

  結論43.4~7  

小津は

見せるより見られる43.4

    (観客が)さまざまな視点から自由に眺めながら、みずからの内面でゆっくりと対話42.4できる

映像をめざした。

2006

制限時間内に解く

【主張をつかむ】

ステップ1 最初の段落の 最初と最後を見る

最初:[主]演劇が…雄弁であるのは [述]役者が…トチル瞬間

最後:[主]演劇は  [述]非演劇的な…ものと交叉(こうさ)し

   [主]演劇…が [述]対象化される

ステップ2 最後の段落の 最初と最後を見る

最初:[主]第三にしなければならないことは

   [述]役者が…「これがポストです」と云う(こと)

最後:ここにアンチテアトル…の演劇性を確かめる…ものがある

    ↓ ※指示語「ここ」は直前を受ける

   [主]「これはポストです」と云う言葉と、ポストである「物」が

   [述]確実(に)せまってくる

 ※「アンチテアトル」!?なんじゃこれ。でも無視して次のステップに行く。

ステップ3 最終段落を問う設問を見る

問5

 三つのステップで共通する言葉の多い選択肢は、「役者」を除くと

①失敗=トチルstep1 言葉 物 現実=確実step2

③言葉 物 実体=確実step2

④言葉 物

 でも選択肢の中に、非演劇4.2と対象化4.2(鼻の穴を広げて熱く語るのではなく、観察「対象」として研究者のように冷静に見ること)はない。主張の大枠はよくわからないが、ステップ1と2を機械的に要約すると、

1 役者がトチル瞬間、演劇は非演劇的なものと交叉(こうさ)し対象化され、雄弁になる。

2 役者が「これはポストです」という言葉と、ポストである「物」がせまるとき、アンチテアトルの演劇性が確かめられる

 何を言っているのか不明だが、これで十分。これが大事。ここで退却して最初にもどる。

問2{早}{主張}

 早読みは 最初と最後に 主語述語により、傍線Aを含む段落と次の段落の最初を主語・述語で整理すると、次のように本文を言い換えた正解に至った。

 [主]演劇…が [述]実生活から…距離を隔てて…緊張状態4.4~5

   ↓

 ①(演劇が)    実生活 とは別…の世界

 [主]実生活(の) 安定して不動なる大地 からの飛翔4.6 力が[述]試された

         ↓ ↓

 ① 実生活の  揺るぎなさ      から離れて

 [主]「実生活」であるところの「実」と呼ばれるもの4.8

    ↓

    実生活=実=事実・現実

          ×

 ①……………………虚構の世界

  正解は 本文言い換え 作られる

 以下は解答後の整理。①「引き込む」は本文にないが、それ以上に他の選択肢の内容は本文にない。②「利用…融合」③「秩序…道徳…理想」は本文にない。

 ④は傍線部の次の段落の内容から次のように作られたのだろう。

 飛翔力…の前提であった実生活が、その安定性を失ったとすれば4.9

                    ↓

             安定性を失った=不安定=不動ではない

ので、なんとなく

 飛翔力=④不動と信じている…思い込みを打破する力

のように感じられる。しかし傍線Aの段落を見ると、

 飛翔力=安定して不動(の)大地からの飛翔力4.6

 実生活=安定して不動(の)大地4.6

なので、

 飛翔力=実生活からの飛翔力

であり、

 飛翔力=④実生活…を打破する力

ではない。

 たとえば、[実生活=滑走路]とすると、

 飛翔力=滑走路から飛翔して大空に行く力

であり、

 飛翔力=滑走路を破壊する力

ではないのだ。

 また、⑤は次のように本文の一部をネジマゲて作られている。最初に確認した主張1から、

 トチル瞬間…非演劇…と交叉4.1~2

       ↓言い換え

   実生活=非演劇4.4      トチル4.1

    ↓言い換え        ↓ネジマゲ

⑤「実生活」と瞬間的に交叉する…見事な 演技

 

 ヒッカケは 本文ネジマゲ 作られる

問3{早}{問}

 設問は傍線Bの「具体例」を求めているので、傍線Bの段落の最初から傍線までを主語・述語で整理すると、

[主]写実主義…は 

[述]「実生活」の確固(さ)を失ったから…「演劇」を通じて(実生活を)対象化する手法

  つまり ↓ (言い換えて)

 B「演劇」に依拠して「実生活」を疑うための手法

 そこで、次の具体例を選択肢から探す。

 

演劇を通じて→確固(確かさ)を失った実生活 を疑う

 

 ②③は[演劇を通じて→実を疑う]ではなく、次のように[実を通じて→演劇を疑う]。

②実際は…と思った→演技…が気になりだした

③(実際の)観客に語りかけた→舞台…が作り物に…思えてきた

 ⑤の「ふだんの生活でも…するのか」は「確固(確かさ)を失った実生活」ではない。

 ①④は次のように

①劇を見る→現実の世界では…ないのではないかと思う

④舞台を見終わ(る)→わが家に帰(り)…父親とは何…か…考えさせられた

   演劇を見て→確かさを失った実生活を疑う

 といえる。①か④かの決着をつけるため、傍線Bの段落の最初と最後、および選択肢の全文を確認すると、

 近代演劇 の写実主義の手法4.12

  ↓ネジマゲ

①時代劇

 とあるので、出題者の予定では④が正解。

ヒッカケは 本文ネジマゲ 作られる

 ①は次のような文学史の知識を前提として作られたのだろう。

文学史:江戸時代における、善を勧(すす)め悪を懲(こ)らしめる「勧善懲悪(かんぜんちょうあく)」の小説は、

小説なんかじゃない!

と批判したのは近代明治の坪内逍遥。彼は『小説神髄』の中で、「善人にも尚(な)ほ煩悩あり、悪人にも尚(な)ほ良心あり」、これこそが「人情(人間の実情)」であると述べ、この人情を描くことが小説の第一目的だと主張した。この主張のように、事実をありのままに写し取るべきだとする思想は「写実主義」と呼ばれる。

 近代   写実主義=①現実の世界では常に善が勝つとは限らない

  ×    ×

 江戸時代 勧善懲悪=善を勧め   悪を懲らしめる

   ↓

 ①時代…………………善…によって 悪は懲らしめられる

問4{指}{早}

 傍線Cの前は次のように指示語が二つある。

 この奇妙な緊張感を利用し

  ↑

 そこに

C「演劇」的虚飾にも「実生活」的虚飾にもまどわされない…を見出(す)

 指示語「この」は前を受けるので、「奇妙な緊張感」の内容をつかむため、指示語を使いつつ、段落の最初と最後をさかのぼって追うと次のとおり。

 このトチルことによって…生じた奇妙な緊張感5.10

  ↓

 トチルことによってのみ…というのは この頃(ころ)のこと4.17

                   ↓

 「実生活」であるところの「実」   ↓

 と呼ばれるものの根拠が疑われ始めた 時4.8

 したがって、傍線Cの内容の一部は次。

a「実生活」について

 「実生活」の「実」の根拠が疑われる

b「演劇」について

  本質的なものは、「演劇」にも「実生活」にもない5.3

  ので、

  演劇=実生活=確固たる (ものではない)4.13=不確実

  であり、演劇についても

 「演劇」の「実」の根拠 が疑われる

 ここで選択肢を見る。

 ①「(実生活の)日常会話を写し取った」ら事「実」であり、その事実を①「疑」うので、①は正解か。でも①は「せりふにも…せりふにも」として「演劇」のセリフしか語らず、「実生活」がない。ヒッカケだ。

 ②「偽善」③「虚栄」は、C「虚飾」5.12の言い換えだ。でも②「偽善的振る舞い(行動)」③「虚栄心(心理)」は「虚飾」の具体例であり、次のように、抽象概念としての「虚飾」を表すには狭すぎる。

 なお、「具体は広大、抽象は極小」はわかっているよね。例:大量の具体的事実から一つの抽象原理を導きだす。

 [抽象]概念としての「虚飾」の[具体]例

  行動:偽善的行動、虚勢を張る、見栄(みえ)を張る…

  心理:虚栄心

 ④の「に従う」は「疑」うではない。

 ⑤は次のように本文を言い換えているようだ。

   ~の根拠     が疑われ(る)

     ↓      ↓

 ⑤~を支える秩序   に組み込まれない

  ~を統括する論理  に組み込まれない

 制限時間内では⑤を正解とした。以下は解答後の整理。

1 言い換えに慣れていない人のために

 言い換えが可能であることの根拠は次のとおり。

   ⑤が正解であることの根拠は

  =⑤が正解であることの理由は

  =⑤が正解であることを支える論理は

  =⑤が正解であることを支える原理は

  =⑤が正解であることを支える法則(ルール)は

  =⑤が正解であることを支える秩序(ルール)は

  =⑤が正解であることを統一的に説明する論理は

  =⑤が正解であることを統括する論理は

 ズルーイ!と叫ぶあなたの気持ちはよくわかるが、次を見よ。

2 選択科目『倫理』を履修していない人のための補足

 本文では

 a「実生活」…の「実」…の根拠が疑われ(る)4.8

 b本質的なものは、「演劇」にも「実生活」にもない5.3

 とあるので、

 根拠が疑われる

  ↓

 根拠がないのでは?そうだ、根拠はない=本質…は…ない

  ↓

 根拠=本質

 とわかる。

 問題文筆者が[根拠=本質]としている背景は次のとおり。

 「本質」はプラトン思想において「イデア」と呼ばれ、もろもろの現象を生む唯一の根源。そのため本質は、全現象を説明するため「の根拠」であり、全現象「を支える秩序」であり、全現象「を統括する論理」である。だから先に述べたズルーイ言い換えも、出題者にとっては自明(じめい:当たり前)なのだ。なお、本質と現象の関係は次のとおり。

             ↗現象1

             ↗現象2

 一つの本質・根源・真理→ 

             ↘現象3

             ↘現象n

3 正解⑤に違和感がある理由は次のとおり。

 日本語において、

 「虚飾」C=⑤秩序・論理

ではない。しかし、傍線Cの「虚飾」は、

 「実」…の根拠が疑われ(る)時4.8

の「虚飾」だから、

 Cの「虚飾」=真「実」に見えるが「虚」飾に過ぎないもの

 と解釈できる。すると⑤の「秩序・論理」についても

 ⑤の「秩序・論理」=(真実に見えるが虚飾に過ぎない)秩序・論理

であり、選択肢の文は

⑤(真実に見えるが虚飾に過ぎない)秩序…論理に…組み込まれない

         ↓              ↓

         虚飾に…………………………… まどわされない5.12

となるので、⑤は本文の言い換えと言える。ただし( )内の補足が長いので、チョット苦しい。

問5{問}{指}

 設問は「傍線部D(は)なぜ…か」としてDの理由を聞いている。傍線Dの直後に理由を示す「~だからである」があり、次のようになっている。

 Dその不安の中でこそ、…筈(はず)だからである。

 そこで、前を受ける指示語「その」の直前を追って「その不安」の内容を見ると次のとおり。

 Dその不安6.13

   ↓

  その不安6.12

   ↓

  [主]観客の…関心は6.11

  [述1]役者と観客が 

     同一地平にいるのか(?)いないのか(?)

  [述2]どのようにして(地平を間)違えているのか(?)6.12

  ↓

③[主]観客が[述]役者…とどう向かい合うべきか分からな(い)

 ここで③を確認。③のキズは「観客が…対象物とどう向かい合うべきか」③という文。③の「対象物」はD「これはポストです」という言葉の対象である「ポスト」。

 ③が本文の言い換えかを確認するため、傍線の前をさかのぼって読むと、次のように正解とわかる。

 [主]役者が6.10

 [述1]ポスト(対象物)を指(ゆび)示(しめ)さず

 [述2](観客の)誰をも見る事なく

 [述3]「これがポストです」という6.11

 とあるので、

 [述2]により

  役者に見られない観客は

        ↓

 ③役者…とどう向かい合うべきか分からず

 [述1・3]により

 対象物を指示されず、「これがポストです」という言葉だけを与えられた観客は

     ↓

 ③対象物とどう向かい合うべきか分からない

 以下は解答後の整理。他の選択肢のキズは次のとおり。

 ①「役者の失敗(=トチリ)」は本文「トチリ(=失敗)…の近似値」5.15と矛盾。失敗・トチリとその近似値は違う。

実は次のように①は冒頭の段落の一文の理由説明だった。

 演劇が…雄弁であるのは、役者が…トチル瞬間4.1

  ↓それはなぜか?

①役者の失敗(トチルこと)が今後どのような混乱を生むか分からない…状況の中でこそ、観客は舞台上の言葉や…物の現実感をより重々しく受け止めるようになるから

 また①の文は、人間である観客が主語となる

  「[主]観客は[述]受け止める」

だが、本文は、言葉と物が主語となる

  「[主]言葉と…物…が[述]せまってくる」6.14

④も①と同じく

  「[主]観客は[述]考えざるを得ない」

⑤も①と同じく

  「[主]観客は[述]実感する」

③だけ

  「[主]実体が[述]浮かび上がってくる」

     ↑

  「[主]言葉と…物…が[述]せまってくる」6.14

 ②「役者が…観客に…話しかけ(る)」ことは「(観客の)誰をも見ることなく」6.11の反対。

問6{早}

 早読みは 最初と最後に 主語述語により、段落の最初と最後だけを飛ばし読みすると、次のように正解がわかった。

①トチリの意味が変化してきた事情を

 ↓

[主]演劇として雄弁であるのは [述]トチル瞬間4.1

[主]もちろん○○時代においては4.5

[主]トチリ(の意味)は [述]失速(=失敗)4.6

[主]しかし…実生活(の)根拠が [述]疑われ…た時4.8

[主](トチリの意味についての)事情は [述]変わった4.8

①演劇と実生活との関係の歴史的推移…にからめて説明

 ↓

[主]もちろん…(近代以前の)時代においては4.5…(だったが)

[主]実生活(の)根拠が [述]疑われ…た時4.8

[主]事情は [述]変わ(り)4.8

[主]近代4.12(では)

[主]「演劇」と「実生活」との関係の変化が [述]問題(重要だ)4.16

①トチリによって生じる…緊張感とアンチテアトル(を)関連づける

 ↓

[主]トチルことによって…生じた…緊張感5.10

[主]を利用し(て)人間…を見出そうとしたのが5.12

[述]アンチテアトルの手法5.13

①その演劇の方法論を…(を)例にして段階的に述べている。

 ↓

[主]例が [述]ある5.15

   先ず最初に5.16

   次に5.19

   第三に6.10

 他の選択肢については、次の部分などが本文にない。

②演劇と実生活…のへだたりのためにトチリが生じやすい

③三段論法

  [例] 大前提 受験するのは楽しい A=B

     小前提 私は受験する    B=C

     結論  だから私は楽しい  C=A

⑤エピソード(=逸話(いつわ)、こぼれ話。例:大スターXはかけだしのころ、せりふをトチって舌をかみ、真っ赤な血が口からあふれ出た。)

問1 

(ア)隔てて ①格式 ②遠隔地 ③問題の核心④改革⑤比較

(イ)介在 ①改良 ②仲介 ③快活④回想⑤会計

(ウ)還元 ①約款 ②還暦 ③閑静な④首尾一貫⑤環境

(エ)刻み ①克服②脱穀③告示 ④刻限 ⑤五百石

(オ)側面 ①催促②即座③規則④測量 ⑤側壁

2006

わかって読んで力をつける

『言葉への戦術』の翻訳に代えて 

1 執筆の動機

 受験生は叫ぶ。

 この選択肢でいいのか!これが正解なのか!一度でいいから、確実な手ごたえを感じてみたい。

 問題文の筆者も叫ぶ。 

 「確固3」とした「手ざわり2」がほしい。「確実1」な「手ごたえ1」を得るためにはどうすればよいのか!

※「」内の数字は文中での登場回数。

2 主張の論理 

(1)変わる現象、変わらない「本質」5.10

 変転きわまりない現象の奥底には、「確固」4.12として「確実」6.14な不変の法則がある。たとえば、現象が

 y=2x

という式であらわされるとすると、

 XとYに入る数値はさまざまに変化するが、「YはXの2倍」という「関係」5.4は不変だ。

 この不変の「関係」=本質的なもの5.9=本質5.10

(2)不安によって本質を探究する

 人は、想定外の事態に出会うと、迷い6.8、不安6.12になる。たとえば、

 今知られている物質の�