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1 1 wakamonog meeting 7 中の人が語るMVNO概要 2015/01/30 株式会社インターネットイニシアティブ ネットワークサービス部 モバイルサービス課 佐々木 太志<[email protected]>

wakamonog7 中の人が語るMVNO概要

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wakamonog meeting 7 中の人が語るMVNO概要

2015/01/30 株式会社インターネットイニシアティブ ネットワークサービス部 モバイルサービス課 佐々木 太志<[email protected]>

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話者紹介

•  佐々木 太志(ささき ふとし) –  2000年IIJ入社 –  以後、ネットワークサービスの構築、運用、開発に従事 –  2007年よりIIJのMVNO事業の立ち上げに参加。以後、MVNOサービスを

継続的に担当 –  現在、IIJネットワークサービス部モバイルサービス課担当課長

–  IIJmioの公式Twitterアカウント@iijmioを主に担当 –  (一社)テレコムサービス協会MVNO委員会メンバー

•  運営分科会副主査 •  消費者問題分科会メンバー

MVNO

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MVNOとは?

•  MVNOとは? –  Mobile Virtual Network Operator –  仮想移動体通信事業者

•  MNOとMVNO –  MNO(Mobile Network Operator)

•  電波の割当を受け、全国で基地局を運用している移動体通信事業者のこと •  要は携帯電話会社(ドコモ、KDDI、ソフトバンク等)

–  MVNO •  電波の割当を受けず(基地局を運用せず)、それらを持つMNOからネットワー

クの貸出を受け、独自の携帯電話事業を営む事業者のこと •  ネットワーク貸出にあたり、MVNOはMNOに対し対価(接続料)を支払う

利用者 MVNO MNO(ドコモ)

通信料金 接続料

無線ネットワーク 携帯電話サービス

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設備や電波を借りるということ

•  代表的なMNOとMVNOの設備構成の例(総務省のガイドラインから)

–  MNOの通信サービスを、MVNOが自ら契約する(卸電気通信役務) –  MVNOの設備により付加価値を付け、エンドユーザ(利用者)に提供する

•  付加価値=独自の料金プラン –  卸電気通信役務ではなく、事業者間の相互接続制度(電気通信事業法32

条)を用いて提供するケースもある

MVNO設備はなくてもいい →その場合は、MVNOの料金プランと MNOの料金プランはほぼ同等となる

出所:総務省「MVNOに係る電気通信事業法及び電波法の適用関係に関するガイドライン」

SIMカードまでMNOから 提供される

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SIMカード

•  携帯電話会社が契約者を特定する目的で貸し与えるICカードのことをSIMカードと呼ぶ

•  契約者が端末にSIMカードを装着して電源を投入すると、MNOの電気通信設備がSIMカード内の固有ID(IMSI)を認識し、端末と契約者を紐付けて特定する

•  SIMカードもMNOの電気通信設備の一部として扱われる –  MVNOは発行できない –  MNOが発行するSIMカードを、MVNOは自らのエンドユーザに提供する

⇒ 格安SIM

IIJmioのSIMカード NTTドコモのSIMカード

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MVNOとMNO間の契約形態

•  MVNOにおける卸電気通信役務と相互接続の違い 卸電気通信役務 相互接続

電気通信事業法上の定義 第29条第10項 第32条

MNOへの規律 弱い 強い •  MVNOの接続要求に応じる義務 ない(不当な差別の禁止のみ) ある(例外規定あり)

•  契約の公開 ない 約款の届出、公表の義務

MNOとMVNO間の課金方式 •  従量制課金 •  回線容量単位課金

•  回線容量単位課金

MNOとMVNO間の接続料金 原則自由 •  NTTドコモには、電気通信事業法

の規定により縛りがある(禁止行為規制)

規定あり •  「原価+適正な利潤」 •  総務省「二種指定ガイドライン」に

詳細が規定されている

MVNOに提供される機能 •  データ通信 •  音声通話機能 •  SMS機能

•  データ通信

MVNOの設備 必要ではない 必要

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MVNOとMNO間の課金方式

•  総務省「MVNO事業化ガイドライン」によるMVNOとMNO間の課金方式 従量制課金 回線容量単位課金

説明 MVNOがエンドユーザに提供した回線数や、そのパケット数の合計に応じて、MNOへの接続料を支払う方式

MNOとMVNOの設備間を繋ぐ回線の帯域幅により、MNOへの接続料を支払う方式 この「帯域幅」とは、「MVNOがMNOから設備を借

り受けられる上限」を示す

メリット •  設備を持たないMVNOでも利用可能 •  回線やパケットの単価が予め決まっているため、

EU料金を適切に決めることで利益を出しやすく、

ローリスクである

•  一定の帯域幅に多くの利用者を収容できれば、利益率は高まる

•  MNOの長期的なコスト低減に準じた調達価格

の漸減が見込める(卸役務の場合は、相互接続料金が準用される場合のみ)

デメリット •  MVNOが実現可能な料金プランは限定的であり、独自の料金プランは難しい

•  一般的に卸役務となるため、MNOの同意がな

い限りMNOからの回線の調達価格が下がらない

•  MVNOはネットワーク設備を持つ必要があり、運用コストがかかる

•  帯域幅に対する利用者の収容効率により利益

率が低下するリスクがある。 •  料金プランの設計を誤ると、通信品質悪化など

ユーザエクスペリエンスの低下が発生するリスクがある

イメージ

MNO MVNO

SIMの枚数により接続料が決まる

MVNO MNO

土管の太さにより接続料が決まる

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もし帯域幅が不足すると…

•  MVNOネットワークとキャリア間の帯域が不足している場合を考える

この区間が「ボトルネック」となる

混雑により、ボトルネックを 通れないパケットが捨てられる ⇒通信品質悪化、通信速度低下

パケット

インターネット

基地局

MVNO ネットワーク

MNO コアネットワーク

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格安SIMの提供の仕組み(IIJによる例)

•  速度制御用の交換機、管理用サーバ等をMVNO側設備として構築 –  通信速度の可変機能 –  高速通信の上限を管理する機能

•  これにより、MNOとは異なる独自の料金プランを提供可能に •  管理用サーバを自社で開発したことにより、料金プラン開発の速度、柔軟性が

得られ、コスト低減とユーザの通信品質維持の両立に寄与

MVNO側 交換機

速度管理用サーバ クーポン管理用サーバ

MNO側 交換機 インターネット

ユーザトラフィック

顧客管理サーバ アプリ(みおぽん)/

サードパーティ製アプリ

速度制御

NTTドコモ← →IIJ

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MVNOの必要性

•  MNO間の競争が十分であり、料金が競争を反映していれば、MVNOのような中間事業者は、存在しない方が合理的

•  ただ、MNOの競争は十分ではない –  電波の割当は、多数の通信事業者には行えない

•  電波の帯域幅が細切れになり、伝送効率や通信の速度に悪影響 •  現在のLTEやWiMAXのような超高速モバイルサービスは、帯域幅が広くない

と実現できない –  少数の事業者しか業界に存在しないと、協調的寡占が起きる

•  買収によるグループ化により、更なるプレイヤーの減少が発生する •  明らかなカルテルではなくとも、暗黙のうちに事業者間で競争の抑制が働く •  ほぼ同じ料金プラン、通信速度、端末…

•  そのため、MVNOが政策的に推進されている –  MVNOの参入による、MNO間の協調的寡占の打破 –  MVNOによる多様なサービスの促進と、利用者利便性の向上

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別な視点

•  携帯電話は垂直統合型ビジネスモデルとしてスタート –  パケットサービス(コンテンツプラットフォーム、キャリアメール)

•  i-mode、ez-web、Yahoo!ケータイ –  端末の流通を独占し、系列化

•  スマートフォン時代のパラダイムシフト –  キャリアメール→Gmail、SNSに –  コンテンツプラットフォーム→インターネット、アプリ –  OTTの台頭

•  急速に普及するOTT(Google、LINE等)のサービス •  携帯電話会社とOTTの競り合い

–  SIMフリースマートフォン •  キャリア販路に依らず、メーカーが流通

–  MVNOの登場

回線

インターネット (メール、アプリ)

端末 (スマートフォン、タブレット)

OTT(Google、LINE) コンテンツプロバイダ

携帯電話会社 MVNO

携帯ショップ・量販店

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日本におけるMVNO(1)

•  契約数(回線数ベース)は1,986万(平成26年9月末) –  移動体通信の全契約数に占める割合は12.2% –  うち、携帯電話・PHSに係るものが49%、BWAに係るものが51%

•  BWA = WiMAX、WiMAX2、AXGP(TD-LTE)

•  MVNOの契約数の57.7%は、MNOがグループ内の他のMNOから回線を調達しているケース –  KDDIがUQコミュニケーションズから回線を調達するケース、ソフトバンク

がワイモバイル、WCPから回線を調達するケース –  これらは、MNOのグループ内での設備の融通であり、独立系のMVNOと

はビジネスモデルは大きく異なる –  「MNOでもあるMVNO」を除くと、

MVNOのシェアは5.1%

「IIJmio meeting 6」における発表資料より(総務省・富岡企画官)

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日本におけるMVNO(2)

•  MVNOの変化 –  一般消費者向けのMVNOの例

•  キャリアの販路としての再販型MVNOから、独自の料金プランを持ちキャリアと競合するSIM型MVNOへのシフトが起きている

再販型MVNO SIM型MVNO

普及時期 2008年~ 2013年~

MNO UQ WiMAX イー・モバイル(現ワイモバイル)

NTTドコモ KDDI

契約形態 従量制・卸役務 回線容量単位課金・卸役務 回線容量単位課金・相互接続

提供形態 WiFiルータとセット SIMのみ SIMフリースマートフォンとセット

料金プラン 使い放題(キャリアのプランと同等) 独自の料金プラン

価格帯 3,000~4,000円程度 500~3,000円程度

参入事業者 家電量販店 ISP

ISP MVNO専業の通信事業者 コンテンツプロバイダ

MVNE

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MVNOが直面する課題

•  業務システムの構築 –  SIMカードや端末のプロビジョニング・流通 –  契約者管理・課金管理・請求 –  ユーザサポート

•  契約・解約・利用プランの変更等の対応 •  技術サポート •  その他クレーム対応

•  ネットワーク設備構築 –  キャリアとの交渉 –  交換機、サーバ等のネットワーク機器の構築、運用、保守等 –  技術調査・検証・開発

•  端末 –  端末の調達コスト削減 –  技適問題(電波法等国内法規対応)

独自の付加価値(MVNO独自の料金プラン)が不要の場合は設備をもつ必要はない。 ただ、独自の料金プランの設計のためには、 ネットワークや課金サーバ構築が必要

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MVNEとは

•  MVNE –  Mobile Virtual Network Enabler –  MVNOが事業を展開するにあたり、その支援を行う事業者のこと

•  MVNEが登場した理由 –  MVNOへの参入は比較的容易だが、市場の変化に追随する、あるいは

リードするためには、ネットワーク設備や契約者管理システム(バックオフィス)に対する投資や技術的知見が必要不可欠

–  効率的なMVNOのスタートアップのため、契約者管理、課金管理、端末調達、物流など、直面する課題に対する支援が重要

•  MVNO事業において先行した通信事業者がMVNE事業を手がけ始めている –  先行するMVNOにとっても、設備の利用効率を高めることで投資回収が

早まり、キャリアや端末メーカーとの交渉力が高まるなどのメリットがある

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MVNE・MVNOのモデル例

販売

課金

顧客DB管理

認証

ネットワーク運用

無線アクセス MNO

MVNO

MNO

MVNO

代理店

MNO

MVNE

MVNO

MNO

MVNE

MVNO

他にもMVNO・MVNEのモデルは様々なものが考えられる