19
163Ⅱ.抗マラリア原虫作用の機序 マラリア ハマダラカに し、 にそ 唾液 から 体(スポ ロゾイト) してヒト され、感 する。スポロゾイト から して し、 体(メロゾイト) り、 る。しかし、 マラリア P.vivax マラリア P.ovale 、一 (ヒプノゾイト) して し、 )する。 マラリア P.falciparum マラリア P.malariae ヒプノゾイト みられ い。 ったメロゾイト して栄 (トロホゾイト) り、 育して 体(シゾント)を する。シゾント して多 メロゾイト り、 して される。 されたメロゾイト し、感 サイク ルを する。また、一 メロゾイトから 体が される。ハマダラカ 体を し、体 スポロゾイトを するためマラリア る。以 される 7) Foley 8) による 、メフロキン ように えられている。 メフロキン クロロキン に、 して に対して る。 する により、メフロキン マラリア food vacuole 態学 を引き こすこ さ れ た 。こ クロロキン により される変 する。しかし、メフロキン ヘモゾイン(マラリアピ グメント) を引き こす われる に対して、クロロキン ネズミ マラ リア された。キノリンメタノール クロロキン それ あるこ されている。しかし がら、ヘム 4- ミノキノリン している 、ヘムがキノリンメタノール マラリア における 一あるい あるか うか い。メ フロキン ヘム における K d 3 × 10 -7 1.6 × 10 -5 M されて いる。メフロキン ヘム に対する クロロキン かより いこ されている。メフロキン いこ える 、ヘム する する われ い。 に、 P. berghei スにおい てクロロキン ヘモゾイン させたが、メフロキン キニーネ がみられ かった。また、メフロキン ヘムに対するペルオキシダーゼ活 クロロキンより いこ された。 メフロキン クロロキン するこ れる。 いた において、P. falciparum かけ 22 23 kDa 36 kDa 2 メフロキン が確 され た。これらポリペプチド 体について だ確 されてい いが、これらがメフロ キン みあるい マラリア に影 える がある。また、メ フロキン耐 マラリア P- P-glycoprotein homolog-1 Pgh-1 )に 対 する 割に する されてきている。これ Pgh-1 がまたメフロキン ある 大させている。

Ⅱ.抗マラリア原虫作用の機序 マラリア原虫は雌の …...-163- Ⅱ.抗マラリア原虫作用の機序 マラリア原虫は雌のハマダラカに寄生し、刺咬時にその唾液腺から胞子小体(スポ

  • Upload
    others

  • View
    0

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: Ⅱ.抗マラリア原虫作用の機序 マラリア原虫は雌の …...-163- Ⅱ.抗マラリア原虫作用の機序 マラリア原虫は雌のハマダラカに寄生し、刺咬時にその唾液腺から胞子小体(スポ

-163-

Ⅱ.抗マラリア原虫作用の機序

マラリア原虫は雌のハマダラカに寄生し、刺咬時にその唾液腺から胞子小体(スポ

ロゾイト)としてヒトの血液中に注入され、感染する。スポロゾイトは循環血から肝

細胞内に侵入して増殖し、分裂小体(メロゾイト)となり、血流に入る。しかし、三

日熱マラリア原虫(P.vivax)及び卵形マラリア原虫(P.ovale)では、一部が休眠体

(ヒプノゾイト)として長期間肝細胞内に潜在し、不定の潜伏期間後に分裂を開始し

て再発(再現)する。熱帯熱マラリア原虫(P.falciparum)及び四日熱マラリア原虫

(P.malariae)ではヒプノゾイトの形成はみられない。血液中に入ったメロゾイトは

赤血球内に侵入して栄養型(トロホゾイト)となり、発育して分裂体(シゾント)を

形成する。シゾントは分裂して多数のメロゾイトとなり、赤血球を破壊して血液中へ

放出される。放出されたメロゾイトは、再度赤血球内に侵入し、感染の赤血球サイク

ルを形成する。また、一部のメロゾイトから生殖母体が形成される。ハマダラカは刺

咬時に生殖母体を吸入し、体内でスポロゾイトを形成するためマラリア原虫感染の媒

体となる。以上の生活環が繰り返される 7 )。

Foley ら 8 )によると、メフロキンの作用機序は以下のように考えられている。

メフロキンはクロロキンと同様に、主として赤血球内の無性型原虫に対して作用す

る。超微細構造に関する研究により、メフロキンは熱帯熱マラリアの食胞( food

vacuole)内の形態学的変化を引き起こすことが示された。この変化はクロロキン処理

により観察される変化と類似する。しかし、メフロキンではヘモゾイン(マラリアピ

グメント)の脱顆粒を引き起こすと思われるのに対して、クロロキンはネズミのマラ

リア原虫で色素の凝集が観察された。キノリンメタノール類の作用機序はクロロキン

のそれと同じであることが示唆されている。しかしながら、ヘムとの相互作用が 4-ア

ミノキノリン類の作用様式を支持しているものの、ヘムがキノリンメタノール類の抗

マラリア原虫作用における唯一あるいは主要な標的であるかどうかは明確でない。メ

フロキンの遊離ヘムとの相互作用における Kd値は 3× 10-7~ 1.6× 10-5M と報告されて

いる。メフロキンのヘム重合に対する抑制効率はクロロキンと同程度かより低いこと

が示されている。メフロキンの塩基度が低いことを考えると、ヘム重合を阻害するの

に必要な食胞内濃度に到達するとは思われない。更に、P. berghei 感染マウスにおい

てクロロキンはヘモゾイン産生を低下させたが、メフロキンやキニーネではこの効果

がみられなかった。また、メフロキンのヘムに対するペルオキシダーゼ活性の増強作

用はクロロキンよりも弱いことが示された。

メフロキンはクロロキンとは異なる方法で原虫の摂食過程を妨害することが示唆さ

れる。光親和性標識法を用いた実験において、P. falciparum 感染赤血球内に見かけの

分子量 22~ 23 kDa 及び 36 kDa の 2 種類の高親和性メフロキン結合蛋白質が確認され

た。これらポリペプチドの本体については未だ確立されていないが、これらがメフロ

キンの取り込みあるいは抗マラリア原虫作用に影響を与える可能性がある。また、メ

フロキン耐性のマラリア原虫の P-糖蛋白質(P-glycoprotein homolog-1、Pgh-1)に対

する役割に関する証拠が集積されてきている。これは Pgh-1 がまたメフロキンの作用

標的である可能性を増大させている。

Page 2: Ⅱ.抗マラリア原虫作用の機序 マラリア原虫は雌の …...-163- Ⅱ.抗マラリア原虫作用の機序 マラリア原虫は雌のハマダラカに寄生し、刺咬時にその唾液腺から胞子小体(スポ

-164-

マラリア原虫の生活環

7)Tracy J.W. and Webster Jr.L.T. : Drugs used in the chemotherapy of protozoal

infections, malaria. In Goodman and Gilman’s the pharmacological

basis of therapeutics, 9th edition, edited by Hardman J.G., Limbird L.E.,

Molinoff P.B., Ruddon R.W., Gilman A.G., p.965-985, McGraw-Hill companies,

1996

8)Michael Foley, Leann Tilley : Quinoline Antimalarials : Mechanisms of Action

and Resistance and Prospects for New Agents. Pharmacol.Ther., 79(1):55-87,

1998

感染した蚊に刺される

感染した蚊

感染していない蚊一次感染 再発 (P.vivax or P.ovaleによる)

赤血球の感染ステージ

赤血球サイク

分裂小体(メロゾイト)

栄養型(トロホゾイト)

分裂体(シゾント) 分裂小体(メロゾイト)

生殖母体

休眠体(ヒプノゾイト)

分裂体(シゾント)

胞子小体(スポロゾイト)

Page 3: Ⅱ.抗マラリア原虫作用の機序 マラリア原虫は雌の …...-163- Ⅱ.抗マラリア原虫作用の機序 マラリア原虫は雌のハマダラカに寄生し、刺咬時にその唾液腺から胞子小体(スポ

-165-

Ⅲ.その他の作用

1.膜安定化作用-ラット肝粗リソソーム分画からの標識酵素遊離に対する塩酸メフ

ロキンの及ぼす影響       

ラット肝臓粗リソソーム由来の粗リソソーム標本で、標識酵素である酸性ホスファ

ターゼ(AP)及びβ-グルクロニダーゼ(BG)の遊離に対する塩酸メフロキンの効

果を、クロロキンと比較した。

塩酸メフロキンは 10 µM で標識酵素(AP 及び BG)の遊離を有意に減少させたが、

高用量の 100 及び 500 µM では、酵素の遊離を著明に促進した。このことから、塩酸

メフロキンは濃度依存的な膜の安定化及び不安定化という二相性の作用を有すること

が示唆された。これに対し、クロロキンは 10~ 500 µM で両酵素の遊離を減少させ、

膜安定化作用を示した(図ホ -9)。

塩酸メフロキンの 1 週間反復投与後のヒト血中濃度は 1.6~ 3.2 µM との報告から、

臨床使用量では膜安定化作用が考えられる。しかし、高濃度では好ましくない結果で

ある不安定化が生じることも考えられる。

図ホ-9 ラット肝粗リソソーム分画からの標識酵素 AP(a)及び BG(b)の遊離に対する塩酸メフロキン(○)及びクロロキン(●)の効果

安定度(

%)

不安定度(

%)

薬物無処置

濃度(log µM) 濃度 (logµM)

Page 4: Ⅱ.抗マラリア原虫作用の機序 マラリア原虫は雌の …...-163- Ⅱ.抗マラリア原虫作用の機序 マラリア原虫は雌のハマダラカに寄生し、刺咬時にその唾液腺から胞子小体(スポ

-166-

2.PGI2 生成阻害作用-ラット胸部大動脈及び子宮筋による PGI2 生成に対する作用

塩酸メフロキンの臨床使用時には、胃障害、下痢、痙攣及び急性精神障害などの副

作用が発現する場合があることから、強力な血管拡張・血小板凝集阻害・抗痙攣作用

を持つ PGI2の合成系への影響を調べるため、ラット胸部大動脈及び子宮筋による PGI2

合成への影響をラット血小板凝集法を用いて検討した。

PGI2 合成への影響を検討するために、組織に塩酸メフロキンを 37 ℃で 30 分間前

処置した。その後、組織を細かく切断してクロノ-ログアグリゴメーター(米国)の

チャンバー内へ入れ 600 r.p.m.で攪拌しながら 37 ℃で 3 分間インキュベートした。

その培養液について 4 点(PGI2 0、 2.5、 5、 10 ng) bioassay を用いて PGI2量を算出

した。

また、アラキドン酸(AA:最終濃度 16.6 mM)存在下での影響を評価するときは、

インキュベーションの直前にアラキドン酸を添加した。

ラット胸部大動脈及び子宮筋層組織の一部は 2 等分し、一つは対照として用い、一

つは塩酸メフロキンの一つの濃度の影響を調べるために用いた。大動脈組織( 10 mg)

及び子宮筋層( 100 mg)はそれぞれ 200 mL 及び 400 mL のクレブス液(NaCl 118.4、

NaHCO3 25、NaH2PO4 1.13、CaCl2 1.8、KCl 4.7、MgCl2 1.3 及び glucose 11(mM、

pH8))でインキュベートした。PGI2合成は湿組織 mg 当たりの ng に換算し、集計結

果はその平均値±標準誤差で示した。

薬物処置した組織培養液の抗凝集作用を試験する際、血小板凝集と bioassay に使用

する全ての PRP( 1 mL)が、同一濃度の薬物に曝露されることを確認した。そのため

に、標準濃度の ADP 添加による血小板凝集誘発 1 分前に培養液中の試験薬に相当する

量を PRP に加えた。

全ての血小板凝集試験は MSE 記録計(MSE 社、米国)に接続したクロノ-ログア

グリゴメーターで行った。

その結果、塩酸メフロキンは 12~ 192 µM の前処置で、用量依存的な PGI2合成阻害

作用を示した(表ホ -9、図ホ -10)が、この作用はアラキドン酸( 16.6 µM)存在下で

はみられなかった(図ホ -11)。

また、麻酔ラットにおいてアラキドン酸( 4 nmol/kg, i .v.)は一過性の血圧下降を

示した(図ホ -12、上段)。塩酸メフロキンは 7.5 µmol/kg, i .v.で一過性の血圧下降を

示した(図ホ -12、中段)。その 30 分後に、再度アラキドン酸を処置した結果、塩酸

メフロキンはアラキドン酸による血圧下降に対する拮抗作用を示さず、むしろ血圧下

降を持続させた(図ホ -12、下段)。

したがって、塩酸メフロキンは PG シクロオキシゲナーゼには作用がなく、ホスホ

リパーゼ A2 の基質である細胞膜のリン脂質と反応することによってホスホリパーゼ

A2を阻害するものと思われる。

以上の結果から、塩酸メフロキンの抗原虫作用及び副作用の一部に PGI2 生成阻害

が関与する可能性が示唆された。

Page 5: Ⅱ.抗マラリア原虫作用の機序 マラリア原虫は雌の …...-163- Ⅱ.抗マラリア原虫作用の機序 マラリア原虫は雌のハマダラカに寄生し、刺咬時にその唾液腺から胞子小体(スポ

-167-

表ホ-9 塩酸メフロキンのラット胸部大動脈及び子宮筋層における PGI2合成への影響

PGI2合成 (ng/mg 組織乾燥重量) 塩酸メフロキン 大動脈 子宮筋層

(μM) 対照群 処置群 対照群 処置群

12 22.1 ± 3.8 19.8 ± 2.1 3.7 ± 0.2 2.2 ± 0.2*24 21.0 ± 1.3 15.0 ± 1.1* 3.7 ± 0.3 1.6 ± 0.2**48 21.4 ± 0.5 13.2 ± 0.8* 3.8 ± 0.3 1.3 ± 0.2**96 21.9 ± 1.8 12.0 ± 1.4* 3.4 ± 0.2 1.2 ± 0.3**

192 24.5 ± 2.3 7.9 ± 1.1* 3.7 ± 0.7 1.3 ± 0.2**

平均値±標準誤差 *:p<0.01, n=5~6(各対照群との比較)

**:p<0.005, n=5~6(各対照群との比較)

図ホ-10 塩酸メフロキン(192 µM)のラット胸部大動脈による PGI2合成に及ぼす効果の一例(PGI2による血小

板凝集阻害作用で評価)

ラットの血小板は ADP(最終濃度 12 µM)で凝集した(⇓ )。更に、塩酸メフロキン(MF)1.53 µM を ADP

添加 1 分前に適用した( )。多血小板血漿(PRP)の前処置に用いた MF 非処置組織インキュベーシ

ョン培地の培養液 8 mL(C)は 10.2 ng の PGI2(I2)を含有していたが、MF 処置組織インキュベーシ

ョン培地の培養液サンプル(T/MF 192 µM)には 2 ng の PGI2が含まれていた。

透過度増

I2 10 ng C 8 µL I2 5 ng T/MF 192 µM I2 2.5 ng 8 µL

M F 1 . 5 3 µM +

ADP 1 2 µM ADP 1 2 µM

⇓ ⇓

Page 6: Ⅱ.抗マラリア原虫作用の機序 マラリア原虫は雌の …...-163- Ⅱ.抗マラリア原虫作用の機序 マラリア原虫は雌のハマダラカに寄生し、刺咬時にその唾液腺から胞子小体(スポ

-168-

図ホ-11 塩酸メフロキン(24 µM)のアラキドン酸(16.6 µM)存在下での妊娠 20 日目のラット子宮筋による PGI2 合成への影響対照群のラットの血小板は 17 µM の ADP で凝集した。アラキドン酸(AA)0.13 µM と塩酸メフロキン(MF) 0.19µM は ADP 添加の 1 分前に適用した。C:AA(16.6 µM)存在下で培養した対照組織からの培養液 8 µL で多血小板血漿(PRP)を前処置した。この作用は、PGI2(I2)10 ng を 1 分前に添加した ADP 凝集抑制作用と同等。また、同様の抑制は T/MF:AA(16.6 µM)存在下に MF を処置した組織からの培養液で PRP を前処置下の ADP 凝集でみられる。

図ホ-12 ラットでのアラキドン酸誘発血圧下降に対する塩酸メフロキン(24 µM)の効果

ウレタン麻酔のラットへのアラキドン酸(AA、4 nmol/kg,i.v.)投与は、血圧を 26 mmHg

低下させた。塩酸メフロキン(MF)は 7.5 µmol/kg 前処置でこの AA による血圧下降作用

を抑制しなかった。MF は、AA による血圧下降作用をわずかに持続させた。

AA 4 nmol/kg

AA 4 nmol/kg

MF 7.5 µmol/kg

I2 10 ng C 8 µL T/MF 24µM 8 µL I2 5 ng

MF 0.19µM+ADP 17µM

AA 0.13µM+MF 0.19µM+ADP 17µMADP 17µM

過 度

Page 7: Ⅱ.抗マラリア原虫作用の機序 マラリア原虫は雌の …...-163- Ⅱ.抗マラリア原虫作用の機序 マラリア原虫は雌のハマダラカに寄生し、刺咬時にその唾液腺から胞子小体(スポ

-169-

3.筋収縮抑制作用

(1)摘出ヒヨコ頸二腹筋及びラット半横隔膜神経筋標本に対する作用

塩酸メフロキンの骨格筋及び神経伝達に対する作用をヒヨコ頸二腹筋及びラット半

横隔膜神経筋標本を用いて検討した。

1)ヒヨコ頸二腹筋標本に対する塩酸メフロキンの作用

ヒヨコより二つの頸二腹筋を摘出し、5%CO2-95%O2で通気し、37℃に保温したク

レブス-ヘンゼライト液(組成 mM : NaCl 118、KCl 4.7、CaCl2 2.5、NaHCO3 25、

KH2PO4 1.2、MgSO4 1.2 及び glucose 11.1)を満たした 10 mL のオルガンバスに約

1 g の静止張力で懸垂した。攣縮反応は最大反応を起こすのに必要な電圧(通常 6~

8 V)より強い電圧のパルス幅 0.2 msec の矩形波パルスを 0.1 Hz の頻度で運動神経

を介して間接的に筋を刺激し誘発した。カルバコール( 20~ 40 µM)及び塩化カリ

ウム( 38 mM)の反応は電気刺激なしの状態で記録した。カルバコール及び塩化カ

リウムの曝露時間はそれぞれ 60 秒及び 30 秒で、その後 30 秒間洗浄した。反応は張

力変位トランスデューサーを用いてポリグラフに等尺性に記録した。各濃度の薬物

(メフロキン: 64、128、 257 µM、キニーネ:257、 512 µM、クロロキン:257 µM、

ハロファントリン: 96 µM)は、間接刺激による反応が 50%抑制(T50)されるまで、

あるいは抑制が 50%に達しない場合は 20 分間オルガンバスに加えた。その後、大量

のクレブス-ヘンゼライト液で洗浄( 30 秒)し、その 10 及び 20 分後にそれぞれカ

ルバコール及び塩化カリウムに対する反応及びそれら薬物投与後の攣縮反応を記録

した。その後 30 分間隔で計 3 回記録した。

その結果、摘出ヒヨコ頸二腹筋は、電気刺激なしの状態でカルバコール( 20~ 40

µM)及び塩化カリウム( 38 mM)により拘縮反応を起こし、電気刺激により攣縮反

応を起こした(図ホ -13)。塩酸メフロキンは頸二腹筋に直接収縮を引き起こし、ま

た神経刺激による攣縮反応を減弱した(図ホ -13)。

各抗マラリア薬投与後の各時点での攣縮高の変化を図ホ -14 に示した。メフロキ

ンは 64、 128 そして 257 µM の濃度で神経刺激に対する攣縮反応を減弱し、結果と

して、257 µM の同じ用量における T50値はメフロキン <クロロキン <キニーネの順で

延長した。

カルバコール及び塩化カリウム誘発の頸二腹筋収縮に対する抗マラリア薬の効果

を図ホ -15、 16 に示した。メフロキンはカルバコール及び塩化カリウム誘発収縮を

用量依存的に抑制した。この抑制作用は他の同濃度のクロロキンやキニーネに比べ

最も強かった。

Page 8: Ⅱ.抗マラリア原虫作用の機序 マラリア原虫は雌の …...-163- Ⅱ.抗マラリア原虫作用の機序 マラリア原虫は雌のハマダラカに寄生し、刺咬時にその唾液腺から胞子小体(スポ

-170-

図ホ-13 ヒヨコ頸二腹筋標本のカルバコール(C)、塩化カリウム(K)、神経刺激に対する塩酸メフロキンの作用

図はヒヨコ頸二腹筋標本のカルバコール(C)、塩化カリウム(K)、神経刺激に対する反応を示す。

塩酸メフロキン(MF,257 µM)を標本に投与し、神経刺激による攣縮反応がコントロールの高さの 50%に達

したところで洗い流した(↓)。

塩酸メフロキンをバスから除去し、10 分(i)、40 分(ii)、70 分(iii)経過後の C、K 及び神経刺激に対す

る反応も示す。

2分

MF

Page 9: Ⅱ.抗マラリア原虫作用の機序 マラリア原虫は雌の …...-163- Ⅱ.抗マラリア原虫作用の機序 マラリア原虫は雌のハマダラカに寄生し、刺咬時にその唾液腺から胞子小体(スポ

-171-

図ホ-14 ヒヨコ頸二腹筋標本の攣縮反応における塩酸メフロキン(64、128、257 µM)、クロロキン(257 µM)、キニ

ーネ(257、512 µM)の効果

塩酸メフロキン(64 µM:●、128 µM:  、257 µM:○)、クロロキン(257 µM:□)及びキニーネ(257

µM:△、512 µM:▲)投与後の攣縮高(薬物投与前の高さに対する%として表示)の経時的変化。

コントロールは◇で示す。

↓:バスから薬物を除去したことを示す。

データは平均値±標準誤差で示す。

*:p<0.05、**:p<0.005 対 コントロール

図ホ-15 ヒヨコ頸二腹筋標本のカルバコール誘発拘縮に対する塩酸メフロキン(MF:64、128、257 µM)、クロロキン

(CQ:257 µM)、キニーネ(Q:257、512 µM)の効果

塩酸メフロキン(MF)(64 µM: 、128 µM: 、257 µM: )、クロロキン(CQ)(257 µM: )及びキニ

ーネ(Q)(257 µM: 、512 µM: )除去後のカルバコール誘発拘縮回復(薬物投与前の反応に対する%と

して表示)の経時的変化。コントロール(C)は で示す。

データは平均値±標準誤差で示す。

*:p<0.05、**:p<0.005 対 コントロール

時 間(分)

バスから薬物を除去した後の経過時間

Page 10: Ⅱ.抗マラリア原虫作用の機序 マラリア原虫は雌の …...-163- Ⅱ.抗マラリア原虫作用の機序 マラリア原虫は雌のハマダラカに寄生し、刺咬時にその唾液腺から胞子小体(スポ

-172-

図ホ-16 ヒヨコ頸二腹筋標本の塩化カリウム誘発拘縮に対する塩酸メフロキン(MF:64、128、257µM)、クロロキ

ン(CQ:257µM)、キニーネ(Q:257、512µM)の効果

塩酸メフロキン(MF)(64 µM: 、128 µM: 、257 µM: )、クロロキン(CQ)(257 µM: ))及びキ

ニーネ(Q)(257 µM: 、512 µM: )除去後の塩化カリウム誘発拘縮回復(薬物投与前の反応に対

する%として表示)の経時的変化。コントロール(C)は で示す。

データは平均値±標準誤差で示す。

*:p<0.05、**:p<0.005 対 コントロール

2)ラット半横隔膜神経筋標本に対する塩酸メフロキンの作用

雄性 Sprague-Dawley ラット( 250~ 300 g)の横隔膜神経のついた半横隔膜を摘

出し、 5%CO2-95%O2 で通気し、 37℃に保温したクレブス-ヘンゼライト液中に懸

垂した。頻度 0.1 Hz でパルス幅がそれぞれ 0.2 mscc、 1~ 2 msec の最大閾値より高

い電圧の矩形波パルスを間接(神経)及び直接(筋)刺激として用いた。反応は頸

二腹筋標本と同様に等尺性に記録した。

30 分間平衡時間をおいた後に塩酸メフロキン( 50、75 あるいは 100 µM)をバス

に加え、間接刺激の反応が 50%まで低下するのに要する時間(T50)を記録した。ま

た、直接刺激の実験では平衡期間の後に α-ブンガロトキシンをバス中の最終濃度が

5 µg/mL となるように加えた。塩酸メフロキン( 50、75 もしくは 100 µM)を加え、

直接刺激による反応が 50 %まで抑制するのに要する時間(T50))を記録した。

その結果、ラット半横隔膜神経筋標本の間接及び直接刺激によって誘発される攣

縮反応を、メフロキン( 50、75 及び 100 µM)は用量依存的に抑制した(表ホ -10)。

間接及び直接刺激による攣縮反応の抑制の T50値は、メフロキンの 100 µM 処置での

み有意( p<0.05)で、直接刺激を抑制させる時間の方が長かった。塩酸メフロキン

は 75 及び 100 µM で筋への直接的な収縮作用も示した。

バスから薬物を除去した後の経過時間

Page 11: Ⅱ.抗マラリア原虫作用の機序 マラリア原虫は雌の …...-163- Ⅱ.抗マラリア原虫作用の機序 マラリア原虫は雌のハマダラカに寄生し、刺咬時にその唾液腺から胞子小体(スポ

-173-

表ホ-10 ラット半横隔膜神経筋標本における塩酸メフロキンの効果

T50(分)

塩酸メフロキン(μM) 間接刺激(a) 直接刺激(b)

50 21.5 ± 2.35 (6) 24.5 ± 1.98 (6)75 12.6 ± 1.47 (7) 13.6 ± 1.29 (7)

100 8.3 ± 0.7* (7) 10.8 ± 0.9* (7)

T50 (分)は塩酸メフロキン存在下で神経間接刺激(a)もしくは a-ブンガロトキシンで

間接刺激を遮断した後に筋直接刺激(b)で生じる攣縮反応を 50 %減弱させるのに

要する時間。

数値は各例数(カッコ内の数)の平均値±標準誤差で表した。

*:p<0.05:有意差あり:t=-2.169;13自由度

以上の結果から、塩酸メフロキンの筋収縮に対する作用は、興奮-収縮連関の抑

制によるものと考えられる。

(2)ラット半横隔膜神経筋標本に対する作用

前項(摘出ヒヨコ頸二腹筋及びラット半横隔膜神経筋標本に対する作用)に引き続

き、α-ブンガロトキシンで神経伝達を遮断した後の筋直接刺激による攣縮反応を指

標にして、塩酸メフロキンの作用を検討した。

雄性 Sprague-Dawly ラット( 200~ 250 g)の横隔膜神経のついた各半横隔膜を摘出

し、5 %CO2-95 %O2で通気し、37℃に保温したクレブス-ヘンゼライト液(組成 mM :

NaCl 118、KCl 4.7、CaCl2 2.5、NaHCO3 25、KH2PO4 1.2、MgSO4 1.2 及び Glucose

11.1)中に懸垂した。頻度 0.1 Hz、パルス幅 1~ 2 msec の最大閾値より高い電圧の矩

形波パルスを直接刺激として用いた。反応は、張力変位トランスデューサーを用いて

ポリグラフに等尺性に記録した。神経刺激による攣縮反応を完全に遮断するために溶

液中に α-ブンガロトキシン( 5 µg/mL)を加えた。

1)ラット半横隔膜直接刺激に対するメフロキン及びリアノジンの作用

直接刺激による攣縮反応が安定した後、メフロキン( 75 µM)もしくはリアノジ

ン( 3 µM)をバスに加えた。メフロキンによって誘発される拘縮の張力と攣縮反応

が 50 %に減少するまでの時間(T50)を記録した。T50の時点で薬物をバスから洗い

流し、攣縮反応が完全に消失(T100)するか、あるいは 30 分(薬物を加えてから)

経過するまで記録した。リアノジンの場合は T50と T50での拘縮張力を記録した。洗

浄により薬物を除去し、メフロキンの場合と同様に反応を観察した。この処置を塩

化カルシウム除去により調整した低カルシウムクレブス-ヘンゼライト液中でも行

った。

その結果、メフロキン( 75 µM)及びリアノジン( 3 µM)は、筋の拘縮を誘発し、

直接刺激による攣縮反応を抑制した(図ホ -17-i、 ii)。これら両薬物の拘縮反応は

低カルシウムクレブス-ヘンゼライト液中では有意に減弱した(図ホ -17-iii、 iv)。

しかしながら、T50 値はカルシウム濃度の変化によっても影響されなかった(表ホ -

11)。

Page 12: Ⅱ.抗マラリア原虫作用の機序 マラリア原虫は雌の …...-163- Ⅱ.抗マラリア原虫作用の機序 マラリア原虫は雌のハマダラカに寄生し、刺咬時にその唾液腺から胞子小体(スポ

-174-

2)ラット半横隔膜直接刺激に対するメフロキン、リアノジン及びカフェインの作用

へのホスホリパーゼ C、トリプシンあるいはサポニン処置の効果

通常のカルシウムクレブス-ヘンゼライト液中で直接刺激による攣縮反応が安定

した後、ホスホリパーゼ C( 5 µg/mL)、トリプシン( 6.25 µg/mL)あるいはサポ

ニン( 20 µg/mL)を 50 分間バスに加え、その後洗浄した( 2 分)。メフロキン( 75

µM)もしくはリアノジン( 3 µM)を加え、その効果を前述したように観察した。

コントロールは同様の実験条件下でホスホリパーゼ C、トリプシンもしくはサポニ

ン非存在下のメフロキンとリアノジンの反応とした。

カフェインの場合は 2 回のカフェイン( 10 mM)反応を 10 分間間隔で得た。カフ

ェインをバスに加えている間( 30 秒)は筋の電気刺激を止めておいた。それに続い

てホスホリパーゼ C、トリプシンもしくはサポニンを 50 分間加え、洗浄後もう一度

別の濃度のカフェインを加えた。最終投与のカフェイン反応の張力と薬物処置前の

カフェインによる張力の平均とを比較した。ホスホリパーゼ C、トリプシンあるい

はサポニン非存在下で同様の方法で得られたカフェインの反応をコントロールとし

た。

図ホ -18 に示したようにホスホリパーゼ C の前処置のみがリアノジンとメフロキ

ンの拘縮反応を減弱した。

3)ラット半横隔膜直接刺激に対するメフロキンの作用のリアノジン効果

リアノジン( 1 もしくは 3 µM)を 10 分間バスに加え洗い流し、その 2 分後にメ

フロキン( 25、 50 もしくは 75 µM)を加えた。

その結果、メフロキン誘発の拘縮と攣縮反応は両方ともリアノジンの前処置、特

に 3 µM において顕著に影響を受けた(図ホ -17-v、表ホ -11)。メフロキンの低濃度

( 25 µM)によって誘発される拘縮反応も持続的で有意に増強された( p<0.05)。

直接刺激による攣縮反応も加速的に減弱を示した。

4)ラット半横隔膜直接刺激へのメフロキン連続投与に対するリアノジン効果

リアノジン( 3 µM)を 10分間バスに加え洗い流し、その 5分後にメフロキン( 50µM)

を加えた。1 分間薬物を処置した後、メフロキンを洗い流し、その後 10 分間間隔で、

更に 2 回同様の操作を行った。

その結果、リアノジンを洗い流した後でも拘縮反応は持続し、ベースラインの上

昇も認められた。各々加えたメフロキン( 50 µM)は徐々に上昇するベースライン

に違った変化を引き起こし(図ホ -17-vi)、低濃度のメフロキンですら拘縮を誘発

した。 8 例中 6 例は直接刺激による攣縮反応が 2 回目のメフロキンの投与で抑制さ

れた。それでも、なお 3 回目のメフロキン投与は張力の上昇を誘発した(表ホ -11)。

コントロールとしてリアノジン処置なしで与えたメフロキン 50 µM は拘縮を誘発し

なかった。

⑤低カルシウムクレブス-ヘンゼライト液中で得られたラット半横隔膜のカフェイ

ン反応に対するメフロキン及びリアノジンの効果

低カルシウムクレブス-ヘンゼライト液中で得たカフェイン反応の 10 分後にメ

フロキン( 75 µM)あるいはリアノジン( 3 µM)を 10 分間バスに加え洗い流した。

Page 13: Ⅱ.抗マラリア原虫作用の機序 マラリア原虫は雌の …...-163- Ⅱ.抗マラリア原虫作用の機序 マラリア原虫は雌のハマダラカに寄生し、刺咬時にその唾液腺から胞子小体(スポ

-175-

メフロキンもしくはリアノジンの除去後、 5、 15、 25 分の間隔でカフェインを加え

た。後者の反応と薬物処置前に得られた反応の平均とを比較した。薬物処置なしで

行った実験をコントロールとした。

その結果、低カルシウム生理食塩液中での実験では、メフロキンそしてリアノジ

ンによって誘発される拘縮はともに強く減弱した。しかしながら、カフェインによ

る痙縮は低カルシウム濃度によっても影響されなかった。これはカフェインによる

SR でのカルシウムの遊離が原因であると思われる。図ホ -19 に示したようにメフロ

キンとリアノジンは薬物除去 5 分後に得られた 1 回目のカフェイン誘発拘縮高に影

響を与えなかった。しかしながら、その後の痙縮は有意に減弱していた。これはリ

アノジン処置群の方で顕著であった。

カフェイン誘発拘縮に対する影響に加え、リアノジンは 1 回目のカフェイン投与

の攣縮反応を完全に抑制した。このような作用はメフロキン投与後ではみられず、

攣縮は徐々に減少するのみで、カフェイン処置後の攣縮増強は、減弱はするものの

認められていた。

以上のことから、塩酸メフロキンの筋鞘リン脂質成分に対する作用にはカルシウ

ム誘発-カルシウム放出機構が関係しており、これが塩酸メフロキンによる筋収縮

発現に重要な要素であると考えられる。また、塩酸メフロキンによってカフェイン

拘縮が消失したことは、塩酸メフロキンには筋小胞体からカルシウムを枯渇させる

作用もあることを示している。

Page 14: Ⅱ.抗マラリア原虫作用の機序 マラリア原虫は雌の …...-163- Ⅱ.抗マラリア原虫作用の機序 マラリア原虫は雌のハマダラカに寄生し、刺咬時にその唾液腺から胞子小体(スポ

-176-

図ホ-17 ラット半横隔膜直接刺激反応に対する塩酸メフロキン(MF)、リアノジン(RY)及び低カルシウムクレブス-

ヘンゼライト液の効果

図はクレブス-ヘンゼライト液中(i、ii)及び低カルシウムクレブス-ヘンゼライト液中(iii、iv)でのラッ

ト半横隔膜直接刺激反応に対する塩酸メフロキン(MF)及びリアノジン(RY)投与(↑)の効果を示す。

薬物は直接刺激による攣縮反応がコントロールの高さの 50 %に達したら洗い流した(↓)。

(v)ではリアノジン(3 µM)を 10 分間適用した後に洗い流し、その後に塩酸メフロキン(50 µM)を加えた。

(vi)ではリアノジン(3 µM)を 10 分間適用した後に洗い流し、その後に塩酸メフロキン(50 µM)を 3 回連続

して加えた。

全ての実験は間接的な神経刺激をα-ブンガロトキシンで遮断して行った。

2分

2分

2分

2分

2分

2分

Page 15: Ⅱ.抗マラリア原虫作用の機序 マラリア原虫は雌の …...-163- Ⅱ.抗マラリア原虫作用の機序 マラリア原虫は雌のハマダラカに寄生し、刺咬時にその唾液腺から胞子小体(スポ

-177-

表ホ-11 正常クレブス-ヘンゼライト液中、低カルシウムクレブス-ヘンゼライト液中及びリアノジン前処置後のメフロキン

によるピーク張力(g)とT50値

メフロキン リアノジン

25 µM 50 µM 75 µM 3 µM

正常カルシウム溶液

ピーク張力(g) NIL 0.13 (0.06, 8) 1.47 (0.19, 14) 3.96 1) (0.51, 6)

T50(分) 55 (13.4, 5) 24.5 (2.0, 6) 13.98 (1.22, 17) 14.75 (1.57, 6)

低カルシウム溶液

ピーク張力(g) 0.16 # (0.07, 6) 0.42 1) # (0.17, 6)

T50(分) 10.08 (1.44, 6) 17.58 (1.43, 6)

リアノジン10分間前処置

a) リアノジン 1 µM 2)

ピーク張力(g) 1.5* (0.4, 6) 3.5* (0.38, 6) 5.3* (0.4, 6)

T50(分) 17.6* (4.0, 6) 10.3* (1.4, 6) 7.8* (3.1, 6)

b) リアノジン 3 µM 2)

ピーク張力(g) 4.5* (0.6, 6) 5.5* (0.7, 6) 6.1* (1.2, 7)

T50(分) 5.8* (0.8, 6) 5.4* (1.6, 6) 3.0* (0.3, 7)

c) リアノジン 3 µM処置後

メフロキン 50 µM連続投与3)

ピーク張力(g)

- 1回投与後 1.08 (0.32, 8)

- 2回投与後 0.68 (0.09, 6)

- 3回投与後 0.53 (0.07, 8)

カッコ内の値は±平均誤差及び各例数を示す。

1)メフロキンとは異なり、リアノジンの投与は弛緩反応を示さずに張力を持続的に上昇させる。それゆえに、ピーク張力は直接刺

激による攣縮反応が 50%に達するのに要する時間 T50値で評価した。

2)リアノジン(1あるいは 3 µM)をバス中へ 10分間加えた後洗い流した。その後、メフロキン添加による張力の増加を評価するた

めに、張力の増加に加えベースラインの上昇(リアノジン痙縮による)を考慮に入れた。

3)リアノジン(3 µM)をバス中へ 10分間加えた後洗い流した。その 5、15及び 25分後にメフロキン(50 µM)を 1分間加えた後

洗い流した。張力の増加は、2)に示したように評価した。リアノジン非処置下でのメフロキン連続適用においては痙縮がみられな

かった。

#:p<0.05(低カルシウム液中で得られるピーク張力は通常カルシウム液中で得られたものより有意に低値を示した。)

*:p<0.05(リアノジン前処置後に得られたピーク張力及び T50値はメフロキン単独で得られたものと比べて有意差あり。)

Page 16: Ⅱ.抗マラリア原虫作用の機序 マラリア原虫は雌の …...-163- Ⅱ.抗マラリア原虫作用の機序 マラリア原虫は雌のハマダラカに寄生し、刺咬時にその唾液腺から胞子小体(スポ

-178-

図ホ-18 カフェイン(10 mM)、塩酸メフロキン(75 µM)、リアノジン(3 µM)拘縮におけるト

リプシン、ホスホリパーゼ C(PLC)、サポニンの効果

直接刺激を加えるラット半横隔膜標本はトリプシン(6.25 µg/mL)、ホスホリパーゼ

C(5 µg/mL)あるいはサポニン(20 µg/mL)で 50 分間前処置し、その後洗浄した。

得られたカフェイン、塩酸メフロキンもしくはリアノジンの拘縮は前処置なしで得

られたコントロールの拘縮と比較した。

データは平均値±標準誤差で示す。

図ホ-19 塩酸メフロキン(75 µM)及びリアノジン(3 µM)を除去し、その 5、15、25 分後に低カルシウムク

レブス-ヘンゼライト液中でカフェイン(10 mM)により誘発されるラット半横隔膜の拘縮反応

薬物除去後のカフェイン誘発張力

薬物添加前の平均カフェイン誘発張力

データは平均値±標準誤差で示す。

トリプシン サポニンPLC

張力(コントロールに対する変化率

: %)

塩酸メフロキンリアノジンカフェイン

バスから薬物を除去した後の経過時間

× 100% 拘縮率 :

コントロール塩酸メフロキンリアノジン

Page 17: Ⅱ.抗マラリア原虫作用の機序 マラリア原虫は雌の …...-163- Ⅱ.抗マラリア原虫作用の機序 マラリア原虫は雌のハマダラカに寄生し、刺咬時にその唾液腺から胞子小体(スポ

-179-

Ⅳ.一般薬理作用

マウス、ラット、モルモット、ウサギ及びイヌを用いて一般薬理作用を検討した。

その結果、塩酸メフロキンはマウスにおいて用量依存性のない握力低下及び高用量で

自発運動量に対する一過性の抑制、モルモット回腸におけるヒスタミン収縮の軽度な

抑制、ウサギ血液に対する溶血作用を示した。また、イヌでは心電図R波の一過性増

高がみられたが、これら以外には中枢神経系、自律神経系、呼吸循環器系、消化器系、

肝機能及び腎機能に影響はみられなかった(表ホ -12)。

上記の作用のうち、イヌでの作用は最高用量の 1 例にのみ、みられたものであった。

ウサギ血液での溶血作用は肉眼的な判定であり、陽性対照薬との作用強度の差が不明

確であった。また、塩酸メフロキンによる影響はなかったものの、ラット体温では対

照群に有意な変動がみられたことから、これら 3 項目についての作用を再度確認する

ため、追加試験を行った。その結果、塩酸メフロキンはラット体温に対し何ら影響を

示さず、イヌ呼吸循環器系では投与直後の一過性変化を除くと血圧、呼吸、心拍数、

血流量には影響がなく、心電図に対しても何ら影響はみられなかった。この差は、動

物の個体差あるいは麻酔の状態による差(追加試験では麻酔の状態がほぼ一定に保た

れており、軽度な呼吸循環器系に及ぼす影響が観察されたが、初回の試験の例では麻

酔深度が変化し、これに伴い、呼吸や血圧が変動し、二次的な心電図波形の変化が認

められたものと思われる)が影響していると考えられる。更に、ウサギ血液では 0.1

及び 1 µg/mL で溶血作用はみられなかったが、最高濃度( 10 µg/mL)で 3.2 %の溶血

率を示し、溶媒である DMSO においても 1.7 %の溶血率がみられ、陽性対照薬(サポ

ニン)での溶血率( 10 µg/mL で 52.2 %)に比べ、ごく軽度な溶血作用がみられた(表

ホ -13)。本剤の用法・用量は、通常、メフロキンとして 750~ 1000 mg を分割投与す

ることとなっている。溶血作用のみられた 10 µg/mL は、本剤 4 錠(メフロキンとして

1000 mg)を単回経口投与したときの Cmax( 1.1 µg/mL)、また、本剤 6 錠(メフロ

キンとして 1500 mg)を分割経口投与したときの Cmax( 1.9 µg/mL)の約 5~ 10 倍で

あった。これらのことから、臨床上問題とならないものと思われる。

以上のことから、本薬の臨床適用時には問題となる一般薬理作用は発現しないもの

と考えられる。

Page 18: Ⅱ.抗マラリア原虫作用の機序 マラリア原虫は雌の …...-163- Ⅱ.抗マラリア原虫作用の機序 マラリア原虫は雌のハマダラカに寄生し、刺咬時にその唾液腺から胞子小体(スポ

表ホ-12 塩酸メフロキン一般薬理作用一覧表

試験項目

動物種

(n)

投与経路

投与量

(m

g/kg

)試験方法

試験結果

一般症状及び中枢神経系に対する作用

1.

一般症状及び行動に及ぼす影響

マウス

(4)

p.o.

20、

60、

180

Irw

inの多次元観察法による行動採点表に従って、投与前の症状観察を行った各群

4匹のマウスに経口投与した。投与

3、5、

24及び

48時間後に、投与前と同様の方法で一般症状及び行動を観察した。

20m

g/kg以上で握力低下を示したものの用

量依存性なし。

2.

自発運動量に及ぼす影響

マウス

(12)

p.o.

20、

60、

180

投与前

4時間の自発運動量を自発運動量測定装置(

AC

TM

ON

ITO

RⅡ、メディカル・エイジェント)を用いて、

1時間間隔で測定した

マウスに経口投与した。その後、

0~4及び

16~

19時間の自発運動量を

1時間間隔で測定した。

軽度な抑制を示したものの用量依存性なし。

3.

麻酔作用

3-1.薬物自身の作用

マウス

(5)

p.o.

20、

60、

180

経口投与し、投与後

3 時間まで正向反射消失の有無を肉眼的に観察した。

正向反射を消失させなかった。

3-2.麻酔増強作用(ヘキソバルビタール)

マウス

(10)

p.o.

20、

60、

180

経口投与

24 時間後に、

hex

obar

bita

l 80

mg/

kgを腹腔内投与、正向反射消失から回復するまでの時間を睡眠時間として測定した。

睡眠導入及び睡眠時間に影響しなかった。

4.

痙攣作用

4-1.痙攣誘発作用

マウス

(10)

p.o.

20、

60、

180

経口投与

24時間後に、最大耐量の

pen

tyle

net

etra

zol

60 m

g/kgを腹腔内投与し、その後

30分間にわたり痙攣発現の有無、痙攣発現時

間、痙攣持続時間、死亡の有無及び死亡時間を観察、測定した。

痙攣発現匹数及び死亡例数に影響を及ぼさ

なかった。

4-2.抗痙攣作用(ペンチレンテトラゾー

ル)

マウス

(10)

p.o.

20、

60、

180

経口投与

24時間後に、

pen

tyle

net

etra

zol

150

mg/

kgを腹腔内投与し、その後

30分間にわたり痙攣発現の有無、痙攣発現時間、痙攣

持続時間、死亡の有無及び死亡時間を観察、測定した。

痙攣発現匹数、痙攣持続時間及び死亡例数に

影響しなかった。

5.

痛覚に及ぼす影響(ハフナー法)

マウス

(10)

p.o.

20、

60、

180

Haf

fner法に従い、マウスの尾根部を一定圧のクレンメではさみ、刺激部分に振り向く、噛みつくあるいは啼声を疼痛閾値の判断基

準とし、その反応潜時を測定した。

疼痛反応の発現匹数に影響を及ぼさなかっ

た。

6.

体温に及ぼす影響

ラット

(6)

p.o.

20、

60、

180

経口投与し、その

1、2、

3、4、

6及び

24時間後の直腸温を電子体温計(

SO

NA

TE

MP

400

/700、

SH

ER

IDA

N C

AT

HE

R C

OR

P.)を用

いて測定した。

正常体温に対して影響を及ぼさなかった。

自律神経系及び平滑筋に対する作用

7.

摘出回腸標本に対する作用

モルモット

in v

itro

7-1.静止張力に対する作用

(3)

0.91×

10-7、0

.91×

10-6、0

.91×

10-5

M静止張力に対して影響しなかった。

7-2.アセチルコリン収縮に対する作用

(5)

0.91×

10-7、0

.91×

10-6、0

.91×

10-5

MA

Chによる濃度反応曲線に影響しなかった。

7-3.ヒスタミン収縮に対する作用

(5)

0.91×

10-7、0

.91×

10-6、0

.91×

10-5

M低濃度の

His

tに対してのみ軽度な抑制。

7-4.セロトニン収縮に対する作用

(5)

0.91×

10-7、0

.91×

10-6、0

.91×

10-5

M

常法により約

2 cmの長さの標本を作製し、

Tyr

ode 液を満たしたオルガンバス中に

1 gの負荷をかけて懸垂し、液温を

32 ℃に保った

標本を用いた。標本の収縮又は弛緩の有無をアイソトニックトランスデューサ(

TD

-111

T、日本光電)及び歪圧力アンプ(

AP

-601

G、

日本光電)を介してレクチコーダ(

RJG

-412

4、日本光電)上に等張性に記録した。添加

5 分後に

AC

h及び

His

t(いずれも

10-8~

10-5

M 累積)及び

5-H

T(

10-5

M)を加え、標本の各種作動薬による収縮に及ぼす影響を測定した。

5-H

Tによる収縮に対して影響しなかった。

呼吸循環器系に及ぼす影響

8.

呼吸運動、血圧、血流量、心拍数及び

心電図に及ぼす影響

イヌ

(3)

i.v.

0.6、

2.0、

6.0、

18.0

呼吸運動は気管カニューレに装着したサーミスタ呼吸ピックアップ(

TR

-711

T、日本光電)及び呼吸用アンプ(

AR

-650

H、日本光電)

を介して、動脈血圧は右大腿動脈に挿入したカニューレに圧トランスデューサー(

DX

-360、日本光電)を接続し歪圧力アンプ

(A

P-6

01G、日本光電)を介して、血流量は右総頚動脈に非観血型血流量プローブ(

Typ

e F

F、

FB)を装着し電磁血流計(

MF

V-3

100、

日本光電)を介して、心電図は標準四肢第Ⅱ誘導法により針電極を用いて、心拍数は心電図の

R波をトリガーとして心電図・心拍計ユ

ニット(

AC

-611

G、日本光電)を介してそれぞれ測定し、レクチコーダ(

RJG

-412

8、日本光電)上に記録した。各パラメーターが

一定の状態であることを確認した後、大腿静脈内に留置したカニューレより溶媒、塩酸メフロキンを累積的に投与した。

18 m

g/kgで一過性の心電図

R波の増高が認

められたものの、3

5分後には消失した。また、

その他のパラメータにおいては変化がみら

れなかった。

消化器系に及ぼす影響

9.

胃腸管内輸送能力に及ぼす影響

マウス

(10)

p.o.

20、

60、

180

経口投与

24時間後に、

5 %

炭末を含む

5 %

アラビアゴム懸濁液を

10 m

L/k

gの割合で経口投与した。その

30分後に動物を頚椎脱臼に

より屠殺し、ただちに開腹して小腸を摘出し、胃幽門部から盲腸に至る小腸全長に対する炭末懸濁液の先端部の移行率を算出した。

胃腸管内炭末移行率に対して影響を及ぼさ

なかった。

水及び電解質代謝に及ぼす影響

10.

尿量及び尿中電解質排泄量に及ぼす

影響

ラット

(5~

8)

p.o.

20、

60、

180

生理食塩液(

25 m

L/k

g, p

.o.)負荷後、経口投与し、直後に代謝ケージに個別収容し、

24時間尿を三角フラスコに採取した。尿量を

メスシリンダーで測定した後、遠心分離(

3000

r.p

.m.、

15 m

in)して上清を分取した。上清中の

Na+、

K+ 及び

Cl- 濃度を自動電解

質測定装置(

E3A、

BE

CK

MA

N)を用いて測定した。

尿量及び尿中電解質量に対して影響を及ぼ

さなかった。

血液系に及ぼす影響

11.

血液生化学的パラメータに及ぼす影響

ウサギ

(5)

p.o.

20、

60、

180

投与前、投与

24及び

48 時間後に耳介静脈より採血し、常法により白血球数、赤血球数、ヘモグロビン量、ヘマトクリット値、平均

赤血球容積、平均赤血球血色素量、平均赤血球血色素濃度、血小板数、プロトロンビン時間、活性化部分トロンボプラスチン時間を

自動血球計数器(

SY

ST

EM

900

0、B

aker

In

stru

men

t)及び自動凝固系測定装置(

AC

L 1

00、

Inst

rum

enta

tion

Lab

orat

ory)を用い

て測定した。

いずれの血液生化学的パラメータに対して

も影響を及ぼさなかった。

12.

溶血作用(ウサギ血液)

ウサギ

(5)

in v

itro

0.1、

1、10

µg/

mL

ウサギの血液を遠心分離(

3000

r.p

.m.、

10 m

in)して得た赤血球を用いて

2 %

赤血球浮遊液を調製して使用した。被験物質

10 m

L

に2

% 赤血球浮遊液

0.2

mLを加えて

37 ℃で

2時間静置し、遠心分離後の上清を肉眼的に観察して、溶血の有無を判定した。

10 µ

g/m

Lで肉眼的に溶血がみられた。

│ 180 │

Page 19: Ⅱ.抗マラリア原虫作用の機序 マラリア原虫は雌の …...-163- Ⅱ.抗マラリア原虫作用の機序 マラリア原虫は雌のハマダラカに寄生し、刺咬時にその唾液腺から胞子小体(スポ

表ホ-12 (続き)

試験項目

動物種

(n)

投与経路

投与量

(m

g/kg

)試験方法

試験結果

肝臓及び腎臓機能に及ぼす影響

13.

BS

P排泄試験(肝機能)

ラット

(4~

5)

p.o.

20、

60、

180

経口投与

24時間後に

BS

P 1

00 m

g/kgを静脈内投与し、その

1、2、

4、16及び

32分後に頚静脈より

0.4

mLずつ採血した。得られた血液

を遠心分離(

3000

rpm、

10 m

in)して血漿を分取し、血漿中

BS

P濃度を測定した。すなわち、血漿

0.1

mLに

0.1N

NaO

H 0

.5 m

Lを

加え、波長

560、

580及び

600

nmにおける吸光度を分光光度計(

U-b

est3

5、日本分光工業)を用いて測定した。

血漿中

BS

P濃度の経時変化に対して影響を

及ぼさなかった。

14.

PS

P排泄試験(腎機能)

ラット

(5)

p.o.

20、

60、

180

経口投与

24時間後に

50 m

L/k

gの割合で蒸留水を

1時間おきに

2回経口投与し、その

1時間後に

6 m

g/m

Lの

PS

Pを

2 m

L/k

g静脈内投与し

て代謝ケージに個別収容した。投与

15、

30、

45及び

60分後に採尿し、尿中

PS

P濃度を測定した。

尿中

PS

P濃度の経時変化に対して影響を及

ぼさなかった。

表ホ-13 塩酸メフロキン一般薬理作用一覧表(追加試験成績)

試験項目

動物種

(n)

投与経路

投与量(

mg/

kg)

試験方法

試験結果

体温に及ぼす影響

ラット

(8)

p.o.

20、

60、

180

経口投与

1、2、

3、4、

6及び

24時間後に直腸温を測定した。

正常体温に対して影響を及ぼさなかった。

呼吸循環器系に及ぼす影響

呼吸回数、血圧、血流量、心拍数及び

心電図に及ぼす影響

イヌ

(3)

i.v.

2、6、

18呼吸運動は気管カニューレに装着した気道抵抗管(

TV

-142

T、日本光電)を介して差圧トランスデューサ(

TP

-602

T、日本光電)及

び呼吸用アンプ(

AR

-601

G、日本光電)を介して、動脈血圧は左大腿動脈に挿入したカニューレに圧トランスデューサ(

DX

-360、日

本光電)及び歪圧力アンプ(

AP

-601

G、日本光電)を介して、それぞれレコーダ(

RJG

-412

8、日本光電)上に記録した。心電図は標

準四肢第二誘導法により針電極を用い、心電計(

Car

disu

nn

y 50

1 A

X-D、

Fu

kuda

M.E

.)で測定した。心拍数は大腿動脈圧をトリガ

ーとして瞬時心拍計ユニット(

AT

-601

G、日本光電)で測定し、レコーダ上に記録した。血流量は右大腿動脈に非観血型血流計プロ

ーブ(

Typ

e F

I、日本光電)を装着し電磁血流計(

MF

V-3

100、日本光電)を介してレコーダ上に記録した。塩酸メフロキン

2、6及

び18

mg/

kgを累積的に投与した。

2 m

g/kg投与で一過性の血流量の増加が、

6

mg/

kg投与で心拍数の増加及び収縮期・平均

血圧の上昇が、

18 m

g/kg投与では呼吸回数の

増加、拡張期血圧の低下及び心拍数の低下が

それぞれ認められたが、いずれの変化も一過

性であった。その他のパラメータに塩酸メフ

ロキンの注入に起因する変化は認められなか

った。

溶血作用

ウサギ

(5)

in v

itro

0.1、

1、10

µg/

mL

血液を遠心分離(

3000

r.p

.m.、

10 m

in、

4 ℃、日立工機、

CF

7D2型)して得た赤血球を分取し、

2 %

赤血球浮遊液を調製した。

2 %

赤血球浮遊液

2.97

mLに被験物質

30 m

Lを加えて

37 ℃で

2時間インキュベートした。インキュベート終了後に遠心分離し、上清の

吸光度を分光光度計(日立製作所、

U-1

100型)を用いて

550

nmで測定した。

2 %

赤血球浮遊液に蒸留水

30 m

Lを加え、

3回凍結

融解を繰り返して溶血させ、その上清の吸光度を

100

% 溶血として溶血率を算出した。

10 µ

g/m

Lで

3.2

%の溶血率を示したが、溶媒

における溶血率が

1.7

%であった。

│ 181 │