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デュ
ワー
瓶
物理実験 課題3 低温の世界
実験用装置&器具
デュワー瓶 角形容器 蒸発皿
四重極磁石(ネオジム磁石)
デジタルマルチメーター
洗浄瓶 高温超伝導体
a. 液体窒素の観察液体窒素を各容器に注ぎ、途中経過も含めて蒸発の様子を観察する。
液体窒素容器
角形容器
デュワー瓶
蒸発皿
それぞれの容器によって蒸発の仕方が異なるはずである。これはなぜだろうか?(ヒント 熱伝導、熱容量)
また、液体窒素に指で触れてみる。どんな感触がするか?短時間だとやけどをしないのはなぜだろうか?(ヒント 液体窒素の蒸発熱、温度差)(注)2,3秒以上は触れないこと!低温やけどをします。
デュワー瓶
b. フィルムケースロケットフィルムケースに少量の液体窒素(1/3くらい)をいれ、蒸発が落ち着くのを待ってから蓋をして、素早くカバーをかぶせる。
フィ
ルム
ケー
ス 液体窒素を
1/3くらい注ぐ 素早くカバーを
かぶせる
非常に勢いよく蓋が飛ぶので、絶対に上からのぞき込まない。
窒素は液体から気体になると、体積はどれくらい大きくなるのか?
(ヒント 液体から気体への相転移)
液体から気体への相転移なのでボイル・シャルルの法則は成り立ちません。
(注)ボイル・シャルルの法則は気体の状態でのみ成り立つ法則です。
c. プラスチック消しゴムの破壊
蒸発皿
プラスチック消しゴム(実験室に準備してあります)を1.5cmくらいの長さに切り出し、蒸発皿の中で液体窒素に完全に浸して2分くらい冷却する。
その後、机の上に取り出してカバーをかぶせて数分程度観察する。
十分冷やす カバーをかぶせる
数分後、消しゴムは破壊する。これはなぜだろうか?
(ヒント 熱膨張、熱収縮、消しゴム中の温度差)
(注)ボイル・シャルルの法則は消しゴム(固体)では成立しません。
(注)消しゴムが冷却中に破壊することもあるが、それでも問題はない.
この破壊の原理は同じです。
すばやく蓋を閉める
デュワー瓶
デュワー瓶
消しゴム
d. スーパーボールの弾性室温で1mの高さからスーパーボールを落として、弾んだ高さを測定する。これを3回行い平均の反発係数を求める。次にスーパーボールを蒸発皿の中で液体窒素に完全に浸して2分間くらい冷却し、室温と同様の測定を行い平均の反発係数を求める。そして、反発係数の変化率を求める。
反発係数の求め方力学的エネルギー保存の法則を用いる。高さh(m)、重さm(kg)の物体の位置エネルギーは重力加速度をg(m/s2)として mgh速さv(m/s)の物体の運動エネルギーは (mv2)/2 で表される。
高さhから落とした物体は床に衝突する直前には位置エネルギーがすべて運動エネルギーに代わるので
が成り立つ。
また、床から跳ね返ったときは運動エネルギーがすべて位置エネルギーに代わり同様の式が成り立つ。
これから速さvを求めると、 となる。
これを反発係数eを定義する式に代入し反撥係数を求める。v2’とv2はスーパーボールの速さ、v1’とv1は床(地球)なので0とする。また、落とした高さはh2(=1m) 、跳ね返った高さをh2‘(m)とすると、反撥係数e は
となる。
また、通常の時の(冷却する前)反撥係数をewarm、冷却後の反撥係数をecoldとすると、
反撥係数の変化率はとなる。
なぜ、スーパーボールは温度が下がると固くなるのか?(ヒント ゴムの構造、物質を構成する原子の熱振動)
2
2100 mvmgh
ghv 2
2
2
2
2
12
12 '2
'2''hh
ghgh
vvvve
warm
coldwarm
eee
変化率
e. ビニール袋を使った実験
1)ビニール袋に空気を入れて口を閉め、液体窒素をためた角形容器に浸す。このときの内部 の様子を観察する。十分冷やしてからビニール袋を取り出し、内部を観察しながら机の上 に放置する。
角形容器 角形容器
ビニール袋
ビニール袋内の気体は,ボイル・シャルルの法則からは約1/4の体積になることが予測されるが,その予想される体積よりもはるかに体積が減少しているはずである.これはなぜだろうか?また、内部に液体が発生するはずであるが、これは何か?(2の実験と関連があります。)
2)ビニール袋の中に液体窒素を約1/3ためて空気中で放置し、外部の変化を観察する。袋の 角からしずくが垂れてくるはずである. このしずくにネオジム磁石を近づけるとどうなるか観察する。
ビニール袋
磁石
ビニール袋からたれてくる液体は空気(窒素,酸素,二酸化炭素,アルゴン,etc.)が液化したものと考えられる。この液体は何か?(ヒント 窒素、酸素、アルゴン、水蒸気、二酸化炭素などの液化温度、凝固温度、 不対電子,常磁性)
(注)ビニール袋の口はきつく縛らないこと!内部の圧力が上がり爆発するおそれがあります。
デュワー瓶
デュワー瓶
ビニール袋
f. アルコールの冷却
1)アルコール(エチルアルコール、エタノール)の融点(凝固点)を理科年表で調べる。2)試験管の中にアルコールを1/2くらい入れ、ビーカーの中にも1/2くらい入れておく。 液体窒素を満たしたデュワー瓶の中に試験管ごとアルコールを入れて5分程度待ち(ゆっく りと手を離して良い)、完全に固体になるのを確認する。3)試験管中の固体アルコールをビーカーの中に出してみる。融解したとき粘性はどうなってい るか?(凍って試験管に張り付いているので,少し時間がかかる) 出てきたら、ピンセットなどで固体アルコールをつついてみる。どんな感触がするか?4)アルコールの混合物(お酒等)ではどのようになるか、推察してみる。
試験
管
デュ
ワー
瓶 ビーカー
エタノールが溶けた直後の液体の粘性はどうか?固体エチルアルコールは氷などの結晶とは異なり、特殊な状態にある。これはどのような状態か?
(ヒント 急冷、低分子性化合物)(注)固体のアルコールは試験管に張り付いているので手袋越しに軽く暖めながら出す。 内部に亀裂が見えることがあるが,割れているのはエタノールの固体で試験管ではない.
試験管
g. ベルヌーイの定理
洗浄瓶に液体窒素を1/3くらい入れる。蒸発が激しいうちに素速く蓋をし、吹き出ているガスの上に発泡スチロールの球(小さい球の方が容易)をそっと置いてみる。発泡スチロールが浮いているときに洗浄瓶を暖めたり、傾けたり(30°くらいまで)してみる。
洗浄
瓶
洗浄
瓶素速く行う
発泡スチロールの球が安定して浮遊するはずだが、なぜ安定しているのか?(ヒント ベルヌーイの定理とは気体におけるエネルギー保存則であるが,具体的にはどのよう な定理か? ベルヌーイの定理を用いて考えると,球が中心からわずかにずれるとどうなるのか? 正確には流線曲率の定理も必要になります.)
この実験は実際には液体窒素(低温)とは関係ありません.(同じ原理のおもちゃを見たことがある人もいるかもしれません.)
(注)暖めるときは手袋を着けて暖める。直接手で暖めると凍傷になります。(注)液体窒素が入った状態で洗浄瓶を激しく振らないこと。内部の圧力が急激に上昇し爆発 します。また、吹き出し口が凍結して密封状態にならないように気をつける。 (以前に爆発して怪我をした人がいます。)
デュワー瓶
h. 超伝導体のマイスナー効果
超伝導体を液体窒素に浸し、十分に冷却する。そしてすばやく四重極磁石の上に浮かばせる。テフロン製のピンセットで超伝導体をつついてみる。どのような運動をするか観察する。また、磁石のN極とS極を入れ替えてみるとどうか?
磁石磁石
磁石磁石蒸発皿
超伝導体
うまく浮かないときには、超伝導体と一緒に磁石も冷却する。(超伝導体を暖まりにくくするため)
超伝導体はなぜ磁石の上に浮遊するのか?なぜはじかれて落ちたりしないのだろう?(ヒント マイスナー効果とは?、超伝導体はどのような特徴があるのか?)
磁石のN極とN極、S極とS極が反発することとは異なった振る舞いをするはず!(この場合、ひっくり返ってN極とS極がくっついてしまうはず。ネオジム磁石で試してみるとよい。)
四重極磁石
超伝導体デュワー瓶
(注意 磁石は上図のように配置する.このような配置の磁石を四重極磁石という.ネオジム磁 石は非常に強力なため,指を挟まないように気を付ける.)
電球
電球
i. ランプと電池と銅線の実験
1)電球と電池と銅線を直列につなぐ。(下図を参照、このとき1Ωの抵抗体ははずしておく)銅 線を液体窒素に浸し、冷却しながら電球の様子を観察する。再び室温に戻し観察を続ける。
銅線
電池
蒸発皿
デュワー瓶
ボックスの配線図
電球
電球
配線図
冷却前には電球はほとんど点灯していない(暗い)はず.銅線部分を冷却すると電球はどうなるか?また、なぜそのように変化するのか?再び暖めると元に戻るのか?(ヒント 銅線中の銅原子の熱振動、電子の運動,銅線の抵抗の変化)
この実験で用いるボックスは右図のように配線されている.赤い端子は電球を通してつながっており,黒い方の端子もつながっている.
3)電球と電池を直列につなぎ、電池を液体窒素に浸し、電球の変化を観察する。次に電池を取り 出しさらに電球の変化を観察する。
電池 デ
ュワ
ー瓶
冷却前には電球は明るく点灯しているはず。電池を冷却すると電球はどうなるか?また、なぜそのように変化するのか?再び暖めると元に戻るのか?
(ヒント 電池の構造、化学変化と温度の関係)
3)を先にやっておいた方がよい!(電池を暖める手間が省けるため)
電球
電球
i. ランプと電池と銅線の実験2)銅線の抵抗の時間依存性をデジタルマルチメーターを用いて測定する。(温度が測定できない ため)まず、銅線とデジタルマルチメーターを接続し、デジタルマルチメーターを抵抗測定 モードに切り替える。このときの抵抗の値を記録する(室温の状態の抵抗値)。次に銅線を液 体窒素に浸し抵抗の変化を観察する。抵抗の変化がなくなったら銅線を液体窒素から取り出 し、30秒ごとに抵抗の値を測定する。測定はだいたい室温の状態にもどるまで行う。その結 果を横軸時間、縦軸抵抗でグラフに表す。
4.975OHM
銅線
蒸発皿
デュワー瓶
マルチメーターのΩ2を押すと抵抗測定モードになる。(画面のOHMは抵抗の単位のオームΩを表す)
グラフの例(あくまで例であって、必ず15分間測定しないといけないというものではない。)
4)電池の電流の時間依存性を測定する。電流を直接測定することは難しいので1Ωの抵抗体の両 端の電圧を測定し、オームの法則から電流を計算する。配線は下図のように行い、電池を液体 窒素に浸し30秒ごとに電圧の値を測定する。値がほぼ0になるまで測定する。横軸時間、縦 軸電流でグラフに表す。
0.21035 V DC 1Ω
電球
電球 電池
デュ
ワー
瓶
マルチメーターのDCVを押すと直流電圧測定モードになる。画面のDCは直流であることを表し、VまたはmVは電圧の単位である。測定途中でVからmVに変化することがあるので注意する。
グラフの例(あくまで例であって、必ず15分間測定しないといけないといけないというものではない。
オームの法則
V:電圧(V)I:電流(A)R:抵抗(Ω)
0.25
0.20
0.15
0.10
0.05
0.00
電流
(
A)
151050時間 (分)
5
4
3
2
1
0
抵抗
(Ω
)
151050時間 (分)
IRV