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演習問題 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group http://tethys.shinshu-u.ac.jp/?page_id=4254[2014/01/06 12:26:12] 演習問題 ( 印刷用ファイル 内容は下と同じ。2014/1/5) 直線運動と運動量の例題 2011/12/13 16-1 圧力の単位換算 2012/02/28 16-3 水柱のつくる圧力 2013/03/13 16-4 摂氏と華氏 2013/06/11 16-6 真空と分子数 2013/03/13 16-7 気体の分子量決定 2013/06/14 16-16 実在気体の圧力 2013/03/13 16-23 沸点と臨界温度 2013/06/11 16-24 対応状態の原理 2013/12/10 16-33 LJ ポテンシャルの図示 2013/07/12 17-10 二次元の分配関数 2013/01/23 18-5 電子準位と存在確率 2013/02/02 18-20 Cv の温度依存性 2013/07/03 19-1 エネルギー変換 2013/05/30 23-1 酸素の相図 2013/01/21 27-γ 導出 2013/06/18 27-2 根平均二乗速さ 2012/02/28 27-3 温度と分子の速さ 2013/03/13 27-18 脱出速度 2012/04/24 27-26 最確エネルギー 2013/03/12 27-41 星間分子の密度 2013/03/13

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演習問題 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group

http://tethys.shinshu-u.ac.jp/?page_id=4254[2014/01/06 12:26:12]

演習問題

(印刷用ファイル 内容は下と同じ。2014/1/5版)

直線運動と運動量の例題 2011/12/1316-1 圧力の単位換算 2012/02/2816-3 水柱のつくる圧力 2013/03/1316-4 摂氏と華氏 2013/06/1116-6 真空と分子数 2013/03/1316-7 気体の分子量決定 2013/06/1416-16 実在気体の圧力 2013/03/1316-23 沸点と臨界温度 2013/06/1116-24 対応状態の原理 2013/12/1016-33 LJ ポテンシャルの図示 2013/07/1217-10 二次元の分配関数 2013/01/2318-5 電子準位と存在確率 2013/02/0218-20 Cv の温度依存性 2013/07/0319-1 エネルギー変換 2013/05/3023-1 酸素の相図 2013/01/2127-γ 導出 2013/06/1827-2 根平均二乗速さ 2012/02/2827-3 温度と分子の速さ 2013/03/1327-18 脱出速度 2012/04/2427-26 最確エネルギー 2013/03/1227-41 星間分子の密度 2013/03/13

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直線運動と運動量の例題 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group

http://tethys.shinshu-u.ac.jp/?page_id=2537[2014/01/06 12:26:41]

直線運動と運動量の例題

1. 大型タンカーを停止させるためには、エンジンを普通は港から 25 km ぐらい離れたところで止める。なぜ大型タンカーを停止させたり、向きを変えるのはそれほど難しいのか。

2. 貨物列車がゆるく連結されていて、機関車によって一両目の貨車が動き始めて最後の貨車が動くまでかなりの時間がかかるようになっている。このゆるい連結と貨車間のゆるみの意味を力積と運動量の観点から論ぜよ。

3. ディーゼル機関車は貨車の 4 倍の重さがあるとする。ディーゼル機関車が時速 5 km で惰性で進行し、静止していた機関車に接近して連結した。2 台が連結した後、どれだけの速さで進むか。

(出典: 物理科学のコンセプト1 力と運動)

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直線運動と運動量の例題 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group | ページ 2

http://tethys.shinshu-u.ac.jp/?page_id=2537&page=2[2014/01/06 12:26:47]

直線運動と運動量の例題

解答

1. 大型タンカーは非常に質量が大きいので、それほど大きくない速さでもその運動量は巨大である。そのため、運動量を変えるためには巨大な力積が必要となる。このような巨大な力積を作り出すためには、長い時間をかけて力を加え続ける必要がある。船が港に向けて 25 km の航行に要する時間の間、水の抵抗力はタンカーの進行方向と逆向きの力をタンカーに与え続け、その運動量を十分に低下させる。

2. このゆるみがないと、非常に大きな質量を機関車が動かさなくてはならなくなり、機関車は静止したままで車輪が空転してしまう。連結がゆるいことで、長い時間をかけて力を加えることが可能となり、レールに対し機関車の車輪が与える力を小さくし、列車全体に運動量を与える。(ここでの「ゆるみ」は、貨車どうしが外れてしまうような「弱い」接続のことではなく、ひっぱると少し伸びるような「遊び」のことを指しています。)

3. 答えは 4 km/h。貨車の質量を m とすると機関車の質量は 4 m。連結後の速度を v とすると運動量保存則より

これを解いて v = 4 km/h。

(この衝突は「非弾性衝突」であり、機関車の運動エネルギーの一部は熱エネルギーになってしまう。もし機関車と貨車が連結せず、弾性衝突をするなら、貨車の速度は 8 km/h, 機関車の速度は 3 km/h になる。)

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16-1 圧力の単位換算 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group

http://tethys.shinshu-u.ac.jp/?page_id=792[2014/01/06 12:27:02]

16-1 圧力の単位換算

数年前、雑誌Science のある号において、ある研究グループが 302 GPa の圧力下でのヨウ化セシウム結晶の構造決定に関する実験について議論していた。この圧力は何気圧か。また何バールか。

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16-1 圧力の単位換算 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group | ページ 2

http://tethys.shinshu-u.ac.jp/?page_id=792&page=2[2014/01/06 12:27:11]

16-1 圧力の単位換算

解答

まず atm と Pa の変換について考える。

1 atm = 1013.25 hPa より

(接頭語は 10 に置き換える)

Pa を atm に変換したいので、これを 1 Pa = の形にする

302 GPa の Pa のところに(Pa をあたかも x や y のような代数記号のように考えて)、上式を代入する。

(302 GPa の有効数字は 3 桁なので、変換係数は 3+1 = 4 桁あれば十分)

(解答の有効数字は3桁)(指数 10 を使うときは、X.XX · 10 のように 1 ~10 の数値と、10 の x 乗の積の形に整理すると良い)

同様に、bar と Pa の対応式

x

x x

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16-1 圧力の単位換算 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group | ページ 2

http://tethys.shinshu-u.ac.jp/?page_id=792&page=2[2014/01/06 12:27:11]

1 bar = 10 Pa

から、1 Pa = の形に直して

1 Pa = 10 bar

Pa の部分に代入すれば、bar への変換が行える。

ページ: 1 2

5

-5

3 × 10 気圧 = 300万気圧 とは想像を超えた恐ろしい圧力ですが、地球の中心の圧力は360万気圧程度と見積もられ、宇宙全体で考えるとそれほどありえない数値ではありません。

このような高圧を実験室で作り出すには通常の容器は使えません。例えば鉄でできた容器を使ったら、圧力によって鉄が変形してしまいます。極高圧実験では、ダイヤモンドアンビル という機構が用いられます。これは平らな面を向い合せた 2 つのダイヤモンドの間に測定物質を挟み込み、上下から力を作用させ、高圧状態を作り出します。

6

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16-3 水柱のつくる圧力 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group

http://tethys.shinshu-u.ac.jp/?page_id=1223[2014/01/06 12:28:20]

16-3 水柱のつくる圧力

10.6 m の水柱が及ぼす圧力を(atm単位で)計算せよ。水の密度を 1.00 g mL とする。

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-1

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16-3 水柱のつくる圧力 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group | ページ 2

http://tethys.shinshu-u.ac.jp/?page_id=1223&page=2[2014/01/06 12:28:29]

16-3 水柱のつくる圧力

解答

圧力は単位面積あたりの力(N m = Pa)である。また、重力による力は (質量 m) × (重力加速度 g)で求められる。

水の密度 ρ をSI単位に換算しておく。

-2

上の結果を見ると、水の密度は 1 立方メートル (1 辺 1 m の立方体… 家庭用風呂おけの体積の 4~5 倍ぐらい) あたり、1000 kg … すなわち 1 t (トン) 、です。イメージできますか。。

1 m あたり 1 kg としてしまうような間違いが時々見受けられます。これは 1 L (リットル) と 1 m の混同によるものと思われます。

L は体積の単位 であり、SI単位に直すと 1 L = 1000 cm で、1 辺 10 cm の立方体の体積に相当します。接頭語 d (デシ)を使って dm とも書けます。1 L の水の質量は、概ね 1 kg です。

1 L = 1 dm = 1 × (10 m) = 1 × 10 m

大学のテキストでこんなことを長々書くのも恥ずかしい話ですが、先日 2 年生に「1 m は何 リットル?」 と尋ねたら「1 リットルです。」と即答されたので、(コンビニでペットボトルを買ってきて1 m 四方と比べてみろ、という話ですが) 念のため。(1 m = 1000 L)

ちなみに、1 mL (ミリリットル)は 1 cm (1 辺 1 cm の立方体 = 1 cc)です 。1 辺の長さを 100 倍して 1 m にすると、体積は 100 × 100 × 100 = 100万倍 (10 倍)になります。

1 cm = 1 × (10 m) = 1 × 10 m

1

3

3

2 3

3

3 -1 3 -3 3

3

3

3 3

6

3 -2 3 -6 3

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16-3 水柱のつくる圧力 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group | ページ 2

http://tethys.shinshu-u.ac.jp/?page_id=1223&page=2[2014/01/06 12:28:29]

水柱の底面積 A を 1 m (1 m × 1 m) とすると、水柱の質量 m は

(A にはどんな面積を用いても、(あとで A で割るので)圧力は同じ値になります。)

よって底面積(1 m )にかかる力 F は

面積 A (1 m )で割って

通常はこのままでよいが、問題文に合わせ Pa(パスカル) → atm の単位換算を行う。1 Pa = の形にした換算係数を使う。(問題16-1参照)

(教科書ミスプリ 解答が 1.00 atm になっている。原著では水深 33.9 foot (10.33 m)となっているので、m への変換に伴うエラーと思われる。)

1. t (トン)は質量を表す非SI単位。1 t = 1000 kg 。 [ ]2. L も非SI単位なので、できるだけ使わない。グリーンブックp.111参照

http://www.nmij.jp/public/repo……ook_jp.pdf [ ]

3. cc は cubic centimetre の略。非SI単位。 [ ]

2

2

2

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16-4 摂氏と華氏 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group

http://tethys.shinshu-u.ac.jp/?page_id=1530[2014/01/06 12:28:38]

16-4 摂氏と華氏

摂氏温度目盛( °C )と華氏温度目盛( °F )で温度が等しくなるところは何度か。

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16-4 摂氏と華氏 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group | ページ 2

http://tethys.shinshu-u.ac.jp/?page_id=1530&page=2[2014/01/06 12:28:46]

アメリカ・フェニックスで買ってきた温度

計。摂氏と華氏の両方で目盛がふられてい

る。

16-4 摂氏と華氏

解答

華氏は欧米圏で使われている温度単位です。

定義式において T = T とおいて方程式を解くと、両者が等しくなるのは

と求まります。

主だった摂氏と華氏の対応温度を下記にあげておきます。

T / °C T / °F

-40 -40

-17.78 0

0 32

F

F

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16-4 摂氏と華氏 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group | ページ 2

http://tethys.shinshu-u.ac.jp/?page_id=1530&page=2[2014/01/06 12:28:46]

37.78 100

100 212

アメリカの天気予報などでは華氏が使われているようですが、学術的には使う機会はないと思います。由来などに興味のある人は Wikipedia 等を参照してください。

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16-6 真空と分子数 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group

http://tethys.shinshu-u.ac.jp/?page_id=1532[2014/01/06 12:28:54]

16-6 真空と分子数

表面科学の研究は、10 Torr のような低圧に保てる超高真空容器を用いて行われる。298 K においてそのような装置の内部には容積 1.00 cm あたり何個の分子が存在するか。この圧力、温度における対応したモル体積 はいくらか。

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-12

3

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16-6 真空と分子数 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group | ページ 2

http://tethys.shinshu-u.ac.jp/?page_id=1532&page=2[2014/01/06 12:29:02]

16-6 真空と分子数

解答

理想気体の状態方程式を変形して物質量を求める。

各値を代入する。

唯一 SI単位系ではない Torr (トル)について、1 Torr = 133.322 Pa を代入して単位換算する。

分子の個数 N を求めるので、アボガドロ定数をかけてモルを個数にする。

モル体積 は、1 cm あたりの物質量を途中求めているので、これの逆数になる。3

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16-6 真空と分子数 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group | ページ 2

http://tethys.shinshu-u.ac.jp/?page_id=1532&page=2[2014/01/06 12:29:02]

最初の式から

として求めても良い。

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1 cm あたり 3 万個というと、ずいぶんいっぱいいるように感じるかもしれませんが、 10 Torr (≈10 Pa)は人類が作り出すことのできる最高レベルに近い真空です。ターボ分子ポンプ やクライオポンプ などの特殊なポンプを組み合わせ、かつ真空容器の金属の表面や構造内部に吸着・吸蔵された気体分子を注意深く取り除かなくては到達できません。

宇宙空間は真空というイメージがあると思いますが、スペースシャトルが飛ぶような高度200 km 程度の低軌道では 10 Pa 程度の圧力があり、高度 36000 km の静止軌道衛星でようやく 10 Pa 程度の極高真空になります。

(数値は清水 肇、榎本祐嗣、一村信吾「超高真空」(オーム社)より)

3 -

12 -10

-4

-11

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16-7 気体の分子量決定 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group

http://tethys.shinshu-u.ac.jp/?page_id=1534[2014/01/06 12:29:11]

16-7 気体の分子量決定

未知の気体の 300 K における以下のデータを用いて、この気体の分子質量を決定せよ。

P / bar 0.1000 0.5000 1.000 1.01325 2.000

ρ / g L 0.1771 0.8909 1.796 1.820 3.652

解答ではエクセルを使用しています。

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16-7 気体の分子量決定 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group | ページ 2

http://tethys.shinshu-u.ac.jp/?page_id=1534&page=2[2014/01/06 12:30:10]

16-7 気体の分子量決定

解答

まず理想気体の状態方程式

を変形し、P と ρ と M の関係式を得ます。

(n = m / M, ρ = m / V)

問題には 5 つの測定点が示されていますが、上の式からわかるように、測定点 1 つだけでも M を求めることが可能です。測定には誤差がつきものですから、5 つの測定点を使ってできるだけ正確な値を求めることを考えましょう。

(1) 単純に平均値を使う

まず思いつくのは、各測定点について M を計算し、その平均値を求める方法です。

P / bar 0.1000 0.5000 1.000 1.01325 2.000

ρ / g L 0.1771 0.8909 1.796 1.820 3.652

M / g mol 44.175 44.444 44.799 44.804 45.547

5 つの M の平均値を出すと 44.75 となります。

しかし、上の計算結果を見ると、M は一定ではなく、P が大きくなるにつれて M が大きくなっていることがわか

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-1

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16-7 気体の分子量決定 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group | ページ 2

http://tethys.shinshu-u.ac.jp/?page_id=1534&page=2[2014/01/06 12:30:10]

ります。M の変化は系統的に起こっている(ランダムな変化ではなく、P の増加とともに M が変化している [系統的変化]) ので、実験上の測定誤差によるばらつきではなく、なにか「理由」があるのでしょう。化学反応が起こって実際に M が大きくなっているとは考えられないので、数式の扱いに問題があると思われます。

(2) P と M をプロットし、非理想性の補正まで考える

P に伴って M の計算値が変わってしまうのは、気体の非理想性のためだと考えられます。実在気体では「分子自身の占める体積と分子間力のために」理想気体から挙動がずれます。「圧力が高くなるほど、温度が低くなるほど」ずれが大きくなります。

P が 0 に近づくと、そのふるまいは理想気体に近くなります。P の増加に伴い 気体のふるまいが理想気体からずれてくるので、理想気体の状態方程式を使って導いた M の値が間違った値になっていってしまっていたのです。このように P の値によって M がずれていくことを逆に利用し、この非理想性の効果を補正します。先に表で示した P と M についてプロットします。

これはよい直線関係を示しており、「分子量のずれ」と P が比例している ことが示唆されます。(他に、 P に比例している可能性などがあった。)

エクセルの最小二乗法(「物理化学実験」のページ 参照)を用いて算出した赤の近似直線は 0.7237 P + 44.086 であり、 P = 0 での分子量、すなわち赤線の切片 44.09 が分子量としてふさわしいと思われます。

このように、測定点の結果を基に、測定範囲の外側の値を求めることを、「結果を外挿(がいそう; extrapolation)する」といいます。

1. 「分子量」と P が比例しているのではありません。「比例」というのは x が 2 倍になった時に y が 2 倍になるような関係、数式で書くと y = kx の関係のことを指します。グラフのように、切片があるときは「比例」ではありません。(「分子量のずれと P が 比例」なら正しい) [ ]

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1 2

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16-16 実在気体の圧力 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group

http://tethys.shinshu-u.ac.jp/?page_id=2933[2014/01/06 12:30:22]

16-16 実在気体の圧力

ファン・デル・ワールス方程式を用いて、400.0 K で 1.00 mol のエタンが 83.26 cm の容積に閉じ込められているときの圧力を計算せよ。実験値は 400 bar である。

ファン・デル・ワールス定数

化学種 a / dm bar mol a / dm atm mol b / dm mol

エタン 5.5818 5.5088 0.065144

ページ: 1 2

3

6 -2 6 -2 3 -1

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16-16 実在気体の圧力 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group | ページ 2

http://tethys.shinshu-u.ac.jp/?page_id=2933&page=2[2014/01/06 12:30:32]

16-16 実在気体の圧力

解答

ファン・デル・ワールス方程式

を P について解き、数値を代入する

単位換算に注意すること。

ファン・デル・ワールス方程式は P や T を求めるのは簡単ですが、 について解こうと すると 3 次式になってしまうので大変です。(問題 16-14 など)

ちなみにこの問題について、理想気体の式を用いると P = 399.4 bar となり、実験値にほぼ一致します。この温度、圧力はたまたま理想気体の式と一致する点だったのだと考えられます。教科書 p. 675 の 図 16.3 を見てください。CH のグラフは 低圧では Z < 1 (密)で、高圧では Z > 1 (疎) となっていますが、その途中に Z = 1 となっている圧力があり、この圧力では理想気体の式が精度よく成り立っているように見えてしまいます。

ファン・デル・ワールス方程式の a や b は、臨界圧力や臨界温度との対応から求めているので、(教科書p.684、質問と回答参照)、臨界点近傍での実在気体の振る舞いをよく表しています。この問題の圧力と温度は相図上の臨界点から遠いところにあり、ファン・デル・ワールス方程式は実在気体の振る舞いを十分に表せていない、と言えるでしょう。

ページ: 1 2

... (16.5)

4

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16-23 沸点と臨界温度 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group

http://tethys.shinshu-u.ac.jp/?page_id=2954[2014/01/06 12:31:06]

16-23 沸点と臨界温度

表 16.4 に掲げた気体の沸点を拾い出し、それぞれの臨界温度 T に対してプロットせよ。何か相関があるか。このプロットから得られた結論が正しいことを主張できる理由を考えよ。

種々の物質の臨界温度と沸点

物質名 臨界温度, T / K 通常沸点, T / K

helium 5.19 4.22

neon 44.4 27.07

argon 150.87 87.35

krypton 209.41 119.93

hydrogen 32.97 20.35

nitrogen 126.21 77.15

oxygen 154.59 90.15

carbon monoxide 133 81.65

chlorine 416.9 239.15

carbon dioxide 300 194.65

water 647.14 373.15

ammonia 405.5 239.82

methane 190 111.67

ethane 305.32 184.55

ethylene 280 169.15

propane 370 231.05

butane 426.3 272.65

isobutane 407.84 261.15

N-pentane 469.7 309.21

c

c vap

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16-23 沸点と臨界温度 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group

http://tethys.shinshu-u.ac.jp/?page_id=2954[2014/01/06 12:31:06]

benzene 562 353.15

ページ: 1 2

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16-23 沸点と臨界温度 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group | ページ 2

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16-23 沸点と臨界温度

解答

横軸を臨界温度、縦軸を沸点としてプロットしてみよう。このように、2 つの値に関係性があるかどうかを調べるには、一つの値を変化させた時にもう一つの値がどう変化するかをグラフにするとよい。このような検討を「相関を調べる」などという。

プロットは多少ばらつきがあるものの、原点を通る直線となった。両者は「相関がある」と言える。(「相関がある」→上記のようにグラフが右に行くにしたがって増えたり、逆に右に行くにしたがって減ったりする。「相関がない」→値はランダムになる。)

沸点、臨界温度はいずれも分子間力と関係しており、分子間力が強いほど高い沸点および臨界温度を持つと考えられる。ちなみにグラフ中の直線は原点を通るように最小二乗法で求めた直線で、傾きは 0.612 であった。これは臨界温度の 0.612 倍が(1 atm における) 沸点となることを示している。

他にはどんな物性値が相関を持つだろうか。

例えば、融点と臨界温度はどうか。融点は分子間力だけでなく、固体の分子の並びかたによって影響を受けるので(パッキング(詰まり方)が良いものほど融点が高いと思われる)、相関は上の例より悪いことが予想される。

分子量と臨界温度はどうか。無極性分子の間に働く引力は「電子雲のゆがみやすさ」によるので、一般には分子量の大きな分子ほど強くなる。

沸点と蒸発熱(蒸発エンタルピー)の間には相関があることが知られている。沸点と蒸発熱はよい直線関係を示し、(蒸発熱/沸点)の比を取ると、概ね 80 J K mol となる。(トルートンの規則, Trouton’s rule)-1 -1

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16-23 沸点と臨界温度 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group | ページ 2

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物質の種々の物性値をまとめたものとしては CRCハンドブック などが有名であるが、Wikipedia や Wolframalpha 等のインターネット上の情報源を利用して調べることもできる。

下に 18 種の分子の沸点、融点、臨界温度、分子量、蒸発熱、融解熱のファイルを置いたので、例えば上記のプロットを行い、相関があるかどうか、直線関係から「はずれる」のはどのような分子かなどについて考えてみてください。

16-23.xls (エクセルファイル)16-23.txt (テキストファイル)

1. 例えばWolfram alphaで “boiling point of hydrogen, nitrogen, oxygen, carbon monoxide” と入力する。Wikipedia の値は間違っていることもありうるので注意が必要。 [ ]

ページ: 1 2

1

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16-24 対応状態の原理 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group

http://tethys.shinshu-u.ac.jp/?page_id=6777[2014/01/06 12:31:29]

16-24 対応状態の原理

T = 1.64 におけるエタンとアルゴンについての下のデータを用い、 に対して Z をプロットして対応状態の原理を説明せよ。

(表省略, 教科書p.706)

ページ: 1 2

R

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16-24 対応状態の原理 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group | ページ 2

http://tethys.shinshu-u.ac.jp/?page_id=6777&page=2[2014/01/06 12:31:38]

16-24 対応状態の原理

解答

まず エタン、アルゴンについて P と (以下 V と表記)をプロットする。

Fig1 エタン、アルゴンのPVプロット

赤が エタン、 青が アルゴン である。原点付近を拡大する。

Fig2 エタン、アルゴンのPVプロット(拡大)と理想気体状態式の比較

エタン(T = 500 K) のほうが アルゴン (T = 247 K) に比べ温度が高いため、原点から離れた曲線になっている。両者とも大まかには PV = const. という理想気体の関係に従っている。しかし、図中に示した理想気体の PV 曲線と比べてみると、両者とも V が小さい領域で左側にずれていることがわかる。すなわち、この領域では、エタン、アルゴンは理想気体で予想されるよりも 体積が小さい(密度が高い)状態にある。

さて、次の関係式を用いて 圧縮因子 Z を求め、 V に対してプロットしてみよう。

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16-24 対応状態の原理 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group | ページ 2

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Fig3 Z と V の関係

理想気体の状態方程式に従うなら Z = 1 となるが、両者ともその挙動からずれている。

Z が 1 より大きいところでは(理想気体の状態方程式で予測されるよりも) 体積が大きい(密度が低い)、Z が 1 より小さいところでは(理想気体の状態方程式で予測されるよりも) 体積が小さい(密度が高い)、ことがわかる。(Fig2 で示されていない、より小さい V では、理想気体の線より右にプロットがずれている)

教科書のように横軸を P とすると、 P → 0 では理想気体の振る舞いに近づくが、上図のように横軸を V とすると、 V → 0 (すごい高圧力)では逆に理想気体から遠ざかる。

次に横軸をそれぞれのガス種の臨界モル体積( , 教科書p.683)で割った換算体積 V とする。

Fig4 Z と TR の関係

横軸を換算量(臨界定数で割った値)にすると、エタン、アルゴンの挙動は(期待したほどではないが)一致する。

上図の黒の実線は、対応状態の式(16.15式)から導いた Z の式であり、実在気体の Z の振る舞いをよく再現している。

R

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16-24 対応状態の原理 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group | ページ 2

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(エクセル等を使ってプロットを行ってみると、計算法などについてよくわかるので、実際にやってみることをお勧めします。)

ページ: 1 2

... (16.16)

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16-33 LJ ポテンシャルの図示 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group

http://tethys.shinshu-u.ac.jp/?page_id=3009[2014/01/06 12:32:13]

16-33 LJ ポテンシャルの図示

H (g) と O (g) のレナード-ジョーンズポテンシャルを同一のグラフにプロットして両者を比較せよ。

(g)は気体を表している。(気体でも液体でもポテンシャル形状はほぼ変わらないので、あまり気にしなくて良い)解答では、エクセルを使用しています。

表16.6 レナード-ジョーンズパラメータ(抜粋)

化学種 (ε / k ) / K σ / pm

H 37.0 293

O 118 358

ページ: 1 2

... (16.24)

2 2

B

2

2

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16-33 LJ ポテンシャルの図示 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group | ページ 2

http://tethys.shinshu-u.ac.jp/?page_id=3009&page=2[2014/01/06 12:32:22]

16-33 LJ ポテンシャルの図示

解答

テーブルに与えられた定数、ε, σ を、レナード-ジョーンズポテンシャル式に代入すればよい。

エクセルでグラフにしてみよう。

まず ε や σ をシート上に配置。(下図参照)

距離 r を横軸にしたグラフにするので、r を適当な間隔(下の例では 1 pm)で適当な距離まで(下の例では1000 pmまで)並べる 。

(クリックで拡大)

次にそれぞれの距離に対応したポテンシャルエネルギーを、レナード-ジョーンズポテンシャル式を使って入力。この時、 ε や σ はセル上の値を使いますが、$を使ってこの後のコピーでセル位置がずれないようにするとよい。

... (16.24)

1

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16-33 LJ ポテンシャルの図示 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group | ページ 2

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全ての距離範囲にコピーします。

あとは適切な位置に凡例(H2, O2)を入れ、範囲指定して[挿入]-[グラフ]-[散布図]でグラフ化できます 。

このままだとグラフの表示範囲が広すぎるので、グラフの縦軸部分、横軸部分をダブルクリックし、表示範囲を適

2

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16-33 LJ ポテンシャルの図示 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group | ページ 2

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切な範囲に調整します。

軸の情報などを書き込んで完成です。

グラフから、水素 (青) に比べ酸素 (赤) の方が分子間引力が強く、最も安定な距離が大きいことがわかります。

ポテンシャルの最小値が LJ パラメータの -ε に、ポテンシャルが 0 になる距離が LJ パラメータの σ に、それぞれ対応していることに注意してください。

参考 レナードジョーンズ式の最小値

1. 1 と 2 だけを入力して範囲指定し、指定した範囲の右下でカーソル形状が + (十字)になるようにして下方向に 1000 までドラッグすると簡単にできます。(文章だとわかりづらいですが) [ ]

2. 範囲指定の際にはCtrl+Shift+↓(同時押し)を使うと楽です。 [ ]

ページ: 1 2

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17-10 二次元の分配関数 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group

http://tethys.shinshu-u.ac.jp/?page_id=3061[2014/01/06 12:32:30]

17-10 二次元の分配関数

表面に吸着した気体は二次元の理想気体のモデルとみなされる場合がある。次の 18 章において、二次元の理想気体の分配関数が

となることを学ぶ。ここで、A はその表面積である。 の式を導き、その結果と三次元の結果とを比較せよ。

: 分子の持っているエネルギー(N と A と T の関数になる)A : 表面積(m )N : 分子数m : 分子の質量(kg)k : ボルツマン定数h : プランク定数T : 温度(K)

! は階乗を示している。

三次元の結果は教科書 p. 738 にあります。

ページ: 1 2

2

B

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17-10 二次元の分配関数 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group | ページ 2

http://tethys.shinshu-u.ac.jp/?page_id=3061&page=2[2014/01/06 12:32:49]

17-10 二次元の分配関数

解答

教科書 p. 736 に示されているように、分配関数 Q の対数の β ( = 1/ k T )についての微分(の符号を逆にしたもの)が エネルギーの平均値 となる。

与えられた分配関数中の k T を β に置き換えて

対数を取る

β で微分するので、β を含む項と β に依存しない項の和の形にする

... (17.20)

B

B

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17-10 二次元の分配関数 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group | ページ 2

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これを β で微分する。第2項以降は β を含んでいないので(β が変化しても一定値)、β で微分すると 0 になる。

よって 式(17.20) より

となる。N は分子数であり、 n mol の気体の場合、 N = n N および k N = R だから

p. 738 に示されている 三次元の気体の場合には

となるので、2/3 の大きさになっている。

これは分子の「並進の自由度」と関係している。 並進の自由度は 三次元の場合 3、二次元の場合 2 であり、一つ

の自由度あたり のエネルギーが割り当てられていると考えることができる。

ページ: 1 2

A B A

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18-5 電子準位と存在確率 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group

http://tethys.shinshu-u.ac.jp/?page_id=5937[2014/01/06 12:33:01]

18-5 電子準位と存在確率

表18.1 のデータを用いて、300 K、 1000 K、2000 K の各温度で、第 1 励起状態にあるリチウム原子の割合を計算せよ。

表18.1 原子のエネルギー準位(抜粋)

原子 電子配置 項の記号 縮退度 エネルギー / cm

Li 1s 2sS

2 0

1s 2pP

2 14903.66

P4 14904.00

1s 3pS

2 27206.12

第1励起状態は表の 2 行目、1s 2p の P である。縮退度とは、複数の準位が同じエネルギー値を取っていることを示している。縮退度が 2 の場合、原子がそのエネルギーの準位を取る確率はボルツマン分布で予測される値の 2 倍になる。(準位 2 つ分として計算する。)エネルギーは 電子が基底状態(表の 1 行目)からその準位に遷移する際に放出(または吸収)する電磁波の波数で書かれている。(輻射エネルギー参照)1 cm (カイザー) が 1.986 × 10 J に相当する。または波数単位で表したボルツマン定数 k = 0.6950 cm K を使っても良い。

ページ: 1 2

-1

2 2

1/2

2 2

1/2

23/2

2 2

1/2

2 2 1/2

-1 -23

B -1 -1

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18-5 電子準位と存在確率 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group | ページ 2

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18-5 電子準位と存在確率

解答

電子が、エネルギーの異なる二つのエネルギー準位を取る確率の「比」 N /N は、次のボルツマン分布式で書かれる。

ここで ΔE は二つの準位(準位1 と 準位0)のエネルギー差である。下記の図に示したように、準位0 を基準とすると、それより高いエネルギーを持つ準位1 に存在する電子の割合は指数関数に従って減少する。(ΔE = 0 のとき、N /N = 1 、すなわち N = N になっている。)

ボルツマン分布

この式を使って、基底電子状態を取っている原子の数 N に対する、原子が各準位を取る確率(N /N )を計算してみよう。

例として 第 1 励起状態の 300 K についての計算を示すと

1 0

1 0 1 0

0 x 0

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18-5 電子準位と存在確率 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group | ページ 2

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となる。3 行目の準位(第2励起状態)だけは縮退度が他の準位に比べて 2 倍なので、確率も 2 倍する必要がある。

全ての準位について計算すると

各電子準位をとるLi原子の存在比

原子 電子配置 項の記号 存在確率の比

300 K 1000 K 2000 K

Li 1s 2sS

基底状態 1 1 1

1s 2pP

第1励起状態 9.0 × 10 4.9 × 10 2.2 × 10

P第2励起状態 1.8 × 10 9.7 × 10 4.4 × 10

1s 3pS

第3励起状態 2.1 × 10 1.0 × 10 3.2 × 10

上記の 2 行目の数値が解答となる。

一般に電子準位はエネルギー差が大きいので、室温ではほとんどすべての原子が基底状態にある。それでも、温度が上がるにつれて励起状態にある原子の割合は増えていることがわかる。

ここでは基底状態に対する各準位の存在比を計算した。確率とするためには全ての準位の数値の和を取り、それで割らなくてはならない。(規格化 = 全体の和を 1 にする)が、この問題では励起状態の存在確率はほとんど 0 に近いので、基底状態 に対する存在比をそのまま確率とみてよい。

ページ: 1 2

2 2

1/2

2 2

1/2

-32 -10 -5

23/2

-31 -10 -5

2 2

1/2

-57 -17 -9

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18-20 Cv の温度依存性 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group

http://tethys.shinshu-u.ac.jp/?page_id=3119[2014/01/06 12:33:21]

18-20 Cv の温度依存性

CO(g) の実測熱容量は、300 K < T < 1500 K の温度範囲で、次の経験式で合わせることができる。

式(18.41) を用いて、この温度範囲の T に対して をプロットし、その結果と実験曲線を比較せよ。

: 振動温度(振動エネルギーの量子化の大きさを表す、分子種によって定まる定数)

= 3103 K (p.785 表18.3 より)

エクセルによる数式を使ったグラフ作成法は16-33を参照。

ページ: 1 2

... (18.41)

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目次

注解答理論式の中身

並進運動エネルギー回転運動エネルギー振動運動エネルギー

18-20 Cv の温度依存性

解答

まず

についてプロットしてみよう。これは実験値に相当する。このように実験値(実測値)を少ないパラメータで表すには、問題となる変数 (この場合 T) のべき乗の式 a + bT + cT + … で表すのが常套(じょうとう)手段である。(ビリアル展開、という)

さて、式(1)をプロットすると

...(1)

2

式中 K や K は 温度 T の単位がケルビンであることを示しており、右辺の T に温度を単位(K)つきで代入すると無次元になる。左辺についてみると、 モル熱容量( )の単位が J K mol 、気体定数 R の単位も同じく J K mol であるから、左辺も無次元になっている。

-1 -2

-

1 -1 -1 -1

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となる。熱容量は「その物質を 1 K 温めるのに必要なエネルギー」であるから、気体の CO 1 mol について、300K 付近では 1 K 温めるのに 約 2.5 R ( = 20.8 J) のエネルギーが必要であることがわかる。 熱容量は温度の上昇とともに大きくなり、 1500 K 付近では 約 3.3 R ( = 27.4 J) のエネルギーが必要になる。

さて一方、式(18.41) は、統計熱力学から理論的に求められた熱容量を表している。

を代入し、プロットする。

青が経験式、赤が理論式 (式(18.41)) である。両者は非常によく一致している。

理論式の中身

さて、理論式の中身についてもう少し詳しく見てみよう。

分子の運動エネルギーは、「並進」「回転」「振動」の 3 つに分離することができ、それぞれの理論式を導くことができる。

... (18.41)

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並進運動エネルギー

例を挙げると、並進運動エネルギー ε は 絶対温度に比例し、

となる。単原子分子ならこれでおしまいだが、二原子(以上)分子の場合、これに回転運動エネルギー ε と振動運動エネルギー ε を加えなくてはならない。

回転運動エネルギー

回転運動エネルギー ε は次の式で表される。これも絶対温度に比例する

振動運動エネルギー

振動運動エネルギー ε は次の式のようになる。

ε は 温度に単純に比例するわけではなく、ややこしい。これは振動エネルギーが量子化されているためである。(並進や回転も量子化されているのだが、振動はエネルギーのとびとびの幅が大きく、量子化の影響が大きい。)

ここまでの 3 つのエネルギーをプロットしてみよう。(COの場合)この時の縦軸は内部エネルギー (を R で割ったもの)に相当している。

... (18.7)

... 教科書 p.787 1 行目

...(18.25)

trans

rot

vib

rot 1

vib

vib

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緑が並進、オレンジが回転、紫が振動である。

もう少し広い温度範囲についてプロットすると、こうなっている。

紫(振動エネルギー)をみると、低温では温度に対し一定の値となっている。これは 零点振動エネルギー ( = 量子効果のために 0 K においても分子は振動エネルギーを持っている) である。温度が 600 K を超えるあたりから少しずつ振動エネルギーは大きくなる。これは 振動エネルギーが、基底状態から 2 つ目、3 つ目の振動エネルギーへと次第に移っていく寄与による。

熱容量は「その物質を 1 K 温めるのに必要なエネルギー」であるから、上のグラフの微分になる。

それぞれの式を T で微分すると

となる 。プロットしてみよう。2

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18-20 Cv の温度依存性 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group | ページ 2

http://tethys.shinshu-u.ac.jp/?page_id=3119&page=2[2014/01/06 12:33:32]

緑(並進)とオレンジ(回転)の寄与は一定値となり、紫(振動)は最初は0、その後温度の上昇とともに次第に大きくなる。零点振動エネルギーは温度で変化しないので、熱容量には影響しない。この 3 本を合計したものが、式(18.41) = 2 つめのグラフの赤線 である。

紫は、温度が十分高くなると R (上のグラフの縦軸 1)に近づく。

CO の場合は、上でみたように 1000 K 付近を中心に振動の寄与が大きくなっていくが、この温度は物質によって異なる。量子化の効果が大きい H ではもっと高い温度にならないと振動の寄与はでてこない。I ではもっと低温で出てくる。

大まかに言って、室温で気体であるような小さな分子の場合、振動エネルギーは室温(約 300 K)付近では熱容量に寄与しないといっていいだろう。

逆に固体の場合は量子化の効果が小さく、振動エネルギーは連続値に近い状態となり、室温でほぼ一定値 (3R) となっている。これはデュロン-プティの法則と呼ばれる。室温が、上のグラフの紫の線の右側のほう・・・上がりきって一定値になっている領域に相当しているわけである。(教科書 p.742 図17.4 参照)

1. 3原子以上の場合で、水のような非直線型分子の場合、ε = (3/2) R になる。自由度のページを参照。 [ ]2. 振動のエネルギー(18.25)式の第1項 = 零点エネルギーの項は微分すると消える。すなわち、零点エネルギーは熱容量には影響しない。 [ ]

ページ: 1 2

2 2

rot

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19-1 エネルギー変換 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group

http://tethys.shinshu-u.ac.jp/?page_id=1217[2014/01/06 12:33:47]

19-1 エネルギー変換

20 °C で 10 kg の鉄の塊を 100 m の高さから落としたと考える。地面に当たる直前の鉄塊の運動エネルギーはいくらか。また、その速さはいくらか。衝突時の鉄塊の全運動エネルギーが内部エネルギーに変化したとすると、鉄塊の最終温度は何 °C になるか。鉄のモル熱容量を = 25.1 J K mol 、自然落下の加速度を 9.80 m s とせよ。

鉄の原子量は 55.85 g mol 。

ページ: 1 2

-1 -1 -2

-1

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19-1 エネルギー変換 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group | ページ 2

http://tethys.shinshu-u.ac.jp/?page_id=1217&page=2[2014/01/06 12:33:55]

目次

解答最初の状態でのエネルギー(E (A))

地面に当たる直前のエネルギー(E (B))

地面に当たる直前の速度 (v(B))

鉄塊の最終温度(T (C))

エネルギーの差をとるという考え方Δ(デルタ) と d について

19-1 エネルギー変換

解答

最初の状態でのエネルギー(E (A))

最初の状態(=鉄塊が高さ 100 m にあって、運動していない状態)を状態 A としよう。運動エネルギー E (A) は速度が 0 m s なので 0 J である。

位置エネルギー E (A) は 公式

から求められる。代入すると

となる。

地面に当たる直前のエネルギー(E (B))

鉄塊が地面に衝突する直前を状態 B としよう。B では、高さが 0 m なので、位置エネルギー E (B) は 0 J である。エネルギー保存則から、

p

k

p

k-1

p

k

p

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19-1 エネルギー変換 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group | ページ 2

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E (A) + E (A) = E (B) + E (B)

となる。よって

最初の状態で鉄塊が持っていた位置エネルギーは、すべて運動エネルギーに変換されたと考えることができる。

地面に当たる直前の速度 (v(B))

運動エネルギーE は 公式

から求められる。E (B) = 9800 J より

v について解くと

鉄塊の最終温度(T (C))

最後に温度上昇について考える。

衝突後を状態 C とすると、C では E (C)、E (C) は共に 0 J となり、それまでのエネルギー(9800 J)は全て内部エネルギーの上昇分 ΔU となる。

モル熱容量は、「その物質 1 mol の温度を 1 K 上昇させるのに必要なエネルギー」である。( の上のバーは「1mol あたり」、を意味する。)

k p k p

k

k

k p

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上昇した温度を ΔT、鉄のモル数を n とすると内部エネルギーの増加ΔU は

と表せる。

鉄 10 kg は

179.1 mol。(g と kg の対応に注意。)

よって、上昇温度 ΔT は

となり、元の温度が 20 °C なので、最終温度は 22.2 °C。

今のところ気にしなくて良いですが、厳密には

です。固体の場合、温度変化に伴う体積変化が小さいので、定容熱容量 と定圧熱容量

はほぼ等しくなります。

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エネルギーの差をとるという考え方

エネルギー保存則は「エネルギーは(その形態を変えても)総量は変わらない」という法則ですから、それぞれの形態のエネルギーの総量の和をとり

E + E + U = 一定

と考えると分かりやすいでしょう。しかし、これらのエネルギーのうち、「エネルギーの総量」を算出しにくいものがあります。

例えば、20 °C の鉄塊が持つ内部エネルギーの総量を正確に求めるのは困難です。そのため通常は、それぞれのエネルギーについて基準値を決め、そこからの差について考えます。従って、通常使うエネルギー保存則の式は以下のような書き方になります。

ΔE + ΔE + ΔU = 一定

Δ は、それぞれの基準値からの差を表しています(もう一つ下のコラム参照)。基準値は、Eでは静止している状態、E は鉄塊が地面の高さにある状態です。そして U は、この問題では鉄塊が最初の温度(20 °C) の時の状態を基準値とし、これらをそれぞれ 0 とします。(上の「解答」では、E やE は基準が明白なので、 Δ を付けずに議論しています。)

20 °C の U を 0 とするいうのが、気にくわないかもしれません。絶対零度での U を 0 とすればいいような気もします。しかし、モル熱容量が 25.1 J Kmol というのは 20 °C 付近での場合であって、絶対零度に近いような低温ではこれとは異なった値となるし、測定するのも非常に難しいのです。

よって、 U の「差」についてのみ計算するのが理にかなったやり方です。

考えてみると E で地面の高さを 0 とするのも、地面を掘り下げることもできるわけですし、任意に基準を決めているといえます。絶対値にこだわって、あまりに極端な基準(地球の中心を 0 とするとか)をとると、重力加速度が違ってきたり、-∞ が出てきたりしてややこしいことになります。

各エネルギーについて基準を定めることで、最初から最後までエネルギーの変わらないもの(例えば、上の議論における静電エネルギーなど)については、無視して議論を単純化できます。物性値のわかっている付近で「基準」をしっかりと決めて、そことの「差」について議論する、というのはこの後の熱力学量の扱いにおける常套(じょうとう)手段です。

なお、各エネルギー値の符号は、基準状態から物質がエネルギーを得て到達できる状態の符号を正(+)にとります。(E なら速い、 E なら位置が高い、ΔU なら温度が高い 状態が +。いずれも物体がエネルギーを得て到達できる状態。)

k p

k p

k

p

k p

-1

-1

p

k p

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19-1 エネルギー変換 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group | ページ 2

http://tethys.shinshu-u.ac.jp/?page_id=1217&page=2[2014/01/06 12:33:55]

Δ(デルタ) と d について

ΔU は一つの変数であって、Δ × U という意味ではありません。

Δ は 2 つの値の「差」を意味します。(ΔU は 2 つの状態での U の差 )

差をとるときは、常に「新しい方から古い方を引く」と覚えておいてください。

状態 A から 状態 B に変化したときの ΔU は

ΔU = U(B) -U(A)

化学反応に伴う ΔU は

ΔU = U(生成物) -U(反応物)

です。今日の売り上げが 100 円、昨日の売り上げが 80 円なら、その差は + 20 円と取るのが自然ですよね。(新しい方から古い方を引いている)逆にすると符号が反対になってしまいます。

dU という表記が出てくるときがあります。これは ΔU と同じように 2 つの状態のエネルギー差を表しているのですが、その差が無限小まで小さくなっていることを表しています。

例えば 20 °C の鉄の U と 20.0000000001 °C の鉄の U の差という具合です。「そんなの 0 じゃん」と思うかもしれません。実際 0 に極めて近いのですが、 このときの温度差 dT (これも 0 に極めて近い)との比は 0 にはならず、意味のある数値になります。

これは T を変化させたときの U のグラフの傾きで、これが先に出てきた「熱容量」です。

1

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23-1 酸素の相図 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group

http://tethys.shinshu-u.ac.jp/?page_id=2911[2014/01/06 12:34:07]

23-1 酸素の相図

次のデータを用いて酸素の相図を描け。三重点: 54.3 K, 1.14 Torr; 臨界点: 154.6 K, 37828 Torr; 通常融点: -218.4 °C; 通常沸点: -182.9 °C。酸素は水の場合のように加圧すると融解するか。

通常融点、通常沸点は 1 atm (101.3 kPa)での融点、沸点を、標準融点、標準沸点は 1 bar (100.0 kPa)での融点、沸点を指す。

Torr については圧力のページを参照のこと。

ページ: 1 2

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23-1 酸素の相図 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group | ページ 2

http://tethys.shinshu-u.ac.jp/?page_id=2911&page=2[2014/01/06 12:34:17]

23-1 酸素の相図

解答

下記ページを参照してください。

http://www.wolframalpha.com/input/?i=O2

Wolfram Alpha では、化学式を入力すると、多くのデータを見ることができます。上記ページで出てくる相図は、縦軸(圧力)が対数軸になっていることに注意してください。

酸素の相図 (Wolfram Alphaより)

酸素の相図の固相と液相の間の線(固液共存線)は(ほとんど垂直ですが)右上がりであり、固体酸素は加圧しても融解しません。これは固体のほうが液体よりも密度が大きい(融けると膨張する)ことに由来します。

氷→水のように、融解時に収縮する物質は極めて珍しいのです。(水の固液共存線は右下がりになっています。)

ページ: 1 2

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27-γ 導出 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group

http://tethys.shinshu-u.ac.jp/?page_id=2723[2014/01/06 12:34:29]

27-γ 導出

分子の x 方向の速度分布 f (u ) が γ を定数として

で示される。u の平均値

と、積分公式

を用いて γ を求めよ。

ページ: 1 2

... (27.29)

... 教科書裏表紙裏の数学公式の下から4つめで n = 1 を代入

x

x2

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27-γ 導出 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group | ページ 2

http://tethys.shinshu-u.ac.jp/?page_id=2723&page=2[2014/01/06 12:34:39]

27-γ 導出

解答

分布関数 f(u ) を使うとu の平均値を

と書けるので

となる。 f(u )を代入して

積分公式を使い

これを解いて

...(27.30)

x x2

x

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27-γ 導出 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group | ページ 2

http://tethys.shinshu-u.ac.jp/?page_id=2723&page=2[2014/01/06 12:34:39]

または

M は分子量(kg mol )、m は分子 1 個の質量(kg; m = M / N )

計算過程は教科書 p. 1152~1153 にもあります。

窒素分子 (M = 28 g mol )の u の分布

温度が高くなるほど速い分子の割合が増える。

グラフの面積はどの温度も 1。

ページ: 1 2

-1 A

-1x

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27-2 根平均二乗速さ | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group

http://tethys.shinshu-u.ac.jp/?page_id=2490[2014/01/06 12:34:48]

27-2 根平均二乗速さ

200 K, 300 K, 500 K, 1000 K における窒素分子の根平均二乗速さを計算せよ。

(教科書ミスプリ 窒素原子→窒素分子)

ページ: 1 2

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27-2 根平均二乗速さ | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group | ページ 2

http://tethys.shinshu-u.ac.jp/?page_id=2490&page=2[2014/01/06 12:34:56]

27-2 根平均二乗速さ

解答

式(27.13) を使う。

例として 200 K について計算すると

同様に各温度について計算すると

温度 / K 根平均二乗速さ / m s

200 422

300 517

500 667

1000 944

室温付近 (300 K ≈ 27 °C) でも、 秒速 517 m (= 時速 1860 km!) という猛スピードで分子は飛び回っていることに注意。

式から明らかなように、根平均二乗速さは 絶対温度の 1/2 乗に比例して増加している。

... (27.13)

-1

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27-2 根平均二乗速さ | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group | ページ 2

http://tethys.shinshu-u.ac.jp/?page_id=2490&page=2[2014/01/06 12:34:56]

ページ: 1 2

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27-3 温度と分子の速さ | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group

http://tethys.shinshu-u.ac.jp/?page_id=1509[2014/01/06 12:35:09]

27-3 温度と分子の速さ

気体の温度が 2 倍になったら分子の根平均二乗速さはどれだけ大きくなるか。

ページ: 1 2

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27-3 温度と分子の速さ | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group | ページ 2

http://tethys.shinshu-u.ac.jp/?page_id=1509&page=2[2014/01/06 12:35:19]

27-3 温度と分子の速さ

解答

分子の運動エネルギーの平均値 は温度 T と次の関係にある。

また は

である。従って両式から

が得られる。根平均二乗速さ (演算順序に注意: 速さの 二乗の 平均の ルート) は

と T に対し1/2 乗の依存性を持っていることがわかる。

よって T が 2 倍になれば 根平均二乗速さは 倍になる。

平均速さと根平均二乗速さ

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27-3 温度と分子の速さ | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group | ページ 2

http://tethys.shinshu-u.ac.jp/?page_id=1509&page=2[2014/01/06 12:35:19]

以下余談。

上で示したように、根平均二乗速さ (v とも書かれる)は

です。

これに対し、分子の平均速さ は

で、両者とも T に対し1/2 乗の依存性を持っているものの、その値は少し異なります。(u の方が少し大きい。マクスウェル-ボルツマン分布の場合、 )

これは具体的に計算してみると分かります。今、分子が 3 つあって、速さが 1 m/s, 2 m/s, 3 m/s だとすると

v / m s v / m s

1 1

2 4

3 9

となり、

と計算されます。( ≠ v )

両者 ( と v )は全ての分子の速度が同じときに限り一致します。

...(27.42)

rms

rms

-1 2 2 -2

rms

rms

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27-3 温度と分子の速さ | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group | ページ 2

http://tethys.shinshu-u.ac.jp/?page_id=1509&page=2[2014/01/06 12:35:19]

(上の例だと、3 つの分子の速さが 3 つとも 2 m/s のとき。)

平均値の 2 乗 と 2 乗の平均値 は一致しないのです。

やりがちなのは、平均の速さが だからといって、平均の運動エネルギーを としてしまうこと。これは間違いです。

運動エネルギーは速さの 2 乗に依存するので、 2 乗してから 平均をとらないと値が異なってしまいます。

ページ: 1 2

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27-18 脱出速度 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group

http://tethys.shinshu-u.ac.jp/?page_id=1512[2014/01/06 12:35:38]

27-18 脱出速度

この問題では、地球表面のような物体からの粒子の脱出速度(escape velocity)を取り扱う。物理学で学んだように、距離 r だけ離れた 2 個の質量 m と m のポテンシャルエネルギーは

で与えられる(クーロンの法則との類似性に注意)。ただし G = 6.67 × 10 J m kg を万有引力定数という。質量m の粒子が地表に垂直に速度 u を持つとする。地表から脱出するために粒子が持たなければならない最小速度(脱出速度)が、

であることを示せ。地球の質量を M = 5.98 × 10 kg、平均半径を R = 6.36 × 10 m として、水素分子と窒素分子の脱出速度を計算せよ。それぞれの分子の平均の速さが脱出速度を超えるにはどれだけの温度でなければならないか。(教科書ミスプリ G の単位は J m kg ではなく J m kg )

ページ: 1 2

1 2

-11 -2

earth 24 earth 6

-1 -2

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27-18 脱出速度 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group | ページ 2

http://tethys.shinshu-u.ac.jp/?page_id=1512&page=2[2014/01/06 12:35:47]

27-18 脱出速度

解答

まず、m = 1 kg として、重力ポテンシャル V

を図示してみよう。m は地球の質量である。

上の青線が V である。図では示せていないが、r → ∞ のとき V → 0 であり、そこから地球の重力によって、地球に近づくにつれて V は小さくなる(安定になる)。

赤で示した横軸 r = 6.36 × 10 m の位置が地球表面であり、 V(R ) は – 6.27 ×10 J (ただし、この値は質量m に比例して変化する)。ここから宇宙に脱出するのは、青い線に沿ってポテンシャルの坂を上り、 V = 0 の高さまで行くことに相当する。

r の代わりに、地球を原点において x, y 座標を使って書くとこんな感じなのだがイメージできるだろうか。

2

1

6 earth 7

2

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27-18 脱出速度 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group | ページ 2

http://tethys.shinshu-u.ac.jp/?page_id=1512&page=2[2014/01/06 12:35:47]

上図の縦軸(z 軸)はポテンシャルエネルギーである。宇宙のポテンシャルエネルギーは平坦だが、そこに地球を「置く」と、あたかもやわらかいゴムの板に重りを置いたがごとくポテンシャルエネルギーが低くなる。我々はこの「重力井戸」の底におり、ここから坂を上って宇宙まで行くことになる。

ロケットなり分子なりを、垂直に打ち上げ、地球を脱出させるには、ポテンシャルエネルギーに等しいだけの運動エネルギー E があればよい。

V に最初の式を代入し(m = M , r = R )、u について解くと

が導かれる。なお、脱出させる物体の質量 m は導出の過程で消え、上式には残っていない。つまり、脱出速度は質量によらない(ロケットでも分子でも脱出速度は同じ)ことがわかる。

数値を代入すると

k

1 earth earth

2

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27-18 脱出速度 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group | ページ 2

http://tethys.shinshu-u.ac.jp/?page_id=1512&page=2[2014/01/06 12:35:47]

(J = kg m s )

というわけで、脱出速度は水素分子、窒素分子とも 11200 m/s (秒速 11.2 km = 時速 40320 km)。

分子の平均の速さ は 式(27.42)

で与えられる。

T について解いて

数値を代入する。(分子量 M(H ) = 2.02 ×10 kg mol に注意)

水素分子: 1.20 × 10 K窒素分子: 1.66 × 10 K

... (27.42)

2 -2

同じ温度だと、分子種が違っても分子の平均の(並進)運動エネルギーが等しい。よって質量が異なると、分子の速さは異なる。(上式には M が入ってくる)

2 -3 -1

3

5

脱出速度を得るための温度は相当に高いが、分子はマクスウェル-ボルツマン分布(教科書図27.2)に相当する速度の分布を持っているので、室温でもごく一部の分子は脱出速度に相当する運動エネルギーを持っており、気体分子は次第に(ゆっくりとだが)宇宙に拡散してゆく。

大気から分子が失われていく割合は分子量が小さいものほど大きい。

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27-26 最確エネルギー | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group

http://tethys.shinshu-u.ac.jp/?page_id=2640[2014/01/06 12:36:01]

27-26 最確エネルギー

気相中の分子の最も出現しやすい運動エネルギーはいくらか。

分子の速さの分布

を使って求めてみよう。(少し難しい)

ページ: 1 2 3

... (27.40)

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27-26 最確エネルギー | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group | ページ 2

http://tethys.shinshu-u.ac.jp/?page_id=2640&page=2[2014/01/06 12:36:11]

27-26 最確エネルギー

解答

前述の

部分、すなわち F (u) についてプロットしてみよう。

ここでは M = 28.01 × 10 kg、T = 300 K とする。(m = M / N )

最も出現しやすい速さ u ならば、この分布の頂点である。これは F (u) を u で微分し、0 となる (分布曲線の傾きが 0 となる) ところを探せばよい。計算は教科書 p.1158 に書かれており、

... (27.40)

-3 A

mp

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となる。

さて、「最も出現しやすい運動エネルギー ε 」を求めるためには、速さの分布ではなく、運動エネルギーの分布を求める必要がある。

運動エネルギーの分布式は 式(27.40) から求めることができる。運動エネルギーの定義式

を変形し、

として、式(27.40) 右辺の u を ε に置き換えていく。

u はひとつ残らず ε に置き換えなくてはならない。問題となるのは du の部分である。(du はd × u ではなく一つの変数であり、u の「幅」を表しているので、残念ながらここは 式(b) を代入して解決、というわけにはいかない。)

... (27.43)

... (a)

... (b)

... (c)

mp

上の(27.43)式の速度から、ε = (1/2)mu … とやりたくなるのですが、これは間違いです。(u と ε は比例していないので、横軸を u から ε に変換するとグラフの形が変わり、頂点の位置もずれるため。)

mp mp2

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ここで求めたいのは G(ε) dε という、後ろに dε がつく関数である 。du と dε の関係は、(du / dε) 、すなわち 式(b) の微分を求めれば得られる。式(b) を少し変形して

これを微分することで

となり、これより

と、du を dε を用いた形で表せる 。これを 式(c) に代入すればよい。

...(d)

1

2

ε が大きくなると、式(d) の係数部分、 は小さくなる。これは次の効果による。

速さ u が 10 と 11、100 と 101 m s の分子の運動エネルギーを考えると、m = 1 として

u / m s 10 11 100 101

ε / J 50 60.5 5000 5100.5

となる。速さ 1 m s の範囲にあった分子が、 10 m s 付近では 10.5 J の範囲に、100 m s 付近では 100.5 J の範囲に広がる。速さが大きい領域ほど、エネルギーの分布に直したときは広い範囲に広がることになる。式(d) の係数部分はこの効果を表している。

-1

-1

-1 -1

-1

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これでようやく運動エネルギーの分布を表す式、G(ε) dε を得ることができる。

整理して

約分により m が消えてしまったことに注目してほしい。これは分子の運動エネルギーの分布が 分子種(分子の質量)によらないことを示している。

G(ε) 部分を図示してみよう。(T = 300 K)

分布の形状は 速さ u の場合とずいぶん異なっている。(横軸の単位は 本来 J だが、非常に小さい値になってしまうので、 k で割った値を示している。グラフの横軸の右端は、u のグラフの右端 1500 m s の分子が持つ運動エネルギー 3790 k にほぼ合わせた。)

あとは G(ε) 部分

を ε で微分して、上の分布の頂点の位置(ε) を求めればよい。

... (27.44)

B-1 B

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ここは自力でやってみよう。上の式のうち

部分は 定数 (微分する ε に依存しない)なので、実質的には

部分を微分すればよい。

(解答の続きは 下記 第3ページ)

1. 教科書では G(ε) ではなく、F(ε)となっていますが、分布の形が異なるので記号を変えました。 [ ]2. du や dε は(d と u にばらさなければ)通常の変数と同様に扱ってよい。また 式(d) は、式(a) を微分して出てきた u に 式(b) を代入しても得られる [ ]

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27-26 最確エネルギー

ε を含む関数部分が 2 つあるので、微分公式のひとつ、

を使う。

頂点はこれが 0 となるところなので = 0 として整理すると

exp 項が 0 となるのは ε が +∞ のときなので、求める ε は 最初のカッコの中が 0 となるときの ε である。

これを解いて

が答えとなる。

前に出てきた u (最確速さ)

mp

mp

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27-26 最確エネルギー | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group | ページ 3

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の分子が持つ運動エネルギー(k T)と一致していないことに注意してほしい。これは u と ε では分布曲線の形状が異なり、頂点の位置も変わるためである。

(お疲れ様でした。)

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... (27.43)

B

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27-41 星間分子の密度 | Shinshu Univ., Physical Chemistry Lab., Adsorption Group

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27-41 星間分子の密度

宇宙空間では平均温度 10 K で、水素原子の平均数密度は約 1 m である。宇宙空間における水素原子の平均自由行程を計算せよ。水素原子の直径を 100 pm とせよ。

平均数密度 1 m というのは、1 m あたり 1 個の水素原子が存在している、という意味。

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27-41 星間分子の密度

解答

平均自由行程 l は分子が衝突してから次に衝突するまでに進む距離のことである。

l は分子の平均速さ に比例し、衝突頻度 に反比例する。

宇宙空間では、分子の数密度が非常に低く、衝突はめったに起こらないと考えられるので、l は大気圧(1 bar, 25 °C)での窒素の 65 nm に比べてかなり長いことが予想される。

衝突頻度 は

で表される。

衝突断面積 σ は粒子の直径を d として

ρ は数密度である。式(27.50) に代入すると

... (27.50)

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野辺山電波天文台の天井にぶら下がっていた星間分子模

最初の式に代入すると は約分されて消える。

2 × 10 m は 約 2300 光年。

10 K における水素原子の を計算し(460 m s )、 を求める と、分子 1 個の衝突間隔は 約 15 億年となる。

この頻度ではほとんど化学反応が起こることはなさそうですが、実際には、星の重力などで密度が高くなったり、氷の粒の表面に原子が付着し反応するなどして、宇宙空間にも複雑な分子が存在していることが知られています。(野辺山の電波天文台で見ることができます。)

1. 中原 勝著/集合体の熱力学・統計熱力学によると「星間物質の密度は10 ~10 dm 」とあります。仮に 10 dm とすると、平均自由行程は 6 桁ほど小さくなります。 [ ]

2. が衝突頻度 = 1 秒あたりの衝突回数(s )なので、その逆数 が衝突の時間間隔(s)になります。 [ ]

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