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介護保険財政の将来像を考える 地域ケア政策ネットワーク(C2P)研究主幹 龍谷大学教授 池田 省三 2008731社会保障国民会議 サービス保障(医療・介護・福祉) 6

介護保険財政の将来像を考える - 首相官邸ホームページ · 2008. 8. 18. · 要介護高齢者733万人/高齢人口3000万人=24%(1990年時点)*虚弱高齢者含む

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介護保険財政の将来像を考える

地域ケア政策ネットワーク(C2P)研究主幹 龍谷大学教授

池田 省三

2008年7月31日 社会保障国民会議 サービス保障(医療・介護・福祉) 第6回

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1.要介護高齢者数・認定者数・受給者数をどう考えるか

<基礎的データ>

1.要介護高齢者数>認定者数>受給者数

1-1 要介護高齢者数 高齢人口の約20%

1-2 認定者数 高齢人口の16%

1-3 利用者数 高齢人口の13%

2.要介護度別に見た未利用率

2-1 軽度(要支援1~要介護1) 29% サービス利用ニーズではなく、デマンド対応?

2-2 中度(要介護2.3) 9%

2-3 重度(要介護4.5) 12% 入院・当月死亡

3.認定率の地域格差

3-1 軽度-長崎11.3%~茨城4.8% 中度-千葉4.3%~鳥取6.3% 重度-埼玉3.1%~高知4.7%スライド1

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要支援・介護高齢者は高齢人口の20%程度存在する?

アメリカ 会計検査院調査(1994)

要介護高齢者733万人/高齢人口3000万人=24%(1990年時点) *虚弱高齢者含む

在宅78%+ナーシングホーム等22%

伊原和人『アメリカの高齢者介護』(大学教育出版「アメリカ社会保障の光と陰」2000年収載)

要介護認定者数と未認定者の状態

11.6

11.4

14.3

5.8

8.0

5.1

36.0

24.9

38.1

38.4

42.8

34.8

5.0

3.7

0.8

11.7

2.7

0.4

0.4

0.9

0.9

1.0

1.6

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

長岡市

愛知郡4町

大牟田市

認定者 全面介助(C) 一部介助((B) 外出困難(A) 外出自立 普通に生活 大変健康 NA

未認定者1514人調査 2002年14月

未認定者1906人調査 2001年7月

未認定者2945人調査 2002年1月

スライド2

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軽度は大幅減・重度は横ばい・中度は軽度が移行か?

第1号被保険者の要介護度別認定率の推移

4.5%

5.3%

6.3%

7.3%

7.7%

8.0%

7.2%7.0%

3.6%

3.9%

4.2% 4.2%4.3%

4.4%

5.0%5.2%

3.0%3.2%

3.3%

3.6% 3.7% 3.7% 3.7% 3.8%

0.0%

1.0%

2.0%

3.0%

4.0%

5.0%

6.0%

7.0%

8.0%

9.0%

平成12年度末 平成13年度末 平成14年度末 平成15年度末 平成16年度末 平成17年度末 平成18年度末 平成19年10月

要支援~要介護1 要介護2.3 要介護4.5

資料出所:厚生労働省「介護保険事業状況報告」各年報・例月報告

スライド3

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サービス未利用率は中度でやや低下の傾向

要介護度別 未利用率の推移

0.0%

5.0%

10.0%

15.0%

20.0%

25.0%

30.0%

35.0%

40.0%

45.0%

平成14年10月 35.3% 24.0% 18.0% 14.5% 13.5% 17.5% 21.2%

平成15年10月 36.3% 24.0% 17.0% 14.5% 13.3% 17.6% 21.4%

平成16年10月 35.6% 23.0% 16.2% 14.1% 13.1% 18.2% 21.1%

平成17年10月 34.0% 21.8% 15.4% 13.9% 14.0% 20.5% 20.8%

平成18年10月 39.2% 22.3% 12.6% 10.0% 11.0% 20.0% 21.3%

平成19年10月 36.4% 19.9% 11.6% 8.5% 9.6% 19.2% 19.6%

平成20年3月 36.5% 20.1% 12.2% 9.0% 10.0% 19.6% 19.9%

要支援等 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5 総数

国保中央会例月報告により試算

スライド4

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要支援・要介護認定率は地域格差が大きく、とくに軽度は顕著

要介護度別認定率(認定者数/第1号被保険者数 平成19年10月)

0.0%

1.0%

2.0%

3.0%

4.0%

5.0%

6.0%

7.0%

8.0%

要支援等 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5

全国

北海道

青森県

岩手県

宮城県

秋田県

山形県

福島県

茨城県

栃木県

群馬県

埼玉県

千葉県

東京都

神奈川県

新潟県

富山県

石川県

福井県

山梨県

長野県

岐阜県

静岡県

愛知県

三重県

滋賀県

京都府

大阪府

兵庫県

奈良県

和歌山県

鳥取県

島根県

岡山県

広島県

山口県

徳島県

香川県

愛媛県

高知県

福岡県

佐賀県

長崎県

熊本県

大分県

宮崎県

鹿児島県

沖縄県

長崎県

徳島県

秋田県

茨城県

千葉県

スライド5

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高齢者だけの世帯が多いと軽度受給率は上昇する

高齢夫婦のみ世帯・高齢単身世帯の割合と要介護度別サービス受給率 平成19年8月

R2 = 0.3837

R2 = 0.0013

R2 = 0.0085

2.0%

3.0%

4.0%

5.0%

6.0%

7.0%

8.0%

9.0%

12.00% 14.00% 16.00% 18.00% 20.00% 22.00% 24.00% 26.00% 28.00%

一般世帯に占める高齢夫婦のみ世帯と単身高齢世帯の割合(平成17年)

要介

護度

別サー

ス受給

(平成

19

年8

要支援1~要介護1 要介護2~3 要介護4~5

スライド6

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軽度認定者のサービス利用額は変化していない

利用者1人当たり在宅サービス費用の推移

0

50

100

150

200

平成14年10月 30.3 63.9 93.1 133.2 157.2 181.8

平成15年10月 30.7 65.5 98.5 139.9 165.1 189.5

平成16年10月 29.6 65.3 100.7 142.6 168.9 193.1

平成17年10月 29.5 66.6 103.2 145.6 170.5 194.2

平成18年10月 24.2 43.1 30.2 63.8 92.8 127.8 162.1 195

平成19年10月 24.5 44 31.8 70.2 94.8 131.8 166.8 200.9

平成20年4月 25.2 45.5 31.1 71.3 94.8 132.5 168.3 203.2

要支援1 要支援2 要支援等・経過的要介護 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5

資料出所;厚生労働省統計情報部「介護給付費実態調査月報」各月

注:平成20年4月は31日換算してある

スライド7

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要支援は費用の6%、要介護1は11%を占める

要介護度別介護保険費用 平成20年2月サービス分 年間換算

要介護5, 1,388,190 , 21%

要介護4, 1,490,900 , 23%

要支援1, 118,434 , 2% 要支援2, 253,850 , 4%

経過的要介護, 1,547 , 0%

要介護1, 738,607 , 11%

要介護2, 1,137,195 , 17%

要介護3, 1,462,357 , 22%

単位 百万円

スライド8

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政策課題1 要支援・要介護1レベルの高齢者をどう考えるか

<今後の課題>

1.財政負担の見通し

1-1 要支援・要介護1レベルの高齢者 20%-9%(要介護2~5) =11%

1-2.2025年の高齢人口 3635.4万人×0.11×5万円×12月=2兆4000億円

2.サービス配分

2-1 要支援と特定高齢者の相違とは何か

2-2 申請-認定-受給の要支援サービス、基礎自治体の掘り起こす特定高齢者と予防サービス

3.社会保険と社会福祉の区分と役割分担

3-1 介護サービス=社会保険、生活援助サービス=社会福祉サービスと切り分けられるか

3-2 地域支援事業=社会福祉的サービス+介護保険財政の投入という矛盾をどう考えるか

スライド9

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2.介護予防と重度進行抑止のサービスを考える

<基礎的データ>

1.高齢者の元気度-5歳刻み高齢人口で補正した認定率指数

1-1 重度認定率指数を勘案すると85~118と32ポイントの都道府県格差 *高齢者元気度

1-2 軽度認定率指数は、72~133と61ポイントの格差 *利用意向の反映

2.新予防給付

2-1 悪化者数40%減(悪化率33.9%→23.4%)

2-2 事業者ごとの要介護の変化は大きな格差がある

3.1年間介護サービス継続利用者の変化

3-1 2005年度までは、3年連続で悪化率が減少

3-2 2006年度において、要介護状態の悪化率は急上昇

スライド10

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重度認定率指数は上下15ポイント程度の地域格差が見られる

軽度認定率指数・重度認定率指数の分布 平成19年4月

全国

北海道

青森県

岩手県

宮城県

秋田県

山形県福島県

茨城県

栃木県群馬県

埼玉県

千葉県

東京都

神奈川県

新潟県

富山県

石川県

福井県山梨県

長野県

岐阜県

静岡県

愛知県

三重県

滋賀県

京都府

大阪府

兵庫県

奈良県

和歌山県

鳥取県

島根県

岡山県

広島県

山口県

徳島県

香川県

愛媛県

高知県

福岡県

佐賀県

長崎県

熊本県 大分県

宮崎県

鹿児島県

沖縄県

80.00

90.00

100.00

110.00

120.00

60.0 70.0 80.0 90.0 100.0 110.0 120.0 130.0 140.0

軽度利用率指数(要支援1~要介護2)

重度認定率指数

(要介護3~5

寝たきり高齢者地域

元気高齢者地域

サービス利用低調地域 サービス利用活発地域

軽度利認定率は要支援1~要介護2、重度認定率は要介護3~5の認定率。いずれも第1号被保険者のみの数値。都道府県ごとに、5

歳刻み年齢階層別人口で補正してある。

スライド11

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高齢者元気度一沖縄県と佐賀県の市町村 前期・後期高齢者割合で補正

スライド12

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大都市部の高齢者はそれほど元気ではない

スライド13

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最近の要介護度別改善・維持・悪化率

スライド14

年間継続受給者の要介護度の変化割合 平成18年4月→平成19年3月

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

要支援1

要支援2

経過的要介護

要介護1

要介護2

要介護3

要介護4

要介護5

維 持← 改 善

悪 化 →

資料出所:平成18年度介護給付費実態調査報告

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悪化率は2006年度に逆転して上昇している

要介護度別悪化度の推移

30.1%

18.9%

22.9%

24.9%

19.0%

31.8%

18.0%

27.9%

29.9%

22.0%

26.0%

16.9%

24.5% 24.8%

18.2%

24.3%

14.5%

19.9%

18.7%

10.2%

25.5% 25.7%

21.5%

15.6%

0.0%

5.0%

10.0%

15.0%

20.0%

25.0%

30.0%

35.0%

要支援 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4

2003年3月 2004年3月 2005年3月 2006年3月 2007年3月

2003年4月要介護認定システム改訂

2005年介護保険改正2月国会提出 6月成立

2006年4月介護報酬改定資料出所:介護給付費実態調査報告 各年度

スライド15

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介護報酬改定1年で通所介護・特養は給付額が復元

サービス別給付月額の推移 平成12年4月~平成19年10月

0.0

200.0

400.0

600.0

800.0

1000.0

1200.0

訪問

介護

訪問

入浴

訪問

看護

訪問

リハ

通所

介護

通所

リハ

福祉

用具

短期

入所

居宅

療養

管理

グル

ープ

ホー

特定

施設

居宅

介護

支援

地域

密着

型サ

ービ

ス特

別養

護老

人ホ

ーム

老人

保健

施設

療養

病床

平成12年4月 平成12年10月 平成13年4月 平成13年10月 平成14年4月 平成14年10]月 平成15年4月 平成15年10月 平成16年4月 平成16年10月 平成17年4月 平成17年10月

平成18年4月 平成18年10月 平成19年4月 平成19年10月

出所:国保中央会 厚生労働省「介護保険事業状況報告」の数値と若干異なる。給付額は1ヶ月30.4日換算で補正してある

地域密着型サービスは平成18年4月より新設 グループホームを除いた金額である

億円

福祉用具見直し

平成24年度 廃止決定

スライド16

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モチベーション向上は要介護状態を維持・改善する

通所介護・通所リハの事業所別 要介護度の変化 山口市 平成16年

-0.20 -0.10 0.00 0.10 0.20 0.30 0.40

夢の湖村

C

S

B

P

N

U

M

通所介護平均

S

A

Q

J

N

Y

D

G

K

M

T

通所リハ平均

 悪 化 改 善

平成15年3月31日と平成16年3月31日における要介護度の変化を比較し、1段階悪化を+1、改善を-1とし、合算した数値を利用者数で除した数値である。

スライド17

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夢のみずうみ村は、維持・改善が7割以上か

夢の湖村デイサービス 要介護度の変化  n=295 2004.9-2007.3 利用初回時-認定更新時防府市デイサービスセンター分

要支援要支援1 要支援 経過的要介要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5 利用なし 合計

要支援1 6 1 16 23要支援2 2 3 1 13 19経過的要介護 29 8 17 5 1 6 66要介護1 4 18 8 64 12 1 1 15 123要介護2 2 14 14 2 13 45要介護3 3 6 3 2 14要介護4 4 4要介護5 1 1合計 41 32 25 87 34 6 5 0 65 295

変化 人数 構成比改善 95 32.2%維持 111 37.6%悪化 24 8.1%利用なし 65 22.0%

スライド18

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政策課題2 自立支援サービスへのインセンティブをどう考えるか

<今後の課題>

1.戦略としての自立支援思想

1-1 「援護→援助→支援」の用語変化は何を意味しているか

保護-依存型介護サービスから自立支援サービスへの転換は可能か

2.改善へのインセンティブ

2-1 要介護度が改善されれば、収入が減少するという矛盾 *成功報酬・評価報酬

2-2 高い介護報酬を得るためには、要介護度を上昇させる必要という矛盾

3.フィクションとしての介護予防

3-1 エビデンスのある介護予防の開発

3-2 一般的な通所系サービスと介護予防サービスの区分が必要

スライド19

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3.在宅サービスと施設サービスのあり方を考える

<基礎的データ>

1.施設サービス

1-1 利用者の23%が給付の46%を受給している

1-2 施設利用者数は、高齢人口の3%前後で推移しているが、地域格差はきわめて大きい

1-3 介護施設入所と病院入院に相関関係はない

2.在宅サービス

2-1 在宅サービス利用額は、平均で支給限度額の半分程度

2-1 在宅サービス利用計画は全く標準化されていない 1~2種類サービスのケアプランが横行

3.認知症高齢者サービス

3-1 認知症向け在宅サービスは家族レスパイトサービス(通所・短期入所等)がほとんど

スライド20

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施設サービス-受給者の23%が給付の46%を使っている

高齢者1人当たり給付のサービス系別割合 平成18年10月

特定給付, 688円  4%

訪問系サービス, 2,627円  14%

通所系サービス, 3,524円 19%

その他在宅サービス, 1,483円  8%

宿泊・居住系サービス, 2,462円13%

特別養護老人ホーム, 3,628円19%

老人保健施設, 2,832円  15%

療養病床, 1,582円  8%

スライド21

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施設利用のコストはきわめて高い

サービス種類別・要介護度別 利用者1人当たり費用 平成19年4月審査分

0

50

100

150

200

250

300

350

400

450

居宅サービス 30.7 66.8 92.9 128.4 162.5 195.5

特定施設 60.6 156.1 177.3 200.4 222.7 242.4

小規模多機能 37.6 108.8 154 221.7 241 269.9

グループホーム 257.3 263.5 268.7 272.3 276

特別養護老人ホーム 207.3 230.1 246.7 269.6 283.6

老人保健施設 241.6 257.7 273.8 289.2 300

療養病床 240.2 280 351.5 385.7 412.3

経過的要介護 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5

療養病床

特別養護老人ホームグループホーム小規模多機能

老人保健施設

特定施設

居宅サービス全体

単位

千円

スライド22

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サービス利用形態・未利用率の地域格差は大きい

認定者のサービス利用状況 第1号被保険者 平成19年4月

-5.0%

0.0%

5.0%

10.0%

15.0%

20.0%

全国

徳島県

長崎県

和歌山県

愛媛県

島根県

岡山県

広島県

鹿児島県

福岡県

青森県

大分県

大阪府

鳥取県

熊本県

秋田県

高知県

香川県

三重県

沖縄県

佐賀県

兵庫県

石川県

山口県

京都府

北海道

富山県

長野県

奈良県

新潟県

岩手県

東京都

山形県

宮崎県

宮城県

福島県

福井県

群馬県

滋賀県

岐阜県

神奈川県

山梨県

栃木県

愛知県

静岡県

千葉県

茨城県

埼玉県

在宅サービス利用者/軽度 在宅サービス利用者/重度 地域密着サービス利用者/軽度 地域密着サービス利用者/重度 施設サービス利用者/軽度

施設サービス利用者/重度 未利用者/軽度 未利用者/重度

資料出所:厚生労働省「介護保険事業状況報告」注:単位は第1号被保険者に占める各サービス利用者・未利用者の割合

   総認定率の高い順に並べてある

スライド23

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前期・後期高齢者割合で補正した在宅・施設サービス給付

高齢者1人当たり在宅・施設給付指数 平成19年4月 前期・後期高齢人口割合補正

沖縄県

鹿児島県

宮崎県

大分県

熊本県

長崎県

佐賀県

福岡県

高知県

愛媛県

香川県

徳島県

山口県

広島県岡山県

島根県

鳥取県

和歌山県

奈良県

兵庫県

大阪府

京都府

滋賀県

三重県愛知県

静岡県岐阜県

長野県

山梨県

福井県

石川県

富山県

新潟県

神奈川県東京都

千葉県

埼玉県

群馬県

栃木県

茨城県

福島県

山形県

秋田県

宮城県

岩手県

青森県

北海道

全国

70

90

110

130

80 100 120 140

高齢者1人当たり施設給付+補足給付指数

高齢者1人当たり在宅給付+地域密着給付指数

A 在宅大・施設小

D 在宅小・施設大C 在宅小・施設小

B 在宅大・施設大

保険料低

保険料高

スライド24

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施設サービス利用者は高齢人口の3.26%~4.25%

高齢人口に占める施設入所者数の割合の推移

1.50%

2.00%

2.50%

3.00%

3.50%

4.00%

4.50%

5.00%

平成12年度 平成13年度 平成14年度 平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年10月

全国

富山県

徳島県

石川県

福井県

鳥取県

熊本県

高知県

佐賀県

新潟県

沖縄県

島根県

鹿児島県

香川県

山口県

長崎県

秋田県

愛媛県

大分県

岩手県

山形県

福岡県

宮崎県

広島県

和歌山県

京都府

岡山県

北海道

青森県

長野県

三重県

山梨県

静岡県

群馬県

兵庫県

福島県

茨城県

奈良県

岐阜県

宮城県

栃木県

大阪府

滋賀県

愛知県

東京都

神奈川県

埼玉県

千葉県

資料出所:厚生労働省「介護保険事業状況報告」各年報・例月報告

沖縄県

徳島県 富山県

千葉県

神奈川県

埼玉県

スライド25

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介護施設と病院入院に補完関係はない→社会的入院・入所の実態

介護保険施設費用と老人保健入院費用 平成17年度

沖縄県

鹿児島県

宮崎県

大分県 熊本県

長崎県

佐賀県

福岡県

高知県

愛媛県

香川県

徳島県

山口県

広島県岡山県

島根県

鳥取県

和歌山県

奈良県兵庫県

大阪府

京都府

滋賀県

三重県

愛知県

静岡県

岐阜県

長野県

山梨県

福井県

石川県

富山県

新潟県神奈川県

東京都

千葉県

埼玉県

群馬県

栃木県

茨城県

福島県

山形県

秋田県

宮城県

岩手県

青森県

北海道

R2 = 0.3452

280,000

290,000

300,000

310,000

320,000

330,000

340,000

350,000

360,000

370,000

380,000

390,000

400,000

410,000

420,000

430,000

440,000

450,000

460,000

470,000

480,000

490,000

500,000

510,000

520,000

530,000

540,000

550,000

120,000 130,000 140,000 150,000 160,000 170,000 180,000 190,000 200,000 210,000 220,000 230,000 240,000 250,000 260,000

高齢者1人当たり介護保険施設費用年額

老人保健1人当たり入院費用年額

注1:介護保険施設費用は厚生労働省「介護保険事業状況報告」より試算。老人保健入院費用は国民健康保

険中央会「国民健康保険の実態」による。

医療県

スライド26

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高齢者の介護施設入所・病院入院の費用分布

老人保健1人当たり入院費用と介護保険1人当たり施設サービス費用 平成17年度

R2 = 0.1027

0

100,000

200,000

300,000

400,000

500,000

600,000

700,000

800,000

0 50,000 100,000 150,000 200,000 250,000 300,000 350,000 400,000

介護保険1人当たり施設費用 年額

老人

保健

1人

当た

り入院

費用

 年

マーカー緑-東日本マーカー赤-西日本

スライド27

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在宅サービスは限度額の半分しか使われていない

日独仏韓の在宅給付の比較

24,300

43,500

66,800

92,900

128,400

162,500

195,500

49,700

104,000

165,800

194,800

267,500

306,000

358,300

61,440

229,120

32,800 32,800

65,600

106,400

88,465

99,53287,360

116,000

134,720

147,360

61,440

121,890

56,000

0

50,000

100,000

150,000

200,000

250,000

300,000

350,000

400,000

要支援1 要支援2 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5

日本-平均利用額(2007年3月) 日本-支給限度額 独-現物給付限度額 独-現金給付支給限度額 韓-支給限度額 仏-個別自立手当

ドイツ・フランス:ユーロ160円換算韓国:ウォン0.125円換算

日本:単位10円計算(実際は10~1072円)

自己負担は、ドイツ0%、日本10%、韓国15%、フランスは平均5.7%

注1:日本の平均利用額は、介護予防支援・居宅介護支援・地域密着型サービスを含んでいない。

注2:ドイツは、特に過酷なケースには30万6880円まで給付。訪問看護は医療保険給付となっている。

注3:フランスは、訪問看護は医療保険給付、通所介護は自治体サービスとなっている。

資料出所:日-厚生労働省 韓-月刊介護保険2007年6月号

       独・仏:日本総研「介護施設等の費用体系に関する総合調査」(2004年3月)

スライド28

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大都市部は訪問系、地方は通所系サービス利用が目立つ

高齢者1人当たり訪問・通所系サービス給付月額 平成18年10月

沖縄県

鹿児島県宮崎県

大分県熊本県

長崎県佐賀県

福岡県

高知県

愛媛県香川県

徳島県

山口県

広島県岡山県島根県

鳥取県

和歌山県

奈良県

兵庫県

大阪府

京都府

滋賀県

三重県

愛知県

静岡県

岐阜県

長野県山梨県

福井県

石川県富山県 新潟県

神奈川県

東京都千葉県

埼玉県

群馬県

栃木県

茨城県

福島県

山形県

秋田県

宮城県岩手県

青森県

北海道

全国

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

1,000 1,200 1,400 1,600 1,800 2,000 2,200 2,400 2,600 2,800 3,000 3,200 3,400 3,600 3,800 4,000 4,200 4,400

高齢者1人当たり訪問系サービス給付月額

高齢者1人当たり通所系サー

ビス給付月額

通所大・訪問小

通所小・訪問大通所小・訪問小

通所大・訪問大

注1:厚生労働省「介護保険事業状況報告」より試算

単位:円

スライド29

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長崎・青森はグループホーム、東京・神奈川は特定施設が目立つ

グループホーム・有料老人ホームの高齢者1人当たり給付月額 平成18年10月

1,500

1,000

500

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

全国

長崎県

青森県

愛媛県

鹿児島県

徳島県

北海道

石川県

高知県

岡山県

佐賀県

福岡県

秋田県

鳥取県

岐阜県

宮崎県

島根県

香川県

広島県

茨城県

群馬県

山形県

宮城県

静岡県

山口県

熊本県

福島県

神奈川県

大分県

三重県

愛知県

大阪府

和歌山県

奈良県

滋賀県

兵庫県

富山県

千葉県

埼玉県

長野県

岩手県

新潟県

山梨県

栃木県

福井県

東京都

京都府

沖縄県

特定施設入居者生活介護 認知症対応型共同生活介護

スライド30

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在宅介護サービスの質はきわめて貧しい 平成19年10月

訪問通所・短期入所サービス利用者の利用単位数の分布 平成19年10月審査分

0

5000

10000

15000

20000

25000

30000

35000

40000

利用単位数

支給限度額

単位未満

要支援1

経過的要介護

要介護5

要支介護4

要介護3

要介護2

要介護1

要支援2

311,751人 137,391人214,061人355,547人509,915人537,626人11,038人370,731人

スライド31

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ケアプランの標準化が全くできていない在宅サービス

○ 「在宅の介護時間は、その家族における家族構成員と高齢者の関係性によって任意に決定されて」おり、介護時間は「要介護度や高齢者の日常生活能力、痴呆症状の有無は関連していない」

○ 「家族介護者が在宅で提供している介護時間が少ない者が、介護サービスの利用率が高いという傾向は見られず、家族による介護提供時間の長さと利用する介護サービスの利用量との間には関係性は見いだせなかった」

在宅介護についての専門家による他計式1分間タイムスタディ調査法による調査結果

筒井孝子「高齢社会のケアサイエンス」から

スライド32

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ケアマネジャーは「ご用聞き」レベル

要介護度別ケアプランの構成サービス種類数

11.1%

12%

14%

19.1%

21%

22%

29.7%

31%

33%

41%

43%

45%

58%

59%

61%

80%

81%

82%

24.2%

25%

26%

33.0%

33%

33%

37.9%

38%

37%

38%

37%

36%

32%

31%

30%

18%

17%

17%

33.4%

33%

32%

30.4%

29%

28%

24.0%

23%

22%

17%

16%

15%

8%

8%

2%

1%

2%

31.3%

30%

29%

17.5%

17%

16%

8.5%

8%

8%

4%

1%

1%

9%

4%

4%

1%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

平成17年10月

平成16年10月

平成15年10月

平成17年10月

平成16年10月

平成15年10月

平成17年10月

平成16年10月

平成15年10月

平成17年10月

平成16年10月

平成15年10月

平成17年10月

平成16年10月

平成15年10月

平成17年10月

平成16年10月

平成15年10月

1種類 2種類 3種類 4種類以上

要支援

要介護5

要介護4

要介護3

要介護2

要介護1

資料出所:厚生労働省「介護給付費実態調査月報」平成15年11月審査分、平成16年11月審査分、平成17年11月審査分。平成18年11月は公表されていない。ただし、平成15年11月分は数値が公表されていないので、グラフから推定した数値である。

スライド33

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在宅を本当に支援するケアサービスは進化中

要介護度別在宅サービス利用額の分布 岐阜県池田町-新生メディカル 平成19年5月サービス

0

50,000

100,000

150,000

200,000

250,000

300,000

350,000

400,000

450,000

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89

要介護1                       要介護2                       要介護3                    要介護4           要介護5

利用額

支給限度額

スライド34

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保険者別に見たケアプラン費用額の分布

0

5000

10000

15000

20000

25000

30000

35000

40000

居宅サービス受給者577人

給付単位数

給付単位数

支給限度額

要支援1 205人

4970単位

要支援2 58人

10400単位

経過要介護 1人

6150単位

要介護1 128人

16580単位

要介護2 80人

19480単位

要介護3 66人

26750単位

要介護4 24人

30600単位

要15

35Z市

0

5000

10000

15000

20000

25000

30000

35000

40000

居宅サービス受給者6290人

給付単位数

給付単位数

支給限度額

要支援1 470人

4970単位

要支援2 902人

10400単位

要介護1 1173人

16580単位

要介護2 1463人

19480単位

要介護3 1038人

26750単位

要介護4 696人

30600単位

要介護5 548人

35830単位F市

0

5000

10000

15000

20000

25000

30000

35000

40000

居宅サービス受給者616人

給付単位数

給付単位数

支給限度額

要支援1 46人

4970単位

要支援2 58人

10400単位

要介護1 148人

16580単位

要介護2 134人

19480単位

要介護3 126人

26750単位

要介護4 66人

30600単位

要介護5 38人

35830単位W市

0

5000

10000

15000

20000

25000

30000

35000

40000

居宅サービス受給者1078人

給付単位数

給付単位数

支給限度額

要支援1 112人

4970単位

要支援2 71人

10400単位

経過要介護 1人

6150単位

要介護1 278人

16580単位

要介護2 238人

19480単位

要介護3 171人

26750単位

要介護4 117人

30600単位

要介護5 90人

35830単位C区

スライド35

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認知症Ⅲ以上は65%が施設入所

認知症の認定申請時の所在 2002年9月

137

5 5 215

45

7 7 2 8

28

2013

811

160

140

120

100

80

60

40

20

0

20

40

60

80

100

居宅

特別養護老人

ホー

老人保健施設

療養病床

の他施設

自立度Ⅲ以上

自立度Ⅱ

自立度Ⅰ

単位:万人

スライド36

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要介護3以上は手のかかる認知症Ⅲ以上が多い

要介護度別・認知症自立度の分布

0

2000

4000

6000

8000

10000

12000

14000

16000

18000

20000

22000

要支援等 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5

M

Ⅲ-B

Ⅲ-A

Ⅱ-B

Ⅱ-A

26保険者8万5093人の認知症を有する要支援・要介護認定者を対象とした調査結果による。調査基準日は2006年10月だが、該当の調査がない場合は直近のデータとしている。

認知症自立度Ⅱ以下98.3%

認知症自立度Ⅱ以下77.5%

Ⅰ- 認知症を有するが、家庭内・社会で日常生活は自立Ⅱ-生活に支障のある症状等があるが、他者の注意あれば自立

Ⅲ-日常生活に支障ある症状等があり、介護が必要

Ⅳ-日常生活に支障のある症状等が頻繁にあり、常時の介護が必要

M-著しい精神症状、問題行動等がみられ、専門医療が必要

スライド37

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グループホームと小規模多機能の要介護度別利用者数 2006年10月

600

29,200

600

35,000

600

33,800

400

17,600

200

5,400

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

小規模

GS

要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5

利用者1人当たり費用月額は、厚生労働省統計情報部「介護給付費実態調査月報(平成18年11月審査分)」による。

グループホームと小規模多機能の利用者1人当たり費用月額 2006年10月

165,800

194,800

267,500

306,000

358,300

257,000263,300

268,000 271,700 274,500

110,500

155,300

219,800

244,500

263,900

0

50,000

100,000

150,000

200,000

250,000

300,000

350,000

400,000

要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5

在宅支給限度額 グループホーム利用者1人当たり費用月額 小規模多機能l利用者1人当たり費用月額

利用者1人当たり費用月額は、厚生労働省統計情報部「介護給付費実態調査月報(平成18年11月審査分)」による。

スライド38

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政策課題3-1 個別的サービス・集合的サービス再編成が必要ではないか

<今後の課題>

1.個別的サービスと集合的サービス

1-1 コスト

集合的サービス

高コスト 低コスト

軽度 重度

低コスト 高コスト

個別的サービス

1-2 現行の在宅サービスは重度要介護高齢者を支えられない

適切なケアマネジメントの欠如+効果・魅力のないサービス+家族補完サービスという利用観

現在の介護保険財政の安定

1-3 重度・認知症を支える在宅サービスの開発が課題→ケアマネジャーの再構築が急務ではないか

スライド39

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政策課題3-2 自助補完・家族補完・保護サービスの3区分が必要ではないか

<今後の課題>

1.自助補完サービス

残存能力活用・自己決定の生活継続への支援

自立生活へのモチベーションの向上

生活回復

2.家族補完サービス

家族レスパイト

家族介護支援(相談・助言)

家族生活の継続

3.保護型サービス

社会的関係・活動の喪失

生活活動能力の全面的喪失

看取り的介護

*デンマーク 施設は「死への待合室」

スタッフは「召使い症候群」

自助補完

家族補完保護

       ←重度                          軽度→

現在の介護サービスは保護型サービスに傾斜-廃用症候群を助長?

自己決定・残存能力活用・生活継続の3原則は等閑視されている

スライド40

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必要なサービスとは何なのか-施設の地域化を考える

住まい + 食 事 + 介 護 + 医 療 + 見守り

地域支援低廉な高齢 3食 365日 巡回介護 地域医療住宅の提供 宅配サービス 通所介護 訪問看護 (巡回介護等)

自己責任 自己責任 介護保険 医療保険 家族・近隣

(介護保険)

住まい-便利な地域でバリアフリーの自宅-高齢者専用賃貸住宅・特定施設等

食 事-味・見栄え・栄養のある食事の宅配-瑞穂市・ダイニングサポート等

介 護-自立支援型サービス-巡回介護・小規模多機能・多機能デイ等

医 療-地域医療中心の往診・訪問看護-在宅療養支援診療所・訪問看護再構築等

見守り-認知症支援の地域ネットワーク-認知症サポーター100万人キャラバン等

施設なき特別養護老人ホームと しての地域

スライド41

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北欧をはじめ欧米はスポットの巡回介護が主流

デンマークのカテゴリー別在宅ケア時間と 介護保険の認定基準

日本-介護保険認定基準時間 リュンビュー・トアベックコムーネ

利用可能な在宅ケアの時間/1日 平成11年4月 平成15年4月

基準0 軽度の世話 0.9分 要支援 25分(家事・リハ10分)以上 25分以上32分未満

基準1 部分的介護 14.6分 要介護1 30分以上50分未満 32分以上50分未満

基準2 軽度の介護 33.4分 要介護2 50分以上70分未満 50分以上70分未満

基準3 重度の介護 60.9分 要介護3 70分以上90分未満 70分以上90分未満

要介護4 90分以上110分未満 90分以上110分未満

基準4 極度の介護 112.3分 要介護5 110分以上 110分以上

デンマークの在宅ケア時間の出典:松岡洋子「デンマークの高齢者福祉と 地域居住」 スライド42

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在宅介護サービスの根底的改革が必要ではないか

スライド43

○滞在型ホームヘルプ人件費 *人件費比率60%

身体介護6回/1日 4020円×6回×20日×0.60=29万3760円

生活援助6回/1日 2080円×6回×20日×0.60=14万9760円 生活援助と身体介護が半々の場合 21万9600円

実労働時間-6時間未満

○巡回型ホームヘルプ人件費

1回 1600円/10分前後

1日 1600円×16回×20日×0.60=30万7200円

実労働時間(1回15分)-4時間未満

<参考>措置時代のホームヘルプ単価(事業補助方式) 介護費用推計の単価

身体介護中心 2800円×延べ活動時間 早朝夜間3570円 3130円/1時間

家事援助中心 2100円×延べ活動時間 早朝夜間2620円 1410円/1時間

巡回介護 1430円×派遣回数 早朝夜間1790円 深夜帯2860円 1570円/1回20分

*滞在型ホームヘルプは食事時に集中、手待ち時間が長いため、パート型ホームヘルパー雇用が中心

*巡回型ホームヘルプはフレキシブルな勤務シフトが可能 常勤・専門職型

<課題と政策>

●巡回型ホームヘルプ1回1600円→利用者1人に1日6~7回が保険給付の上限

●家族代行サービスのデマンドに馴染まない 訪問介護給付総額を押し上げる

○通所系サービスとの組み合わせ→小規模多機能型居宅介護の可能性

○巡回型ホームヘルプから将来は包括払いへ

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その他の介護保険給付決定要因

1.サービス価格体系

○介護報酬支払いサービスの構成

○介護報酬の価格

2.保険料水準

○保険料の水準

○公費負担の水準

3.制度改定

○医療保険と介護保険の給付範囲

○被保険者・受給者の範囲

○給付対象の範囲

○給付割合スライド44

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<付1>年齢制限撤廃による普遍的制度化

全住民に介護サービス普遍的に保障する

ケアサービスの提供を年齢で区分する根拠はない

ドイツ・オランダ等の介護保険も全住民が対象

住民も企業も社会的責任として支援し、負担を引き受ける

日本の社会保険料負担の対GDP比は10.4%と国際的に低い(独15.4 仏19.3)

企業の事業主負担は介護保険給付の12%にすぎない

特例的に必要なサービスは補完的制度としての社会福祉施策でカバーする

社会保障制度は相互補完的な関係-ひとつの制度がすべてを網羅すれば破綻する

現在の制度も、65歳以上は介護保険を自立支援法が補完している

住民を地域で支えるために、基礎自治体は支援システムをマネジメントする

国のパターナリズムを求める時代は終焉した

介護保険は地方分権の試金石である

スライド45

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支援費利用者の97%は支給限度額の範囲内

65歳未満の支援費利用額分布と介護保険支給限度額平成16年1月 111市町村

0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

1 435 869 1303 1737 2171 2605 3039 3473 3907 4341 4775 5209 5643 6077 6511 6945 7379 7813 8247 8681 9115 9549 9983 10417 10851 11285 11719 12153 12587 13021 13455 13889 14323 14757 15191 15625 16059 16493 16927 17361 17795 18229 18663 19097

支援費利用額(単位:万円未満)

利用

者数

(単

位:人

介護保険支給限度額

支援費利用額

35万円以上利用 5.6%

介護保険支給限度額

支援費利用額

35万円以上利用 1.9%

65歳未満 身体障害者 n=7,774人 65歳未満 知的障害者 n=11372人

資料出所:厚生労働省

注 :要介護度別支給限度額は均等な分布で作成したも

のであり、実際の障害者の要介護度とは関係しない。

スライド146

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介護保険を補完する支援費-65歳以上

65歳以上の支援費利用額分布平成16年 111市町村

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

1 37 73 109 145 181 217 253 289 325 361 397 433 469 505 541 577 613 649 685 721 757 793 829 865 901 937 973 1009 1045 1081 1117 1153 1189 1225 1261 1297 1333 1369 1405 1441 1477 1513 1549 1585 1621 1657 1693 1729 1765 1801 1837 1873 1909 1945

利用額(単位:万円未満)

利用

者数

(単

位:人

介護保険給付に上乗せされた支援費利用額身体障害者 n=1,867人

資料出所:厚生労働省

介護保険給付に上乗せされた支援費利用額知的障害者 n=86人

スライド47

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<付2>市町村の財政状況-6割の保険者が10%以上の剰余金

平成19年4月時点の条例保険料月額と必要保険料月額の差異

-20%未満, 21

-20%以上-10%未満, 7

-10%以上0%未満, 76

0%以上10%未満, 390

10%以上20%未満, 615

20%以上30%未満, 299

30%以上40%未満, 80

40%以上, 17

無回答, 165

地域ケア政策ネットワーク調査n=1670全保険者の集計である

スライド48

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都道府県別に集計した介護保険財政

平成19年4月時点の都道府県別 介護保険料月額・必要保険料月額3,3

57

3,96

5

3,23

6

3,381

3,3

48

3,42

9

3,07

1

3,09

0

3,10

6 3,373

3,28

4

3,369

3,730

3,76

7

3,738

4,083

4,0

31

3,96

6

3,1

64 3,4

80

3,3

51 3,535 3,6

76

3,539

3,60

4

3,6

30 3,8

72

3,6

66

3,46

4 3,730

3,747

3,6

75

3,79

6

3,887

3,46

2

4,263

3,60

3

3,750

3,396

3,893

3,6

64

3,75

8

3,4

84

3,44

1

3,23

5

3,3

66

3,883

553

816

450 26

7

640

370

425

371 44

3

607

297 221

372

210

309

378

517

162

452

402

468

55

317

550

233

797

803

640

493

783

574

592

644

557

626

598

209

776

1,0

57

691

850 1

,007

928

775

898 754

992

3,9

10

4,7

81

3,686

3,6

48

3,98

8

3,79

9

3,4

96

3,46

1

3,54

9

3,98

0

3,5

81

3,5

90

4,1

02

3,97

7

4,047

4,4

61 4,548

4,128

3,616

3,88

2

3,8

19

3,5

90

3,99

3

4,0

89

3,8

37

4,4

27

4,67

5

4,306

3,957

4,51

3

4,32

1

4,2

67

4,4

40

4,4

44

4,0

88

4,8

61

3,81

2

4,5

26

4,4

53 4,58

4

4,51

4

4,76

5

4,41

2

4,216

4,133

4,120

4,8

75

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

北海道

青森県

岩手県

宮城県

秋田県

山形県

福島県

茨城県

栃木県

群馬県

埼玉県

千葉県

東京都

神奈川県

新潟県

富山県

石川県

福井県

山梨県

長野県

岐阜県

静岡県

愛知県

三重県

滋賀県

京都府

大阪府

兵庫県

奈良県

和歌山県

鳥取県

島根県

岡山県

広島県

山口県

徳島県

香川県

愛媛県

高知県

福岡県

佐賀県

長崎県

熊本県

大分県

宮崎県

鹿児島県

沖縄県

必要保険料月額 剰余金 第1号保険料月額

注:都道府県毎の保険料月額は厚生労働省の公表した数値による。必要保険料月額は、データ入力のあった1505保険者について、都道府県別に加重平均した。165保険者については未入力のため、加重平均の対象としていない。

スライド49