ビジネスの再開と改革を支援する5つの優先事項

「今」から 「次」へ不確実性を契機にして

2020年6月

新型コロナウイルス（COVID-19）危機へ即時的対応を行う時期はほぼ過ぎ、現在の課題は新型コロナウイルス（COVID-19）危機によってストップした経済や社会をどのように再開するかに移っています。

不確実な状況が長期化する中では、事業再開に伴うビジネスの改革が不可欠です。予測不可能な事態に継続して対応するために事業を再構築し、破壊的状況を乗り越えられる事業設計を進める必要があります。

アクセンチュアは、事業再開で想定される多様なシナリオをやりきるうえで、鍵となる5つのステップを説明します。

不確実性を契機として

2

なぜ事業の再開に改革が必要か

企業が事業運営を一時休止し、これまで中核をなしてきた人や装置等の資産を休眠させたのは、つい数週間前のことです。

今、企業は前例のない速さで事業を再始動するよう求められています。しかしながら、今後の新型コロナウイルス（COVID-19）危機拡大の見通しは不確定で、社会、政治、財務の観点で必要となる行動を策定するのは難しく、挑戦は困難を極めています。

企業のリーダーは詳細な行動計画を策定し、事業を完全でなくとも、部分的に元に戻すことが求められています。

さらに、再開には以前の状態に戻る以上のことが必要とされます。アクセンチュアは、このパンデミック後に待ち受ける予測不可能かつ長期的な期間を「Never Normal（新しい日常）」と呼び、経済活動だけでなく、文化的規範、社会的価値観、行動が根本的に変化すると考えています。

そのため、ビジネスを再開し、不確実性に打ち勝つためには、改革プログラムが不可欠なのです。

この状況は、企業の多くにとって、これ以前に投資すべきだった能力－デジタル化やデータドリブン、クラウド化の推進、さらには変動可能なコスト構造、アジャイル運用、自動化の実現、そして電子商取引やセキュリティの強化など－を構築する機会となるとともに、その必要性を明示しています。

さらに、職場の安全、従業員の福利厚生プログラム、事業継続性など、差し迫った課題については再度の感染拡大や破壊的混乱も考慮し対応することが重要です。

これらの能力が実現する敏捷性は、企業が構築する長期的能力の中核となります。そのため、リーダーは再開に向けた手順を、広範な変革に至る長い道のりの最初の一歩と捉えなければなりません。

企業は5つの鍵となるステップを実施し、改革プログラムに取り組む必要があります。

1. 人を最優先する――従業員のケアを中心に考える

2.効果的な空間を設計する――安全でインクルーシブな職場環境を確保する

3.段階的に解決する――新しい日常にむけてビジネスを再設計する

4.柔軟なコスト構造の実現――成長の原動力を創出する

5.将来のニーズに対応する――次世代の敏捷性を構築する

3

不確実な状況が継続するなかで、活動再開が進んでいる

新型コロナウイルス（COVID-19）危機の第一波のピークが収束しつつあることを示す科学的な証拠が増えるとともに、経済界や企業は再開に目を向け始めています。

ロックダウンは世界の労働力の大半に影響を与えています。ほとんどの国がまずは社会に必要不可欠な領域から、段階的な再開に着手しています。インドでは、農村地域における製造業と農業の規制が緩和されました。

段階的再開に向けた最善策を判断するため、国や企業のリーダーは、在宅勤務可能な職種の範囲や、再開しない場合に失業率や生産性に与える経済的影響、労働者の新型コロナウイルス（COVID-19）感染リスク等を考慮する必要があります。

ウイルスの拡大状況

事業の中断や需要の激変に迅速に対応する

フェーズ1: TheNow（今） フェーズ2：The Next（次）

経済・社会が停滞し、成長の不確実性が極めて高い状況が長期化するのに備える

永久的な変化が起こると予測される市場で競争するために、抜本的で新しい運用・ビジネスモデルを創造する

フェーズ3：Never Normal（新しい日常）

経済的損失

GDP

新規感染者数

これから私たちが入ろうとしている領域

出典：Accenture Researchによる分析

4

再開の難易度は業界により異なる

0

50 0

1,0 0 0

1,50 0

2,00 0

2,50 0

0 25 50 75

鉱業 公益事業

建設

製造

小売

ロジスティクス

金融サービス

医療

メディア&エンターテインメント

ホスピタリティ

公共サービス

通信&IT

専門サービス

米国では全労働者の最大37%が在宅勤務可能と考えられている

低

100

高在宅勤務が可能な割合（%）

雇用数（米国、

単位:万人）

高

円のサイズ=市場規模（10億ドル）

職業上の感染リスクが極めて高いが、社会維持のために不可欠

職業上の感染リスクが高いが、不可欠ではない

職業上の感染リスクが低く、不可欠

不可欠かつ、在宅勤務が可能

出典：アメリカ合衆国労働省労働統計局（US BLS）による雇用データ、Dingel & Neimanによる在宅勤務の割合、VisualCapitalistによる新型コロナウイルス（COVID-19）の職業リスク。

段階的再開を進めるためには、各業界の雇用数、在宅勤務可能な業務の割合、労働者の新型コロナウイルス（COVID-19）感染リスクを理解し、さらに社会における業界の重要性とのバランスを考慮しなければなりません。

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再開への見通し

危機が迅速に収束し、社会・経済が急速に回復する兆しはあります。

しかし、ウイルスは依然として存在しており、感染拡大が再発する可能性は依然高く、周期的なアウトブレイクを想定したシナリオでは、再び緊急のロックダウンが必要となります。

また、厳しい状態が継続するシナリオでは慎重なアプローチがとられ、経済の再開は数日単位ではなく数ヶ月をかけて進行します。

いずれにせよ、企業は円滑な経営活動への回帰を期待すべきではありません。混乱の長期化のシナリオは、リスクが継続するにもかかわらず職場復帰を望む人々により、事業が窮地に陥る可能性を提示します。つまり、再開への見通しが困難な状態を示します。

6

政府による規制緩和は、速やかな日常への回帰を保証するものではありません。今後の危機の進展には、さまざまなシナリオが考えられます。

周期的なアウトブレイク感染はこれまで被害が大きかった地域ではコントロールされるようになるものの、新たなホットスポットに広がり、また以前収束した地域でも再び拡大します。社会的距離を保つ人々の我慢は限界に達し、社会に亀裂が生じます。

迅速な収束ウイルスの広がりは収束し、人々の生活は速やかに正常に戻ります。政府の対策も経済の安定のために迅速に機能します。

混乱の長期化ウイルス抑制対策に効果が見られず、政府や社会は破綻の危機に陥ります。経済活動は生活に必要なもののみに限定され、インフレが急激に進行します。

厳しい状態の継続感染率は低下しますが、収束には至りません。経済は引き続き縮小を続けます。社会は大きな打撃を受けますが最低限のラインで持ちこたえ、人々は政府の施策を維持するために力を合わせて状況を凌ごうとします。

出典：Accenture Researchによる分析.

想定される4つのシナリオ

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それぞれのシナリオが包含する再開へのリスク

迅速な収束 再開が早すぎるため一部で爆発的な需要が起こり、混乱が生じる

• 需要を満たせない/労働力不足

• 早期再開を求める社会的な不安

• 顧客や従業員がソーシャルディスタンシングなどの推奨行動や規制を軽視

厳しい状態の継続

動きの速い競合他社により、既存企業が市場シェアを奪われる

• 従来レベルの需要水準へ緩やかに回帰

• 顧客が他社や代替品に切り替える機会となる

• 忠誠心の高い顧客を失望させてはいけないというプレッシャーが高じる

周期的なアウトブレイク

サプライチェーンへの悪影響と経営上の混乱

• 前例のない劇的な需給変動

• 在庫計画、労働計画の策定が不可能

• 従業員と顧客の意欲の低下

• 事業計画の混乱

混乱の長期化

収益や利益が減少し、債務危機と経営破綻につながる

• 収益不足と高コストが再開への投資を妨げる

• 長期的な金融/ビジネス危機のため計画策定が長期化し、再開の取り組みが難航する

• 分野や業界全体の崩壊が続き、以前の状態に戻る可能性が低い

• 従業員が精神的なストレスを抱え、業務への意欲が低下

シナリオ 主なリスク 予測される状況

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不確実な状況を切り抜け想定されるシナリオ範囲の広さを考慮して、企業は即座に方針転換を行えるよう準備をしておく必要があります。このため再開に関わるどのような措置も、容易に後戻りできる、拡張性があるものでなければなりません。

直近の課題を解決しウイルスが収束するまでの間、従業員にとって、業務上での対人接触の可能性は気がかりなことでしょう。企業は従業員と透明性のあるコミュニケーションをとり信頼構築に努めると共に、安心・安全な職場環境を提供しなければなりません。

より良い未来を築く企業は以前の方法に逆戻りすべきではありません。従業員はすでに新しい働き方に適応しており、その一部を再開後も継続したいと望んでいます。新しいプロセスや能力は、長期的なビジネス変革への足掛かりとなります。再開は、従業員と顧客により良い未来を創造する機会なのです。

この状況において企業に必要なこと

未来へ向けて、企業は、積極的な改革プログラムに今すぐ着手することが重要です。

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再開ではなく、新たな始まりへ

1 0

企業に求められること不確実性に打ち勝つための積極的な改革のプログラムには、次の5つの領域から着手します。

段階的に解決する

企業は、従業員が安心して復帰し、かつ新たな仮想環境と物理環境を組み合わせるハイブリッドな働き方に適する安全な職場環境を構築しなければなりません。

従業員の心身の健康支援も優先すべきです。未来の職場では、安全に対する新たなアプローチが求められるようにもなります。

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柔軟なコスト構造の実現

企業は短期的な流動性を確保した後、長期的な財務健全性とコストの合理化に注力する必要があります。

つまり、早急なコスト削減からレジリエントなコスト管理へと考え方をシフトし、バランスシートの維持から長期投資へと視点を変化するべきです。

0 4

将来のニーズに対応する

再開後の長期的な成功は、新たな能力を構築できるかどうかに依存します。今こそ、最新のテクノロジーを大規模に活用し、広範なビジネス変革に着手すべきです。

顧客を成功に導く新たな機会においては、目的、共感力、敏捷性を中心に考えなければなりません。

0 5

効果的な空間を設計する

再開は始まりにすぎません。企業は、予期せぬ出来事や計画の遅延、再度の感染拡大にも対応できる、段階的な職場復帰を計画する必要があります。

企業は、これを「日常」に戻るのではなく、将来の業務を再考、再設計し、改善する機会として捉えるべきです。

0 2

人を最優先する

企業が次世代で成功するには、従業員が生活面で抱えている問題を把握することが不可欠です。

人々との関わり方において、テクノロジーやプロセス、従業員のあり方を、真に人間的なものにする必要があります。

それは、責任あるリーダーシップから始まります。

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人を最優先する従業員のケアを中心に考える

近年、共感とインクルージョン（包括・包摂）が重要視されるようになっているにもかかわらず、企業の多くは従業員とのコミュニケーションにおいて効率性を優先しています。私たちは今、職場において人を最優先することが、この危機に極めて大きな変化をもたらす鍵であると理解しています。企業が長期にわたる生産的、包括的、かつ働きがいのある職場環境を作るためには、ビジネスの枠を超えて従業員を真に理解する必要があります。

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思いやりと信頼に基づいたコミュニケーション

• アクセンチュアによる新型コロナウイルス（COVID-19）危機関連の消費者調査によれば、世界の労働人口の64%以上が仕事の安定性について高い不安に直面していることが分かりました1。仕事を再開することで、従来のような社会的空間や活気を保つことが不可能になるのではと懸念する声もあります。

• 従業員と早い段階から頻繁に、思いやりを持ちコミュニケーションをとります。

• 包括的なプロセスを導入して、積極的に従業員からの意見を求めます。従業員に発言権を与えることは、士気を維持するうえで重要です。

• リーダーシップにおいては適切な「グローカル」のバランスを見出だし、必要に応じて委任しながら、中心となって指針を提示し、調整を行います。

不安定な状況に置かれた労働者の深刻なニーズに対応する

• 労働者の70%近くが、それまで職場で得ていた社会的な関わりを失っています。感染拡大が始まってから精神の健康状態が悪化したと報告している割合は一時解雇された労働者が48%であったのに対し、職を失った労働者では67%でした3 。

• 職を失った労働者が柔軟に状況に対処できるようにするために、需要の高い分野で能力を活かせるようリスキルします。影響を受けた人々に学習プログラムやキャリアパスを提供します。

目的を通じて従業員との信頼関係を築く

• 最近の調査によると、62%の人が雇用主による責任ある新型コロナウイルス（COVID-19）危機対応を信頼しています2 。リーダーが自らの目的の達成を真摯に目指すことで、従業員は変化への取り組みに挑み続ける意欲が高まります。

• ある従業員が他の従業員の健康を危険にさらす状況にあるとき、職場に集合的な目的意識と良心が根付いていれば、同僚の安全と心身の健康を重要視する意識が働くようになります。

• また職場に信頼関係があることで、データプライバシーの問題について従業員を心配することなく、新しい健康志向のプロセスやテクノロジーを利用できるようになります。

企業に求められること

1 2

従業員だけでなく家族も支援する

• 企業は再開しても、学校や高齢者介護は再開できないかもしれません。米国では6歳未満の子供の親のうち67%が共働きです4 。

• もっとも弱い立場にある人々（非正規従業員、障害者、片親、医療が十分に利用できない人）に目を向けられるように方針を再検討します。

• 様々なテクノロジープラットフォームを活用し、危機的な状況下でも従業員が育児に関する安全な選択肢を利用できるようにします。

従業員の仕事以外の問題に対処する

• 現在でも、産業革命時代の原則に基づいて従業員を管理する企業はあまりにも多くあります。従業員はこうした画一的な方法でなく、自らの独自性を尊重されることを期待しています。

• 従業員の現在の状況や感情についての理解を深め、そのニーズに合った職場環境や体験を提供するようにします。そのためには従業員とのコミュニケーションにおいて、機密性やプライバシー、セキュリティを一層高める必要があります。

• 辛い状況にいる従業員やストレスを抱えている従業員（高齢の患者や主要な働き手であるパートナーの看病をする人など）を支援するために、ライフコーチやメンタルヘルスサポート、福利厚生プログラムを提供します。亡くなった人々を追悼します。また、リーダーはそれぞれの新型コロナウイルス（COVID-19）危機体験を共有できるようにします。

`

従業員の雇用を維持する複数の業界の主要企業が集まり、People + Work Connect を設立しました。これは、従業員を解雇する企業や一時解雇された人々と、緊急に新しい労働力を必要としている企業をマッチングさせるための企業間イニシアチブです。

このBtoBプラットフォームによって、一時解雇または解雇した従業員の経験やスキルを速やかに共有するのに最適な立場にある企業が、労働力を探す企業と無償でつながることができます。

People+Work Connectはアクセンチュア、Lincoln Financial Group ®、ServiceNow ®、Verizon ®のCHROによって構想されました。このイニシアチブはアクセンチュアの分析主導型プラットフォームにより支えられています。

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今回のパンデミックによって、企業は第二次世界大戦以来となる短期間での労働力の再配置を強いられています。市場の需要だけではなく、従業員側の準備状況と自信が関連するため、従業員の再雇用は容易ではありません。企業再開は、再雇用を推進する要因の1つにすぎません。

物理的なスペースを再考し、要件を見直す

• 安全なだけでなく、快適でストレスの少ない環境を構築します。

• 対人接触を制限し、スペースを柔軟に利用できるようにします（例：シフト制の導入）。職場への出勤が不可欠な従業員とリモートワーク可能な従業員を分けます。

• 従業員に新しい作業と手順、個人用保護具の適切な使用方法についての訓練を施します。

新たなデジタルワーカーを支え、業務を再設計する

• リモートワークは多くの人々にとって新しい標準的な働き方となり、近い将来も持続する可能性は高いと考えられます。

• アクセンチュアによる新型コロナウイルス（COVID-19）危機関連の調査では、人々が在宅勤務を望んでいることは明らかです。従業員の75%が自宅に仕事に適したスペースがあると感じています。これまで在宅勤務の経験がなかった人のうち49%が、今後も頻繁に在宅勤務をすると想定しています。そのため、企業は従業員が自宅から効率的に仕事を進められるよう業務を再設計することが必要です。仮想環境と物理的なオフィス環境を組み合わせたハイブリッドな環境でチームを管理し、テクノロジーのサポートを拡充できるようにマネージャーにトレーニングを実施します5。

• そのため、企業は従業員が自宅から効率的に仕事を進められるよう業務を再

設計することが必要です。仮想環境と物理環境を組み合わせたハイブリッドな

環境でチームを管理できるようリーダーを訓練し、テクノロジーのサポートを拡充

させます。

パートナー企業の職場の安全確保を支援する

• 当事者と相手がそれぞれ安全を守ることで初めて、双方の安全確保が可能です。そのため、企業には、従業員以外にも目を向ける義務があります。多くの業界では、サプライチェーンパートナーとの物理的な接触が不可欠です。たとえば、食料品納入業者の配達や営業担当者の訪問販売などが該当します。

• 法的義務を果たすことはもちろん、サプライチェーンパートナーからの期待をクイックに理解し応える必要があります。

• 従業員の健康習慣と社外の広範なエコシステムとの交流を管理する、最高医療責任者の設置を検討します。

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企業に求められること

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効果的な空間を設計する安全な職場環境を確保する

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相互の信頼に基づき新たな雇用契約を作成する

• 企業による従業員の監視レベルが高まり、新たなセキュリティ対策が求められるため、従業員との明示的・暗黙的な契約が必要になります。

• 個人情報の保護やデータ機密性への明確な取り組みや、新たな制限・監視の利点について会社側の意図を従業員に明示的に説明するなどの対応を取り、信頼性を高めます。

• 信頼の企業文化は、従業員が自分だけでなく、同僚も平等に、全従業員の幸福と安全のために取り組んでいることを確信できる形で育まなければなりません。

セキュリティを中心に職場を設計する

• 職場の性質が再定義されるにつれ、職場の安全確保が成功の鍵を握るようになります。

• データやネットワーク、システムのセキュリティに関する規約を拡張し、個人用デバイスや新たなコラボレーションツールの利用を管理します。

安全な職場環境を構築する一部の企業はすでに、職場復帰した従業員の安全を確保するための取り組みを実施しています。主な活動は以下の3つの領域に分類されます。

安全衛生に関する手順• 通勤と隔離のコントロール• 体温の把握• 時差出勤とシフト調整• ケータリングとキッチン利用に関する手順• 徹底した清掃・消毒• 訪問者と配送業者に関する手順

ソーシャルディスタンシングに関するガイドライン• 入退室フローの管理• オフィス、ロビー、エレベータ内に距離マーカーを設置• 人の行き来が多いエリアでの通路の一方通行化やレーン分けの床標識の導入

• 共通利用型タッチスクリーンの無効化• デスク間で最低限スペースを確保

オフィス用品/従業員向け用品• 使い捨て/再利用型のマスク・手袋• 消毒用ディスペンサー• ごみ箱• 体温測定器

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フルオペレーションへの復帰は、一夜では実現できません。企業は、予期せぬ出来事や計画の遅延にも対応できる、段階的な復帰を計画する必要があります。この機会を利用してプロセスの再設計とアジャイル運用モデルを確立し、大きく変動するマーケットに対応したリモートワークへの迅速な方向転換を柔軟に提供します。また「日常」への回帰ではなく、ビジネスの長期的なオペレーションを改善させるための準備も必要です。そのためには、古いプロセスを再考し、将来のニーズに対応できるようプロセスを再設計する必要があります。

重要なのは、 自動化によりデータや知見が即座に利用可能で、アジャイルな労働力に支えられたインテリジェントな運用モデルです。

アクセンチュアは、インテリジェントな運用に至る道のりを、複数の段階を経て進展するものと捉えています。一連のテクノロジーを活用して効率性と洞察力を向上し、各段階で必要となる能力を高めながら、成果を実現します。

事業戦略から着手する

• 重要な業務をビジネス戦略と整合させ、レジリエンスを強化します。

• 企業の成功は、革新的なソリューションを活用し、進化した職場環境を構築することが鍵となります。

• 政府は日々政策を見直しています。企業の中枢と現場が連携して適切な意思決定をすることが重要です。

アジャイルで柔軟な職場モデルを採用する

• 財務や人事など、ビジネス機能の中でも最優先事項に対処する、多様性あるチームを構築し、新たな、もしくは想定外の課題を解決します。

• 機能横断的なスキルが必要となる機会を迅速に特定します。

人と機械を組み合わせた労働力へシフトする

• 取引業務のデジタル化を進め、データとアナリティクスに基づく価値を導き、未来を見越したオペレーションを重視し、オペレーション負荷を軽減します。

• 有能な人材を機械転換可能な業務から解放し、より重要な思考を要する業務に配置します。

分散型グローバルサービスモデルを採用する

• さまざまなサービスモデル（オフィス、自宅、国、タイムゾーン）を組み合わせ、組織のリスクを軽減します。

• いつでもどこでもシステムにログインし、顧客対応を行う高度なスキルを持つ分散型チームを構築します。

バーチャルコマンドセンターを設置する

• 品質、生産性、コンプライアンス、知見やインテリジェンス、従業員エンゲージメント、従業員の心身の健康状態を測定するために、コマンドセンターを使用してネットワーク全体の作業をリアルタイムで監視し、分散します。

段階的に解決する新しい日常にむけてビジネスを再設計する0 3

企業に求められること

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改革に向けリーダーシップチームを再構築する

• 再開およびその後は、多様なスキルセットとリーダーシップを要する新たなリーダーシップスキルが必要になります。

• 新しいリーダーシップには、変化への情熱とエネルギーが鍵となります。起業家精神に溢れ、インクルーシブな考えを持つリーダーを識別し、権限を付与します。

さらなる成長の原動力となる活動を優先する

• 新たな成長の原動力とするため、キャッシュや利益を最も早く創出できるビジネス領域における事業再開を重視します。

再開の各段階でビジネスの安全を確保する

• 企業は、システムおよびフィジカルな環境の維持・確保が困難なうちは、先走ってビジネスを再開すべきではありません。

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企業の現在の優先事項は、事業継続のために流動性を確保することです。一方で、長期的な成長を実現するためには、コスト管理も重要です。オーガニックな成長機会・ノンオーガニックな成長機会においては、コスト構造は柔軟でなければなりません。

最終的なコスト目標に到達することではなく、変化するニーズに対応できる柔軟なコスト構造の構築を目指します。したがって、変動コストの実現がコスト水準よりも重要であるとも言えます。流動性を管理し、削減分を新しい機会に再配分し、自己修復型の組織を構築するために必要な、企業文化とデータインテリジェンスが取組の中心に据えられます。

また、事業売却はコスト削減戦略の一部ともなり得ますが、今は目的を絞り込んだM&Aが新たな機会を開くタイミングであるとも考えられます。

短期的なコスト削減を抑制する

• 第二波としてコスト削減を検討します。短期債務を長期契約に見直します。SKUの複雑さを軽減し、キャッシュ管理を合理化します。テクノロジー（例：SaaSやクラウド）、アウトソーシング、コントラクターなどを活用し、コストを変動させます。

柔軟なコスト変革文化を確立する

• 社内に、コスト管理責任の習慣と、継続的なコスト評価の考え方を構築します。コスト削減策がどのように投資の喚起に影響するかを従業員に明確に伝えます。

• 高度なデータインテリジェンスに投資し、コスト構造を適切に調整し、流動性を管理します。

長期的な視点でM&Aをエコシステムとして捉える

• 短期的な流動性の保護と、長期的な投資およびM&Aニーズのバランスを取ります。不良債権が利用できるようになったとき、どのようなM&A機会を活用すべきかを判断します。

• M&Aと事業売却の機会を判断するために、サプライヤー、顧客、競合他社の状況に関するシナリオを策定します。

• M&Aがどのようにして業界横断的なエコシステムの機能を向上させ、敏捷性とレジリエンスを高めるかを検討します。

政府のプログラムを管理する

• 政府による支援プログラムの内容を評価し、長期的な流動性や競争上の俊敏性に影響を与える企業側の義務を検討します。

柔軟なコスト構造に取り組む成長の原動力を創出する0 4

企業に求められること

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事業再開における不確実性に打ち勝つには、変化し続ける顧客のニーズに常に寄り添う必要があります。イノベーションへのプロセスを再考することが、改革の中心となります。

重要となるのは顧客のニーズに対応できる柔軟なオペレーション能力と技術力です。そのため、新たな次元でのプラットフォーム参加やSaaS（Software-as-a-Service）、クラウド技術の活用が必要です。

顧客の声に耳を傾け、迅速に対応する

• パンデミックにより、消費者行動の予測は難しくなっています。人々の行動変容の中には次第に下火になるものもあれば、永続的に影響を及ぼすものもあります。

• 顧客を理解し、共感するよう努めます。顧客を中心として、どのように顧客体験を設計し、継続的に進化させるか検討します。単なる取引でなく、よりパーソナルな体験を構築します。

• AIや他のツールに投資して顧客とのやりとりを管理し、顧客の行動を分析します。現場のスタッフに、体験をパーソナライズするために必要なデータ知見を提供します。

将来のニーズに対応する次世代の敏捷性を構築する0 5

企業に求められること

顧客体験を再考するアクセンチュアは、Telefónica®によるデジタルマーケティングとオンライン販売機能の最適化を通じた顧客経験の再考を支援しました。その際、企業が顧客の期待を予測し、高度にパーソナライズされた製品や体験の実現に役立つ安全なデジタル環境を設計しました。

エンドツーエンドのデジタル分析は価値ある情報をもたらし、Telefónicaが効率的にリードを売り上げに繋げることに貢献しました。デジタルアシスタントプラットフォームの活用とコールセンターのサポートにより、同社は今後数年は続く持続可能な成長へ扉を開いています。

この改革により、顧客獲得コストは削減され、Webサイト訪問（特に新規顧客から）は増加し、ブランドの成長もし、結果的に100万件以上のデジタル購買を創出しました。

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クラウドでテクノロジーの拡張性を実現する

• 新型コロナウイルス（COVID-19）以前は、データ量の増加とアプリケーション管理の必要性がクラウド移行を促す主な要因でした。しかし今では、効率性向上はクラウドがもたらすメリットの1つにすぎません。

• 今ではリモートワーク需要の拡大と、変動するテクノロジー需要が、クラウドのニーズを高めています。

• アプリケーションをクラウドに大規模に移行した後、クラウド環境内におけるデータとアプリケーションの革新的活用を推進します。

アジャイル運用にむけてセキュリティを改革する

労働力の大規模な変動に伴うリスクを管理します。安全性の低い業界環境におけるサプライチェーンの弱点、偽造詐欺や新たなサイバー脅威を注視します。

アジャイル的に自律性を構築する

• 個人とチームの権限を明確にすることで、アジャイルに試行錯誤を繰り返す領域のすべてをサポートします。

• 全従業員が共通の目標を目指すようにしたうえで、今以上に広範な自律性を与えます。

• 権限の委譲、および手順の変更（パフォーマンス管理の測定基準など）について、リーダーを指導します。

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クラウドへの移行Del Monte Foods®は、競争が極めて激しいパッケージ食品市場で成長が鈍化していることを認識していました。

この状態から脱出し、次の成長段階に備えるため、同社はITインフラの変革と民間クラウドへの移行を決定し、業務への影響を最小限に抑えながら、4カ月かからずに200台のサーバーのクラウド移行を成功させました。

新しいIT機能とデータサイエンス機能を組み込むことにより、プロビジョニングに要する時間は従来の4週間から60分未満に短縮されました。同社は資本節約を実施し、成長戦略への再配分を実現しました。

改革による敏捷性とレジリエンスの実現：能力の有効活用

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共有型ワークフォースレジリエンスの構築

従業員に対し、就業機会の変化について透明性のある態度を保ちましょう。役割を破壊的に変革する時には、職種ではなくスキルに焦点を合わせます。

• AIベースのプロセスを構築し、当該および隣接市場におけるスキル需要を予測します。

• プラットフォームを用いて、社内またはエコシステム全体、複数業界を跨がり従業員と大規模な雇用機会を結びつけます。

• プログラムを最新化し、従業員による選択を支援し、学習を促進します。AIが対応する個別学習機能を最大限に導入します。新しい経験的手法（VRなど）を用いた革新的な学習方法を採用し、学習意欲を喚起します。キャリアパスに関するアドバイスやキャリアプランの支援を提供します。

共有型ワークフォースレジリエンス構築の詳細についてはこちらをご覧ください。

ヒューマンエクスペリエンスを実現するリーダーシップ

新しい職場環境に挑む従業員をサポートし自信をもたらすような、リーダーシップ・プログラムを実施します。

• 従業員の精神的、身体的、人間関係上のニーズに対応します。• 周囲を意識する思いやりのあるリーダーを昇進させ、他の従業員が共感力やコミュニケーション能力を高めるための指導を任せます。

• 組織の目的と価値観、特に従業員に対するコミットメントを明確にします。

リーダーがヒューマンレジリエンスを実現する方法の詳細についてはこちらをご覧ください。

人を最優先する01

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物理的な場所のリセット

サービスの安定性を確保しつつ、従業員も守るような包括的な戦略を導入します。リセットはパンデミックの状況に対応できる動的で柔軟なものでなければなりません。以下が主な要素です。

• 一貫性とガバナンスを確保するため、主となるガイドラインを策定します。現地の法律に準拠する前提ですが、時間がたてば、より現場に適したアプローチへ移行します。

• 健康と安全に関する手順と供給品、ソーシャルディスタンシング、シフト勤務のパターン、スペースの管理、医療支援等について資料を策定します。

• 外部施設や社外スタッフ、顧客と従業員との接触についても包括した手順を策定します。トレーニングとコミュニケーション計画も実行に不可欠です。

• 従業員の士気向上を目的とした交流の場を設けるための新しい手順を策定します。座席間のスペースを十分にとった場所やバーチャル上のイベントなどを通じて行います。

ロケーション戦略のリセット方法の詳細についてはこちらをご覧ください。

物理的/仮想的な職場の実現

デジタル技術とプロセスを活用して拡張性の高い職場環境を構築し、従業員が自宅/オフィスで業務をスムーズに行うことが出来るようにします。

• ネットワークとコラボレーションツールが、急速に変化する労働パターンに適応できるようにします。

• 従業員に対して透明性を保ち、積極的にコミュニケーションをとるようにします。

• チェンジ・チャンピオン（変革の擁護者）とセルフサービストレーニングを通じて、企業文化の変革と浸透を促進します。

エラスティック・デジタルワークプレイスの詳細についてはこちらをご覧ください。

効果的な空間を設計する0 2

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物理的セキュリティとデータセキュリティの導入

最初のロックダウンは解除されつつありますが、予測不能な今後の労働形態に鑑みると、新型コロナウイルス（COVID-19）の感染拡大前（あるいは後）に設定したリモートワークの手順のみに依存するのは十分ではありません。セキュリティ実現のための主な手順は以下の通りです。

• 複数のクラウドソリューションや個人所有デバイスへの安全なアクセスを保証する、信頼性の高い「ゼロトラスト」モデルを構築します。

• 自動化技術と分析を利用し、セキュリティ異常を継続的に監視します。• 新しいサイバー脅威に対するスタッフの認識を高めます。• 場所と人を保護する新しい手順を導入し、悪意のあるユーザに、不慣れな労働パターンや従業員のトラフィックを悪用されないよう対応します。

サイバーレジリエンスの実現方法の詳細についてはこちらをご覧ください。

信頼性の高いトラッキングとトレース機能の整備

組織は、既存のセキュリティプロセスを基盤にして、広範囲な従業員の移動を追跡できるようにする必要があります。この機能は自社とパートナー組織の従業員を保護し、将来的には、健康情報を追加する必要が生じる可能性もあります。システムは、公共機関の機能を補完し、企業責任の遂行に役立つと想定されます。

• 個人のプライバシーと健康状態データの安全性を確保するため、ブロックチェーンベースのシステムを検討します。

• データ使用においては、信頼でき、透明性の高いポリシーを設定します。• 許容可能なリスクレベルと、空間への進入と移動がもたらす影響に関する閾値を設定します。

効果的な空間を設計する0 2

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データドリブンの設計

経営会議ではデータを起点としたデザインシンキングを活用し、将来想定される姿や後悔のない行動や戦術を考案します。シナリオは定期的に見直しましょう。必要に応じて顧客や規制当局、パートナー企業なども会議に招くことも検討しましょう。

アクセンチュアのカスタマー・イノベーション・ネットワークの詳細についてはこちらをご覧ください。

段階的に解決する

サプライチェーンの活性化

マーケティング、セールス、サポートの各機能を新しいデータストリームと統合し、予測困難な市場動向を把握して適切に対応することで、インテリジェントかつ包括的なバリューチェーンを構築します。

• マーケットシグナルをより精度高く追跡し、データを活用して企業分析を通じたより深い洞察ができるように、ソーシャルメディアやアプリケーションの利用状況、位置情報など、データソースの幅を広げましょう。

サプライチェーン管理とオペレーションの詳細についてはこちらをご覧ください。

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段階的に解決する0 3

敏捷かつ柔軟なオペレーション

パンデミックの進展に対応するため、分散型グローバルサービスモデルの採用・適応を大規模に実施します。アクセンチュア自体も、本社を持たない独自のバーチャルチームを実装しています。

• 分散型グローバルサービスモデルと先進的なデータソリューションを活用して日常的な作業を自動化し、地域やタイムゾーン全体に人材を配置します。アクセンチュアはある食品・飲料分野の多国籍企業が調達プロセスを自動化し、3000万ドル近くのコスト削減の実現を支援し、また、グローバルホテルチェーンとの連携により、請求書処理に要する期間を15日から1日に短縮しました。

先進的なビジネスプロセスソリューションの詳細についてはこちらをご覧ください。

現在稼働中・開発中の機能

失業申告件数が急増する中、アクセンチュアは、テキサス州労働委員会がAIを活用したバーチャルアシスタントをわずか5日間で開発し実装するのを支援しました。このバーチャルアシスタントは同州で大きな成果を発揮しており、導入開始1週目で38万件のセッションと100万を超える市民からの質問を処理しました。

ある大手福利厚生・保険会社では、AIを活用したリアルタイム応答システムを開発中です。このシステムは求人掲示板、信用調査サービス、ソーシャルメディアを絶えずスキャンして、2500万社以上の中小企業顧客に関する情報を収集します。

American Express®は最近、債務不履行と回収に関するデータに基づいた意思決定機能の開発に投資しました。この機能は、ターゲットを絞った事前対応的な価格引き下げオファーの作成や、支払いに苦しむカード所有者からの料金の回収、第三者による回収の回避、構築が困難な顧客ロイヤルティの維持などに役立つことが期待されています 7 。

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柔軟なコスト構造の実現0 4

流動性の確保

短期的なコスト削減が実現できたことを確認した後、新たな現実に向けコストの基準をリセットします。

• 分析と行動モデリングを適用し、ビジネス上の意思決定が流動性に与える影響を予測します。

• テクノロジーのクラウド移行や、非中核業務のアウトソーシングなどを活用しコストを変動費化させます。

• ゼロベースのコスト戦略の有効性を高め、コスト管理責任を企業文化として広範に構築し、維持します。

流動性を管理するためのゼロベース思考の詳細についてはこちらをご覧ください。

新規投資を行い成長を加速

コスト削減を新しい成長機会に充てる方法を検討し、市場の混乱や停滞に乗じて成長を加速します。

隣接市場を分析します。

• 2008年の不況時には、米国の小売企業Targetは食品分野での地位強化に注力し、自社ブランドの商品数を増やしました。この不況の間、同社の食品ブランドであるMarket Pantryの売上は30%増加し、今日では食品小売がTargetの売上全体の5分の1を占めるようになっています 7 。

M&Aの先行実施による優位性の獲得

財務的制約を理由に大規模なM&Aを留保する事態が想定されるなか、その他の機会に目を向けます。

長期的な価値を生み出す独自的/ニッチな能力や人材を獲得するための、小規模かつ時宜を得たM&Aを特定します。

• バリューチェーンの視点をM&Aに当てはめ、業界横断的なエコシステム能力を確保することで、長期的に競争上の敏捷性とレジリエンスを強化する方法を検討します。

M&Aを活用したレジリエンスのリバランスの詳細についてはこちらをご覧ください。

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次世代システムの拡張性

企業の多くはクラウドへの移行を実施していますが、部分的な業務だけでは十分ではありません。一部のビジネスでコストが削減された今こそ、企業全体へとクラウド導入を拡大すべきです。

ITランドスケープを現状維持したまま、クラウドへの大規模な移行を実現します。• 次に、クラウド環境でITランドスケープを管理し、改善と効率化を実現します。初期の主なメリットは、新型コロナウイルス（COVID-19）後の需要拡大または減少に対応してアプリケーションとテクノロジーを柔軟に変更する機能を獲得できることです。

• クラウド戦略を支えるために必要なテクノロジーやスキル、プロセスの変更に投資し、管理します。

クラウドから最大限の価値を引き出す方法の詳細についてはこちらをご覧ください。

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将来のシステム

多くの企業がコスト効率とパフォーマンス向上を追求するなかで、先端企業は、過去の断片化した施策を置き換えるような、全社規模のテクノロジー変革に着手しています。

• サイロ化した現状から、「未来に向けたシステム」に移行し、複数プロセスを同時に改善します。

• データ、インフラストラクチャ、アプリケーションを分離することで、柔軟性を大幅に向上させます。

• クラウドへの移行を促進します。

未来に向けたシステムの詳細についてはこちらをご覧ください。

将来のニーズに対応する

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共感的な顧客体験の構築

顧客への共感を高める3つのステップを実施します。

▪ 顧客の行動がどのように変化したかを理解します。既存のデータソースとパートナーのデータソースを組み合わせます。オンライン調査を実施し、顧客を動機付ける新たな行動や傾向を理解します。中小企業と協力して顧客への理解を深めます。

▪ 社会的存在意義を再評価します。組織として目的を振り返り、最新化します。その中には、危機に際し率先して行うべき行動も含みます（「危機的状況下での社会的存在意義」）。行動と言葉を通じて自社の社会的存在意義を具現化します。

▪ EQを用いて組織を強化します。エクスペリエンスチームにより感情的知性（EQ）を開発し、Bigデータ、Thickデータ（人に対する深い知見）、Broadデータ（状況や市場の動向）の3種類のデータソースすべてを活用して、顧客行動の変化を深く理解します。データソースを常に更新し、全社的な行動に結び付けます。

目的先行のブランド構築方法の詳細についてはこちらをご覧ください。

将来のニーズに対応する0 5

イノベーション力を高める

現在ほど、ビジネスの最前線における価値重視のイノベーション力を高める絶好の機会はありません。この能力を活用することで、新しい製品やサービスをすばやくテストしながら、コアビジネスを向上させるソリューションの効果を迅速に試すことができます。顧客やサプライヤー、パートナー、新興企業に参加を呼びかけ、協力して推進します。

アクセンチュアのカスタマー・イノベーション・ネットワークの詳細についてはこちらをご覧ください。

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再開ではなく、改革を開始する

ビジネスの再開は、単なるリスタートではなく、新しい時代の幕開けとなります。ルールは変わり、従業員と顧客の行動も変化しています。

しかし、直近のニーズ対応にとどまらず変化への勇気と先見性を持つ企業にとって、これらの変化は新たな変化へのきっかけを生み出します。たとえば、多くの企業は部分的にクラウドに移行しています。一部の事業では既にコスト削減を実施していたとしても、今こそ企業全体でクラウド導入を推進して規模を拡大し、コストの可変性を高め、レジリエンスを高める好機です。勝利を手にするのは、将来の目指す姿に向けてプロセスや顧客体験、従業員、社会的な契約やその他の要素について、改革を実現できる企業なのです。

不確実性を契機として：当面の課題を軽減し、より良い未来を築くことで、企業はいつの日か、この危機を夜明け前の暗闇だったと振り返れるようになるでしょう。

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お問い合わせ

金若 秀樹

ビジネス コンサルティング本部コンサルティンググループ日本統括

マネジング・ディレクター

堀口 雄哉

ビジネス コンサルティング本部コンサルティンググループマネジング･ディレクター

参考文献

1. Accenture COVID-19 Consumer Pulse（2020年3月19〜25日に実施）

2. Edelman, “Edelman Trust Barometer Special Report on COVID-19 Demonstrates Essential Role of the Private Sector,”

3. Cassie Weber, Furloughed workers are less happy than those laid off during the coronavirus, Quartz（2020年4月17日）

4. Childcare should be top priority for first wave of reopening, The Early Care and Education Consortium（2020年4月16日）

5. Accenture COVID-19 Consumer Pulse （2020年3月19〜25日に実施）

6. Sarah Silbert, “In Response to the Coronavirus, Credit Card Issuers like Amex and Capital One are Letting Customers Skip Payments

Without Interest and More,” Business Insider（2020年4月2日）

7. Luisa Beltran, “’Cash is King Again.’ What Coronavirus Means for Mergers and Acquisitions,”

Barron’s（ 2020年3月23日）

謝辞

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Tawfik Jarjour、Matthew McGuinness、Mike Mooreの本資料作成における貢献に感謝します。

お客さまが新型コロナウイルス（COVID-19）による人およびビジネスへの影響に対応できるよう、アクセンチュアはさまざまなトピックに関し最新の知見をすべて集約したハブサイトを構築しました。

トピックはそれぞれ、「今」取るべき具体的な措置や、産業がニューノーマル（新常態）へと移行するに従い「次に」何を検討すべきか紹介するものです。

リーダーシップに必要な基礎から、従業員やカスタマーサービスグループのための生産性の確保、サプライチェーン・レジリエンスの構築などのその他のトピックに至るまで、アクセンチュアのハブサイトは随時更新されています。さらなる洞察を得るため、定期的にご確認ください。

アクセンチュアのハブサイトへはこちら

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