11
聖マリアンナ医科大学雑誌 Vol. 45, pp. 173–183, 2017 1 聖マリアンナ医科大学 産婦人科学 2 北海道大学遺伝子病制御研究所 免疫生物分野 放射線刺激により誘発されるインターロイキン 34 の放射線治療抵抗性における潜在的役割について えん どう ひらく 1, 2 Muhammad Baghdadi バグダーディー 2 いし かわ こう ぞう 2 ざわ 2 うめ やま 2 はるか 2 すず なお 1 せい けん いち ろう 2 (受付:平成 29 8 22 ) 放射線療法は手術療法化学療法と並び三大がん治療法に挙げられているが一方で腫瘍 再発の起点となる放射線耐性が課題として残されているがん細胞の薬剤耐性獲得機序にはがん細胞側の内因性機序と腫瘍微小環境 (TME) 内の骨髄系細胞との外因性機序とが説明され ている近年発見された Interleukin 34 (IL-34) マクロファージコロニー刺激因子 (M-CSF) と受容体を共有し同様の生理活性を示すが腫瘍を含む様々な病態への独自の関与が報告され ている最近我々は肺癌細胞の抗がん剤耐性化に IL-34 が上記の内因性外因性機序の両者 に関与することを示した本研究ではその先行研究を基に放射線治療適応である前立腺癌 および直腸癌細胞株を用いて放射線の単回および反復照射下に IL-34 および M-CSF の発現 変動を調べたその結果放射線単回照射では両者の発現誘導が認められたのに対し反復照 射では IL-34 のみが時間経過に伴い顕著な発現誘導を認めたさらにその機序は抗がん剤刺激 と同様に NF-kB を介した経路であることが阻害剤を用いて示されたこのことから長期の放 射線ストレスに IL-34 が誘導され放射線治療耐性へ関与する可能性が示唆される今後はさら に放射線暴露による IL-34 TME への作用を精査するとともに放射線療法との併用として IL-34 標的治療の可能性について探索してゆく索引用語 IL-34M-CSFradiotherapy 近年のがん治療は外科的治療放射線治療学療法など従来の三大療法に加え分子標的薬や免 疫チェックポイント阻害薬など様々な抗がん治療薬 が開発されているため適応症例に合わせた複合的 な使用によりがん病巣の退縮や予後の改善が図ら れてきているその一方で抗がん治療薬の作用機 序やがん治療耐性転移再発といった難治化に 関してがん細胞および腫瘍微小環境の免疫機能の 重要性が研究成果から次第に解明され新しい見解 が示されてきた抗がん治療耐性機序にはがん細胞周囲微小環境 で作用する外因性要因とがん細胞自身に起因する内 因性要因の二つの概念が提唱されている 1)2) 外因性 機序を構成する一要素として骨髄系免疫抑制細胞 (BMSC) が注目されているが武内らは抗がん剤 31 173

Muhammad Baghdadi 江澤永倫子igakukai.marianna-u.ac.jp/idaishi/www/453/45-3-04Endou...原著 聖マリアンナ医科大学雑誌 Vol. 45, pp. 173–183, 2017 1 聖マリアンナ医科大学

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原 著 聖マリアンナ医科大学雑誌Vol. 45, pp. 173–183, 2017

1 聖マリアンナ医科大学 産婦人科学2 北海道大学遺伝子病制御研究所 免疫生物分野

放射線刺激により誘発されるインターロイキン 34の放射線治療抵抗性における潜在的役割について

遠えん

藤どう

 拓ひらく

1, 2 Muhammadム ハ ン マ ド

Baghdadiバ グ ダ ー デ ィ ー

2 石いし

川かわ

浩こう

三ぞう

2 江え

澤ざわ

永え

倫り

子こ

2

梅うめ

山やま

悠ゆ

伊い

2 和わ

田だ

はるか2 鈴すず

木き

直なお

1 清せい

野の

研けん

一いち

郎ろう

2

(受付:平成 29 年 8 月 22 日)

抄 録放射線療法は手術療法,化学療法と並び,三大がん治療法に挙げられているが,一方で腫瘍

再発の起点となる放射線耐性が課題として残されている。がん細胞の薬剤耐性獲得機序には,がん細胞側の内因性機序と腫瘍微小環境 (TME) 内の骨髄系細胞との外因性機序とが説明されている。近年発見された Interleukin 34 (IL-34) は,マクロファージコロニー刺激因子 (M-CSF)

と受容体を共有し同様の生理活性を示すが,腫瘍を含む様々な病態への独自の関与が報告されている。最近我々は,肺癌細胞の抗がん剤耐性化に IL-34 が上記の内因性,外因性機序の両者に関与することを示した。本研究では,その先行研究を基に,放射線治療適応である前立腺癌および直腸癌細胞株を用いて,放射線の単回および反復照射下に IL-34 および M-CSF の発現変動を調べた。その結果,放射線単回照射では両者の発現誘導が認められたのに対し,反復照射では IL-34 のみが時間経過に伴い顕著な発現誘導を認めた。さらにその機序は抗がん剤刺激と同様に NF-kB を介した経路であることが阻害剤を用いて示された。このことから,長期の放射線ストレスに IL-34 が誘導され放射線治療耐性へ関与する可能性が示唆される。今後はさらに放射線暴露による IL-34 の TME への作用を精査するとともに,放射線療法との併用としてIL-34 標的治療の可能性について探索してゆく。

索引用語IL-34,M-CSF,radiotherapy

緒 言

近年のがん治療は,外科的治療,放射線治療,化学療法など従来の三大療法に加え,分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬など様々な抗がん治療薬が開発されているため,適応症例に合わせた複合的な使用により,がん病巣の退縮や予後の改善が図ら

れてきている。その一方で,抗がん治療薬の作用機序や,がん治療耐性,転移,再発といった難治化に関して,がん細胞および腫瘍微小環境の免疫機能の重要性が研究成果から次第に解明され,新しい見解が示されてきた。

抗がん治療耐性機序には,がん細胞周囲微小環境で作用する外因性要因とがん細胞自身に起因する内因性要因の二つの概念が提唱されている1)2)。外因性機序を構成する一要素として,骨髄系免疫抑制細胞(BMSC) が注目されているが,武内らは,抗がん剤

31

173

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X-ray

SW480 cells Cell counting (Trypan blue staining)

72 hours(0-100Gy)

HCT116 cells

PC3 cellsLNCAP.FCG cells

図 1. 各種癌細胞株を用いた細胞増殖実験における至適放射線線量の検討Time schedule を示す

治療抵抗性 (耐性) を獲得した膵臓がんの病巣には,免疫抑制型 (M2) マクロファージが多数集積しており,腫瘍免疫応答の抑制に作用していることを示した3)。さらに,最近,我々の先行研究では,肺がんの抗がん剤耐性株が腫瘍微小環境内の M2 マクロファージの分化を亢進させる一方で,がん細胞自身のアポトーシス発現が抑制されるといった,内因性要因も関わることを示した4)。実験結果より,その媒介分子は従来報告されるマクロファージコロニー刺激因子(M-CSF) ではなく,受容体 (CSF1-R) を共有する新規サイトカイン,Interleukin-34 (IL-34) であることが分かった4)。IL-34 と MCS-F はアミノ酸配列の相同性が低く,CSF-1R の結合部位や同レセプターを介したシグナル経路も相違することが報告されており5–7)その他,近年,IL-34 固有の受容体として PTP-

ζ8)や CD138 (Syndecan-1) が発見されている9)。IL-34

は生理的には骨髄系細胞の分化の他に,皮膚のケラチノサイトや脳の休止状態のニューロンにて発現が認められ,それぞれラングハンス細胞やミクログリアなどの発生・分化に関わることが知られているが10),その一方で,自己免疫疾患,感染,炎症および癌など様々な病態ストレス環境で NF-kB を介して発現誘導されることが分かっており11),様々な病態の制御標的と成り得ることが考えられる。

上記の腫瘍三大抗がん治療の一つである放射線療法は,一般的に限局性腫瘍では有効性が高く,腫瘍病巣が退縮する傾向が強い。しかし,悪性黒色腫および神経膠芽腫においては放射線抵抗性 (耐性) または再発に陥るケースが報告されており,詳細な機序が未だ解明されていないため臨床上深刻な問題となっている12)。Baghdadi らは,抗がん剤の長期暴露により抗がん剤耐性を獲得した肺がん細胞株より大量のIL-34 が発現され,免疫抑制型腫瘍微小環境の形成とともに薬剤耐性を獲得することで抗がん剤耐性が

獲得される機序を示した。本研究では,その経緯に則り,DNA 損傷など抗がん剤治療と類似の殺腫瘍作用を有する放射線治療において,長期暴露により放射線耐性がもたらされるという仮説を立て,癌細胞の放射線治療耐性獲得への IL-34 の関与の検討を行った。

まず,In vitro 系モデルにおいて前立腺癌細胞株,結腸癌細胞株,直腸癌細胞株を用い,放射線線量の選定を行い,続いて IL-34 と CSF1 受容体を共有する M-CSF を対照に,放射線に誘導される遺伝子発現パターンとそのシグナル機序が抗癌剤と同様か否か検討した。

材料および方法

細胞株および培養方法ヒト直腸癌細胞株 (HCT116),ヒト結腸癌細胞株

(SW480),ヒト前立腺癌細胞株 (LNCaP clone FCG),ヒト前立腺癌細胞株 (PC-3) は全て RIKEN GRC

CELL BANK から購入した。培養に使用した培地は,RPMI1640 (Wako, Osaka, Japan) に 10 %ウシ胎児血清 (Nichirei Bioscience Inc, Tokyo, Japan), 0.1

mM non-essential amino acids, 100 IU/ml penicillin,

100 mg/ml streptomycin, 1 mM sodium pyruvate, 10

mM 4-(2-hydroxyethyl )-1-piperazineethsnnesulfonic

acid, 100 mM b-Mercaptoethanol, 2 mM glutamine

(全て Gibco, Waltham, Massachusetts, USA) を添加したものを使用した。細胞は 37°C,5% CO2 下で70%程度 confluent にて培養した。

In vitro での放射線刺激および細胞応答の解析1. 放射線量の選定

放射線照射装置として MBR-1520 (Hitachi, Japan)

を用い,Tube voltage を 150kV,Filter を 1.0Al とした。図 1 の Time schedule に従い,過去の報

32

遠藤 拓 Muhammad Baghdadi ら174

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X-ray

Seed 96 hoursSTI-571 (5µM)

24hr 1hr

BAY11-7082(10µM)

20GySW480

図 2. 結腸癌細胞株 SW480 において誘導される M-CSF および IL-34 の発現機序の解析Time schedule を示す

X-ray(20Gy)

Total 9 weeks

SW480

1week 1week 1week 1week 1week1week 1week1week

Dose1 Dose2 Dose5Dose4Dose3 Dose6 Dose7 Dose8 Dose9

図 3. 結腸癌細胞株 SW480 において X 線反復刺激により誘導される M-CSF および IL-34 の発現機序の解析Time schedule を示す

告13–17)と,結果の項に後述する各種癌細胞株の細胞増殖率および至適放射線量の解析結果を基に至適線量を選定した。2. 放射線単回照射に誘導される M-CSF および

IL-34のmRNA発現の評価M-CSF および IL-34 の mRNA 発現解析について

は,上記の放射線の条件設定として定めた至適線量,20 Gy を各細胞株に照射し,照射後 0, 24, 48 , 72 , 96

時間の各時点で細胞を回収し,下記の方法にて RNA

抽出および qRT-PCR による mRNA 発現解析を行った。3. IL-34とM-CSFの放射線による発現誘導機序の解析

結果の項に後述する,放射線刺激により誘導される各種遺伝子発現に対する阻害薬の与える影響の実験を,図 2 に示す Time schedule に従い,先の実験結果 (図 1) から,ヒト結腸癌細胞株 (SW480) を用いM-CSF および IL-34 の mRNA 発現解析を行った。4. 放射線連続照射に誘導される M-CSF および

IL-34のmRNA発現の評価結果の項に後述する,放射線連続刺激に対する癌

細胞株における mRNA 発現変化を,図 3 に示すTime schedule に従い,先の実験結果 (図 1) から,ヒト結腸癌細胞株 (SW480) を用い M-CSF およびIL-34 の mRNA 発現解析を行った。

定量的 RT-PCR

Total RNA の抽出は,TriPure Isolation Reagent

(Roche Molecular Biosciences) を用いて行った。抽出した RNA を Rever Tra Ace (TOYOBO, Japan) を用いて相補的 DNA (Complementary DNA: cDNA)

を合成した。合成した cDNA を元に Fast SYBR

green PCR Master Mix (Applied Bioscience) を用い,StepOne Real-time PCR system (Applied Biosys‐

tems, Waltham, Massachusetts, USA) にて定量 RT-

PCR を全て製品メーカーの指示書に従い行った。IL34, CSF-1, CSF1-R, PTPRZ1, SDC1 の mRNA レベルを,δδCT 法を用いて解析した。Housekeeping

gene として b-Actin を用いた。使用したプライマーの配列を以下に示す。

Human b-ActinForward: 5’-TCACCCACACTGTGCCCATCTACG-3’

Reverse: 5’-CAGCGGAACCGCTCATTGCCAATG-3’

Human IL34Forward: 5’- CTTTGGGAAACGAGAATTTGGAGA-3’

Reverse: 5’- GCAATCCTGTAGTTGATGGGGAAG-3’

CSF-1

Forward: 5’-CCTGAAGAGCTGCTTCACCAA-3’

Reverse: 5’-CATTCTTGACCTTCTCCAGCAA-3’

CSF1-R

33

放射線治療抵抗性における IL34 の役割 175

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0

20

40

60

80

100

0G 5G 10G 15G 20G 50G 100G

SW480

0

20

40

60

80

100

0G 5G 10G 15G 20G 50G 100G

HCT116

0

20

40

60

80

100

0G 5G 10G 15G 20G 50G 100G

0

20

40

60

80

100

0G 5G 10G 15G 20G 50G 100G

PC3

LNCAP.FCG

Prol

ifera

tion

rate

Prol

ifera

tion

rate

Prol

ifera

tion

rate

Prol

ifera

tion

rate

図 4. 各種癌細胞株を用いた細胞増殖実験における至適放射線線量の検討各細胞株における X 線照射 (0〜100 Gy) 72 時間後の生存率 (増殖率) の測定 (標価) を示す

Forward: 5’-TGCCTTACAACGAGAAGTGGGAG-3’

Reverse: 5’-ATCTTCACAGCCACCTTCAGGAC-3’

PTPRZ1

Forward: 5’-TACTCGCAGACAACCCAACC-3’

Reverse: 5’-AGCATGCAAGGGCACCTTAT-3’

SDC1

Forward: 5’- AGGACGAAGGCAGCTACTCCT-3’

Reverse: 5’-TTTGGTGGGCTTCTGGTAGG-3’

統計学的解析データは平均値±SEM で示した。2 群間の平均値

の比較は,Student の t 検定にて行った。本研究における有意水準は 5%とし,P 値が 5%を下回る場合に統計学的に有意差有りとした。

結 果

各種癌細胞株の細胞増殖率および至適放射線線量の解析

最初に,過去の報告13–17)を参考に,0 Gy から 100

Gy までの照射線量を上記の 4 種細胞株に照射した。照射の 24 時間前に各種細胞株を 1×105 個ずつφ10cm シャーレに播き,照射後 72 時間目に生存細胞数を Trypan Blue 染色法にて測定した。照射前の生存細胞数を基準に照射後 72 時間後の生存細胞数の割合を増殖活性として 60%保持される線量を至適線量とした。図 1 に示すように,全ての細胞株で,X 線照射 72 時間後の増殖活性が 60%を示す線量は20Gy であった。なお,50 Gy や 100 Gy の高線量を照射した場合は,形態的に老化様変化を認め,著しい増殖能低下を認めたが,20 Gy 以下では,正常細胞の形態を保持していたことから 20 Gy を適正線量とした。 (図 4)。

放射線照射後の各種細胞株における IL-34とMCSF

の遺伝子発現前述のプロトコールに従い X 線照射後 24 時間ご

とに IL-34 と M-CSF の mRNA 発現を行ったところ,全ての細胞株について,IL-34 の mRNA 発現レ

34

遠藤 拓 Muhammad Baghdadi ら176

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0

5

10

15

05

10152025

0h 24h 48h 72h 96h

0

5

10

15

Fold

indu

ctio

n (0

h =

1)

A

SW480

LNCaP.FCG

PC-3

M-CSF IL-34

0

5

10

15

20HCT116

**

*

**

*

**

*

*

*:P < 0.05

図 5. 各種細胞株において X 線照射後に誘導される各分子 mRNA 発現比較についてX 線照射 (20 Gy) 72 時間後の M-CSF,IL-34 のmRNA 発現レベルの比較を示す

ベルのピークは X 線照射後 72 時間であった (図 5)。その一方で,M-CSF の mRNA 発現ピークは X 線照射後 24 時間であった。(図 5)。以上から放射線照射により IL-34 は遅発性に,M-CSF は比較的早期にmRNA 発現が誘導されることが示された。

放射線刺激により誘導される各種遺伝子発現に対して阻害薬の与える影響

先の実験結果 (図 4) から全ての細胞株において,放射線と細胞応答の相関性が高いことが示された,中でも,ヒト結腸癌細胞株 (SW480) が最も放射線ダメージからの回復が良好であったことから,本実験以降ではヒト結腸癌細胞株 (SW480) を選択し IL-34

および M-CSF の発現制御機構を検討した。既報より,IL-34 の発現は転写因子である NF-kB

の関与19)が M-CSF の発現は,非受容体型チロシンキナーゼ ABL1 の関与18)が報告されているため,それぞれの阻害剤の存在下に放射線による発現誘導効果を調べた。具体的には,SW480 を 1x105 個,

φ10cm シャーレに播き,その 24 時間後に,NF-kB

阻害薬 (BAY11-7082),5 μM または Bcr-Abl の特異的阻害薬 (ST1-571),10 μM を各培養上清に添加し,その 1 時間後に放射線照射 (20 Gy) を行った。照射後 0, 24, 48 , 72 , 96 時間の各時点で細胞を回収し,下記の手順で RNA 抽出および qRT-PCR によるmRNA 発現解析を行った。

その結果,ST1-571 処理下では M-CSF の mRNA

発現レベルは有意に低下したものの, IL-34 のmRNA 発現レベルに差は認められなかった (図 6A)。一 方 で, BAY11-7082 処 理 下 で は,M-CSF のmRNA 発現レベルの変化は認められなかったが,IL-34 の mRNA 発現レベルは有意に低下した (図6B)。以上から,放射線刺激誘導される M-CSF とIL-34 の mRNA 発現機序はそれぞれ固有のシグナル経路であることが示唆された。

放射線連続刺激に対する癌細胞株における mRNA

発現変化放射線単回照射に対する IL-34 および M-CSF の

mRNA 発現誘導パターンが異なり (図 5),さらにそれらの発現誘導機序が異なること (図 6A. B) を受け,次に放射線連続照射に対する IL-34 および M-CSF

の mRNA 発現を調べた。図 3 の Time schedule に従い,SW480 を 1×105 個,φ 10cm シャーレに播き,その 24 時間後から,24 時後を D1 とし,一週間毎に放射線照射 (20 Gy) を計 9 回 (D9 まで),9 日間にわたり実施し,各時点で RNA 抽出,mRNA 発現解析を行った。また,初回照射 (D1) と最後の 9 回目照射 (D9) の RNA 抽出サンプルについては,IL-34 の固有の受容体である PTPRZ1 および CD138 の遺伝子発現も調べた。

その結果,M-CSF の mRNA 発現レベルは 3 回目の X 線照射をピークに横ばいとなったものの,IL-34

の mRNA 発現レベルは X 線照射の回数依存的に発現が増加し,7 回目の照射でピークに達した (図7A)。以上から放射線の継続的暴露により IL-34 のみが誘導されることが分かった。この所見は長期の抗がん剤暴露により IL-34 のみが高発現することを示した先行研究 4)と符合する結果となった。また,CSF-1R 以外の IL-34 の受容体である,PTPRZ1 および CD138 の発現が,9 回目の放射線連続照射において認められなかったため,IL-34 の Autocrine 機構に両者が関与していないことが示唆される (図 7C)。

35

放射線治療抵抗性における IL34 の役割 177

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0

3

6

9

12

15

0h 24h 48h 72h 96h

PBSSTI-571

0

3

6

9

12

15

0h 24h 48h 72h 96h

PBSSTI-571

M-C

SFfo

ld in

duct

ion

IL-3

4fo

ld in

duct

ion

M-C

SFfo

ld in

duct

ion

IL-3

4fo

ld in

duct

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0

3

6

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12

15

0h 24h 48h 72h 96h

PBS

BAY11-7082

0

3

6

9

12

15

0h 24h 48h 72h 96h

PBSBAY11-7082

A B

図 6. 結腸癌細胞株 SW480 において誘導される M-CSF および IL-34 の発現機序の解析(A) Abl に対する分子標的薬 (ST1-571) 5 μM 投与および X 線照射後 96 時間での M-CSF と IL-34 の mRNA 発現

レベルの比較を示す(B) NF-kB 阻害薬 (BAY11-7082) 10 μM 投与および X 線照射後 96 時間での M-CSF と IL-34 の mRNA 発現レベ

ルの比較を示す

考 察

我々は最近の先行研究4)で,反復した抗がん剤 (ドキソルビシン) 刺激が,肺がん細胞に抗がん剤耐性化をもたらし,また,抗がん剤耐性株に IL-34 が持続的に高発現することが分かった。その抗がん剤耐性は IL-34knockout 処理により消失したことからIL-34 が重要に関与することが示された。同様に,他のがん種においても抗がん剤刺激 (シスプラチン)

の単回刺激により IL-34 が一過性に誘導され,長期暴露によりドキソルビシンと同様な IL-34 の持続的高発現が生じる所見を得た (未発表)。上述したように,IL-34 はがん細胞内の薬剤耐性機序 (内因性機序) を示す一方で,腫瘍微小環境において Paracrine

式に抑制性 M2 マクロファージを介した抗腫瘍免疫の抑制 (外因性機序) をもたらすことが考えられている。化学療法と同様に放射線照射はがん細胞のアポトーシスおよび周囲環境の抗腫瘍の活性化をもたらすことが知られるが,その過程でがん細胞の DNA

損傷や活性酸素の産生亢進など細胞内ストレスを誘発する。そのため,本研究では,先行研究に因んで

放射線治療における IL-34 の抗がん治療耐性機序の解明を試みた。図 5 の結果より,各種の大腸がん,前立腺がんに

おいて,放射線刺激により IL-34 および M-CSF のmRNA 発現は上昇したが,それらの発現ピークは異なり,M-CSF では照射後比較的早期 (24〜48 時間)

であるのに対し,IL-34 では遅発性 (72〜96 時間) であった。さらに図 6 からその作用は従来の報告どおり,IL-34 は NF-kB を,M-CSF は ABL の作用を介していることが分かった。M-CSF の発現は,細胞増殖作用を有する非受容体型チロシンキナーゼであるABL1 が M-CSF のプロモーター領域に動員され発現を調節しているとされており18),IL-34 の発現には転写因子である NF-kB が関与していることが報告されている19)ことから,放射線照射により IL-34 と M-

CSF が誘導される機序は既報に示す機序であることが確認された。その一方で,放射線の反復照射により長期暴露処理を行ったところ,M-CSF の発現は有意な上昇を認めなかったが,IL-34 では発現誘導が時間経過とともに顕著に認められた (図 7A)。この所見は,反復した抗がん剤暴露において IL-34 の恒常

36

遠藤 拓 Muhammad Baghdadi ら178

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Nor

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to A

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A

C

0

25

50

75

100

D1 D9

PTPRZ1

0

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50

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100

D1 D9

CD138

Fold

indu

ctio

n (D

1=1)

Fold

indu

ctio

n (D

1=1)

Fold

indu

ctio

n (D

1=1)

SW480-N SW480-R: 20G X 4B

0

0.0001

0.0002

0.0003

0.0004

0.0005

0.0006

0.0007

0.0008M-CSFIL34

*:P < 0.05

*

** *

0

25

50

75

100

D1 D9

CSF1R

*:P < 0.05

*

図 7. 結腸癌細胞株 SW480 において X 線反復刺激により誘導される M-CSF およびIL-34 の発現機序の解析(A) X 線連続照射での M-CSF と IL-34 の mRNA 発現レベルの比較を示す(B) X 線連続照射前後の細胞の顕微鏡観察下における様子を示す(C) X 線連続照射での CSF1-R,CD138,PTPRZ1 の mRNA 発現レベルの比

較を示す

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放射線治療抵抗性における IL34 の役割 179

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放射線

がん細胞

放射線耐性がん細胞

治療抵抗性

M2-腫瘍関連マクロファージ

IL-34

放射線耐性がん細胞

CSF1R

CSF1R

Pro-tumorigenic functions ↑

腫瘍微小環境の修飾

CD138+ 細胞

PTPRZ1+細胞

?

図 8. 本論文要約の図解

的な高発現が生じがん細胞の生存活性を高めるとともに,がん病巣における腫瘍免疫応答の抑制を形成する現象が放射線治療耐性にも関連する可能性が示唆された。

また,図 7C に示すように,IL-34 の受容体他の受容体として,新規に発見された PTPRZ1 や CD138

の発現性を比較したところ,各種細胞において放射線刺激に応じた反応が示されなかったのに対し,CSF-1R の発現が増加する所見が認められ,がん細胞の Autocrine 作用が自身の ligand と receptor の発現増加により相乗的に誘導され,抗アポトーシスを支持する可能性も示唆された。

放射線治療下の腫瘍微小環境は,低酸素状態になっており,がん細胞への酸素供給量を抑制することとで腫瘍増殖を抑制すると言われている。しかし,低酸素状態は HIF-1 (Hypoxia-inducible factor 1) という転写因子を活性化させ,その HIF-1 が早期の腫瘍増殖に寄与しているという報告もある 20)。また,IL-34 に関しても低酸素状態において発現が誘導さ

れるという報告もあるので21),今後,さらに放射線曝露による IL-34 の腫瘍微小環境への作用を精査する必要性があり,放射線療法との併用として IL-34

標的治療の可能性についても探索していく。

謝 辞

本研究は,主に北海道大学遺伝子病制御研究所,免疫生物分野にて,清野研一郎教授,Muhammad

Baghdadi 講師のご指導の下進めてまいりました。ご協力を賜りました皆様にこの場をお借りして深く御礼申し上げます。

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1 Division of Immunobiology, Institute for Genetic Medicine, Hokkaido University2 Department of Obstetrics and Gynecology, St. Marianna University School of Medicine

Abstract

Radiation-induced Interleukin-34: A Potential Role in Radioresistance

Hiraku Endo1, 2, Muhammad Baghadadi2, Kozo Ishikawa2, Eriko Ezawa2, Yui Umeyama2, Haruka Wada2, Nao Suzuki1, and Ken-ichiro Seino2

Radiotherapy is one of the first-line strategies for cancer treatment. However, radioresistance remains a ma‐jor obstacle against effective radiotherapy. Recent advances in cancer research have underlined several intrinsicmechanisms that render cancer cells radioresistant. Additionally, cross-talk between tumor and myeloid cells inthe tumor microenvironment (TME) comprises an important extrinsic mechanism that effects tumorigenicity andtherapeutic resistance. Thus, factors affecting the biology of myeloid cells are expected to contribute to radiore‐sistance and may serve as novel therapeutic targets to overcome radioresistance. Interleukin-34 (IL-34) is a hem‐atopoietic cytokine that acts as a second ligand of CSF1R, in addition to the previously well-known ligand M-CSF. Both M-CSF and IL-34 regulate survival, proliferation and differentiation of myeloid lineage cellsincluding monocytes, macrophages and osteoclasts. Importantly, IL-34 can be induced upon cellular stress andcontributes to the pathogenicity of various diseases. In this study, we examined whether IL-34 expression couldbe induced in radiation-stressed cancer cells. In prostate and colon cancer cells, both M-CSF and IL-34 expres‐sions were induced upon exposure to radiation. M-CSF expression showed a tendency to increase during theearly phases (24-48 h), whereas IL-34 expression increased at later phases (72-96 h). Using various pharmaco‐logical inhibitors, we found that M-CSF and IL-34 expressions were regulated differentially by Abl and NF-kB,respectively. Repeated radiation exposure results in induced expression of both M-CSF and IL-34, with the ex‐pression of IL-34 stronger than that of M-CSF, consistent with its relation to chronic inflammatory conditions.Taken together, our results show that both M-CSF and IL-34 can be induced in radiation-stressed cancer cells,with a tendency for IL-34 to dominate upon repeated radiation exposure, which suggests important roles forIL-34 in radioresistance. Future work will focus on the impact of IL-34 on radiation-treated TME and the thera‐peutic potential of IL-34 targeting when accompanied by anti-cancer radiotherapy.

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