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監修 川崎医科大学 リウマチ・膠原病学 教授 守田吉孝 先生 わたしが バイオ製剤治療を はじめた理由 ~関節リウマチに負けない、自分らしい ライフスタイルの実現を目指して~ ~関節リウマチに負けない、自分らしい ライフスタイルの実現を目指して~ 患者さんの声と医師・看護師の声 施設名 本冊子作成にあたり、インタビューにご協力いただいた患者さんに、 心より感謝申し上げます。 HUR1231AKA 71D279 20127月作成 〒112-8088 東京都文京区小石川 4-6-10 〒108-6303 東京都港区三田 3-5-27 監修 崎医科大学 リウマチ・膠原HUR1231AKA 71D279 2012 7 月作1 1 2 - 8088 東京文京区小石 4 - 6 - 1 0 1 0 8 - 6303 東京港区三3 - 5 - 2 7 写真はイメージです。

わたしが バイオ製剤治療を はじめた理由監修 川崎医科大学 リウマチ・膠原病学 教授 守田吉孝先生 わたしが バイオ製剤治療を はじめた理由

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Page 1: わたしが バイオ製剤治療を はじめた理由監修 川崎医科大学 リウマチ・膠原病学 教授 守田吉孝先生 わたしが バイオ製剤治療を はじめた理由

監修川崎医科大学 リウマチ・膠原病学 教授

守田吉孝先生

わたしがバイオ製剤治療をはじめた理由~関節リウマチに負けない、自分らしいライフスタイルの実現を目指して~~関節リウマチに負けない、自分らしいライフスタイルの実現を目指して~

患者さんの声と医師・看護師の声

施設名

本冊子作成にあたり、インタビューにご協力いただいた患者さんに、心より感謝申し上げます。

HUR1231AKA71D279

2012年7月作成〒112-8088 東京都文京区小石川4-6-10〒108-6303 東京都港区三田 3-5-27

監修川崎医科大学 リウマチ・膠原病学 教授

守田吉孝先生HUR1231AKA

71D2792012年7月作成〒112-8088 東京都文京区小石川4-6-10〒108-6303 東京都港区三田 3-5-27

写真はイメージです。

Page 2: わたしが バイオ製剤治療を はじめた理由監修 川崎医科大学 リウマチ・膠原病学 教授 守田吉孝先生 わたしが バイオ製剤治療を はじめた理由

■「医療費が心配」というあなたへ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P16

■病気とうまく付き合い、一人で抱えこまないために ・・・・・・・・・・P18

■おわりに ~守田先生からのメッセージ~・・・・・・・・・・・・・・・・P19

はじめに わたしがバイオ製剤治療をはじめた理由~関節リウマチに負けない、自分らしいライフスタイルの実現を目指して~

2 3

P6

P8

P12

P4

バイオ製剤は、こんなお薬です<バイオ製剤と自己注射の基礎知識>

H.Uさん31歳 介護職発症8年でバイオ製剤開始

思うようによくならず、仕事と薬を変える日 ・々・・。

P10

P14

E.Sさん62歳 自営業発症23年でバイオ製剤開始

痛みで身動きがとれない。女房に支えられ、なんとか乗り切る日々。

A.Tさん60歳 主婦発症2年でバイオ製剤開始

タオルが絞れない。重いものが持てない。さまざまな支障があらわれた。

インタビュー①

インタビュー③

インタビュー⑤インタビュー④

インタビュー②

R.Aさん56歳 主婦発症6ヵ月でバイオ製剤開始

なかなか診断がつかず、痛みにもだえる生活が続いた。

M.Iさん38歳 看護師発症6ヵ月でバイオ製剤開始

節々の痛みが増し、仕事を続ける自信が揺らいだ。

一人でも多くの患者さんが、もっと笑顔になれることを願って。

 バイオ製剤という新たな薬の登場で、関節リウマチ治療は大

きく進歩を遂げました。現在、関節の腫れ・痛みなどの症状を

抑えるとともに、関節が壊れることを防ぎ、「寛解※」と呼ばれる

状態を達成することが可能になっています。また、ご自身のライフ

スタイルに合わせて治療を選択することができます。自己注射

もその一つです。

 バイオ製剤治療や自己注射に対する不安を少しでも減らすこと

ができないかと、すでにその治療を行っている患者さんたちの声

を集め、一冊の冊子にまとめました。

 この冊子が、多くの患者さんの積極的な治療選択の一助と

なり、自分らしい生活を送るきっかけになれば幸いです。※病気の勢いが完全に落ち着き、進行が止まった状態。

川崎医科大学 リウマチ・膠原病学 教授

守田 吉孝

協力:川崎医科大学附属病院 外来看護副師長 西村 瑞穂   川崎医科大学 リウマチ・膠原病学研究室 研究補助員 楠本 亜幸実

かんかい

Page 3: わたしが バイオ製剤治療を はじめた理由監修 川崎医科大学 リウマチ・膠原病学 教授 守田吉孝先生 わたしが バイオ製剤治療を はじめた理由

バイオ製剤は、こんなお薬です<バイオ製剤と自己注射の基礎知識>

4 5

●バイオ製剤のお薬には、どんな種類があるの?

バイオ製剤は、関節の腫れ・痛みを抑えるだけでなく、関節が壊れて変形

することも防ぐことが期待されるお薬です。特徴のひとつは、注射で

投与することです。現在、日本では6種類のバイオ製剤が使用されており、

投与方法や作用のしかたなど、さまざまな違いがあります。皮下注射が

よいのか、点滴注射がよいのか、医師としっかり相談しながら自分

のライフスタイルに合ったお薬を選びましょう。

自己注射の方法は、病院できちんと指導を受けることができます。医師・看護師にご相談ください。

●注意すべき副作用は?日常生活で気をつけることは?バイオ製剤は、免疫機能に働きかけるため、特に感染症に注意する必要があります。日頃の生活で大切なのは、感染症予防を心がけることです。いつもと違う症状を感じたら、医師・看護師にご相談ください。

感染症予防の心得□適度な運動と、十分な栄養を。□うがい、手洗いをしっかりと。□定期受診を欠かさず、 体調の変化に気をつけて。

こんな症状は、医師に相談を。□発熱□息苦しさ□皮膚の発疹□血圧の低下※インフルエンザ予防などワクチンの接種を 受けたい時も、事前に医師にご相談ください。

◆日本国内で使用できるバイオ製剤一覧(2012年6月現在)◆

●自己注射って、誰でもできるものですか?自己注射は、医師・看護師の指導を受け、正しく実施できると判断されればはじめることができます。自己注射が難しいと思われる場合は、引き続き医療機関で注射を行います。

点滴注射の場合、医療機関で点滴を受ける必要があります。皮下注射の場合、医療機関で注射を受けるほか、ご自宅で注射を打つことができる場合もあります(自己注射)。通院事情、仕事や家事の都合、ご自身のライフスタイルなどを考慮しながら、医師と相談のうえ適切なお薬を選びましょう。

●皮下注射と点滴注射って、どんな違いがありますか?

使用方法

◆皮下注射(自己注射)…お腹、太ももなど皮膚の下の 脂肪部分にゆっくり注入します。

◆点滴注射…腕などの静脈内に投与します (約30分~2時間)。

作用のしかた

投与間隔

商品名

一般名

投与場所

投与方法

アダリムマブ

炎症にかかわる「T細胞」の活性化を調整する。

医療機関または自宅 医療機関

エタネルセプト

エンブレル

週1回または週2回

ヒュミラ

2週に1回

シンポニー

ゴリムマブ

4週に1回

レミケード

インフリキシマブ

初回投与後、2週後と6週後。それ以降は8週ごと。

(場合により4週ごと)

炎症をひきおこす「TNF」のはたらきを抑える。

オレンシア

アバタセプト

初回投与後、2週後と4週後。以降は4週ごと。

アクテムラ

トシリズマブ

4週に1回

炎症をひきおこす「IL-6」のはたらきを抑える。

自己注射できません

皮下注射 点滴注射

約1~2時間の点滴 約1時間の点滴 約30分の点滴自己注射できます

Page 4: わたしが バイオ製剤治療を はじめた理由監修 川崎医科大学 リウマチ・膠原病学 教授 守田吉孝先生 わたしが バイオ製剤治療を はじめた理由

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インタビュー① H.Uさん

31歳/介護職発症8年でバイオ製剤開始

きっとよくなると信じて。わたしらしく生きるための

挑戦でした。

■思うようによくならず、仕事と薬を変える日 ・々・・。 からだの異変は、まず足の裏にあらわれました。ヒール靴で痛めたかな?

くらいに思っていましたが、検査の結果、関節リウマチと分かり、あちこちの

関節が順番に腫れていきました。寝たきりの方の世話をする仕事は体力

的にきつく、結局辞めることに。以来、介護でもからだの負担が少ない仕事

を選び、薬も次々に変えて、なんとか病気と付き合っていく毎日でした。

■新たな病院で、新たな治療にチャレンジしてみよう。 周りに迷惑をかけて申し訳ないと思っていたある日、紹介された専門医

からバイオ製剤を勧められました。初めて聞く名前でしたが、チャレンジ

してみようと思いました。医療費が心配でしたが支援制度もあるし、主人と

両親も「からだが楽になるならはじめたほうがいい」と応援してくれました。

さらに自己注射にも挑戦することに。初めは絶対ムリと思っていたのですが、

看護師さんの「自宅で打つのが難しくなったら、病院で一緒にやろうね」の

一言で、気持ちがすごく楽になりました。やってみると意外と簡単で、一人で

ちゃんと打てています。わたしの使用している薬は2週間に1回の注射で

済むので、生活のスタイルを変えることなく助かっています。

※プライバシーを考慮して、個人が特定されないよう一部改変しています。※掲載内容にみられるような効果は、全ての患者さんに当てはまるものではありません。また、特定の薬剤についての効果・安全性をお伝えするものではないことを、何とぞご了承ください。

医師・看護師の声

自己注射の不安は、わたしたち看護師まで気軽に相談を。

 自己注射をはじめる前は、「わたしでもできますか?」と言われる方がほとんどですが、実際にはじめてみると、「意外と簡単だった」「はじめてよかった」という声が多いように思います。自己注射の方法は医療機関できちんと指導しますので、不安や心配ごとは遠慮なくご相談ください。仕事などで通院時間がとりづらい方には適した治療法ではないでしょうか。 H.Uさんは「自宅で自分のペースで治療ができるので、気持ちに余裕ができた」と話されています。新たな一歩を踏み出すお手伝いができたかなと思い、わたしたちも嬉しいです。

生活に支障があるなら、さらに適切な治療はないか主治医に相談してみましょう。 H.Uさんのように、関節リウマチの症状で「思うように働けない」方は、多くいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、ここ数年で治療は大きな進歩を遂げました。働きたいという希望を伝えたうえで、さらに適切な治療はないか医師に相談してみるとよいでしょう。治療費が心配でも、公的な支援制度が活用できる場合もあります。 H.Uさんは、仕事に差しさわりがなくなったことをとても喜んでいらっしゃいました。また、「この冬は、友人と趣味のスノーボードを楽しみました」と話されており、いきいきと生活されている様子が伺えます。

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38歳/看護師発症6ヵ月でバイオ製剤開始

※プライバシーを考慮して、個人が特定されないよう一部改変しています。8 9

インタビュー② M.I さん

■節々の痛みが増し、仕事を続ける自信が揺らいだ。 初めは手首に痛みを感じました。指の関節が腫れてだんだん歩くのも

辛くなり、これはおかしいなと。ほかの膠原病も患っていたので、それに

加えて関節リウマチとは・・・。本当にショックでした。その頃は、表情もかなり

暗かったと思います。この痛みがずっと続くのかと思うと、ハードな仕事を

続ける自信がなく、いつしか転職を考えるようになっていました。

■医療は日々進化している。だから新しい治療に不安はなかった。 転職について相談すると、先生から「しんどい時に重大な決断をすると

後悔するかもしれないよ。新しい環境がストレスになることもあるし」と

言われ、その通りだなと思いました。幸い今の職場の理解が得られ、勤務

シフトを考慮してもらえたり、力仕事を代わってもらえるようになりました。

そしてバイオ製剤治療をはじめることに。関節リウマチの治療はすごく進歩

しているし、新しい治療だからむしろ安心だと思いました。今ベストを

尽くして、将来の生活と関節を守りたいと思ったんです。仕事をずっと続け

ていきたいと思っていたので、仕事と治療を両立できるか心配でしたが、

先生と相談してバイオ製剤で治療することにしました。

新しい治療だからこそ安心できる。今は明るく職場復帰しています。

※掲載内容にみられるような効果は、全ての患者さんに当てはまるものではありません。また、特定の薬剤についての効果・安全性をお伝えするものではないことを、何とぞご了承ください。

関節リウマチはストレスが大敵。休養も大切です。

 日々の生活の中で、ストレスは誰にでもあると思います。仕事をされていると尚更でしょう。関節リウマチは、ストレスによって悪化することもあるため、ゆっくり休養をとるなどしてストレスをためないように心がけましょう。 M.Iさんは、病気の相談をしたことで「職場の理解が得られ、働く環境が改善された」と喜ばれています。ストレスを上手にコントロールしていることが、今のよい状態につながっているのかなと思います。

早期からの積極的な治療が、将来の生活を守ることにつながります。

 関節リウマチ治療のポイントは、将来の日常生活を守るために早いうちから積極的に治療を行うことです。M.Iさんはこうした点を理解したうえで、バイオ製剤治療をはじめることを決めました。症状は現在、かなり和らいできたようです。表情も晴れやかになりました。 以前は転職を考えられていた時期もありましたが、今では明るい気持ちで職場復帰できたと聞いています。前向きに治療を続けながら、仕事とうまく両立していけるといいですね。

医師・看護師の声

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※プライバシーを考慮して、個人が特定されないよう一部改変しています。10

56歳/主婦発症6ヵ月でバイオ製剤開始

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インタビュー③ R.Aさん

■なかなか診断がつかず、痛みにもだえる生活が続いた。 朝ベッドから起き上がれない。家族のお弁当作りが辛い。特に背中・肩の

痛みがひどく、病院に行ってもなかなか原因が分かりませんでした。半年後、

今の病院で関節リウマチと分かり、「これでちゃんとした治療が受けられる」

とほっとしました。

■わたしにもできた、自己注射。 関節の炎症が強いこともあって、先生からバイオ製剤を勧められました。

不安よりも、今の痛みをどうにかしたい想いでいっぱいでした。副作用が

怖くないといったら嘘になりますが、メリットとデメリットを比較したら、

わたしのからだには必要な薬だろうと思いました。ただ自己注射は「とんで

もない、いやです」と受け入れられませんでした。心境が変わったのは、看護

師さんのおかげ。やり方を手取り足取り教えてもらい、「ほかの患者さんも頑

張って打っているよ」と聞き、わたしも頑張ろうと思いました。

 家で注射を打つのに、1回目は緊張しましたが思い切ってさしたら意外

と簡単でした。1回できたら、あとはもう慣れたものです。今は全然怖く

ありません。痛みを減らすコツは時間をかけてゆっくり液を入れることです。

『すぐ慣れるし、わたしにもできたよ』って、みんなに伝えたいです。

※掲載内容にみられるような効果は、全ての患者さんに当てはまるものではありません。また、特定の薬剤についての効果・安全性をお伝えするものではないことを、何とぞご了承ください。

注射の痛みを和らげるポイント。 R.Aさんは自己注射の手技をすぐに覚え、今では自信を持って自分で注射されています。「注射の痛みが心配」という方もいらっしゃいますが、打ち方にはいくつかコツがあります。注射部位を冷やす、液は時間をかけてゆっくりと入れる、などが痛みを減らすポイントです。必要に応じて自己注射の補助具も活用できます。 ご年配の方でも、みなさん本当に頑張って自己注射を行っていて、わたしたちも感心しています。

炎症をしっかりと早く抑えることが関節リウマチ治療では大切です。

 関節の炎症が強くひどい痛みに悩まされていたR.Aさん。軟骨や骨を傷つけないうちに炎症をしっかりと抑えることが関節リウマチ治療ではとても大切です。 R.Aさんは今では関節炎がおさまり、寛解※状態となっています。娘さんに「お母さん、わたしよりシャキシャキ動いているよ」と言われるそうです。家事などで日常生活に困ることはなくなり、家族旅行も前より楽しめるようになったと聞いています。症状を改善することに加え、 日常生活を取り戻すことも大切な治療目標です。※病気の勢いが完全に落ち着き、進行が止まった状態。

かんかい

医師・看護師の声

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60歳/主婦発症2年でバイオ製剤開始

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インタビュー④ A.Tさん

■タオルが絞れない。重いものが持てない。さまざまな支障があらわれた。 なんとなく階段が降りにくいと思っていたら、今度は手が腫れ、痛みまで

出てきました。ほとんど病気をしたことがなかったわたしですが、これは

病院に行かなくてはいけないと思いました。すぐに関節リウマチと診断

されました。いろいろな動作に支障が出てきて、パートタイムで働いていた

定食屋さんは、残念ながら辞めざるをえませんでした。

■時間にしばられずに治療できる。わたしには大きなメリットでした。 飲み薬による治療だけでは関節リウマチがよくならず、先生からはバイオ

製剤治療を勧められました。よくなればステロイド薬を減らせるし、しかも

自己注射だと時間にしばられずに治療できると思いました。一方で「注射は

怖いな」という気持ちもありました。でも、病気が進行しないうちにはじめた

ほうがよいし、今なら関節の変形も防げるかもしれない。それに他の患者さん

も挑戦しているのだから、わたしにだってやれるはず、と決心しました。

 抵抗のあった注射ですが、やってみると意外とできるもの。2週間に1回、

わたしは夜寝る前、お風呂上りに打っています。今では注射への抵抗感はな

くなり、自己注射も自信をもってできています。

やれることはやろう。自分に合った治療を受け、平穏な毎日を送っています。

※掲載内容にみられるような効果は、全ての患者さんに当てはまるものではありません。また、特定の薬剤についての効果・安全性をお伝えするものではないことを、何とぞご了承ください。

ご自身のライフスタイルに合わせて、自己注射という選択肢もあります。

 A.Tさんのように希望するライフスタイルを実現するための手段のひとつとして、自己注射を選ばれる方もいらっしゃいます。また、「自分で注射できている」という自信が患者さんを前向きにしていると感じます。 まずは医師、看護師にご相談ください。わたしたちがしっかりサポートいたします。

かんかい

治療を続け、寛解※を目指していきましょう。

 からだに異変を感じてすぐに受診されたA.Tさんは、治療にも積極的で、現在はすっかり関節の腫れ・痛みもなくなっています。日々の家事をこなしながら好きなお花を育て、マイペースにゆったり暮らせる毎日が気に入っているとのこと。これから好きな運動にもチャレンジしたいと話されています。 関節リウマチは治療の進歩で寛解を目指せる時代になりました。ひとりでも多くの方が寛解を達成できるよう、わたしたちも診療にあたっています。※病気の勢いが完全に落ち着き、進行が止まった状態。

かんかい

かんかい

医師・看護師の声

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※プライバシーを考慮して、個人が特定されないよう一部改変しています。※掲載内容にみられるような効果は、全ての患者さんに当てはまるものではありません。また、特定の薬剤についての効果・安全性をお伝えするものではないことを、何とぞご了承ください。14

62歳/自営業発症23年でバイオ製剤開始

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インタビュー⑤ E.Sさん

■痛みで身動きがとれない。女房に支えられ、なんとか乗り切る日々。 歩くだけで、関節がボキボキ音をたてるような感覚でした。痛みがひどく、

移動は松葉杖か車椅子。着替えも入浴も、女房にお願いしなければ何も

できない状態でした。飲食店を営んでいるのですが、厨房にもほとんど立て

ません。店を切り盛りするのも女房に任せきりでした。いつしか思い通り

にならないイライラが不機嫌へとつながり、ビールを飲んで痛みを紛ら

わすこともありました。

■自分らしさを取り戻すため、新しい治療をはじめてみよう。 先生からはバイオ製剤治療をずっと以前から勧められていましたが、

なかなか踏み切れませんでした。しかし全身を襲う痛みには耐えがたい

ものがありました。女房と相談して、「とにかく試してみよう」と。値段が高

い薬と聞いていたので金銭面が心配でしたが、からだはお金には代えら

れない。それに高額療養費制度を利用すれば、負担額は軽くなります。

「合わなければ、他の治療法を考えましょう」という先生の言葉が背中を

押してくれました。

 再び仕事をバリバリすることを目指し、バイオ製剤での治療をはじめました。

これまでの分も夫婦で楽しみたい。仕事と笑顔を取り戻しました。

調子がよいときも体調には気を配り、感染症予防を。

 松葉杖をついていたE.Sさんが、さっそうと歩く姿を見たときは驚きました。これまでは奥さまとともに通院されていましたが、一人で動けるようになって本当によかったです。E.Sさんは「女房には心から感謝している。よくなった分、これからの人生を夫婦で楽しみたい」と話されています。その言葉には実感がこもっていました。 新しい治療をはじめて、気をつけていただきたいことは、感染症予防です。うがいや手洗いを心がけましょう。

病歴が長い方も、症状の改善と不自由の少ない生活を目指しましょう。

 長い間、関節リウマチを患い、日常生活に奥さまのサポートが欠かせなかったE.Sさん。今ではほぼ毎日店で働くことができるようになったそうです。「180度人生が変わった」と話されています。 E.Sさんのように病歴が長い方でもバイオ製剤は有効です。ただし病歴が長い方はさまざまな合併症がある場合も多いので、注意が必要です。患者さんによって状態はさまざまですが、ご自身の状態に合った治療がきっと見つかると思います。医療費が心配な場合は公的な支援制度もありますので、医師に相談してみてください。

医師・看護師の声

Page 9: わたしが バイオ製剤治療を はじめた理由監修 川崎医科大学 リウマチ・膠原病学 教授 守田吉孝先生 わたしが バイオ製剤治療を はじめた理由

「医療費が心配」というあなたへ医療費を補助する、公的支援制度があります。

16 17

●高額療養費制度(2012年4月改定)医療費が高額になり、1ヵ月あたりの自己負担が一定の限度額を超えた場合、

超過した分の金額が補助される制度です。従来は、医療費全額を窓口で

支払ったうえで、超過分が払い戻される

制度でしたが、2012年4月より窓口

での支払い額が自己負担限度額で済む

ようになりました。この新制度の利用には

事前申請が必要となりますので、

詳しくは保険証に記載されている

各保険者に問い合わせてみましょう。

ここに相談しよう!

<国民健康保険>市町村役場の国保窓口、国保組合の窓口

<協会けんぽ(旧・政管健保)、船員保険>全国健康保険協会の各都道府県支部窓口

<その他>健康保険の保険者(各健康保険組合・共済組合の窓口)

窓口での支払い額

差額(45,690円)は後日払い戻し

1ヵ月の自己負担限度額

たとえば、医療費90,090円で、自己負担限度額が44,400円の場合

全額支払った後、超過分が払い戻されます。

◆2012年4月より、こう変わりました。

90,090円

44,400円

窓口支払い額が、自己負担限度額で済みます。※事前申請が必要です。※ご自身の自己負担限度額については、右ページをご参照ください。

わたしも利用しました!「高額療養費制度」「主治医にこの制度を教えていただき、現在もずっと利用しています。医療費の負担が相当減って、毎月の家計がとても助かっています。利用するとしないとでは大違い。手続きもそんなに煩雑ではなかったです(R.Aさん)」

◆高額療養費制度の自己負担限度額<70歳未満の方の場合>

上位所得者(月収53万円以上の方など)

一般

低所得者(住民税非課税の方) 35,400円 24,600円

44,400円

83,400円150,000円+(医療費-500,000円)×1%

80,100円+(医療費-267,000円)×1%

所得区分 1ヵ月あたりの負担上限額(1~3回目)

多数回該当の場合(4回目~)

<70歳以上の方の場合>

現役並み所得者(月収28万円以上などの窓口3割の方)

一般低所得者Ⅱ(Ⅰ以外の方)

低所得者Ⅰ(年金収入のみの場合、総所得金額がゼロの方)

24,600円

44,400円

15,000円

44,400円44,400円

12,000円

8,000円

80,100円+(医療費-267,000円)×1%

(注)「一般」や「低所得者」の区分の方については、多数回該当の適用はありません。

所得区分 外来(個人ごと)

外来+入院(世帯単位)1ヵ月あたりの負担上限額(1~3回目)

多数回該当の場合(4回目~)

そのほかにも「税金の医療費控除」などさまざまな公的支援制度があります。

公的支援制度の多くは、ご自身で申請する必要があり、受けられるサービスや支給金額、利用条件などは自治体によって異なりますので、相談窓口に問い合わせてみましょう。

    ◆健康保険組合の高額療養費「付加給付」健康保険組合が独自で、自己負担額の上限を定めている場合があります。さらに負担が軽くなる場合がありますので、加入している健康保険組合に、高額療養費の付加給付制度がないか、問い合わせてみるとよいでしょう。

まずはこれをチェック

従来の制度 現在の制度(2012年4月改定)

窓口で支払う額が少額で済みます!

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ストレスをためないことが、病気とうまく付き合うことにもつながります。病気・治療について家族や周囲とのコミュニケーションを深め、

一人で抱えこまないようにしましょう。

●日常生活で、辛い動作、力仕事があるときは、 手伝ってもらえないか聞いてみる。

●手伝ってもらったときは、迷惑をかけたと思わず、 感謝の気持ちを伝える。

●落ち込んでいるときは、一人で悩まない。病気や 治療のことを、家族や友人、患者仲間に話してみる。

●家族も一緒に医師・看護師の話を聞いてもらい、 現状を理解してもらう。

関節リウマチ治療を続けていくうえで、家族や職場の理解

を得るのはとても大切なことです。「周りに迷惑をかけて

しまうのでは?」と思って相談をためらってしまう方も多い

のではないでしょうか。一人で抱えこまないために、心がけ

るとよいポイントをまとめました。できそうなことから、

少しずつ実践してみてください。

~守田先生からのメッセージ~

おわりに病気とうまく付き合い、一人で抱えこまないために

18 19

 悩み続けた関節リウマチの症状が、治療によってよく

なった「患者さんの声」には、たくさんの喜びが溢れています。

この「声」を、今現在、病気の治療や将来への不安を抱いて

いる方にお伝えし、希望と勇気をもっていただきたい。その

ような想いで、私たちはこの冊子を作成いたしました。

 本冊子のサブタイトルは「関節リウマチに負けない、自分

らしいライフスタイルの実現を目指して」です。まさにこの

サブタイトルのとおり、本冊子を読まれた患者さん一人ひとり

が、痛みがなく、いきいきとした自分自身を取り戻すことを、

私たちは願ってやみません。