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教員養成系学部における「キャリア教育」の授業実践 ―デジタル時代における社会構造の変化に着目して― 日本教育学会第71回大会(名古屋大学) 一般研究発表【一般A-13】教師教育(a2012825() 9:3010:00 C34教室 小池 翔太 千葉大学大学院教育学研究科 福嶋 千葉大学大学院教育学研究科 藤川 大祐 千葉大学教育学部 お問合せ: [email protected] (小池)

日本教育学会第71回全国大会 キャリア教育web発表資料(小池)

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教員養成系学部における「キャリア教育」の授業実践

―デジタル時代における社会構造の変化に着目して―

日本教育学会第71回大会(名古屋大学) 一般研究発表【一般A-13】教師教育(a) 2012年8月25日(土) 9:30~10:00 C34教室

小池 翔太 千葉大学大学院教育学研究科

福嶋 俊 千葉大学大学院教育学研究科

藤川 大祐 千葉大学教育学部

お問合せ: [email protected] (小池)

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問 題 の 所 在 1

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問題の所在

・コンピュータ技術の発展やインターネットの普及は、

私たちの生活を大きく変えている。

→こうした発展や変化がみられる近年を、

「デジタル時代」と呼んでいく。

・「デジタル時代」は、主に、

①「ムーアの法則」 ②「ソーシャルメディア」

…の2つに象徴される。

1 近年の「デジタル時代」の定義

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問題の所在

・費用あたりの電子機器の性能が1.5年で2倍になるという

経験則(Gordon E. Moore、 Intel Corporation(インテル)の設立者の一人)

・3年で4倍、6年で16倍、12年で256倍になる計算。

→2000年頃の200万円台のコンピュータと同程度のこと

が、実質1万円のスマートフォンで実現できていると考

えても、不思議はない。

・私たちの生活、学術研究のあり方、企業等の業務に大き

な変化が生じており、今後も変化が続いていくことが予

想される。

1 ①「ムーアの法則」とは

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問題の所在

・一般的な定義:インターネット上で「年齢や国籍、身分

などを越えて、誰でも情報発信ができる」

・現実の空間・場所を拡張したことで、民主主義のあり方

や一般の人々と政府との関係について、大きな変化が生

じつつある。

Ex) 2010~「ジャスミン革命」… チュニジアにおいて、

Twitter、Facebook、YouTube等でつながった者たちが

独裁政権を倒すにいたっている。

1 ②「ソーシャルメディア」とは

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問題の所在

・Cathy Davidson(2011)

「2011年度にアメリカの小学校に入学した子ども

たちの65%は、大学卒業時に今は存在していない

職業に就くだろう」

→ 65%という数字は米国を対象とした予測である

が、日本においても今後も社会構造は変化し続けて

いくことを受け入れていくべきだと考えられる。

1 「デジタル時代」の雇用やキャリア形成の変化(1)

※The NewYork Times(2011/8/7)『Education Needs a Digital-Age Upgrade』

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問題の所在

・近年においては、中高生のキャリア形成にも、

ソーシャルメディアなどが大きな影響を与えている。

→実際に、ソーシャルメディアでの情報発信をきっか

けに、多くの大人と議論をしたり、これまでにない

多様な職業に触れたりするなどして、活躍の幅を広

げる中学生や高校生が登場している。

1 「デジタル時代」の雇用やキャリア形成の変化(2)

→3人の中高生の例

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問題の所在 1 【例1】関心ある職種の企業へ突撃取材する高校生

http://mikirepo.blogspot.jp/

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問題の所在 1 【例2】経済学で日常を捉え議論する中学生(当時)

http://togetter.com/li/80310

http://www.gkec.info/

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問題の所在 1 【例3】講演会・学会発表を積極的に行う中学生

http://www.youtube.com/watch?v=pg63A6WaC-c

http://www.ikyosuke.com/

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問題の所在

・「キャリア教育」の定義(1999.12 中央教育審議会答申)

「望ましい職業観・勤労観及び職業に関する知識や技能を

身に付けさせるとともに、自己の個性を理解し、主体的に

進路を選択する能力・態度を育てる教育」

→今後社会構造が変化していくことを前提とした上で、

教師はキャリア教育を実施する必要があるといえる。

1 「キャリア教育」の定義の再考

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問題の所在

・これまでのキャリア教育の実践は、既存の産業に適

応できる人材養成に重点が置かれてきているものが

ほとんどである。

→将来教員となる教員養成学部系学部の学生たちにも、

現代の社会構造の変化を実感し、今出来る最大限の

ことを行っていく必要があることを知らせていかな

ければならない。

1 現状のキャリア教育の問題点と教師教育

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問題の所在

・「ムーアの法則」を考えると、5年後・10年後にど

のような社会であるかを明確に想像することは困難。

→変化の大きな要因となるコンピュータ技術を活用す

るといったことを、変化の実感と伴ってキャリア教

育を行っていくことが今後求められていく。

1 「今出来る最大限のこと」とは

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研 究 の 目 的 2

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研究の目的

1) デジタル時代における社会構造の変化に着目し、

2) 大学の教員養成系学部におけるキャリア教育の指導者を養

成するような授業を開発する。

→どのようなカリキュラムが構成可能かどうかを、実践を通し

て明らかにしていくことが目的。

※そのために、「キャリア教育」の授業のカリキュラムの工夫

を論じた上で、その工夫が妥当であったかを考察していく。

2 大学における「キャリア教育」の授業実践

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「キャリア教育」概要 3

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「キャリア教育」概要

・実践校:千葉大学教育学部,

教育学研究科 専門教育科目

・受講者:110名

(内訳:教育学部1年生31名、2

年生37名、3年生19名、4年生

11名、大学院生11名、工学部4

年生1名)

3 大学における「キャリア教育」の授業実践

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「キャリア教育」概要 3 表1:「キャリア教育」カリキュラムとテーマ一覧

回 テーマ 回 テーマ

1 オリエンテーション 情報モラル講座

9 コワーキングスペースという新しい働き方

2 ソーシャルメディアで読み解く現代のキャリア

10 グローバルな時代に生きること

3 企業内の人材育成、社内教育 11 キャリアカウンセラーと考えるキャリア教育

4 デザイン事務所における新しい仕事 12 新しい時代の子育てとキャリア形成

5 データで読む現代の就労事情 13 地域の子育て問題の解決を目指す「ちば子ども学研究会」

6 批判的に考える従来のキャリア教育(1)

14 キャリアディベロップメントとは

7 批判的に考える従来のキャリア教育(2)

15 社会とつながる教師を目指して

8 批判的に考える従来のキャリア教育(3)

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「キャリア教育」概要 3 カリキュラム全体の7つの流れ

回 テーマ 回 テーマ

1 オリエンテーション 情報モラル講座

9 コワーキングスペースという新しい働き方

2 ソーシャルメディアで読み解く現代のキャリア

10 グローバルな時代に生きること

3 企業内の人材育成、社内教育 11 キャリアカウンセラーと考えるキャリア教育

4 デザイン事務所における新しい仕事 12 新しい時代の子育てとキャリア形成

5 データで読む現代の就労事情 13 地域の子育て問題の解決を目指す「ちば子ども学研究会」

6 批判的に考える従来のキャリア教育(1)

14 キャリアディベロップメントとは

7 批判的に考える従来のキャリア教育(2)

15 社会とつながる教師を目指して

8 批判的に考える従来のキャリア教育(3)

Ⅰ.「デジタル時代」の 社会構造を理解する

Ⅱ.既存の大手産業と人材教育,ベンチャー企業を知る

Ⅲ.近年の就労事情を データから理解する

Ⅳ.これまでのキャリア教育実践を体験する

Ⅴ.「デジタル時代」の新しい働き方を知る

Ⅵ.子育ての現状と問題、解決を理解する

Ⅶ.「デジタル時代」のキャリア教育のあり方を話合う

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「キャリア教育」概要 3 Ⅰ.「デジタル時代」の社会構造を理解する

回 テーマ

1 オリエンテーション/情報モラル講座

2 ソーシャルメディアで読み解く現代のキャリア

・既存の産業を前提とした「キャリア教育」の問題点の提唱

・受講のための3つのルールの紹介と情報モラル講座の実施

(1)授業中の電子端末の利用を必須とする。

(2)Twitterアカウントを取得し、社会との交流をする。

(3)班で最低1回、ブログ記事を執筆する。

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「キャリア教育」概要 3 Ⅰ.補足:授業における3つのルールとねらい

(1)授業中の電子端末の利用を必須とする

→授業の感想の共有を、Twitterで発信してもらい、社会構造

の変化の大きな要因となるコンピュータ技術を理解するため

(2)Twitterアカウントを取得し、社会との交流をする

→社会の変化の先がけとなる様々な業種で働く人・学者を

リスト化して紹介し、日常生活からソーシャルメディアの

可能性を探ってもらうため

※授業でのTwitterの様子は、『Togetter』にて以下のようにまとめた。

http://togetter.com/id/fuji_labo

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「キャリア教育」概要 3 Ⅰ.補足:授業における3つのルールとねらい

(3)班で最低1回、ブログ記事を執筆する。

→ブログ「千葉大生が教える!『新世代職業ガイド』」を作成。

http://blog.livedoor.jp/cechiba/

「デジタル時代」に相応しい

職業・働き方を、中学生にも

わかる文章で書き、職業選択の

幅を広げるように紹介を行う。

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「キャリア教育」概要 3 Ⅰ.補足:ルール(3)ブログ記事のテーマ例

・ソーシャルメディア時代の「人

と人をつなぐ仕事」(新しい

スタイルの求人広告代理店)

・デジタル時代の音楽産業

(ライブハウスの経営)

・変わる社会とものづくり

(印刷関連の業務)

・新しい働き方『メルマガ』

(メルマガコンサルタント)

※ブログ記事のテーマは、各回の授業のテーマに関連したものを予め設定した

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「キャリア教育」概要 3 Ⅱ.既存の大手産業と人材教育,ベンチャー企業を知る

回 テーマ

3 企業内の人材育成、社内教育【ゲスト講師】

4 デザイン事務所における新しい仕事【ゲスト講師】

・第3回:大手印刷企業における、社内教育の具体的な話を聞く

→学校教育に還元できる要素がないか検討を行う

・第4回:クリエイティブ業界に特化した求人サイトの運営

→新規事業に取り組む千葉大学教育学部OGの話を聞く

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「キャリア教育」概要 3 Ⅲ.近年の就労事情をデータから理解する

回 テーマ

5 データで読む現代の就労事情【ゲスト講師】

・『未来の先生に知ってほしい「働く」のこれから』をテーマ

に、若者のキャリア形成の変遷を、データを用いて概観する。

→日本の労働構造・企業を取り巻く環境・就職構造の変化・

有期で働くメリットとデメリット・早期離職の実態・

2020年に望まれる人材(※)を知る。

(※)「他者とのかかわりの中で、期待値を調整し、自分

らしさを発揮できる・環境変化にしなやかに対応できる」

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「キャリア教育」概要 3 Ⅳ.これまでのキャリア教育実践を体験する

回 テーマ

6~8 批判的に考える従来のキャリア教育(1)~(3) 【ゲスト講師・協力】NPO法人企業教育研究会

・第6回: キャリア教育の基礎となるインタビューを、プロの

新聞記者から学ぶ授業(小中高生対象:国語)

・第7回:風力発電を題材とした、エンジニア体験授業

(小中学生対象:総合的な学習の時間・理科)

・第8回:子どもの好きな仕事と職業観の育成。

ゲームを題材とした授業(小中学生対象:算数・数学)

http://ace-npo.org/

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「キャリア教育」概要 3 Ⅴ.「デジタル時代」の新しい働き方を知る

回 テーマ

9 コワーキングスペースという新しい働き方 【ゲスト講師】

10 グローバルな時代に生きること 【ゲスト講師】

11 キャリアカウンセラーと考えるキャリア教育 【ゲスト講師】

・第9回:職場を共有しながら独立した仕事を行うことで、価値観を共有す

ることのできる新しいワークスタイルを知る。

・第10回:高校教諭からアメリカで博士号を取得し、民間企業に就職した

人の人生と、専門である数学と哲学について知る。

・第11回:これまでの講義を振り返って、自分自身のキャリアを考える。

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「キャリア教育」概要 3 Ⅵ.子育ての現状と問題、解決を理解する

回 テーマ

12 新しい時代の子育てとキャリア形成 【ゲスト講師】

13 地域の子育て問題の解決を目指す「ちば子ども学研究会」 【ゲスト講師】NPO法人ちば子ども学研究会

・第12回:NPO法人フローレンスの取り組み。現代の子育て事情とキャリ

アの関係の具体的問題点について。

・第13回:NPO法人ちば子ども学研究会の取り組み。「大人が笑えば子ども

も笑う!」をモットーに、各種勉強会・イベントの企画を、大学等と連携

して行う。 →キャリア教育をするにあたり、子育て・家庭を考えること

が分断できないことを理解する。

http://kodomogaku.exblog.jp/

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「キャリア教育」概要 3 Ⅶ.「デジタル時代」のキャリア教育のあり方を話合う

回 テーマ

14 キャリアディベロップメントとは 【ゲスト講師】

15 社会とつながる教師を目指して

・第14回:元コンサルティング会社で人事を勤めた方が考える「各年齢段階

でのキャリア教育の目的」について。ネット時代の就職活動の不毛さ・

キャリア形成のメリット・学校でのキャリア教育の意義など。

・第15回:これからの「キャリア教育」を俯瞰的に考える。講義・グループ

ディスカッションを行い、板書比較法で解説・議論。

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「キャリア教育」概要 3 Ⅶ.補足:グループ議論で出た意見(一部)

・いろんな人との出会いの場をたく

さん設ける。

・脱コミュニケーション

・学校と社会との連続性向上

・先生のためのキャリア教育

・学んだことへの自信・意義づけ

・「ブラック(企業)」・「コミュ

力(コミュニケーション能力)」

への疑問

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成果と課題 4

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成果と課題 4 授業後アンケートから、授業の工夫の妥当性を考察(1)

■「本講義は、教員養成系学部に必要な講義だ」

■「本講義は、講義の進め方が工夫されていた」

n=82

34% 41% 17% 6%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

とてもそう思う

そう思う

どちらとも言えない

そう思わない

全くそう思わない

SD=0.85

29% 46% 10% 9% 2%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

とてもそう思う

そう思う

どちらとも言えない

そう思わない

全くそう思わない

SD=0.99

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成果と課題 4 授業後アンケートから、授業の工夫の妥当性を考察(2)

■「本講義「キャリア教育」で、印象に残った講義は何ですか? 5番目まで

を、選んでください。」(※下記表は、出現回数ベスト5を抜粋して表示)

■「本講義で、今後とりあげるべき職業・取り組みはありますか?」

→教員関係者(6名),鬱などのマイナス面,ディスカッション(各1名)

(回)/(票数) 1位 2位 3位 4位 5位

第14回 17 11 10 8 5 第8回 11 10 10 4 6 第9回 15 5 3 8 10

第11回 5 5 10 4 9 第6回 4 6 6 9 7

・「キャリアディベロップメント」

の第14回が1位に。

・従来のキャリア教育である第8回・

第6回も、2位・5位に。

・3番目である「コワーキングスペー

ス」の回も、1番目の票数は多い

結果に。

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成果と課題 4 授業後アンケートから、授業の工夫の妥当性を考察(3)

■本講義「キャリア教育」を受けての感想を、自由に記述してください。

○自分のキャリア観を考え直すきっかけになりました。教員養成系学部にこ

そ必要な授業だと思います。(学部2年・男性)

○レールを外れた人や、奇抜な人の話が聞けるとおもしろい。(学部2年・

男性)

●教員養成学部生として、現代の職業を把握するうえでは役だったが、小学

校課程の人とかは実践ではあまり役に立たない事もあったと思う。(学部

1年・男性)

●少し自分たちで考えることが少なかったように思う。(学部2年・女性)

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成果と課題 4 授業後アンケートから、授業の工夫の妥当性を考察(4)

(自由記述より)

○ツイッターを教えてもらえてよかった。(学部2年・男性)「新鮮」等の意見多数

●Twitterいる? 最先端感に酔っているだけでは?(無記名)

●Twitterだけでの感想だと授業の受けっぱなし感が否めない(学部1年・男性)

●ツイッターで出席をとるという話は何だったのだろうか。(学部2年・女性)

23% 34% 22% 12% 5%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

とてもそう思う

そう思う

どちらとも言えない

そう思わない

全くそう思わない

■Twitterなどのソーシャルメディアを使って、これからの「キャリア教

育」を考えていくことは、教員養成系学部にとって必要なことである。

n=82

SD=1.14

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成果と課題 4 まとめ

【成果】

・各回の感想で、 「これからの社会でソーシャルメディアは当たり前になってくる

と思うので、情報社会についていけるように頑張りたい」といった感想を持つ学

生が多くみられた。

→授業の工夫の妥当性は、授業の様子・アンケートからも示唆された。

・学校現場で行われている従来のキャリア教育の実践を模擬授業として体験させるこ

とによって、学校と社会との接続が重要であることに気付くことができる、など

の大きな成果を得ることができた。

【課題】

・キャリア教育とデジタル化の影響とを結びつけることのできる学生が少なかった。

・ディスカッションを豊富にとり、「キャリア教育」の議論を深める必要があった。

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参考文献 Fin

・藤川大祐(2012)「「社会とつながる教員養成」がなぜ求められるのか―情報革

命以降の教師を育てるために―」、藤川大祐編『社会とつながる教員養成に関す

る実践的研究』、千葉大学大学院人文社会科学研究科研究プロジェクト成果報告

書、第249集、pp.52-60、2012.2

・藤川大祐・塩田真吾(2007)「教員養成学部における「キャリア教育」授業の試

み」、『千葉大学教育学部研究紀要』、第 55 巻、pp. 29-35

・藤川大祐編(2006)『企業とつくるキャリア教育』教育同人社

・藤川大祐(2008)『千葉発 企業とつくる先端キャリア教育』千葉日報社

・The NewYork Times(2011/8/7)『Education Needs a Digital-Age

Upgrade』

・瀧本哲史(2011)『僕は君たちに武器を配りたい』講談社

・津田大介(2011)『動員の革命-ソーシャルメディアは何を変えたのか』中公新

書ラクレ