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大学における図書館の位置づけと戦略的経営・広報
大学図書館活性化作戦！イキイキ・ワクワク働くには
平成 19 年度大学図書館職員短期研修
2007 年 10 月 16 日（京都大学）2007 年１１月１３日（東京大学）
お茶の水女子大学 図書・情報チームリーダー
茂出木 理子（もでき りこ）
2
1999 年東京大学情報基盤センター学術情報
リテラシー係
自己紹介 経歴
1985 年東京大学理学部植物学教室図書室
スタート
1985 年
（昭和 60年）
1990 年
（平成 2年）
1995 年
（平成 7年）
2000 年
（平成 12年）
2005 年
（平成 17年）
1991 年学術情報センター
（ NACSIS)目録情報課
1989 年東京大学総合図書
館選書掛
1996 年学術情報センター
（ NACSIS)研修課
2002 年国立情報学研究所
コンテンツ課
2006 年お茶の水女子大学図書・情報課（チー
ム）
3
まず、最初に！！
お茶の水女子大学附属図書館規模（日中の職員数）
FTE 換算で１４名です。
4
【本日の結論】
図書館が活性化するには、組織としての「ビジョン」の共有が必要
5
【本日の結論】
活性化には、戦略的経営が必要
6
【本日の結論】
戦略的経営とは、企画力や広報力など、総合的な要素の集結
7
そもそもなぜ、
活性化しなければいけないのか？？
（現状の危機感）このままじゃヤバイ・・・
大学の中で図書館の存在感がない・・・
8
【本日の結論 】
具体的不幸が可視されていないと改善はできない。
9
（組織から見た）経営とは、
人と金を適切に動かして、組織の目標・理念を達成すること。
10
（個人から見た）経営とは、
チームでイキイキ・ワクワクと仕事をし、理念・目標を達成すること。
11
従って、経営とは
エライ人だけが考えればいいものではない。
12
イキイキ働く（働かせる）
には、個々のメンバーの
主体性 → 貢献感
相互作用 → 成長感
が重要
13
経営とは、
組織のビジョン（理念・目標）をいっしょに働くメンバーが共有し、現場で具現化すること。
＝ どうやったら上手くいくかをみんなで考え、実行する。
14
ビジョンの共有は、
現場で、最適な意志決定をするためにある。
なぜなら、現場は忙しいものだから。
15
さて、巷のサービス業界で、戦略的経営といえば、
「顧客マーケティング」がはやりらしい。
16
最大の○○ではなく、
最高の○○を目指す
スターバックスに学べ !
ムーア , ジョン 著 ; 花塚恵 訳 -- ディスカヴァー トゥエンティワン･ , 2007.8 より
17
NEEDより、 WANTより、
さらに（顧客に）
ワクワク体験を！スターバックスに学べ !
ムーア , ジョン 著 ; 花塚恵 訳 -- ディスカヴァー トゥエンティワン･ , 2007.8 より
18
サービスとは、
１．人の自尊心を満たす
２．人を喜ばせる
３．人を気持ちよくする
19
大学図書館にも
サービスマーケティングが必要（らしい・・・）
20
【本日の仮説】
大学図書館のクライアントは「大学」である
21
クライアントに損をさせてはいけない。
クライアントに嘘をついてはいけない。
（ビジネスの常識）
22
戦略的経営とは、
クライアントに最高のサービスをどうやって提供できるかをチームで考え、実行する。
23
戦略的経営の５ステップ１．現状の把握 「状況」
２．分析 「見解」
３．問いに対する答え 「コンセプト」
４．改善アイディア 「具体案」
５．改善プラン 「実施計画」
24
まず、情況の把握
（＝具体的不幸を可視化する）
つまり、統計データというのは、とっても大事である。
25
しかし、これまでの図書館統計（例えば、蔵書数とか貸出冊数とか）だけでは、顧客のマーケティングはできない。
26
例えば、
来館者の滞在時間？
来館者が何をしているか？
27
では、ここで
お茶の水女子大学附属図書館の統計データを・・・
28
0
5,000
10,000
15,000
20,000
25,000
30,000
35,000
40,000
サービス対象数
お茶大
平均
4,821
9,781
人
国立大学法人附属図書館ランキング（日本の図書館 統計と名簿 2006 による）
29
0
5,000
10,000
15,000
20,000
25,000
30,000
35,000内学生数
お茶大
平均
3,438
7,359
人
国立大学法人附属図書館ランキング（日本の図書館 統計と名簿 2006 による）
30
0
50
100
150
200
250
図書館職員数（専任）
お茶大
平均
8
23
人
国立大学法人附属図書館ランキング（日本の図書館 統計と名簿 2006 による）
31
0
10,000
20,000
30,000
40,000
50,000
60,000
70,000
80,000
90,000
国立大学法人附属図書館ランキング（日本の図書館 統計と名簿 2006 による）
建物総床面積（含む分館）（㎡）
お茶大
平均
4,422
10,832
㎡
32
0
1,000
2,000
3,000
4,000
5,000
6,000
7,000
8,000
9,000
蔵書冊数（千冊）
お茶大
平均
600
1,122
千冊
国立大学法人附属図書館ランキング（日本の図書館 統計と名簿 2006 による）
33
0.0
200.0
400.0
600.0
800.0
1000.0
1200.0
学生１人あたりの蔵書冊数（冊）
お茶大
平均
174,5 152,5
冊
国立大学法人附属図書館ランキング（日本の図書館 統計と名簿 2006 による）
34
0
500
1,000
1,500
2,000
2,500
3,000
図書館開架冊数（千冊）
お茶大
平均
154
454
千冊
国立大学法人附属図書館ランキング（日本の図書館 統計と名簿 2006 による）
35
0
50
100
150
200
250
300
350
400
学生への貸出冊数（千冊）
お茶大
平均
27
70
千冊
国立大学法人附属図書館ランキング（日本の図書館 統計と名簿 2006 による）
36
0.0
10.0
20.0
30.0
40.0
50.0
60.0
70.0
学生１人あたりの貸出冊数（冊）
お茶大
平均
7.99.5
冊
国立大学法人附属図書館ランキング（日本の図書館 統計と名簿 2006 による）
37
0
200,000
400,000
600,000
800,000
1,000,000
1,200,000
1,400,000
1,600,000
1,800,000
2005年度図書館資料費（千円）
お茶大
平均
28,246
244,340
千円
国立大学法人附属図書館ランキング（日本の図書館 統計と名簿 2006 による）
38
0
20,000
40,000
60,000
80,000
100,000
120,000
学生１人あたりの図書館資料費（円）（ 2005 年度）
お茶大
平均
8,216
33,205
円
国立大学法人附属図書館ランキング（日本の図書館 統計と名簿 2006 による）
39
0
500,000
1,000,000
1,500,000
2,000,000
2,500,000
3,000,000
3,500,000
NACSIS-CAT 図書所蔵登録件数（ H19 年 3 月 31 日現在）
お茶大
平均
183,804
410,131
国立大学法人附属図書館ランキング（ NII統計による）
40
0.0
10.0
20.0
30.0
40.0
50.0
60.0
70.0
80.0
90.0
100.0
全国総合目録データベースへの目録データ登録率（２００７年３月末）
お茶大
平均
30.6
38.1
%
国立大学法人附属図書館ランキング（ NII統計による）
41
0
2,000
4,000
6,000
8,000
10,000
12,000
14,000
16,000
18,000
ILL複写依頼件数（平成 18年度）
お茶大
平均
2,964
5,007
国立大学法人附属図書館ランキング（ NII統計による）
42
0
5,000
10,000
15,000
20,000
25,000
30,000
35,000
40,000
ILL複写受付件数（平成 18年度）
お茶大
平均
1,375
6,030
国立大学法人附属図書館ランキング（ NII統計による）
43
0
5,000
10,000
15,000
20,000
25,000
30,000
2007 年外国電子ジャーナルのタイトル数
お茶大
平均
2,411
6,536
千円
国立大学法人附属図書館ランキング（国大図協 EJ タスク集計による）
44
0
50,000
100,000
150,000
200,000
250,000
300,000
350,000
400,000
450,000
500,000
2007 年外国雑誌電子ジャーナル経費 (千円 )
お茶大
平均
17,764
83,207
千円
国立大学法人附属図書館ランキング（国大図協 EJ タスク集計による）
45
0
200
400
600
800
1,000
1,200
1,400
2004 2005 2006 2007
お茶大 全国平 均
タイトル数
国立大学図書館協会電子ジャーナルタスク調査
外国雑誌冊子体購読タイトル数の推移
46
0
1,000
2,000
3,000
4,000
5,000
6,000
7,000
2004 2005 2006 2007
お茶大 全国平 均
タイトル数
国立大学図書館協会電子ジャーナルタスク調査
外国雑誌電子ジャーナルの推移
47
しかし、統計データから問題を読み取るのは結構難しい。
では、どうすればいいのか？
問題解決を数多くこなすことが問題発見能力を伸ばす
48
状況把握のためステップ
１．推論
２．仮説
３．立証、事実関係
そして、４．判断 ５．見解
ここまでで、「問い」ができる
49
そして、「問い」に答えるのが「コンセプト」
「コンセプト」とは、
「何が言いたいのか」を一言で表すこと
50
「コンセプト」を実現するのが、
改善アイディアとプラン
51
ここで大事なこと
上手に自分の考えを人に伝える。
＝コンセプトを言葉にする
＝プレゼン、上司説明、広報･･･ ＝企画書を書く
52
伝えるスタイル
１．背景＋課題
２．問題＋解決
３．気づき＋提案
53
特に、新しいことを起すには、
「気づき＋提案」が必要 気づきとは、
「何か変？」と思うこと
これを「仕事のセンス」と言ったりする
54
「上手に自分の考えを人に伝える」
要するに「プレゼン」
55
「プレゼン」「広報」で大事なことは何か。
プレゼンテーションは、対話力。プレゼンテーションは、相手に、行動をおこしてもらうことを
目的とする。
56
プレゼンテーションの要素は、
「シナリオ力」「身体的能力」「個の魅力」
57
プレゼンテーションは、「イントロ」が全て
プレゼンテーションでやってはいけないこと。練習なしのぶっつけ本番原稿を読みあげる
プレゼンテーションでやるべきこと。ストーリーを作る自分の言葉で語る
58
なぜ、広報に「物語」が必要か（１）
• 広報とは、一方的にこちら（発信側）の主張を述べることではない。
• 情報の受け手をこちらの世界に同調させ、深い理解を得、味方につけたうえで、自分でも気が付かなかった欲求を具現化してあげることである。
• そして、同調してくれた受け手による、自発的な口コミを期待する。
• 広報の主役は、「商品」でもなく、「製作者」でもなく、「（メッセージを）受取ってもらう相手」である。人は、自分が主役の物語になら感情移入できる。
59
• 情報過多なこの時代において、単に情報を出すことだけではアピールにはならない。
• 山のような断片情報をわかりやすく再構成して、提示することが必要。
• 情報過多な時代の広報は、「第一印象」が大事。• 受け手にとって、自分の生活の中で意味を見い
だせるメッセージをまず送ることが必要。
あなたのための、あなただけの物語を提示
＝ 相手の立場にたった説明、広報
なぜ、広報に「物語」が必要か（２）
60
マーケティングの世界でも「物語」が重視されている。
「山川悟著 事例でわかる物語マーケティング：ワクワク感のあるブランドを創る注目のマーケティング手法 2007.10 」
なぜ、広報に「物語」が必要か（３）
口コミしたくなる感情とは？
（なぜ、冬ソナは流行ったのか？）
1. まず、物語に対する「感情移入」。2. そして、自分に（自分の生活に）重ね合
せる。3. 他人を巻き込みたくなる。
61
戦略的経営と広報（プレゼン）
は
非常に密接な関係にある
62
戦略的経営には、 8つの力が必要
１．一言で訴える「訴求力」
２．企画に対する情熱「原動力」
３．実行性をともなった「推進力」
４．チームをまとめる「求心力」
５．人に伝える「伝達力」
６．広く理解が広がる「浸透力」
７．一時的ではない「持続力」
８．原点を忘れない「遡及力」
63
さて、個人としての「イキイキ・ワクワク働きたい！」を叶えるために
⇒チームの中で貢献できて、自分自身が成長していることが実感できる。
64
（心理学的な）やる気のメカニズム
１．緊張系（ネガティブな結果を回避したい）
２．希望系（ポジティブな目標に向かって）
３．持論系（自分で自分のモチベーションを管理できる）「守・破・離」と同じ守：師匠の型を真似る。破：自分なりの発展を試みる。離：型から離れて独自の型を目指す。
65
自信がない・・・
あとちょっと！
やったー！
つまり、こんな感じ！！
66
一方、
個人の達成感、成長感のためには、チームとしての多様性が大事
67
チームとしての多様性とは、平 均 とは違った考え、視点を持つ人がいることを寛容すること。
68
0
50
100
150
200
250
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
全国国立大学図書館職員数（専任）と「例外的ふるまい」率- Kauffman 平方根の法則（物理学） -
お茶大
平均
8
23
職員数（人） 例外率
日本の図書館 統計と名簿 2006 による）
組織の規模による、
メリット・デメリットは
必ずある。
69
個人としてできること
日々の仕事を（目の前のことを）一生懸命やる。
日常に埋没させないために、プラス α を自分に与える。（本来は上司の仕事）
70
ものごとを実行するための
もっとも大事なこと
期限をきめる
71
ここまでのまとめ
組織として、とてつもないゴールを本気で信じる
個人として、日々の仕事を（目の前の仕事を）一生懸命やる
ビジョン
大事なことは仕事の視点
一生懸命やることと、無駄な努力・尽力の違いが分か
る
「チームとは、一緒に考え、行動するためにある」ということが理解できてくる
「自覚・自立なくして、連携なし」
ということが骨身にしみる
ビジョンを仕事で上手く使えるようになる
エンパワーメント
気持ちよく働く場の提供
ビジョン、ミッションの提示と共
有
72
（おまけ） エンパワーメント（ Empowerment ）
１．集まってお互いの話を聞き合い、個人的な問題だと思っていたことが実は社会的な問題であったと気づく。
２．問題を共有化し、仲間意識が高まる。
３．話し合いを深め、問題の本質への理解を深める。
４．実際に解決、改革に向けて行動する。
※ エンパワーメント：使われる分野で定義は多義にわたる。現場経営論では「本来持っている能力を引き出し，権限を与えること」的に使われている。
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お茶の水女子大学での実践例
ご紹介
74
１．課内 FA 制度発足！立ったママ会議の勧めほか
２． 12 万冊移動作戦展開中！
遡及入力がすべてのスタート
３．学内スポンサーを探せ！学生 ILL無料化実現作戦ほか
75
この研修で
やっていただきたいこと
2件
76
１．施設見学での視線を意識
２．職場に戻って、自分の言葉で報告
