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首都大学東京・大学教育センター 高大連携室 / 大学での学び発見室 高校生と新入生のための 充実した大学生活に向けた ナビゲーション

高校生と新入生のための 充実した大学生活に向けた ナビゲー … · 高校生と新入生への助言 力を付けて幸せになるために、大切にしたいこと

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Page 1: 高校生と新入生のための 充実した大学生活に向けた ナビゲー … · 高校生と新入生への助言 力を付けて幸せになるために、大切にしたいこと

首都大学東京・大学教育センター

高大連携室 / 大学での学び発見室

高校生と新入生のための充実した大学生活に向けたナビゲーション

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 せっかく大学に入学したのに、充実した大学生活を送れない学生や、伸び悩む学生が

増えてきています。学部学科選びや大学選びがうまくいっていない学生や高校時代の過ご

し方が偏っていた学生に、そのような学生が多いように感じます。

 有意義な大学生活を送るためには、高校生活と大学1・2年生の生活の中で、自分が

目指す方向、大学で学ぶ目標をしっかり定めること。その目標に対して、「しなくてはいけ

ないこと」を習慣化する努力が必要です。

 しかし、実際の大学というものがどういうものなのか、受け身で知識を詰め込むことから、

知識を自主的に活かし、創造していく新たな学問の世界がどのようなものなのかを把握し

ていなくては、自信を持って高校生活と大学1/2年の生活を有意義に過ごすことは難しい

ものです。

 首都大学東京・高大連携室では、大学教員・学部学生・大学院生が大学1/2年生

と高校生のために様々な活動を行っています。

 これらの活動に参加することで、大学とは何か、大学生活はどのようなものか、将来の

就職を含め社会人として活躍するためにどうあるべきかなどを、より身近に感じることが

できるはずです。そしてなによりも、大学入学後に求められる

  1.多様な経験を自主的に多く積む力

  2.多様なコミュニケーションを多く積む力

  3.努力する気持ちと習慣を身につけていく力

が養えます。

 受験に合格することを主体とした勉強方法から、入学後の自分の目標をしっかりと定めた

勉強の仕方に変えてみてください。

本パンフレット作成者

大学教育センター・高大連携室

教員スタッフ        室長   松浦克美(理工学研究科教授)     副室長 渡辺恒雄(特任教授)      室員  嶋田敬三(特任教授)     室員  島宮道男(特任教授) 大学院生スタッフ (平成 23 年度)     岩田聡実 岩下礼美 菅野菜々子 末吉美佐     熊谷雄人 溝口啓太 山口孔明      

大学で学ぶ目標をしっかりと語ることができますか?

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与えられた枠組みを利用するばかりでなく、 一から自分で段取りする 70%成功、30%失敗程度を目指して実行の目標値とスピードを上げる 実行の過程や結果を絶えず点検し、計画やスケジュールを修正し続ける

1.

2.

3.

1.自主的で多様な体験 2.自主的で多様な   コミュニケーション 3.努力する気持ちと習慣

何のために勉強するか、 何を勉強するか、 どのように勉強するかを、 自分で深く考え実行する

・・・

ステップ1 ステップ 2 ステップ 33 才ー 100 才 15 才ー 100 才 20 才ー 100 才

力を付けて幸せになるために、大切にしたいこと 高校生と新入生への助言

高校生の皆さんは、何を目的に大学に進学しようと考えていますか?大学生の皆さんは、何を目標に大学で学ぼうとしていますか?「何のために勉強するのか?」「何を勉強するのか?」「どのように勉強するか?」を自分で決めることができますか?

首都大学東京では、大学に向けた高校生活と大学1・2年生の生活をフォローします。大学教員・大学生・大学院生による活動を紹介します。

高校生が大学生・大学院生・ 教員と大学生活を語り合う

オープンラボ

1 主体性(自主性) 知識だけではなく、自分の果たすべき貢献は何かを自ら考えて行動できる姿勢。

2 創造力 社会人になった時、自分は他の人がまねのできない何かを生み出し、社会に貢献し、自己表現することで人間として成長できる力。

主体性

創造力 学習力

高校生と大学に入学した皆さんには、「主体性」「創造力」「学習力」を身につけることが求められます。

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大学生が企画した実験教室に高校生が参加

大学教員による講義に受講希望高校生が参加

学び相談コーナー 出張講義

3 学習力 誰かに教えてもらうという受け身の姿勢でなく、自らが進んで学問の基礎を体系的に学び、行動することができて、学生時代だけでなく社会に出てからも継続して学び続けることを習慣化する力。

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高校生活(一般) 大学生活(首都大学東京の場合)

学校生活の基礎単位

・ホームルーム・学年

・ホームルームなし*同じ講義を受講した人やサークル等で知り合った人 と行動

時間制 ・主に学校指定の時間割で行動 ・自分で組み立てた時間割に沿って行動

授業時間 ・1 限が 50 分 (45 分 ) ・1 限が 90 分

課外活動 ・顧問の先生の指導の下、活動する ・自分たちでサークル・部活動の運営、活動を行う

学業面

・教科書に則った授業・実験が中心 ・教科書に則った講義の他に、まだ教科書になっ て いない最先端の研究成果の講義が受けられる。・学外調査研究や先端の設備・機器を利用した本 格的な実験が行える。

行動範囲

・通学圏、部活の遠征先等比較的近い範囲内 ・行動範囲が広がる。例)運動系の部活動では府大戦のため隔年で大阪府立大学へ。ボランティア、旅行などで海外へ。研究のために他大学他研究室へ。etc…

長期休業 ・夏季休業(夏休み)1 カ月程度 冬季休業・春季休業合わせて 1 カ月弱

・春季休業、夏季休業それぞれ 2 カ月程度、冬季 休業は 2 週間程度

図書(室)館・専門的な本もあるが、一般的な本も多い ・一般的な読み物はなく、学術的な書籍、雑誌等

が並んでいる・蔵書数が比べものにならない程多い

1 年生 2 年生 3 年生 4 年生教養科目

専門の基礎を学ぶ専門科目を

深く学んでいく卒業論文の作成

高校生活と大学生活の違い

大学:・カリキュラムや生活スタイル等を自分の意思で決める場所。    ・好きな学問について、時にはまだ答えのない問題を取り上げ、究める場所。

大学生活4年間の流れ

[ 学習・研究活動 ]・教養科目の履修:英語科目 ( 語学科目 ) 情報科目  基礎ゼミナール 幅広い分野の教養科目 ・専攻分野の基礎となる科目 [ 課外活動 ]サークル・部活動、アルバイト など

⇒興味のある分野を調べ、考察し、発表する。文系学生生活の中心。 ⇒その分野の最先端の知識を学び、考える。 ⇒実験の方法や機材の使い方を学ぶ。理系学生生活の中心。 ⇒その分野の最先端の知識を学ぶ。

大学生活前半:1, 2 年 専門分野を深く勉強・研究していく前に、その基礎となる部分を学ぶ。

[ 学習・研究活動 ]・専門科目の履修:文系:ゼミナール  特殊講義 理系:実習 ( 実験 ) 特殊講義 ・卒業論文   : 4 年間の研究の集大成。論文の提出と提出後の口頭試問からなる。卒業への最終関門。 [ 課外活動 ]・サークル・部活動:幹部となり、責任を持ってサークルや部の運営を行っていく。

大学生活後半:3, 4 年 専門分野を深く学び、研究を行いながら進路について考える。

⇒大学での学びの基礎となる「道具」を習得する。 ⇒必要な情報の調べ方、情報に接する態度を学ぶ。 ⇒発表の仕方、自分の意見の伝え方を訓練する。 ⇒「考え方」の基礎、多様なものの見方を養う。 ⇒これまでの研究成果等、研究の基礎となる情報を知る。

⇒比較的多くの時間を割くことが出来る。

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・ 首都大学東京の『基礎ゼミナール』とはなんだろう、と思っていましたが、発表を通じて基礎ゼミナールが、「ただ全員が受けるだけ」の授業ではなく、興味を持ったことを自ら進んで調べ、議論することのできるものだということが分かりました。 もし私が基礎ゼミナールを受講することになれば、率先して多くの人と議論を交わしたいと思います。

・本発表会への出席によって、今まで抽象的にしか想像できていなかった「ゼミ」について、より具体的に知ることができました。これまでゼミとは、ただ教授の話を聞くだけのものだと思っていましたが、実際は「コミュニケーション能力や分析力等を養うことがその本質である」ということがとても印象的でした。

・これまで「ゼミ」がどういうものなのかよく分かっていませんでしたが、本発表を聞いてその実情と大学における意見・質問の重要性を理解することができました。本発表会では質問をすることはできませんでしたが、大学入学後のゼミでは、積極的に発言できるよう努力したいと思います。

・ 本発表会では民法に関する発表があり、私自身法学系の学部に進みたいと考えているため、興味深く聞きました。発表では民法の条文に基づいた結論の導き出し方などが興味深く、法に対して更なる好奇心が生まれてきました。

・自分が一番興味を持ったテーマは「生物多様性の保全と自然保護」です。自然を守るために外来種を駆除するにしても、その順番ややり方を間違えると逆に生態系を壊してしまうということに驚きました。

高校生からの質問例

1.高校時代にやっておくべきこと 2.高校時代の勉強方法 3.どのように進路選択したか 4.大学生活の様子 5.大学での勉強の進め方 6.大学での研究の進め方

首都大学東京の場合  例 2 

「大学体験講座」で、先輩の大学生・大学院生が高校生の質問に応える

高校生の大学での学び体験  大学生の学びの姿が見えてきます

首都大学東京の場合  例 1 

大学1年生有志が企画した「基礎ゼミナール発表会」    参加高校生の感想

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大学で伸びる学生、伸びない学生   高校時代に何をしておいてほしいか!            大学についての高校生へのメッセージ  

 せっかく大学に入学したのに、充実した大学生活を送れない学生や、伸び悩む学生が増えてきています。学部学科選びや大学選びがうまくいっていない学生、高校時代の過ごし方が偏っていた学生に、そのような学生が多いように感じます。 皆さんには、大学に入学した後、充実した大学生活、自分の実力を伸ばせる大学生活を送って欲しいと思います。 そのために、高校時代にできることを、一緒に考えてみたいと思います。

教員による出張講義

大学で伸びる学生

自分が好きな勉強、またはやりたい仕事をもとに学部・学科を選んでいる。

(必ずしも深く考えて選ぶのではなくても良い。)

自分の適性や希望にあっているかをよく調べて、志望大学を決めている。

(同じような名前の学部や学科でも、学べる内容が大きく違うことも多い。)

高校での毎日の授業での勉強をしっかりやって、受験テクニック的な勉強は少しだけしている。

(基礎的な学力がしっかりついているので、それをもとに新しいことを学びやすい。)

授業中は、その場でよく理解しようとしながら授業に集中し、時々自分から手を挙げて質問している。

(授業中にできるだけ理解するような習慣ができると、勉強の能率が上がります。)

何をどのように行うかについて、自分でよく考えて自宅での勉強を進めている。

(自分の勉強について、自分で考える習慣は、とても重要です。)

クラブ活動、学校行事、クラスの活動などに積極的に参加して、時にはリーダー役も務めている。

(新しいことを企画したり、実行したり、問題を解決したり、失敗したりすることが経験になります。)

朝自分で起きて遅刻せずに登校する。毎日 7 時間程度睡眠を取るなどの生活習慣ができている。

(大学では、生活の自由度が上がりますので、高校までに生活習慣がきちんとできていないと、さらに崩れがちです。)

多くの人たち(友人・知人・家族・先生)と、毎日いろいろなことを話している。

(大学や職場で必要なコミュニケーション能力が自然に身についています。)

大学で伸びない学生

将来の職業による収入や安定性のことを考えすぎて、学部・学科を選んでいる。

(職業のことを考えるのは良い。収入や安定性ばかりを考えない。)

大学名や学部名・学科名を頼りに、主に偏差値で志望大学を決めている。

(そのつもりがなくても、大学で何を学びたいかを良く考えないと,そうなってしまいがちです。)

高校での勉強を、受験科目を中心に進めていて、点数を上げるための勉強ばかりに慣れている。

(試験で良い点数を取るためには、テクニックで対応するだけでも良い場合が多い。)

授業ではノートをとることばかりに努め、覚えるのは試験の前にすれば良いと考えている。

(そのような方法で覚えたことは、身につかないことが多い。)

先生の言ったとおりや、今までのやり方どおりに、自宅での勉強を進めている。

(試験で良い点をとるだけが目的の時は、それでもいいかもしれません。)

勉強ばかりが中心の高校生活を送っている。

時々遅刻をしたり、睡眠不足になったりしている。

もっぱら特定の友人としか、毎日話をしていない。

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首都大学東京 教授 松浦克美

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受験勉強と高校生活に悩んでいるあなたへ

高校生になったあなたに合っていると思う勉強方法                                (大学教員である父より)

 あなたは、よく自分で考えて勉強していると思います。塾や予備校に行っている人たちに比べて、今は少しテストの点数が取りにくくなっているかもしれないけれど、あせらずに自分の勉強方法を高めていけば、きっと追いつきます。お父さんが今のあなたに合っていると思う勉強方法を10 項目にまとめてみました。テストのためだけでない「自分のための勉強を自分で考えて欲しい」というのがポイントです。

勉強は自分の力をつけるためということを、いつも考えながら進める。テストの点数をあまり気にしない。ただし、テストの点数が悪すぎると授業がわからなくなったり、自分のやる気が下がったりするので、ある程度の点数はとるようにがんばる。

不得意な科目や単元でも、60 点はとるようにがんばる。特に基本的なこと、次の勉強につながっていくようなところを中心にがんばる。

得意な科目や単元は、80 点をとるようにがんばる。発展的な内容は、自分が特に得意なところ、好きなところを中心にがんばる。

試験勉強は、試験の後もしっかり覚えていられるような方法で勉強する。テストの点数を上げるだけのための一夜漬けのような勉強はしない。一夜漬けのような勉強をやめて試験の後にも残る勉強だけを行うと 1 年間くらいは点数が下がるかもしれないが、1 年もたてばかえって点数は良くなる。

今後の勉強は、自分で計画を立て、自分で実行し、自分で結果をチェックすることが大事。それを繰り返していると、計画するのが上手になり、実行するのが上手になり、チェックするのが上手になって、どんどん力がついていくようになる。ただし、そのようになるには、少し時間がかかるのであせらないこと。

やらなければならないこと、やりたいことに比べ、時間はどんどん足りなくなる。重要だと思う勉強を選んでやること、自分の力になる勉強を選んでやること、集中してやること、スピードを上げてやることが大事。

暗記ものは、脳の働きを理解して進める。何回かに分けた復習が大切。習った日か次の日に 1 回、次の週に 1 回、試験の 1 〜 2 週間前に 1 回、試験の前日に 1 回、復習する。それぞれは、短い時間でよい。覚えるときは、見るだけでなく、書いたり、口に出したり、他のことと関係づけるのが有効。また、記憶は寝ている間に脳の中で整理されるので、記憶を強めたいときは復習した後、1 日 6 時間以上寝るようにする。(記憶を強めるのではなく、作業が必要なときは、睡眠時間が少なくなっても良い)

授業時間を大切にして集中し、授業時間中に覚えられそうなことは、授業時間中に覚える。その場で、なるほどと納得できたことは、復習しなくても覚えてしまうことも多い。(過去の経験で印象深いことは、復習しなくても覚えているでしょう)

学校の勉強以外では、いろいろな分野の少し難しい本を、たくさん読むことが、高校 1 年生、2 年生の間は大事。上に書いてあることを十分やっておけば、どんな大学受験でさえ、高校 3 年の時集中して受験勉強を行えばたいてい突破できる。

将来の職業のためには、いろいろな科目の基礎的な勉強をすべて大切にすること。また、勉強以外のいろいろな体験をたくさん積んでおくことが大事。クラブも、委員会活動も、行事も、少し勉強に差し支えてもいいから充分にやってください。それから、時々、旅行や外出をして、いろいろな地方、自然、博物館や展覧会などをたくさん見ることが良いと思う。

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連絡先 〒 192-0397東京都八王子市南大沢 1-1首都大学東京 大学教育センター高大連携室/大学での学び発見室E-mail:[email protected]:http://www.comp.tmu.ac.jp/koudairenkei/TEL:042-677-2015

平日:午前 10 時〜午後 6 時土曜:午後 2 時〜午後 6 時   (日曜・祝日・入試日などは休みです)首都大学東京 南大沢キャンパス   正門(南門)から入ってすぐの講堂ロビー

 いつでも説明会:毎日開催中 キャンパスフリーツアー:毎日開催中・大学での学びを軸とした、高校生と大学の交流の場です。・大学・学習・入試などの情報提供・案内をします。・「大学案内」、「キャンパスマップ」、「高校生と新入生のための充実した大学生活に 向けたナビゲーション」などを配布しています。

 何を目的として大学で学ぶのか? そもそも「大学」で学ぶとはどういうことか? 大学とは、学ぶ目的や学び方を自ら打ち立てて主体的に学習することができる場です。大学を生かして学ぶためには、大学で主体的に学習していこうという姿勢を大学入学前に持つことが大事です。

● 開催中は高大連携スタッフ(特任教授と大学院生)が常駐しています

首都大学東京高大連携室/大学での学び発見室

毎日開催中