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「防災まちづくり・くにづくり」 を考える 「防災まちづくり くにづくり」 学習ワークブック

「防災まちづくり・くにづくり」学習ワークブック …2 私たちは自然から様々な 恵 めぐみ をうけています。「防災まちづくり・くにづくり」学習

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Page 1: 「防災まちづくり・くにづくり」学習ワークブック …2 私たちは自然から様々な 恵 めぐみ をうけています。「防災まちづくり・くにづくり」学習

「防災まちづくり・くにづくり」を考える

「 防 災 ま ち づ く り ・ く に づ く り 」 学 習 ワ ー ク ブ ッ ク

Page 2: 「防災まちづくり・くにづくり」学習ワークブック …2 私たちは自然から様々な 恵 めぐみ をうけています。「防災まちづくり・くにづくり」学習

2

私 た ち は 自 然 か ら 様 々 な 恵めぐみ

を う け て い ま す 。

「防災まちづくり・くにづくり」学習とは…

わたしたちの「まち」や「くに」を地

震や大雨などから守るためには、一体

何をどうしていけば良いのかを考える

学習です。

目次

●自然からの恵み ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p. 2

●大雨で何が起こる? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p. 4

●巨大地震で何が起こる? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p. 6

●災害による被害 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p. 8

●災害の後こういしょう

遺症 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.10

●私たちにできること(ワークシート) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.11

●災害に強い「まち」「くに」とは?(その 1) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.12

●災害に強い「まち」「くに」とは?(その 2) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.14

●災害に強いまちを作ろう(ワークシート) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.16

●災害に強い「まち」「くに」とは? ( その 3) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.18

どんな恵みを受けているか、記入してみましょう。

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3

「 自 然 か ら の 恵めぐみ

」 が あ っ て は じ め て 私 た ち 人 間 は 、 生 き て い く こ と が で き ま す 。

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4

2007年/台風9号被害/沼津市大平地区(国土交通省沼津河川国道事務所)

2009年 7 月/中国・九州北部豪雨被害/山口県防府市・国道 262 号線佐波山トンネル付(消防科学総合センター)

 

山の「谷たにすじ

筋 ※」で、多量の土砂と水が

急激に流れ落ちる。※谷筋:ちょうどこのイラストにあるような、

「谷の筋(線)」のこと。

 

市街地に降った大雨が、川の支しりゅう

流や排はい

水すい

路ろ

で処理できず地表にあふれる。代

表的な都市型水害の一つ。

で も … ひ と た び す ご い 雨 が ふ っ た ら …

土石流

内水氾濫

日本列島は大陸の東端に位置する島国で、山がちな国土と前線や台風の影響で大雨

が降りやすいという特徴があります。

どせきりゅう

ないすいはんらん

1999年 6 月/水害/福岡市(国土交通省)

 

堤ていぼう

防が壊こわ

れたり、川の水があふれて、

「まち」や農地が水みずびた

浸しになる。(特に

地下街は大変!)

洪水こうずい

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5

 

気圧が下がって海面が盛り上がり、海

辺の「まち」や農地に流れ込んでくる。

2003年 9 月/台風14号被害/島根県大海崎付近(出雲河川事務所)

2008年/岩手・宮城内陸地震/湯浜温泉斜面崩落現場(仙台市消防局)

1995年/阪神大震災(地震による地すべり被害)/西宮市(消防科学総合センター)

 

雨で斜面が緩ゆる

んで、すべり落ちる。

 

雨で急な斜面(がけ)が突然崩くず

れ落ちる。

高潮

地すべり

がけ崩れ

土ど せ き り ゅ う

石 流 ・ 洪こ う ず い

水 ・ 地 す べ り ・ が け 崩く ず

れ ・ 高 潮 な ど で … 家 が 壊 れ た り 、 た く さ ん の 人 の 命 が 失 わ れ ま す 。

くず

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6

古い木造の家を中心に倒とうかい

壊(倒れて壊

れる)。高いビルが壊こわ

れることもあり、

その下敷きになって、多くの命が失わ

れる。

発電所・変電所や送電線が壊こわ

れれば、

地域全体の電気が止まる。

石油タンクが壊こわ

れれば、沿え ん が ん ぶ

岸部は大

火災に。

そ し て … ひ と た び 巨 大 地 震 が お こ れ ば 、 一 瞬 に し て …

1995年/阪神大震災(落石)/六甲山ドライブウェイ(神戸市)

2011年/東日本大震災/仙台市若林区(仙台市)2011年/東日本大震災/千葉県市原市で発生したコスモ石油㈱千葉製油所での火災(平成 26 年度消防白書)

1995年/阪神大震災/ JR 新長田駅北地区西部(神戸市)

地震でも、地すべり・がけ崩くず

れがおこ

り、道路も家も壊こわ

れる。

低い場所は、大津波で大きな被害を受

ける。低い防ぼうちょうてい

潮堤を乗り越え、津波が

何キロも内陸まで到達する。

地すべり・がけ崩れ

倒壊

停電

津波

火災

くず

とうかい

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うめ立て地は、地震のゆれで、地面がド

ロドロの「液状」になる(液状化)。これ

が沿え ん が ん ぶ

岸部の被害をさらに拡大させる。

地 震 ・ 津 波 ・ 地 す べ り 等 で 家 ・ 建 物 ・ 道 路 ・ 鉄 道 が 壊こ わ

れ 、 火 災 が 発 生 し ま す 。 そ の 結 果 、 た く さ ん の 命 が 失 わ れ 、 電 気 も ガ ス も 止 ま り 、 ほ と ん ど の 工 場 ・ 通 信 が 停 止 し ま す 。

1995年/阪神大震災/深江本町阪神高速倒壊現場(神戸市)

1995年/阪神大震災/二葉町 6 丁目(神戸市)

2011年/東日本大震災/浦安市高洲地区マンホール被害(消防科学総合センター)

大津波は、川を何キロ、何十キロも下

流から上ってくる。

電柱・ビル・橋・高速道路が

倒とうかい

壊し、道路が使えなくなる。

木造の家が多いところでは、大火災が

発生し、多くの命が失われる。

火災

倒壊

津波

液状化えきじょうか

とうかい

Page 8: 「防災まちづくり・くにづくり」学習ワークブック …2 私たちは自然から様々な 恵 めぐみ をうけています。「防災まちづくり・くにづくり」学習

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巨 大 地 震 や 大 雨 で( も し 、 備そ な

え が な け れ ば … ) 私 た ち の「 ま ち 」や「 く に 」は 、 ど う な っ て し ま う の で し ょ う ?

災害直後どんな事がおこり得るか、

前のページを思い出しながら、想像してみよう。

大量のけが人がでる。(医者が足りず、十分な手当てができない。) たくさんの人の命が失われる。

電気が止まり、電話や通信機器、電化製品が使えなくなる。 道路も鉄道も使えなくなる。(救きゅうえん

援が来られない。)

地下街が水没する。 ガス、水道が止まり日常生活ができなくなる。トイレも使えない。

建物がたくさん壊こわ

れる。 大火災が起こる。

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災害からしばらくの間災害からしばらくの間、私たちの暮らしがどうなるか、

じっくり想像してみよう。

大量の人が家を無くす。 家を無くした人々は避難所生活を余よ ぎ

儀なくされる。

被災地では、医師や看護士・医薬品・食料・水が不足する。

電気やガスは、しばらく使えない。

ガソリンも不足し、車が使えなくなる。

いろいろな工場がストップし、その影響で多くの会社が倒産

し、仕事を無くす人がたくさんでてくる。

発電所や工場、農家の被害が大きければ、電気、食料・物資

が不足する。

このような状況が長く続くと、避難所で命を落とす人が増える。体の不自由な人や高齢者、女性、子供、外国人などは、より厳しい環境での避難生活を余儀なくされる。避難所生活で体調を崩したなどの理由で亡くなり「震災関連死」と認定された人は3,089人(2014 年 3 月末)。

さらに、発電所や工場、農家の被害が大きければ、被災地以外でも電気、食料・物資などが不足する。

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長い間の「後こ う い し ょ う

遺症」災害の本当の恐怖は、その「後

こういしょう

遺症」にあります。

少し難しいけど、想像してみよう。

●「新幹線」等が長い間使えず、色んなビジネスが滞とどこお

り…

●「高速道路」等が長い間使えず、物流が滞とどこお

り…

●「港」が長い間使えず、貿易が滞とどこお

り…

●「電気・ガス」が不十分になり、工場生産が滞とどこお

り…

■被災した地域が消滅の危機に。

■日本全体も、復興もできず、凋 ちょうらく

落※の一途に…

「税収」も大きく減って、防災、教育、福祉、国防…等ができない国に。

ビジネス、物流、貿易、工場生産、等が滞とどこお

る事で…

「被災地」の不ふきょう

況はさらに深しんこく

刻なものに!

日本全体が、災害で「不ふ

況きょう

」になる。

いろんな会社の儲もう

けが減り、

みんなの給料が減り、

倒とうさん

産する会社や失業する人が増える…

このような状況を

不ふきょう

況という。

※凋落:衰えること,落ちぶれること

今では想像出来ないほどの「貧しい国」に。 (みんなの給料も安くなり、安定した仕事につけない人が増える…)

国際的な地位も凋ちょうらく

落し、外交も低迷。 (外国との交渉で不利になって損をすることが増える…)

その結果

それが長引けば

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こんな最悪な未来を避けるために、

今の私たちに何ができるのか

考えてみましょう。

政府や行政が、

助けます。

地域などで、

助け合います。

自分で自分を

守ります。

災害対策は、次の3つに分類されることがあります。それぞれどんなものがあるか、

次のページ以降を参考に考えて、記入してみてください。ヒント

自助

共助

公助

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みんなの家やビル、駅や工場などが、地震に強いものなら壊こわ

れません。建物を

持っている人、個人や会社や政府が、それぞれの建物を「地震に強いもの」に

するための工事を行います。  &

■代表的な巨大地震:「南なんかい

海トラフ巨大地震」と「首し ゅ と ち ょ っ か

都直下地震」●首都直下地震が想定されているエリア。首都直下地震は、日本の

政治・経済の中心である首都圏を直撃する巨大地震で、30年以内に

7割の確率で起こると科学的に

推定されている。被害規き ぼ

模は最

悪で死者2万人、経済被害 96兆

円(日本の GDP(年間の経済規模)

の約2割)と想定されている。

災 害 に 強 い「 ま ち 」、 強 い「 く に 」と は … ? ( そ の 1 )

災害のことをみんな知っている?

災害に強い「まち」「くに」をつくるためには、みんなが「災害があることを知ること」「災

害が起こったら、どうなるのかをイメージすること」が必要。これができれば、まずは誰

でも、「逃げること」   ができるようになります。

建物が地震につよい

水辺に「まち」をまもる堤防がある海岸や川辺に堤

ていぼう

防をつくれば、津波・高潮や洪水を防ぎ、

「まち」を守ることができます。コンクリートの堤ていぼう

防だ

けでなく、「緑の堤ていぼう

防」も考えられます。

緑の堤ていぼう

防(土を積み上げ、その上に木を植える、自然の堤防)

考えてみよう☞ どうやったら、いろんな人に知ってもらえるだろう?

考えてみよう☞ どうすれば、そんな工事をいろんな人にやってもらえるだろう?

考えてみよう☞ 堤て い ぼ う

防を考えるとき、どんな注意が必要だろう?

海 陸

砂や潮風に強い

木を植える

人工の盛土

防風に適てき

した

木を植える

●南海トラフ巨大地震が想定されているエリア。大津波も発生し,最悪

で死者 32 万人、経済被害 220 兆円(日本の GDP(年間の経済規模)の4割超)

と想定されている超

巨大地震。30 年以内

に7割の確率で起こ

ると科学的に推すいてい

定さ

れている。

南海トラフで想定される震度分布▶

[出典:南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ第二次報告(内閣府)]

首都直下地震で想定される震度分布▶

[出典:首都直下地震対策検討ワーキンググループ最終報告(内閣府)]

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色んなものに「スペア」がある「壊

こわ

れては困るもの」が壊こわ

れれば大混乱に。けれど「スペア」

があれば回か い ひ

避できます。例えば…

● ビジネスの取引先

工場の「原材料」の仕し い

入れ先が一つだけの時、その仕入れ

先が壊こわ

れたら生産は全てストップします。

● 自家発電機

地震の時に電気が止まれば、病院も工場も放送局も止まり

ます。でも、自家発電があれば大丈夫。

● 道路や橋

道や橋が一本だけでは、それが壊こわ

れると逃げることも救きゅうえん

に入ることもできなくなってしまいます。

● 鉄道

例えば、東海道新幹線が壊こわ

れれば、日本経済は大混乱。も

うひとつ新幹線が通っていれば、混乱は最小化できます。

津波から逃げる「場所」と「訓練」

洪水・土砂から「まち」をまもるダムがある

周囲に避難する高台がない場所には、津波から逃げられる場所を作りま

す。   「津波タワー」は、そんな避難場所の典型例。そして、人々

はいつも、いつ津波が来ても逃げられるように訓練を重ねます。   

そして、体が不自由な人や高齢者など自力での避難が困難な人たちが逃

げられるよう皆で手伝ったり、誰もが逃げやすいユニバーサルデザイン

の考え方によるまちづくりをしておくことも大事です。  &

たくさんの水をためる「ダム」があれば、大雨

の時に一旦水をため、その水を少しずつ流し

ていくことで、下流側の水があふれ出ること

(洪水)を防げます。また、土どせきりゅう

石流がおこる

「谷たにすじ

筋」に「砂さ ぼ う

防ダム」をつくれば、下流側の「ま

ち」を、土どせきりゅう

石流から守ることができます。

砂さ

防ぼう

ダム(土ど

石せきりゅう

流から「まち」を守る)

[ 高速道路のスペア ]

東名と新東名のダブルネットワーク東京と名古屋を結ぶ東名高速道路は、海沿いの区

間が高潮などで通行止めになることが課題となっ

ていました。これを解決するため、地震や津波、

高潮の被害が少ない内陸部に新東名高速道路が建

設され、一部が供きょうよう

用されています。この新東名の

開通により、現在の東名との間で相互に行き来が

可能なダブルネットワークが形成され、災害等緊

急時の代だいたい

替路線の確保、避ひ な ん ろ

難路・緊きんきゅうゆそうろ

急輸送路とし

ての機能が実現します。

浜松いなさJCT

新東名東名 新清水 JCT

御殿場 JCT

三ヶ日JCT

清水 JCT

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災 害 に 強 い「 ま ち 」、 強 い「 く に 」と は … ? ( そ の 2 )

「危険な所」から「安全な所」にいろいろなモノが「移されて」いる   &

まず、「危険な場所」がどこかを考えます。そしてその危険な場所にあるいろいろなものを、

できるだけ「安全な場所」に移していきます。これができれば「まち」も「くに」も災害に強くなります。

どんな所が危険かと言えば… 

❶「津波が来る」と言われている海辺(しかも、堤ていぼう

防なし)

❷「洪水になる」と言われている川辺(しかも、ダムも堤ていぼう

防もない)

❸「地震が来る」と言われている「まち」(しかも、地震によわい建物)

❹「埋う

め立て地」(よく揺ゆ

れ、液えきじょうか

状化しやすい)

❺「急ながけ」の下(がけ崩くず

れ、になりやすい)

❻「谷たにすじ

筋」の場所(しかも、砂さ ぼ う

防ダムなし。土どせきりゅう

石流の被害にあいやすい)

Page 15: 「防災まちづくり・くにづくり」学習ワークブック …2 私たちは自然から様々な 恵 めぐみ をうけています。「防災まちづくり・くにづくり」学習

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●ポイント1

全てをすぐに移すことはできないので、何を

優先すればよいでしょうか?

●ポイント2

移すことが無理な所は、どのように強くすれ

ばいいのでしょう?

(前のページなども見ながら考えてみよう)

考えてみよう☞ このイラストの

         「まち」や「くに」、

 何をどこに移動させれば、強くな

 るのか考えてみよう。

巨大地震が想定されるところに、た

くさんの人々が集中している日本。

どうすれば巨大地震に対して、強く

なるのでしょう? いろいろな角度

から考えてみよう。

南海トラフ巨大地震

が想定されているエ

リア。人口の約7割

が含まれている。

首都直下地震が想定

されるエリア。人口

の約3割が含まれる。

N

1:26,728,055

市区町村別人口密度

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学校

幼稚園保育園

病院

消防署

市役所工場

石油コンビナート

安 全 で つ よ い ま ち を つ く っ て み よ う

Page 17: 「防災まちづくり・くにづくり」学習ワークブック …2 私たちは自然から様々な 恵 めぐみ をうけています。「防災まちづくり・くにづくり」学習

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砂さ ぼ う

防ダム津波タワー

発電所 住宅

住宅

学校や病院など施設のパーツをコピーして切り取り、白地図に貼は

って、安全で強いまちをつくってみよう。堤ていぼう

防や橋など、他にも必要と思うも

のがあれば描えが

いてみてください。

Page 18: 「防災まちづくり・くにづくり」学習ワークブック …2 私たちは自然から様々な 恵 めぐみ をうけています。「防災まちづくり・くにづくり」学習

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●東日本大震災のとき、多くの方々が「津波」で命を落とし

ました。このことはつまり、地震直後には、その方々の大半

が生きていた事を意味しています。もし、その方々が津波か

ら「逃げる」ことが出来ていれば、命を落とさずにすんだの

かも…しれません。

●阪神淡路大震災のとき、多くの方々ががれきの下敷きにな

りました。その大半を救い出したのが「近きんりん

隣の人達」でした。

●東日本大震災のとき、自衛隊が被災者の救きゅうえん

援に大活躍しま

した。でも地震直後、被災地への道路はがれきの山で埋もれ、

自衛隊でも通ることができませんでした。そんな中、建設機

械を使い、がれきを除去し、道路を通していったのが地元の

建設業の人達でした。その方々の中には、家族が津波に流さ

れたという人もたくさんいました。その他、土どせきりゅう

石流、大雪、

洪水などの災害でも地域の建設業の方々が被災者を救い出し

てきました。

災 害 に 強 い「 ま ち 」、 強 い「 く に 」と は … ? ( そ の 3 )

助けてくれる人がいる   &

災害が起こったとき、「助けてくれる人」がいれば多くの命が助かり、復ふっきゅう

旧・復ふっこう

興も早く進みます。消防、警察、自衛隊、

そして、役所や建設業の人達、さらには「近きんりん

隣との助け合い」がとても大切です。

ただし──なんと言っても「自分の身は自分で守る」ことの大切さを忘れてはなりません。

考えてみよう☞ 次のようなエピソードを踏まえて、いま、自分たちの「まち」を

         強くするために、何が必要なのかを考えてみよう。

Page 19: 「防災まちづくり・くにづくり」学習ワークブック …2 私たちは自然から様々な 恵 めぐみ をうけています。「防災まちづくり・くにづくり」学習

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災害に強い「まち」 「くに」をどうつくるかを災害弱者の人たちのことも思いやりつつ、皆がいつも考え、イメージしている災害に強いまち、くにをつくるためには、どうしたらいいのかを、それぞれの人の立場で考えることが必要です。

お父さん・お母さん、学校の先生、体の不自由な人、高齢者などいろいろな地域の人たちや会社、役所、政治家の人たち、

そして、私たち全員が「強いまち・くにを作るためにはどうすればいいのか?」を考え、話し合い、いろんな取り組み

を進め、時に訓練を重ねていくことが何よりも大切です。

考えてみよう☞ どんな「しくみ」があれば、このことを常に忘れずに考えていけるのか、

         自分の家や学校、あるいは会社、政府などのそれぞれの場面について

         考えてみよう。

参考URL… 内閣府防災担当:http://www.tokeikyou.or.jp/bousai/inamura-top_j.htm 稲むらの火の館:http://www.town.hirogawa.wakayama.jp/inamuranohi/

広村堤防横断図

海側から、15 世初頭に築かれた

波なみよけ

除石垣、浜口梧陵が植林・築ちく

造ぞう

した松並木と土ど

盛もり

の堤防がある。

コラム    「稲むらの火」の物語とその後

●物語のあらすじ1854(安政元)年11月5日(旧暦)、安政南海地震による大津波が紀州藩広村(現在の和歌山県広川町)を襲いました。このとき、村の郷

ごう

士し

、濱はまぐち

口梧ご

陵りょう

が、暗闇の中で逃げ遅れていた村人を、収穫したばかりの稲を積み上げた「稲むら」に火を放って高台に導きました。濱口梧陵の自分の財産を投げ打った犠牲的精神により、多くの命が救われたのです。※この物語は1937(昭和12)年から 10 年間にわたり小学校国語読本(5 年生)に掲載されました。

●災害後の復旧・復興の取組震災後、濱口梧陵は被災者のために住まいを建てて提供しました。さらに堤防建設のために、再び多額の私

財ざい

を投じることを決意して、堤防建設工事を行う被災者に日当を払うことで村人の他の地域への離

散さん

を防ぎ、4 年の歳月をかけて高さ 5 m、長さ 600 mの堤防を完成させました。現在も当時の姿を留める広村堤防は、1946(昭和21)年の昭和南海地震による大津波では、村の大部分を津波から守りました。●堤防を守るあゆみ1854年の大津波から 50 回忌を迎えた 1903 年、犠牲になった人々の霊をなぐさめるとともに、濱口梧陵らの偉業をしのび、広村の有志の人々による堤防への土盛りが行われました。これが「津波祭」の始まりで、以後、毎年 11 月には堤防の補修と防災への意識を継続するため、地元の小・中学生による土盛りが行なわれるなど、現在に至るまで続いています。

人家 耕地

ハゼ

クロマツ

マサキ

市街区域土盛の堤防

20m

3.5m5m

2m

2m

9m10m

波除石垣

海面

濱口梧陵出典:広川町教育委員会

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藤井 聡[京都大学大学院 工学研究科 教授/内閣官房参与 防災減災 ND 担当]

寺本 潔[玉川大学 教育学部 教授]

唐木 清志[筑波大学 人間系(教育学域) 准教授]

谷口 綾子[筑波大学大学院 システム情報工学研究科 准教授]

泉 貴久[専修大学松戸中学校・高等学校 教諭]

五十嵐 俊子[日野市立平山小学校 校長]

岩坂 尚史[お茶の水女子大学附属小学校 教諭]

服部 司[内閣官房 国土強靭化推進室 企画官]

島田 智康[内閣官房 国土強靭化推進室 参事官補佐]

三浦 光一郎[内閣府 防災(普及啓発・連携担当) 参事官補佐]

佐藤 浩樹[文部科学省 スポーツ・青少年局 学校健康教育課 安全教育調査官]

高塚 秀和[文部科学省 スポーツ・青少年局 学校健康教育課 防災教育係長]

中村 俊之[京都大学大学院 工学研究科 助教]

制作:土木学会 教育企画人材育成委員会 土木と学校教育会議検討小委員会

   「防災まちづくり・くにづくり学習」副読本検討ワーキング

イラスト:スギヤマカナヨ   デザイン:安楽 豊

    年     組     番     氏名

内閣官房国土強靱化推進室

学校や地域でも

皆で考える機会を

つくらないとね!

家族に教えてあげよう!