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00 2008 年 1 月 28 日発行 原油獲得に向けた日本の対アフリカ政策の再考 ~アフリカ産原油のメリットと獲得への課題~

~アフリカ産原油のメリットと獲得への課題~ · 5.日本の対アフリカ政策はアフリカ開発会議を中心に、歴史的なしがらみのない公平な

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2008 年 1 月 28 日発行

原油獲得に向けた日本の対アフリカ政策の再考 ~アフリカ産原油のメリットと獲得への課題~

本誌に関するお問い合わせは みずほ総合研究所株式会社

調査本部 塚越由郁 [email protected]

電話 (03) 3201-0296 まで。

当レポートは情報提供のみを目的として作成されたものであり、商品の勧誘を目的としたもの

ではありません。本資料は、当社が信頼できると判断した各種データに基づき作成されており

ますが、その正確性、確実性を保証するものではありません。また、本資料に記載された内容

は予告なしに変更されることもあります

1.近年、アフリカ産原油に対する国際的な注目度が高まっている。アフリカ産原油は埋

蔵量のポテンシャルが大きいこと、深海油田を中心として新規油田の生産開始により

原油生産量が拡大していることをはじめ、世界の石油産業にとって様々な魅力をもつ。

また、新興国のエネルギー需要拡大や中東の不安定化を背景に原油の安定的な調達に

対する不安が高まっており、各国がエネルギー安全保障に軸足を置いたエネルギー政

策を展開するなか、欧米諸国や中国が対アフリカ政策を強化する動きも見られる。

2.日本のエネルギー政策にとっても、アフリカ産原油は価値が大きい。近年、原油の安

定的な供給への懸念が高まる中、日本政府のエネルギー政策が、従来のマーケット重

視の姿勢から、エネルギーの安定的な確保に直接関わる姿勢に変化している。そのな

かで、日本政府は、「供給源の多様化」と日本企業の海外での資源開発比率の上昇を

目標に掲げている。アフリカには未開発の鉱区が多くあると考えられているうえ、外

資参入に好意的な国が多いため、同原油は、日本がエネルギーの安定確保に取り組む

上で潜在的な価値があると考えられる。

3.日本企業の立場から見た場合、アフリカ産原油は、上流部門の開放度合いの高さや生

産量の拡大余地の大きさなどの利点がある一方、輸送距離の遠さに伴うコストやカン

トリーリスクの大きさ等のデメリットがある。アフリカへの進出方法を工夫しデメリ

ットを緩和することにより、日本企業にとっても、アフリカ産原油の獲得やこれに付

随するビジネスチャンスの確保が収益をもたらす余地があると考えられる。そのため

には、企業がアフリカに進出し易い環境の整備が一層必要である。

4.日本のアフリカ産原油獲得に向けた動きは始まったばかりである。日本政府とアフリ

カ諸国との関係は政治・経済両側面において欧米や中国に比べるとそれほど強くない。

欧米や中国がアフリカ産原油獲得を目的の 1 つに同地域への援助や投資を活発化させ

るなか、現状のままではアフリカにおける日本の相対的なプレゼンスが弱まる恐れが

ある。

5.日本の対アフリカ政策はアフリカ開発会議を中心に、歴史的なしがらみのない公平な

援助や発展に向けた支援を行ってきたという強みがある。こうした強みを土台に、今

後はエネルギー安全保障や日本企業のアフリカでの経済活動の促進という観点から政

策を抜本的に強化していくことが必要だろう。具体的には、日本とアフリカのネット

ワークの強化やアフリカのビジネス環境の整備など、政治・経済の両側面においてア

フリカに日本企業が進出し易い環境を整備することが求められる。

(政策調査部 塚越由郁)

要旨

1. はじめに····································································································· 1 2. アフリカ産原油に対する国際的な注目度が高まっている背景 ································ 1 3. 検討軸 1 日本のエネルギー政策とアフリカ産原油の関係···································· 4

(1) 国際原油市場の構造変化と高まる供給源多様化の重要性 ··································· 4 (2) 安定的な供給を可能にするための自主開発······················································ 6

4. 検討軸 2 日本企業にとってのアフリカ産原油調達の経済的メリット ····················· 6 5. 検討軸 3 欧米諸国や中国の対アフリカ政策の現状とその影響 ···························· 12

(1) 米国·······································································································12 (2) 欧州·······································································································17 (3) 中国·······································································································21 (4) 日本·······································································································24

6. 結論 ········································································································ 30

目次

1

1. はじめに

近年、アフリカ産原油1に対する国際的な注目度が高まっている。アフリカ産原油は埋蔵

量のポテンシャルが大きいこと、また深海油田を中心として新規油田の生産開始により原

油生産量が拡大していることをはじめ、世界の石油産業にとって様々な魅力をもっている

とされる(永田他(2007))。また、新興国のエネルギー需要拡大を背景に国際原油市場に構

造変化が生じており、各国がエネルギー安全保障に軸足を置いたエネルギー政策を展開す

るなか、欧米諸国や中国が対アフリカ政策を強化する動きも見られる。こうした諸外国の

動きを背景に、日本もアフリカ産原油の獲得を急ぐべきという議論がしばしば新聞紙面等

をにぎわしている2。

しかしながら、やみくもに日本の対アフリカ政策の強化を急ぐ論調は有益とはいえない。 アフリカ産原油の確保やこれを目的とする対アフリカ政策の強化が日本にとって有益かど

うかは、同地域の原油と日本のエネルギー政策との関連や、同地域からの原油調達の日本

企業からみた経済的なメリットの有無などの観点から冷静に判断することが必要だからで

ある。 そこで本稿では、3 つの検討軸を用いて、日本政府がアフリカ産原油に対しどのような

アプローチを取るべきかを考察することとしたい。3 つの検討軸とは、①日本のエネルギ

ー政策とアフリカ産原油の関係、②アフリカ産原油調達の日本企業にとっての経済的メリ

ット、③欧米諸国や中国の対アフリカ政策の現状とその影響、である。 本稿の構成は以下のとおりである。まず、第 2 章でアフリカ産原油への国際的な注目度

が高まっている背景について概観する。次に第 3 章で日本のエネルギー政策からみたアフ

リカ産原油の位置付けを確認する。第 4 章ではアフリカ産原油の日本企業からみた経済的

メリットについて考察し、第 5 章で欧米諸国及び中国のアフリカ産原油の獲得に向けた政

策動向を確認する。最後に、日本がアフリカ産原油の獲得に向けてどのような政策をとる

べきかを考える。

2. アフリカ産原油に対する国際的な注目度が高まっている背景

本章ではアフリカ産原油に対する国際的な注目度が高まっている背景について概観す

る。アフリカは、ナイジェリア、リビア、アルジェリアなどを中心に多くの産油国を抱え

1原油とは、油田から産出したままの石油のことで、ガソリン、灯油などの石油製品の原料となるものを

いう。一方、石油とは、原油と天然ガソリンとその製品の総称を指す(化学工業日報社『知っています

か『石油の話』』1990 年 12 月)。 2例えば読売新聞 2007 年 1 月 4 日は、中国がアフリカ進出を積極化させている一方、日本の世界での開

発権益を獲得する動きは進んでいないと指摘している。また、同新聞 2007 年 11 月 17 日は、中国が資

源確保に乗り出しているアフリカは日本にとっても重要であり、日本はアフリカで資源安定確保を図る

べきだと主張している。

2

ており(図表 1)、かつ、これら諸国の油田に外国企業が参入し、生産拡大のポテンシャル

が大きいことから、近年同地域の原油に対する注目が高まっている。今後、新興国の原油

需要の拡大が予想される一方で、先進国や OPEC3の供給余力4は低下しており、新たな原

油供給先の獲得が課題となっている。アフリカの確認原油埋蔵量は 2006 年時点で 1172億バレルと中東の 7427 億バレルに比べると小さいものの(BP(2007))、相次ぐ紛争により

開発がこれまで遅れてきたため、未開拓の油田地帯が多く存在すると考えられている。加

えて、近年の原油価格の高騰により油田開発の採算性が向上したこと、技術進歩により沖

合の深海油田の開発が可能となったこと、国内の開発技術の不足などから総じてアフリカ

諸国が外資の参入に好意的とされることも、この地域の原油の魅力を高める要因となって

いる5。

図表 1 アフリカにおける主な原油産出国

(資料)BP(2007)、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(2007)、各種新聞記事

3加盟国は、イラン、イラク、クウェート、サウジアラビア、ベネズエラ、カタール、インドネシア、リ

ビア、アラブ首長国連邦、アルジェリア、ナイジェリア、アンゴラ、エクアドル。 4供給余力とは、生産が可能な量から実際の生産量を引いたものをいう。 5加えて、アフリカの原油生産国の多くが非 OPEC 諸国であり、原油生産量に枠が課されていない点もこ

の地域における原油資源開発を行う上でのメリットとされている。また石油天然ガス・金属鉱物資源機

構(2006a)によれば、従来、東アフリカは原油開発についてあまり注目されてこなかったが、近年ケニア、

タンザニア、モザンビーグなどの同地域における探鉱・開発も活発化している。この背景には、既存産

油国に比べて探鉱熟成度が低いこと、契約条件が良いことが考えられる。

3

また、アフリカ産原油が一部の国のニーズに合致した性質を持っていることも、この地

域の原油の魅力を高める背景として指摘できよう。アフリカ産原油は中東の原油と比較し

て、1 バレル当り数ドル程度割高だが、比較的軽質で硫黄含有量が低いという特徴を持っ

ている(図表 2)。軽質な原油ほど、ガソリンや灯油など付加価値の高い成分を多くとるこ

とができる(化学工業日報社(1990))6。このため米国や中国でガソリンなどへの需要が増

えるなか、軽質なアフリカ産原油の意義が高まっている(経済産業省(2005))。また、硫黄

の含有量が低い原油は、硫黄を取り除くなどの精製作業がわずかで済む7。中国など、高硫

黄原油を処理する高度な設備を多く保有していない国(竹原(2006))や精製基準の厳しいア

メリカの一部の州の需要を満たす上で、精製作業の負担があまりかからないアフリカ産原

油は価値が大きい。

図表 2 原油別 API 度と硫黄分の割合

油種 国名 API 硫黄分

(%)

Iranian Heavy イラン 30.2 1.77

Basrah Light イラク 33.7 1.95

Kuwait クウェート 32.4 2.55

Daqing 中国 32.3 0.11

Saharan Blend アルジェリア 43.6 0.11

Bonny Light ナイジェリア 35.4 0.14

Cabinda アンゴラ 32.5 0.12

Nile Blend スーダン 32.3 0.05

(注)API とは、原油の比重により品質を分類する指標。米国石油

協会(API)の定めた基準によって、API 比重 35 度以上が「軽質

油」、30 度以下が「重質油」、その中間が「中質油」とされる

(化学工業日報社(1990))。

(資料)竹原(2006)

近年、外国企業の投資拡大を背景に新規油田の発見や生産開始が相次いだことから、ア

フリカにおける原油生産量も大きく伸びている。例えば、モーリタニアでは大型の海底油

6軽質な原油の用途は、自動車、鉄道、船舶用のディーゼル燃料が大部分であるが、窯業、鉄鋼用の燃料

あるいは電力用補助燃料としても使用されている。一方、重油は、ディーゼル・エンジン用およびガス・

タービン用などの内燃用と、ボイラーや各種工業炉用などの外燃用の燃料として使用される(石油天然

ガス・金属鉱物資源機構ホームページ)。 7Alex Perry(2007) “Africa’s Oil Dreams,” TIME 2007 年 6 月 11 日

4

田が発見され、2006 年から同国は本格的な輸出国となっている。また、ウガンダは 2009年までに商業生産を開始する見通しである(日本経済新聞 2007 年 10 月 10 日)8。アフリカ

における原油の生産量は 1980 年の時点で 622 万 5 千バレル/日であったが、2006 年には

999 万バレル/日となり、世界の生産量の 12%を占めるに至っている(BP(2007))。

3. 検討軸 1 日本のエネルギー政策とアフリカ産原油の関係

それでは、こうしたアフリカ産原油は日本にとってどのような価値を持つのだろうか。

ここでは、第一の検討軸である日本のエネルギー政策との関係という観点から考察を行う。

結論を先に述べると、アフリカ産原油は、わが国の原油供給源の多様化と自主開発権益の

拡大という 2 つの点で日本のエネルギー政策の目的に合致すると考えられる。

(1) 国際原油市場の構造変化と高まる供給源多様化の重要性

近年、日本政府のエネルギー政策が、従来のマーケット重視の姿勢から、エネルギーの

安定的な確保に積極的に関わる姿勢に変化している。この背景には、国際原油市場の構造

変化がある。

経済産業省(2007)によると、これまで国際原油市場は、欧米の石油開発企業が同市場を

コントロールするメジャーの時代(第二次世界大戦後~1960 年代後半)から、OPEC が原

油価格の決定に強い影響力を持つ OPEC 支配の時代(~1980 年代後半)を経て、マーケッ

トで安定的に原油を入手できるマーケットの時代(1990 年代)へと構造変化を続けてきた。

しかし、2000 年前後より、世界のエネルギー需給が構造的に逼迫し、従来のように安定し

た価格で原油を市場から入手することが難しくなっている(図表 3)9。この背景には、新興

国の原油需要量が増加する一方、先進国や OPEC の原油の供給余力が低下していることや、

中東の不安定化などにより地政学的リスクが高まっていること10、グローバル化により国

際原油市場が拡大し同市場に大量に投機資金が流入するようになったこと(吉田(2006)、経

8石油天然ガス・金属鉱物資源機構(2007)によれば、ウガンダではアルバート湖の東側に 3 鉱区(鉱区保有

権者は Tullow 社と Heritage 社)が設定され、2005 年、2006 年、2007 年に合計 8 坑が掘屈され、全て

成功している。2009 年にも地元向けに原油販売を開始し、第二段階として、早いケースで 2009/2010

年に輸出用のパイプライン敷設も含めた開発へ移行し、2014/2015 年に出荷開始が計画されているとい

う。 9原油価格のなかでベンチマークとなるウェスト・テキサス・インターミディエイト価格(West Texas

Intermediate:WTI 価格)によると、原油価格は 1980 年後半から 1990 年にかけて 1 バレル 10 ドル~20

ドルで推移してきた(BP (2007))。しかしその後急速に上昇し、2008 年 1 月 2 日には、100 ドルを記

録している(産経新聞 2008 年 1 月 3 日)。 10イランの核開発問題が注目される他、イラク情勢が原油輸出量の減少や隣国の産油国を巻き込む中東地

域全体の政情不安定化につながる可能性が指摘されている(経済産業省(2007))。

5

済産業省(2007))、が挙げられる11。

図表 3 国際原油市場の構造変化

(資料)経済産業省(2007)

その結果、日本政府はエネルギー政策の軸足を、従来のマーケット重視の姿勢から、エ

ネルギー安全保障に移し、エネルギーの安定的な供給に政府が直接関わる姿勢を強めてい

る12。2006 年には政府が、エネルギー安全保障を前面に打ち出す新しい戦略「新・国家エ

ネルギー戦略」を策定した。エネルギー安全保障に向けた国の戦略は多岐にわたるが、そ

の柱の 1 つとされているのが「供給源の多様化」だ(経済産業省(2006))。 従来、日本は原油供給のほぼ 100%を海外に依存しており、そのうち 8 割以上を中東が

占めている。これは他国と比べてひどく偏った供給構造である(図表 4)。そこで、新戦略で

日本政府はカナダや南米と並びリビアやナイジェリアといったアフリカ諸国において、原

油の供給源多様化への取組みを積極的に展開する方針を掲げている。

11現在、国際原油市場ではマーケットの時代が継続するなかで、構造変化が生じているといえる。 12政府がマーケット重視の姿勢からエネルギー安全保障に軸足を移していることは、塩崎恭久官房長官

(当時)が、予算委員会で「(政府は)資源エネルギー生産国との関係強化、海外での日本企業の自主開発、

供給源の多様化を支援していく」と述べていることにも表れている(参院予算委員会 2007年 3月7日)。

また、2007 年の「エネルギー基本計画の変更」(経済産業省 2007 年 3 月)には、政府全体が一体とな

って、首脳・閣僚レベルでの資源外交を積極的に行っていくことが明記されている。

メジャーの時代

(~1960年代後

半)

・欧米の巨大石

 油企業が国際

 原油市場をコン

 トロール。

・原油価格は1~

 2ドル/バレルと

 安定。

OPECの時代

(~1980年代後

半)

・73年の第4次

 中東戦争を景

 気にOPEC諸国

 が原油価格を

 一方的に大幅

 に引き上げ、そ

 れ以降、OPEC

 が原油価格を

 決定。

マーケットの時代

(~1990年代)

・世界需要の減退、

 非OPECの生産拡

 大により需給が緩

 和。原油価格は10

 ~20ドル/バレルで

 安定的に推移。

・原油の先物取引が

 開始し、先物価格

 に関連して原油価

 格が決まる方式が

 定番化。

構造変化の時代

(2000年~)

・中国、インドなどの新興

 国のエネルギ-需要の

 急増、OPECの供給余力

 の低下などによる構造

 変化。

・イランやイラクなど原油産出

 国をめぐる政情の不安定化

 など地政学的リスクが増大。

・世界のエネルギー需給が構

 造的に逼迫し、価格が急騰。

6

図表 4 各国の国別原油輸入の割合(2006)

日本 米国 中国

米国2%

中東80%

アジア太平洋

11%

アフリカ4%

その他3%

中東17%

アフリカ20%

中南米20%

北米(カナダ・メキシコ)

29%

その他14%

その他8%

旧ソ連邦諸国13%

アジア太平洋18%

アフリカ24%

中東37%

(資料)BP(2007)

(2) 安定的な供給を可能にするための自主開発

また、日本国内に安定的に原油を供給していくという観点からは、日本企業が自主開発

13の権益を持つことも重要である。自主開発権を有する場合、①通常の売買契約に比べ、

長期・安定的に一定量の原油を確保できる可能性が高いこと、②産油国における政策の下

で実施されるため、原油需給の環境変化の予兆を察知することが可能なこと、③産油国へ

の直接投資であり、生産された石油の販売にも直接関与することから、相手国との関係の

強化にも寄与することなどのメリットがある(経済産業省(2006))。

このため新・国家エネルギー戦略では、原油供給源の多様化の推進とともに、日本企業

の海外での資源開発比率14を現在の 15%から 2030 年までに 40%にまで上昇させる目標が

掲げられている(経済産業省(2006))。 アフリカにはまだ未開発の鉱区が多くあると考えられているうえ、外資参入に好意的な

国が多いため、相対的に日本が自主開発権を得やすい環境がある。このことからも、アフ

リカは日本がエネルギーの安定調達を行う上で、有望な地域であると考えられる。

4. 検討軸 2 日本企業にとってのアフリカ産原油調達の経済的メリット

次に第二の軸である、日本企業がアフリカ産原油に関する投資によって利益を得る可能

性について検討を行いたい。結論から先に述べると、克服すべき課題はあるものの、総じ

てアフリカ油田の上流・下流部門15への進出により日本企業が収益を上げる可能性がある

13日本の企業が開発・生産している原油をいう(藤沼茂・内田剛嘉・長谷川晃一『石油の実際知識』、東

洋経済新報社、1986 年 10 月 9 日)。 14日本の企業権益下にある原油取引量が日本への原油総輸入量に占める割合をいう(経済産業省(2006))。 15新規の油田を探査して発見し、開発し、生産能力維持のための生産設備のメンテナンスを行って石油を

生産する事業を石油の上流産業という。これに対して、生産された石油をタンカーなどで輸送したり、

7

といえそうだ。

まず、日本企業がアフリカ産原油に関連した投資を行う際に考えられるメリットとデメ

リットを整理すると、メリットについては、①上流部門の外資への開放度合いの高さ、②

下流にまで渡る潜在的市場の存在、③原油生産量の拡大余地の大きさ、④原油の生産・流

通への投資のリターンの大きい可能性が挙げられる(図表 5)。

概して、外資企業が産出国で原油の上流開発に参与することは難しい。例えば、サウジ

アラビアやクウェートでは上流部門に対する外資の参入が認められておらず、イランやイ

ラクでは政治的不安定性から、同部門への参入が困難である。また、ロシアでは投資環境

の不確実性が大きいため、外資参入のハードルが高いと指摘されている(永田他(2007))。このようななか、アフリカは原油開発のために外資の開発技術を必要としているので、上

流部門を積極的に開放している国が多いとされる16。

また、アフリカにはリビアのように、産油国でありながら十分な精製技術を持たないた

めに石油製品を自給できない国が存在する一方(日本経済新聞 2007 年 12 月 14 日)、同地

域における石油製品への需要は増しているため、日本企業にとって下流部門における潜在

的な市場も存在している(中津(2006))。

さらに、アフリカの確認原油埋蔵量は 2006 年では 1172 億バレルであり、今後、生産量

がさらに増加する余地が大きい(図表 6)。世界各地で産油量の増強が計画されているなか、

2010 年までの産油量増加の 30%がアフリカ産油国によると見込まれる(中津(2006))。生産

量を拡大するためには、2020 年までに 1000 億ドル以上の投資が原油部門に必要とされて

いるが、その見返りは 8000 億ドルに上ると推測されている(中津(2006))。 一方デメリットとして、①中東産原油に比べ割高な価格、②輸送距離の遠さに伴う輸送

コスト、③ビジネス環境の問題、④カントリーリスクの大きさ、⑤事業情報の少なさやネ

ットワークの弱さが指摘できる(図表 5)。

アフリカ産原油は低硫黄で軽質なことから高度な精製作業を必要としないため、日本が

輸入している高硫黄・重質な中東産原油よりも割高である。日本企業は、中東産原油を精

製するための高度な技術をすでに有しているため、アフリカ産原油のこのような特質は大

きなメリットとならない。また、日本とアフリカの距離は遠く、輸送コストやユーザンス

精製して販売する事業を石油の下流産業という(石井・藤(2005))。

16ただし、一部の国では資源ナショナリズムが高まるなどの例外もある。石油天然ガス・金属鉱物資源機

構(2006b)によれば、2006 年 8 月にチャドで外資 2 社の国外追放が発表され、交渉の結果残留が決まっ

た。こうした背景には同国政府が近く設立予定の国営石油会社を通じて唯一の生産プロジェクトである

Doba 油田開発へ参入し、石油収入の政府取り分を増加したいという思惑があったという。ただし同国

政府は資金や技術力の問題から、積極的な外資導入方針を維持しており、極端な国有化に走る可能性は

少ないと指摘されている。

8

金利17が中東産原油に比べて高くなる18。さらに、国内の労働者の栄養状態が悪く、感染症

の危険があるなどビジネスを円滑に行ううえでの環境が十分に整備されていないため、企

業が、食費の負担や感染症に関する教育など仕事以外の分野でもコストを負わなければな

らないことも、企業のアフリカ進出を難しくしている(平野(2006))。上記に加え、アフリ

カでは治安や政権の安定性に懸念がある国がまだあるため、日本企業にとってアフリカの

カントリーリスクは無視できないものになっている19。

17円滑な輸入取引を行うため、企業等が資金を回収できるまでの間、輸入代金の支払を猶予する際に適用

される金利または利息。 18例えば、西アフリカから日本へ原油を輸送する場合、輸送日数が 40 日かかる。これは、中東から日本

へ原油を輸送する際にかかる日数のおよそ2倍である(日経産業新聞 1994 年 9 月 27 日)。 19例えばナイジェリアの産油地帯であるニジェール・デルタ地域にて、2006 年末から地元有力氏族の武

装勢力が石油収入の分配を増やすことを要求し、英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルなどが所有する石油関

連施設への襲撃を繰り返し、一部は生産停止に追い込まれたことは記憶に新しい(日経産業新聞 2007

年 10 月 1 日)。

9

図表 5 日本企業から見たアフリカ産原油のメリットとデメリット

●割高である。

→アフリカ産原油は低硫黄で軽質なことから高度

な精製作業を必要としないため、日本が輸入し

ている高硫黄・重質な中東産原油よりも割高で

ある。

●距離が遠いので、輸送コストがかかる。

→中東から日本へは20日、西アフリカからは40日

かかるので、輸送コストが高い。

●国内の労働者の栄養状態が悪く、感染症の危険

があるなど、仕事環境が整備されていない。

→食費の負担や感染症に関する教育など、企業

は仕事以外にもコストを負担しなければならな

い(平野2006)。

○不安定な政情があり、投資リスク大きい。

→例えばナイジェリアの産油地帯では、武装勢力

が石油収入の分配を増やすことを要求して石

油関連施設への襲撃を繰り返している(日経産

業新聞2007年10月1日)。

○事業を展開するための情報やネットワークが不足

している。

●上流部門を外資に開放している数少ない地域であ

る。

→サウジアラビアやクウェートでは石油上流部門に

対する外資の参入が認められておらず、イランや

イラクでは政治的不安定性から、参入が難しい。ま

た、ロシアでは投資環境の不確実性が大きいため、

外資参入のハードルが高い(永田他2007)。

●下流にまでわたる潜在的市場が存在する。

→アフリカのなかで石油製品に対する需要が増して

おり、企業がアフリカで石油製品を売るための潜

在的な市場が存在している(中津2006)。

●生産量の拡大余地が大きい。→アフリカの原油確認埋蔵量は2006年では1172億

バレルであり、今後、生産量がさらに増加する余地が大きい。世界各地で産油量の増強が計画されているなか、2010年までの産油量増加の30%がアフリカ産油国によると見込まれる(中津2006)。

●ハイリターンの可能性がある。

→2020年までに1000億ドル以上の投資が石油部

門に必要とされているが、(生産量が多いため)その見返りは8000億ドルに上ると考えられている

(中津2007)。

デメリットメリット

●割高である。

→アフリカ産原油は低硫黄で軽質なことから高度

な精製作業を必要としないため、日本が輸入し

ている高硫黄・重質な中東産原油よりも割高で

ある。

●距離が遠いので、輸送コストがかかる。

→中東から日本へは20日、西アフリカからは40日

かかるので、輸送コストが高い。

●国内の労働者の栄養状態が悪く、感染症の危険

があるなど、仕事環境が整備されていない。

→食費の負担や感染症に関する教育など、企業

は仕事以外にもコストを負担しなければならな

い(平野2006)。

○不安定な政情があり、投資リスク大きい。

→例えばナイジェリアの産油地帯では、武装勢力

が石油収入の分配を増やすことを要求して石

油関連施設への襲撃を繰り返している(日経産

業新聞2007年10月1日)。

○事業を展開するための情報やネットワークが不足

している。

●上流部門を外資に開放している数少ない地域であ

る。

→サウジアラビアやクウェートでは石油上流部門に

対する外資の参入が認められておらず、イランや

イラクでは政治的不安定性から、参入が難しい。ま

た、ロシアでは投資環境の不確実性が大きいため、

外資参入のハードルが高い(永田他2007)。

●下流にまでわたる潜在的市場が存在する。

→アフリカのなかで石油製品に対する需要が増して

おり、企業がアフリカで石油製品を売るための潜

在的な市場が存在している(中津2006)。

●生産量の拡大余地が大きい。→アフリカの原油確認埋蔵量は2006年では1172億

バレルであり、今後、生産量がさらに増加する余地が大きい。世界各地で産油量の増強が計画されているなか、2010年までの産油量増加の30%がアフリカ産油国によると見込まれる(中津2006)。

●ハイリターンの可能性がある。

→2020年までに1000億ドル以上の投資が石油部

門に必要とされているが、(生産量が多いため)その見返りは8000億ドルに上ると考えられている

(中津2007)。

デメリットメリット

(注)○はアフリカにのみ当てはまるデメリットではないものの、企業がアフリカへの進出を考

える際のコストとなるため記載。

(資料)表中に表記。

図表 6 アフリカの確認原油埋蔵量と生産量の推移(1980-2006)

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

1980 1985 1990 1995 2000 2005 2006

0

200

400

600

800

1000

1200

確認原油埋蔵量(左目盛)

生産量(右目盛)

(万b/d)(億バレル)

(年)(資料)BP(2007)

それでは、日本企業がアフリカ産原油に関わる投資によって収益を獲得する可能性はど

10

の程度あるのか。これに関しては、永田他(2007)が行った感度分析が参考になる。それに

よると、原油輸送コストなどの前提条件を変更することにより、例えば西アフリカの原油

の導入は日本の輸入減の多様化に大きく貢献し、アジアの石油需給の安定化や中東依存度

の上昇の抑制に寄与するという。

また永田他(2007)は、ガボンのように中小規模の鉱区の売買が行われているところでは、

日本の企業が上流に参加する機会は十分に存在すると指摘している。さらに、日本企業単

独でなく、同地域における知見やネットワークをすでに持つ欧米企業と連携することで、

開発におけるリスクを分散することが可能であり、また、欧米メジャーとは異なり、上流

案件と下流案件をパッケージにして投資を行うことも検討に値するという。このように進

出の工夫次第では、日本の企業が、アフリカの上流・下流部門における進出から経済的メ

リットを獲得できる余地が存在するといえる。

実際、アフリカ産原油のメリットに注目し、2005 年辺りから日本企業がアフリカで資源

開発に取り組む事例も増えている(図表 7)。日本の商社は、日本商社の強みである下流

にまで及ぶマーケティング力を売りに、欧米の石油開発企業と一緒に資源開発に取り組ん

でいる20。また、日本の石油開発企業も他社と連合体を形成するなど、アフリカ産原油の

開発権益の獲得に乗り出している。例えば、確認原油埋蔵量が 415 億バレルのリビア

(BP(2007))において、2005 年に新日本石油開発、石油資源開発、帝国石油、国際石油開

発、三菱商事の 5 社が合同で計 6 鉱区を落札した(日本経済新聞 2005 年 10 月 3 日)21。ま

た、日本経団連は、2007 年 10 月に南アフリカとアンゴラに経済調査ミッションを派遣し

ている22。アンゴラは原油価格高騰などを背景に高い経済成長を実現しており、海外との

連携強化や産業の多様化を模索している23。こうした動きは資源価格の高騰を背景にアフ

リカでのビジネスチャンスが拡大していること、そうしたビジネスチャンスの獲得に向け

日本企業がアフリカへの注目度を高めていることを表している。

20国際協力銀行への取材による。 21企業は、鉱区を落札し採掘権を獲得した後、当該鉱区で実際に原油が取得できるか確認する探鉱作業を

行い、採算性を検討する(石油天然ガス・金属鉱物資源機構ホームページ)。これら契約はリビア政府が

利益の 9 割以上を確保するなど、同政府に過度に有利な契約だとの指摘もある(読売新聞 2007 年 3 月

21 日)。鉱区落札には、同国における日本企業のビジネス拡大に繋がるという判断が背景にあったとい

う(日本経済新聞 2005 年 10 月 3 日)。 22日本経済団体連合会「サブサハラ・アフリカの開発に関する意見」、2007 年 12 月 18 日 23日本経団連「日本経団連タイムス」No2882、2007 年 11 月 1 日

11

図表 7 日本企業のアフリカにおける原油開発の状況

ナイジェリア ・ 出光興産が原油調達を 2 年ぶりに開始(2002)

リビア ・ 新日本石油開発、石油資源開発、帝国石油、国際石油開発、三菱商

事が計 6 鉱区の開発権益を落札(2005/10) ・ 三井石油開発と国際石油開発帝石ホールディングスが石油・天然

ガス開発鉱区の権益を落札(2006/12)

アンゴラ ・ 三菱商事は石油の探鉱開発・生産・販売事業を推進しており、同社

が扱う原油の半分はアンゴラ産で日量 2 万バレルとされる

(2006/10)。

エジプト ・ 帝国石油がエジプト・アラブ共和国スエズ湾の South East July鉱

区で採掘作業を開始(2004/7) ・ 双日がエジプト北西部のアレキサンドリアの西に位置する

Alamein 油田、Yidma 油田の権益 35%を米国石油開発会社から獲

得(2006/8) ・ アラビア石油が権益を保有する海上鉱区で日量 4900バレルの原油

を発見(2006/9) ・ 三井石油開発が原油の探鉱開発・生産をしており、2006 年では計

175 万バレルの原油を生産

ナミビア ・ 三井物産は同社がナミビアに保有する石油・天然ガス探鉱区権益

を一部、オーストラリアの石油開発会社から取得(2006/11) (資料)主に各種新聞記事による(一部企業のウェブサイトに基づいて情報を補足)。

以上を踏まえると、日本企業がアフリカ産原油の獲得やこれに付随するビジネスチャン

スの確保によって収益を上げる余地は十分あるといえそうだ。

しかしそれにはクリアすべき問題も多く残されている。とりわけ、アフリカは民族紛争

など政治や社会状況の不安定化や混乱に起因するカントリーリスクが小さくないこと、ま

た、今後資源ナショナリズムが高まる可能性も完全には排除できないことから、日本企業

がアフリカ産原油に関連した投資を積極的化させる上ではこうしたリスクを最小限にして

いくことが必要だろう24。実際、アフリカでのプロジェクトに関する日本企業の関心が高

まる傾向にあるものの、同地域の治安や政権の不安定性に懸念があることや、事業を展開

するための情報やネットワークが不足していることが、実際の進出における課題となって

いるとの指摘もある25。

241970 年代に日本の大手商社など 5 社がイランに進出したイラン・ジャパン石油化学(IJPC)プロジェク

トでは、事業費約 6千億円を投入し、事業工事の 85%が完成したところで(毎日新聞 1989年 3月 14日)、

イラン革命、イラン・イラク戦争という政情不安定化によりプロジェクトの停止を余儀なくされたこと

がある。またロシアが資源の国家管理を強めるなか、2006 年に、日本の大手商社などが参加している

サハリン沖の資源開発事業「サハリン 2」のパイプライン建設工事や生産が、ロシア政府により環境問

題などの理由で停止され混乱が生じたことは、記憶に新しい(日本経済新聞 2006 年 8 月 29 日、2006

年 9 月 6 日、2007 年 10 月 27 日)。 25国際協力銀行への取材による。

12

今後、政府には、民間では負えないコストの負担、カントリーリスクの軽減、アフリカ

産油国との外交関係の強化、民間企業への積極的な当該国の情報提供など、日本企業がア

フリカに進出し易い環境を整備することが求められる。

5. 検討軸 3 欧米諸国や中国の対アフリカ政策の現状とその影響

ここでは、アフリカ産原油に日本が今後どのようなアプローチを取るべきかについて、

第三の検討軸である欧米諸国や中国の対アフリカ政策の現状とその影響をもとに考察を行

う。国際原油市場が原油需要量の増加や供給余力の低下、地政学的リスクの増大により不

安定化するなか、各国がアフリカ産原油に注目し、同地域との関係を強化している。この

ようななか、日本が従来のアフリカ政策を維持するだけでは、日本の対アフリカ関係が相

対的にますます弱くなり、日本のアフリカ産原油の獲得が難しくなる恐れがある。ここで

は、近年特にアフリカとの関係を強化している米国、従来からアフリカとの結びつきが強

い欧州、及び独自の方法でアフリカに進出する中国の政策を概観し、それらが日本に与え

る影響について見ていく。

(1) 米国

米国政府は、アフリカを中東以外の原油の供給先として位置付け、近年、同地域との関

係強化に積極的に取り組んでいる(青木(2004))26。 ブッシュ大統領は就任当初、アフリカの諸問題にそれほど大きな関心を払っていなかっ

たとされる27。同大統領が 2000 年の選挙活動のキャンペーン中、「アフリカへの関与は米

国の国益に見合わない」と述べてアフリカの紛争問題への関与に消極的であったことは28、

そうした認識を示すものといえよう。 しかし、近年ブッシュ政権は対アフリカ政策を積極化させている。対アフリカ援助額は

2001 年以降急激に増加し始め、2003 年には主要国の中で最も多い 50 億 6 千万ドルにま

で上った。その後減少するものの、2005 年には 45 億 7 千万ドルにまで持ち直している(図表 8)。そのなかでも、スーダン、エチオピア、エジプトなどのアフリカ諸国は米国からの

援助額が多い国の中で、上位 10 カ国以内に位置する(OECD DAC)。

26“A desperate suitor” The Economist, 2007 年 12 月 8 日 27Financial Times, “Bush is doing “many good things to Africa”- so why do Africans- await his visit

with suspicion?”2003 年 7 月 7 日 28Financial Times, “Bush aims to compassionate side to Africa”2003 年 7 月 7 日

13

図表 8 各国の対アフリカ援助額の推移(2000-2005)

5

10

15

20

25

30

35

40

45

50

2000 2001 2002 2003 2004 2005

(10億ドル)

フランス

米国

英国

日本

(年)

(資料)OECD DAC

また、アフリカ諸国の政府との関係を強化するため、米国要人のアフリカ歴訪が増加し

ている(図表 9)。2003 年 7 月にブッシュ大統領がアフリカ最大の原油供給国ナイジェリア

を訪問した際には、ブッシュ大統領と同国のオバサンジョ大統領が、西アフリカ産原油の

米国への安定供給について議論したことが報道された(日本経済新聞 2003 年 7 月 13 日)。その後も、原油の確認埋蔵量が 64 億バレル(BP(2007))とされるスーダンのダルフール問

題29に関した訪問をはじめ、政府高官によるアフリカ諸国への公式訪問が相次いでいる。

29スーダン西部のダルフール地域で生じている、スーダン政府・アラブ系民兵と反政府勢力との間の紛争

であり、2003 年より激化している。

14

図表 9 米国政府によるアフリカ関連の公式訪問

2001 年

5 月 パウエル国務長官がアフリカ歴訪(マリ、アフリカ、ケニア、ウガンダ)

2002 年

9 月 パウエル国務長官がアフリカ歴訪(南アフリカ、アンゴラ、ガボン)

2003 年

7 月 ブッシュ大統領がアフリカ歴訪

2004 年

2 月 リベリア問題に関する会議にパウエル国務長官が出席

6 月 パウエル国務長官がスーダンを訪問

9 月 ドューイ人口・難民・移民担当国務次官補がチャドとスーダンを訪問

11 月 スーダンにおける平和活動に関しケニアで国連安全保障理事会を開催

2005 年

1 月 パウエル国務長官が南アジア及びアフリカ(ケニア、スーダン)を歴訪

4 月 ゼーリック国務副長官がノルウェー、イラクに続き、スーダンを訪問

5 月 ゼーリック国務副長官がルワンダ、スーダンを訪問

7 月 ライス国務長官がセネガル、スーダン、イスラエル、レバノンを訪問

11 月 ゼーリック国務副長官がスーダン、ケニアを訪問

2006 年

1 月 ブッシュ大統領及びライス国務長官がリベリア(大統領就任式に出席)、ガーナを訪問

3 月 ゼーリック国務副長官が欧州訪問(ダルフール問題に関し欧州・アフリカのリーダーと議論)

4 月 フレイザー国務次官補がコンゴ訪問(同国出身の NBA スターによる病院建設に関連)

4 月 ヒューズ国務省次官がベナン及び南アフリカを訪問

5 月 ゼーリック国務副長官がナイジェリアを訪問

8 月 フレイザー国務次官補がスーダン訪問

12 月 ブッシュ大統領がコンゴ民主共和国大統領就任式に代表団を派遣

2007 年

1 月 トンプソン国務省副次官補がアンゴラを訪問

3 月 ブッシュ大統領がガーナの独立 50 周年式典に代表団(フレイザー国務次官補)を派遣

3 月 ブッシュ大統領がセネガル大統領就任式に代表団(チャオ労働長官ら)を派遣

4 月 トーゴに新たな大使館を設立

4 月 フレイザー国務次官補がソマリア訪問

4 月 ブッシュ大統領がモーリタリアの大統領就任式に代表団を派遣

4 月 ネグロポンテ国務省副長官がアフリカ歴訪(スーダン、チャド、リビア、モーリタニア)

6 月 ブッシュ大統領がマリ大統領就任式に代表団を派遣

11 月 ネグロポンテ国務省副長官及びフレイザー国務次官補が西アフリカ歴訪

(注)肩書きは当時。

(資料)米国国務省ウェブサイト

ブッシュ政権は、クリントン前大統領が 2000 年に制定したアフリカ成長機会法

(AGOA:African Growth and Opportunity Act)を修正するなど、アフリカとの貿易関係

の強化にも取り組んでいる。AGOA は、サブサハラ諸国から米国へ輸入される品目のうち、

約 1800 の品目に対する関税を新たに免除し、繊維・衣料品に関しての数量制限を撤廃す

ることなどにより、アフリカ地域の市場開放や経済成長を促し、米国企業と同地域の経済

15

関係の強化を目指す枠組みだ。ブッシュ政権は、同法を修正し、適用期間を 2015 年まで

と 7 年間延長した。

米国の商務省国際貿易局によると、AGOA のもと、米国のアフリカ製品の輸入総額が

2006 年では前年に比べて 16% 増加している (International Trade Administration (2007))。特に原油関連における貿易が拡大しており、2006 年では、AGOA を通じた米国

への輸入総額のうち 93%を原油製品が占め、同法の恩恵を受ける上位 5 カ国には、ナイジ

ェリア、アンゴラ、南アフリカ、チャド、ガボンといった産油国が並んでいる(International Trade Administration(2007))30。

このようななか、米国の原油(石油製品を含む)輸入に占めるシェアを主要国・地域別

にみると、ナイジェリアやアルジェリア、アンゴラなどを中心にアフリカからの輸入のシ

ェアが 2002 年以降拡大し、2006 年には 19.6%を占めた(図表 10)。

図表 10 米国の原油・石油製品輸入に占める主要国・地域のシェア(1993-2006)

0

5

10

15

20

25

1993 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06

(%)

(年)

湾岸諸国

アフリカ

カナダ

OECD(カナダ、メキシコを除く)

ロシア

メキシコ

(注)1.原油は戦略石油備蓄向けの輸入を含む。

2.ペルシャ湾岸諸国はバーレーン、イラン、イラク、クウェート、カタール、サウジアラ

ビア、アラブ首長国連盟。

3.石油製品は原油加工によって得られる製品で、原油、天然ガス、その他炭化水素化合物

の加工によって得られるもので、液化天然ガス、石油ガス、ガソリン、ナフサなどを含

む。

(資料)Energy Information Administration, the United States Government

30AGOA がアフリカとの貿易を促進しているという意見に対して AGOA は原油産出国のみを富ませてい

るとの批判もある(Josette Shine “Letters to the editor –US programme is boosting trade with

Africa” Financial Times , 2002 年 6 月 10 日)。

16

米国の対アフリカ直接投資額(フロー)については、2003 年以降、10 億ドル以上の額を

維持しており、2006 年には、前年の約 2 倍の 22 億ドルに達した(図表 11)。

図表 11 米国の対アフリカ直接投資額の推移(2000-2006)

-10

-5

0

5

10

15

20

25

30

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006

(億ドル)

(年)(注)時価評価調整前

(資料)Bureau of Economic Analysis, "Survey of Current Business″

    (2004、2005、2006、2007)

米国が対アフリカ政策を積極化させている背景には、2001 年 9 月 11 日の同時多発テロ

以降、同国がエネルギーを含む国家の安全保障に、外交政策の最大の力点を置くようにな

ったことがあると考えられる。米国では国内の原油生産量の減少と消費量の拡大により31、

海外からの原油輸入量が年々拡大しており、このようなエネルギーの海外依存度の上昇、

とりわけ中東の産油国への依存は、米国の外交・安全保障政策上の選択肢を狭めると認識

されている32。中東に原油輸入を依存する結果、中東地域内のテロ資金の流れを止めるこ

とや、テロ攻撃に関する調査を行うことをはじめ、安全保障上の外交的努力を行うことが

難しくなっているという(David Sandalow (2007))。 このようななか、今後も米国はアフリカ産原油の獲得に向け、同地域との関係強化を進

めると考えられる33。第一に、米国が今後も、マーケットよりも、エネルギー安全保障に

軸足を置いた政策を展開するとみられることがある。ブッシュ大統領が 2007 年 1 月の一

般教書演説で、2025 年までに中東からの輸入原油の 75%を減少させる方針を示したが、

このこともまた、そうした安全保障重視の姿勢を表すものとみなされている(経済産業省

31米国エネルギー省エネルギー情報局によれば、アメリカの原油消費量は増加し続けており、1980 年の

1700 万バレル/日から、2005 年には約 2080 万バレル/日となった。 32国防長官及びエネルギー長官経験者であるシュレシンジャーの発言による(出典は“Weak oil policy

called US peril; Study cities security, foreign ties” The Washington Times, 2006 年 10 月 17 日)。 33奥(2007)は政権が変わっても原油の中東依存を低めてアフリカなどに分散するなど、(特定の)外国産

エネルギーへの依存度を低める考えは継続すると予測する(奥(2007))。

17

(2007))。新興国の原油需要が今後も増加すると見込まれることなど、米国のエネルギー政

策を再度転換させる要素が当面期待できないことを踏まえれば、米国にとってアフリカ産

原油は今後も、重要な位置を保ち続けると推察される34。 第二に、後述するように、中国をはじめとする諸外国が経済や政治面でアフリカにおけ

る影響力を増しつつあることがある。中国が、スーダンなどの人権抑圧国に対する国際社

会の制裁に対する消極的な姿勢をみせていること35、アンゴラなど人権保護や統治面で問

題を抱える国に対し援助と組み合わせた投資を行っていることは、援助や貿易取引の停止

などにより、これらの国の民主化を進めようとしてきた欧米諸国の影響力を低下させてい

る。米国内からは、エネルギー資源の確保を含め米国政府が対アフリカ政策を再構築する

必要性が指摘されており36、政権もこうした声を無視しにくい状況が続くと考えられる。

(2) 欧州 欧州諸国とアフリカ地域との政治的・経済的結び付きは歴史的、地理的に強い37。政治

的には、旧宗主国であるフランスが仏・アフリカ首脳会議を一年毎に開催し、フランス語

圏首脳会議も開催している。また、英国は英連邦首脳会議を一年毎に開催しているほか、

2005 年のグレンイーグルズ・サミットではアフリカ支援を中心議題に置き、各国に ODAの増額や必要な国への債務の 100%免除を訴えた(毎日新聞 2005 年 3 月 12 日)。欧州諸国

が EU として統合した後も同地域はアフリカとの結び付きを維持しており、2000 年には

EU・アフリカ首脳会議を開催し、人権の尊重や民主化、グッドガバナンスの促進、紛争

解決について討議を行っている(青木(2004))。 経済的にも、両地域の結び付きは強く、2005 年では、先進国の対アフリカ援助額のうち、

34中津(2007)は、エタノールやバイオマスの活用だけで中東依存度を低下させることは難しく、一般教書

演説で示されたエネルギー政策は、アフリカ産油国を最重要視し、戦略的に関係を強化しようとする宣

言であったと指摘している(中津(2007))。 352004 年 10 月 5 日付けの毎日新聞によれば、スーダン・ダルフール地方で生じたアラブ系住民による黒

人住民への残虐行為に関して国連安保理で経済制裁決議が行われた際、中国は棄権したほか、さらに厳

しい決議案には拒否権を発動する可能性があることを示唆したという。 36例えば米国の有力シンクタンクである外交評議会は、米国は、アフリカでの影響力を維持するため、よ

り効率的・大々的に中国と競い合うべきだという。具体的な政策として、アフリカへの援助とエネルギ

ーインフラへの投資を結び付けることなどを通して、企業のアフリカ進出を後押しすることを挙げてい

る(Council on Foreign Relations (2006))。 37大森(2005)は、旧宗主国である英仏は、アフリカ諸国が独立後もさまざまな枠組みを通して、アフリカ

との特別な関係を維持してきたという。また、日本がアフリカに進出する際には、アフリカ諸国と旧宗

主国間の強い関係という壁が存在するという指摘もある(読売新聞 2007 年 11 月 18 日)。

18

およそ 75%を EU15 カ国38が占めている(図表 12)。

図表 12 先進国のアフリカ援助額の割合(2005)

75%

20%

5%

EU

米国

日本

(資料)OECD DAC

アフリカにとって EU は重要な貿易相手でもあり、2006 年ではアフリカの貿易のうち、

輸出において 30%、輸入において約 70%を EU15 カ国が占めている(図表 13)。

図表 13 アフリカの国別貿易額の割合(2006)

(輸出) (輸入)

59%30%

4%7%

EU 米国

中国日本

68%15%

11% 6%EU

中国米国 日本

(資料)IMF(2007)

38EU15 カ国は、フランス、ドイツ、イタリア、ベルギー、オランダ、ルクセンブルク、イギリス、デン

マーク、アイルランド、ギリシャ、スペイン、ポルトガル、オーストリア、スウェーデン、フィンラン

ド。

19

さらに、EU39からアフリカへの直接投資額(フロー)も近年増加傾向にあり、2006 年に

は、2004 年の約 200 億ドルから、およそ 317 億ドルにまで増加した (図表 14)。

図表 14 EU27 カ国の対アフリカ直接投資額の推移(2004-2006)

0

50

100

150

200

250

300

350

2004 2005 2006 (年)

(億ドル)

(注)1 ユーロ=1.44 ドルで換算

(資料)Eurostat

近年、EU はエネルギーを焦点の 1 つに据えてアフリカとの更なる関係強化に動き出し

ている40。 具体的には EU がエジプトやアルジェリアのような主要な資源国との自由貿易の他、政

治や社会分野を含む包括的な協定(Association Agreement)を締結し、関係を強化する動き

を進めている。2004 年 6 月には EU・エジプト連合協定が発効した。同協定は、EU とエ

ジプトがエネルギー分野での関係を従来以上に強める効果をもつといわれている41。実際

2006 年には、EU の対エジプト輸入額のうち、56%をエネルギー関連が占めた42。また、

2005 年 9 月には、EU・アルジェリア連合協定が発効した。アルジェリアもまた EU にと

39ここでの EU は加盟国 27 カ国全て。すなわち、ベルギー、オランダ、ルクセンブルク、フランス、イ

タリア、ドイツ、イギリス、アイルランド、デンマーク、ギリシャ、スペイン、ポルトガル、オースト

リア、フィンランド、スウェーデン、ポーランド、ハンガリー、チェコ、スロバキア、スロベニア、エ

ストニア、ラトビア、リトアニア、キプロス、マルタ、ルーマニア、ブルガリアの 27 カ国である。 40もともと欧州にとってアフリカはエネルギー供給源の 1 つであり、2002 年以降、欧州の全原油輸入量

のうちアフリカ産原油はおよそ 20%を占めている(BP (2007)、BP Statistical Review of World Energy,

Jun 2003、Jun 2004、Jun 2005、Jun 2006)) 41日本貿易振興機構「世界と日本の主要 FTA 一覧(暫定版)」2007 年 11 月 42European Commission Trade Issues ホームページ

20

って重要なエネルギー供給国であり、2006年にはEUの対アルジェリア輸入額のうち 71%をエネルギー関連が占めた43。

このほか 2007 年には EU で包括的なエネルギー政策が提案され、そのなかでアフリカ

は重要な位置付けがなされている(Commission of the European Communities(2007))。アフリカのエネルギー資源獲得に向けた具体策としては、EU が、アフリカにおけるエネル

ギーインフラへの投資を増やすことや、アフリカの投資環境を向上させるため人材教育や

統治制度の整備等の技術支援を行うことなどが掲げられている (Presidency of the European Union(2007a))。

また、2000 年の第 1 回 EU アフリカ首脳会議に続き、2007 年 12 月には第 2 回首脳会

議が開かれ、民主主義や人権保障の強化への支持、インフラ整備などに関する新たな資金・

技術支援が打ち出されたほか、EU とアフリカ諸国の経済連携協定(EPA)の締結について

交渉が行われた。EPA 交渉は合意に至らなかったものの(日本経済新聞 2007 年 12 月 10日)、2010 年までの行動計画として、①民主主義や人権保障の普及を目指した対話の促進

に加え、②貿易拡大と経済関係の強化、③エネルギー安全保障での協力の強化などが打ち

出され、アフリカの発展を促進するとともに同地域と EU の関係を深化させることが目指

されている(Presidency of the European Union(2007a))。 このように近年 EU がアフリカとの一層の関係強化に取り組んでいる背景の 1 つとして、

域内での原油生産量が減少していることに加え44、ロシアからのエネルギー供給への依存

に対する懸念が高まっていることがある。EU は、ロシアに天然ガス45消費量の約 24%、

原油消費量の約 27%を依存している46。しかし、2006 年 1 月にロシアがウクライナへの天

然ガスの供給を停止したことは47、欧州にロシアが資源を外交の手段として使うのではな

いかという危機感を募らせた(田中(2006))。この結果、欧州にとって、ロシア以外のエネ

ルギー供給源としてのアフリカの戦略的重要性がさらに高まっていると考えられる。 また、後述するように、中国が資源獲得に向けアフリカで欧州諸国に代わり影響力を増

43European Commission Trade Issues ホームページ 44OECD 欧州の域内の原油生産量は減少傾向にあり、IEA によれば、2005 年のおよそ 6 百万バレル/日か

ら、2010 年には 440 万バレル/日、2030 年には 230 万バレル/日にまで減少する見込みだ。(IEA(2005)) 45石油と天然ガスは、ともに炭素と水素が結びついたもので、有機物(炭化水素)と呼ばれるものの一種

である。石油は液体であり、ガスは気体だが、両者は化合物で燃える性質をもつなど似た性質を持つ(石

油天然ガス・金属鉱物資源機構ホームページ)。 46European Commission, the Secretary-General and High Representative(2006)、掲載データは 2004

年時点のもの。 47日本貿易振興機構(2007)によれば、ロシアがウクライナへの供給を停止したのは、ロシアが価格引上げ

をウクライナに要求したもののウクライナはこれに応じず、両国の価格交渉が暗礁に乗り上げたことが

契機だった。

21

していることへの懸念が、EU の対アフリカ政策の背後にあるとの指摘もある48。実際、

セネガルの大統領が、中国の進出により欧州の影響力が弱まっていると指摘している49。

中国がアフリカへの進出を活発化させているうえ、ロシアが、エネルギーを政治的道具と

して使うことを宣言しエネルギーの国家管理を強めているという指摘もあるなか50、以上

の状況を踏まえれば、EU は今後もアフリカとの関係強化に乗り出していくと考えられる。

(3) 中国

中国もアフリカ諸国との関係を強化している。2000 年以降中国は、3 年に一度中国・ア

フリカ協力フォーラムを開催し、中国とアフリカの関係強化について議論を行っている。

2006 年の中国・アフリカ協力フォーラムでは、中国の対アフリカ支援として、2009 年ま

でに対アフリカ援助規模を 2006 年比で倍増させることや、中国企業のアフリカ投資促進

のための 50 億ドルの基金を設立することが決まった(産経新聞 2006 年 11 月 5 日)。また、

中国は、アフリカとの貿易額を 2010 年までに 1000 億ドルに引上げる目標を明らかにし、

中国企業の対アフリカ投資を奨励している(日本経済新聞 2006 年 11 月 5 日)。 このようななか中国の対アフリカ貿易額は、輸出・輸入とも 2003 年以降増加し、2006

年では 200 億ドルを超している(図表 15)。また、2005 年の中国の対アフリカ貿易輸入の

うち、約 70%が原油である(ECOWAS-SWAC/OECD(2006))。 中国がアフリカと関係を強化する背景には、急激な経済成長を背景に中国国内の原油需

要が高まり、同国内で産出されるエネルギー資源によって国内の需要を賄うことが長期的

に難しいことがあると見られている(David Zwing and Bi Jianbai(2005))。

48Andrew Parker, “Socrates puts better ties with Africa high on Europe’s agenda” Financial Times,

2007 年 7 月 3 日、“Africa warns of ‘rupture’ over European tariffs” Financial Times, 2007 年 12 月

10 日、“A desperate suitor” The Economist, 2007 年 12 月 8 日 49“Africa warns of ‘rupture’ over European tariffs” Financial Times, 2007 年 12 月 10 日 50Financial Times “LETTERS TO THE EDITOR: Wrong energy policy could create new enemies for

Europe”2007 年 3 月 6 日 このような EU の不信感を、ロシアの副報道官であるドミトリー・ペスコ

フは、ヒステリック的であると批判し、「ロシアはヨーロッパへのエネルギー供給を重視しており、ロ

シアと欧州はお互いに相互依存している。その相互依存こそが、エネルギー保障の柱なのだ。」という

(Isabel Gorst, “Moscow warns EU on ‘unfair’ energy plan”Financial Times , 2007 年 8 月 30 日によ

る。肩書きは当時のまま。)。

22

図表 15 中国の対アフリカ貿易額の推移(2000-2006)

0

50

100

150

200

250

300

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006

(年)

(億ドル)

輸入額

輸出額

(資料)IMF(2007)

さらに、中国は貿易・投資に加え独特な援助方式で、アフリカとの関係を強化している。

中国の援助はアフリカ諸国に政治的条件を課していないことが特徴である。アフリカの原

油産出国には、国内で人権侵害が行われていたり腐敗が蔓延しているなど、日本や欧米か

ら見て、政治的に未発達な国々が多い。先進国や国際機関はこれらの国に援助を行う条件

として、国内の政治的安定や歳入使用の透明性などを課している一方、中国はそのような

条件を課さずに援助や融資を行うため、アフリカ諸国の政府から歓迎されている。 例えば、ダルフール紛争では中国は、国連平和維持部隊の同地域への強制派兵に反対し、

スーダン政府に武器を供給するなど、スーダン政府を下支えしているとの懸念が指摘され

ている(朝日新聞 2007 年 5 月 15 日、読売新聞 2007 年 1 月 31 日)。 アンゴラでは、国際

機関がアンゴラに融資の前提に原油による歳入の使途の透明性を求めていたが、中国がア

ンゴラに条件を付けずに援助を行っている51。 このような援助を伴う積極的なアフリカ進出により、中国は現在、アフリカ 15 カ国で

原油開発を行っている(図表 16)。また、例えば西アフリカからの原油輸入量は 2001 年以

降増加しており、2004 年には中国の原油の輸入量のおよそ 30%を西アフリカが占めてい

る(図表 17)。

51John Reed “China on track to win friends in oil-rich Angola Beijing is a more supportive and less

critical partner than the west” Financial Times, 2006 年 3 月 4 日

23

図表 16 中国のアフリカにおける原油開発の状況

(資料)竹原(2006)

図表 17 中国の国別原油輸入量の推移(1998-2004)

0

2

4

6

8

10

12

1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 (年)

(10万バレル/日)

中東

西アフリカ

その他

アジア太平洋

(資料)JETRO(2006)

このように中国が政治的条件を課さずにアフリカ諸国に援助を行うことへの批判は少

なくない。フランシス・ブルギニオン世界銀行主任エコノミストが、「中国のように支援

をテコに資源確保を行う手法は、汚職を増やし、行政の透明性を薄め、投資環境を長期的

に悪化させる恐れがある」と指摘するように52、中国の援助によりアフリカの一部の特権

52日本経済新聞 2006 年 6 月 12 日による。肩書きは当時のまま。

24

階級が富を独占し、国内に富が行き渡らずに地域が発展しない恐れがある53。このことは、

今まで先進国が、人権や政治的安定を重視し、援助を行ってきたことを形骸化することに

も繋がる。 また、中国の姿勢が先進国や国際機関のアフリカにおける影響力を低下させる恐れもあ

る。実際、スーダン政府が、「中国は政治に関与せず、ビジネスに熱心で物事がスムーズ

に進む」と中国を歓迎している54。また、アンゴラは中国からの融資を得ることで IMF と

の交渉を滞らせている。 以上の状況を踏まえ、米国の政権内では、中国のアフリカ進出に対して、しばしば懸念

が表明されている55。例えば、国務省のクリステンセン副次官補(当時)が中国の温家宝首相

のアンゴラへの無条件の援助に懸念を表明したり(日本経済新聞 2006 年 8 月 5 日)、ヒル東

アジア・太平洋担当国務次官補が「米国とアジアの(米国の)同盟国は、中国が、資源を確

保するに伴い、国際共同体の安全と安定を害しないように注意しなければならない」と訴

えている(David Zwing and Bi Jianbai(2005))。 中国のこのような姿勢は、アフリカの持続的発展を阻害するだけではなく、アフリカ地

域の透明で公正なビジネス環境の育成を阻害し、日本企業のアフリカ進出をより難しくす

る要因にもなりかねない。日本をはじめとする他の先進国は、中国の資源外交を注意深く

見守り、必要に応じて、アフリカ地域のより持続的な発展につながる援助を促すべく連携

していく必要があるように思われる。

(4) 日本

欧米諸国や中国がアフリカへの進出を積極化させているなか、日本の同地域への関与は

経済・政治両側面でさほど進んでいない。

53ハンク・ポールソン財務省長官が、アフリカに中国から投資が行われることは同地域にとってプラスで

あり、米国にとっても利益となると指摘するように(Alec Russell ,“US business worried over China's

expansion in Africa” Financial Times, 2007 年 11 月 20 日による。肩書きは当時のまま。)、中国の

アフリカ進出を好意的に見る意見もある。また、平野(2007)は、アフリカの資源ビジネスにおいては欧

米系の原油開発会社の権益が強く、後進の中国が獲得できているのは、スーダンやジンバブエのように

政治的リスクが伴うものや収益性の劣るもののため、欧米企業が中国を直接的な脅威と感じているとは

思えないという。アフリカ側は中国を歓迎しているが、欧米の圧力をかわすために中国を天秤にかけて

いるようにも思えると指摘する(平野(2007))。 54Peter S.Goodman “China Invests Heavily In Sudan’s Oil Industry; Beijing Supplies Arms Used on

Villagers” The Washington Post, 2004 年 12 月 23 日 55中国が国内の政情が不透明な国に援助を行っていることへの批判に対して、中国の外交部副部長である

周文重は、「ビジネスはビジネスであり、政治とは異なる。我々が、国内事情に関与する立場ではない」

と、非難を払いのけている(David Zwing and Bi Jianbai(2005)による。肩書きは当時のまま。)。

25

対アフリカ援助額は、1995 年に約 13 億 3300 万ドルと最高額を記録したが、その後は

財政状況が厳しくなり援助額が全体的に削減されるなか、同地域への援助額も減少した。

2004 年の対アフリカ援助は 6 億 4700 万ドルと 1995 年のおよそ 5 割程度にまで落ち込ん

でいる。2005 年に、サミットや国際連合でアフリカの開発が主要な議題となり、国際社会

の同地域への関心が集まる中、小泉総理大臣(当時)はアフリカ向け援助の積み増しを表明

し、2005 年の日本の同地域への援助額は 11 億 3700 万ドルにまで上昇した。しかし、こ

れは EU15 カ国の 170 億ドルや米国の 46 億ドルに比べると依然小規模である(図表 18)。

図表 18 日本の対アフリカ援助額の推移(1990-2004)

0

2

4

6

8

10

12

14

1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 (年)

(百万ドル)

(資料)OECD DAC

2005 年までの日本の対アフリカ直接投資額(フロー)は、総じて低調だ(図表 19)。2006年には、日本企業がアフリカへの注目度を高めていることを 1 つの背景に、日本の対アフ

リカ投資がおよそ 9 億ドルと大幅に増加しているものの、約 22 億ドル(2006 年)の米国の

対アフリカ直接投資や 317億ドル(2006年)の EU の対アフリカ直接投資と比較すると低水

準に止まっている。

26

図表 19 日本の対アフリカ直接投資額の推移(年ネット投資額)(1998-2006)

-4

-2

0

2

4

6

8

10

1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006

(年)

(億ドル)

(資料)日本貿易振興機構『ジェトロ貿易投資白書 2007 年版』

また、アフリカの貿易に占める日本の割合も、輸出入ともおよそ全体の 4~5%と規模が

小さく、2006 年の日本の対アフリカ貿易額を見ても輸出がおよそ 79 億ドル、輸入が約 129億ドルと米国や EU に比べて極めて少ない(図表 20)

図表 20 日本、米国、EU の対アフリカ輸入額・輸出額(2006)

0

20

40

60

80

100

120

日本 米国 EU(15)

(10億ドル)

輸出額

輸入額

(注)EU は 15 カ国。

(資料)IMF(2007)

日本とアフリカはこのように経済的な関係が弱いうえ、外交上の関係もそれほど強くな

い。例えば、現役総理大臣によるアフリカ訪問が初めて行われたのは、2001 年の森総理大

27

臣(当時)の時とごく最近になってからであった56。森総理大臣がアフリカ(南アフリカ、ケ

ニア、ナイジェリア)を訪問して以降、歴代総理大臣や外務大臣・副大臣が同地域をしばし

ば訪問している(図表 21)。しかし、歴訪の詳細を見ると、2003 年は、後述するアフリ

カ開発会議 (TICAD:Tokyo International Conference on African Development)が開催

されたため、同会議に関する意見交換が主な目的となり、2006 年には国連安保理常任理事

国入りの支持獲得が主な目的となるなど、歴訪の目的はその時々の政策課題に左右されて

いる。また、2006 年に小泉総理大臣(当時)が上記の目的を達成するため閣僚をアフリカに

派遣した際には、閣僚を派遣するだけでは関係は深まらないとその戦略性を疑問視する声

もあった(日本経済新聞 2006 年 8 月 17 日)。アフリカへの欧米諸国が、アフリカ産原油の

獲得や経済関係の強化など、明確な目的を打ちたててアフリカと関係を強化しているのと

は対照的にみえる。

56例えば、中国の周恩来首相(当時)がすでに 1963 年にアフリカを訪問している(外務省(1965))のに比べ

ると、かなり遅い訪問であった。

28

図表 21 日本政府要人のアフリカ訪問

1 月 森総理大臣の南アフリカ、ケニア、ナイジェリア訪問

2001

8 月 杉浦外務副大臣のエジプト訪問

7 月 杉浦外務副大臣のマウライ、モザンビーグ、スワジランド、南アフリカ訪問

2002

8 月 川口外務大臣のエチオピア、アンゴラ訪問

3 月 矢野外務副大臣のエチオピア、ケニア訪問

5 月 小泉総理大臣のエジプト訪問

8-9 月 矢野外務副大臣の南アフリカ、モザンビーグ、タンザニア、スーダン訪問

2003

10 月 川口外務大臣のエジプト、チュニジア訪問

6 月 逢沢外務副大臣のエジプト、リビア訪問

11 月 町村外務大臣のエジプト訪問

2004

12 月 逢沢外務副大臣のスーダン、モロッコ訪問

年 2005

10 月 逢沢外務副大臣のケニア、ルワンダ訪問

5 月 小泉総理大臣のエチオピア、ガーナ訪問

6 月 塩崎外務副大臣の南アフリカ訪問

7 月 小坂文部科学大臣のウガンダ、エジプト訪問

8 月 杉浦法務大臣のカメルーン、ガボン、カーボヴェルデ訪問

8 月 金田外務副大臣のモロッコ訪問

2006

8 月 松田科学技術政策担当大臣のリビア訪問

3 月 岩屋外務副大臣のケニア訪問

5 月 麻生外務大臣のエジプト訪問

5 月 安倍総理大臣のエジプト訪問

7 月 岩屋外務副大臣のベナン訪問

11 月 小野寺外務副大臣のアルジェリア訪問

2007

11 月 甘利経済産業大臣の南アフリカ、ボツワナ訪問

(注)肩書きは当時。

(資料)外務省、日本経済新聞 2006 年 8 月 17 日

29

ただし、日本がアフリカに対して何の政策も行っていないわけではない。日本は欧州な

どの旧宗主国の援助が歴史的関係から旧植民地に偏った援助になっているのに対して、歴

史的しがらみのない公平な援助を行っている(大森(2005))。その柱となるのが、TICAD である。日本は 1993 年以降 5 年毎に同会議を開催し、2003 年にはアフリカの 23 カ国を含

む 89 カ国や国際機関から 1000 名を超える関係者がアフリカ開発について議論を行った。

TICAD は国際社会の関心をアフリカに引き寄せ、アフリカ開発の原則・理念、方向性や

優先分野につき、参加各国や国際機関の認識を共有する役割を担っている(目賀(2008))。しかし、アフリカが「TICAD で話し合ったことを実現するメカニズムが欠けている」と

指摘するように(朝日新聞 2007 年 8 月 15 日)、理念が先行し、具体的な活動に結び付きに

くい点が問題である。 近年、中東の不安定化や原油価格の高騰などによる国際原油市場の構造変化に伴い、日

本もアフリカの原油に注目した外交をようやく強化し始めた(図表 22)。2006 年に伊藤

外務大臣政務官(当時)がモーリタニアを訪問した際には、同国のモハメド・アリ・エネル

ギー石油大臣と 2 国間の協力のあり方について会談が行われた57。2007 年 10 月には、政

府は円借款を資源確保に結び付けるとの考えのもと、アンゴラに円借款を初めて供与する

検討を始めた(産経新聞 2007 年 10 月 21 日)。同年 11 月には、甘利経済産業大臣が南アフ

リカ、ボツワナを資源開拓の技術協力を結ぶために訪問している。また、2007 年 12 月に

は高村外務大臣が閣議に「2007 年版 ODA 白書」を報告し、資源の安定確保に向けてアフ

リカとの資源探査やインフラ整備などを通じた関係の強化が不可欠だと主張している(日経ネット 2007 年 12 月 21 日)。

図表 22 アフリカ産原油獲得に向けた政策

政府は新たな原油供給源として、リビア、ナイジェリアを重点的な国として挙げている(経済産

業省(2006))。

政府の海外経済協力会議は、アフリカを資源の宝庫として重視し、2007 年にアフリカ向け ODA

を重点化する方針を決めた(第 8 回海外経済協力会議、内閣官房、2007 年 4 月 10 日)。

国際協力銀行は、リビア、アルジェリアや南アフリカで資源開発への投資援助を行っている。

政府はチャド、モーリタニアに商社や石油開発会社など企業 7 社でつくる調査団を派遣した

(2006 年 1 月) (毎日新聞 2006 年 7 月 11 日)。

日本の政府のアフリカ産原油の獲得に向けた動きは始まったばかりである。欧米諸国が

アフリカ地域の資源獲得を積極化し、同地域との関係強化を進めるなか、日本が従来のア

フリカ政策を維持するだけでは、アフリカとの関係は相対的にますます弱くなる恐れがあ

る。政府は、同地域とのネットワークの強化や、日本企業がアフリカに進出し易い環境の

57外務省のウェブサイトによる。肩書きは当時のまま。

30

整備など、アフリカ政策を戦略的に再構築する必要があると考えられる。

6. 結論

原油輸入の 8 割以上を中東に依存し、自主開発権益の比率も低い日本にとって、アフリ

カは新たな原油供給源としてエネルギー政策上の利益が大きい。また、アフリカ産原油は

生産量の拡大の余地が大きいうえ、外資の参入に好意的など魅力的である。アフリカの下

流部門における市場が今後発展すると見込まれることを踏まえると、日本の企業がアフリ

カの上流・下流部門で収益をあげる余地が残されているといえる。 一方、アフリカでの事業展開については、投資リスクが高いことや、事業を展開するた

めの情報が不足していること、アフリカ地域内の労働環境が整備されていないことなどの

問題も存在する。本稿で述べたように、アフリカでのプロジェクトに関心を示す日本企業

が増加しているものの、これらの不安要素の解消が、同企業がアフリカに進出する際の課

題になっている。 このようななか国際社会では、アフリカにおける資源獲得の競争はすでに激化しており、

欧米中などの各国が資源を求めてアフリカとの関係強化に乗り出している。日本もアフリ

カ産原油やそれがもたらす果実の獲得に乗り遅れないために、政府は、従来の TICAD を

柱としたアフリカ政策に留まらず、より戦略的にアフリカ政策を形成する必要がある。そ

の際、中国のように、日本政府が国際的なルールに従わずに積極的に資源の開発に乗り出

す資源外交を真似するという選択肢は現実的でない。日本政府には、トップレベルのアフ

リカ訪問外交を定期的に行い、アフリカと日本のネットワークを強化すること58、日本企

業が必要としている情報を把握し、それらを企業に積極的に提供するなどの取り組みをこ

れまで以上に行っていくことが求められる。また日本が、中国を国際的ルールに沿って行

動するよう促し、欧米諸国や中国、アフリカ諸国と協調してアフリカの経済環境を整えて

いくことも重要だろう。このことは、アフリカの健全な発展を促し、先進国や中国にとっ

てメリットになるだけではなく、日本の同地域におけるプレゼンスを高めることにも繋が

る。さらに日本政府には、民間企業では負いきれないリスクを負担することも求められよ

う。以上のように、日本政府が、政治的・経済的両側面においてアフリカに日本企業が進

出し易い環境を整備することが、日本のエネルギー安全保障や日本企業の経済的発展のた

めに今後ますます必要になると考えられる。

58同様の意見は船橋も指摘しており、船橋は原油生産量の最も多いナイジェリアや国際ネットワークの強

い南アフリカなどの国々とまずは関係を強化し、アフリカにおける外交の足場を築くことを提言してい

る (朝日新聞 2002 年 6 月 27 日) 。

31

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